「うわぁー……」
想像以上の賑わいに、俺は思わず驚嘆を……ってあれ、前にも同じセリフを吐いた気がする。またデジャブか?
「すっっっっごい人だね……」
舞、ヒカリ達と神姫センターにやって来たのだが、そこはとんでもない賑わいを見せていた。バトルスペースを埋め尽す人と神姫、軽く見回しても昨日の倍はいるだろうか。改めて神姫ユーザーの多さを実感させられる。
「昨日で少ない方だ、って言ってたのがわかった気がする……」
「んー、やっぱり連休最後の日だからしょうがないかな……?」
俺も舞も顔を見合わせて苦笑い。流石に全員が参加登録を済ませて順番待ちをしているワケではないだろうが、それでもかなりの待ち時間になるのは確実だ。帰りたくなってきた。
「どうする?また今度にしよっか?」
「えー、ヤだ!今日がいい!舞、約束したもん!」
「んー、そうなんだけど……」
舞はもう一度人混みに視線を戻した。人、人、人、そしてその神姫達。サッカーと野球の試合を同時に出来そうな人数だ。あ、それおもしろそうだな。やってみたいかも。
「それはまたの機会ということで、どうするんですか?」
「人のモノローグを勝手に読むな」
そんな実りのない会話を交しながらフロアの隅でぼんやりしていると、見覚えのある二人の少女が声をかけてきた。
赤いキャスケット、肩にかかる程度の栗色の髪、そして猫の様に大きな瞳が印象的な少女。丸い大きな襟のブラウスに裾口の広いハーフパンツと控え目な服装だが、胸元や袖口、足下の浅いブーツにも結い付けられた小さな赤いリボンが可愛らしい。
もう一人は、彼女とは対称的な長めの黒髪を青いカチューシャでまとめ、後ろで二つに結んでいる。やや切れ長の目はどこか挑戦的で、それだけでその勝ち気な性格が伺い知れるようだった。黒いノンスリーブのブラウスにアームウォーマー、青いネクタイと青いチェックのプリーツスカート。そこから伸びるすらっとした足はニーソックスに包まれ、全体的にゴシック調にまとめられている。落ち着きのない黒いローファーはコツコツと床を叩き続け、堪りかねた栗毛の少女がそれを制す。
「あ、やっぱり!隼人と舞じゃん!」
「本当だ、久しぶりだね。元気だった?」
「旋華ちゃんに風華ちゃん!来てたんだ!」
栗毛の少女は姉の鳳旋華(おゝとり せんか)、そして黒髪の彼女はその妹、鳳風華(おゝとり ふうか)。控え目で丁寧な姉に、勝ち気で大雑把な妹と性格、雰囲気共に対称的な二人だが、れっきとした双子の姉妹だ。
「ここにいるってことは、お前らも神姫オーナーだったのか?」
「あれ、言わなかったっけ?この二人、ここのランカーなんだよ」
「なん……だと……?」
さっきも言ったが、このセンターにはかなりの人数が集まっている。つまり、ライバルはそれだけ多いという事だ。そこでランカー、つまり、少なくとも上位30位以内という成績を収めているというのであれば、実力はかなりのモノなのだろう。
「へへーん、アタシらならそのくらい軽いもんよ!」
「最初はひどかったんだよ。ボクなんて初戦から三ヶ月くらいは負けっぱなしだったんだから」
苦労の成果、というワケか。あれ、それじゃもしかしてデビュー戦で勝った俺達って、結構すごいんじゃないのか?
「デビュー戦、というのは少し違いますよ。あくまでエキシビジョンでしたからね」
「だからモノローグを読むなっての」
「えぇと、君が隼人君の神姫だよね?始めまして。ボクは鳳旋華。こっちは妹の風華。よろしくね」
「アタシ達の神姫はもうスタンばってるから、後で紹介するな」
二人は律儀に突っ込みを入れる凛の前にしゃがみこむと、にこやかに挨拶を交した。その自然な対応からも、日頃から神姫との交流が良好なモノだというのが見てとれる。
「ところで、君達もバトルを?」
「そうなんだけど……こんなに混んでるでしょー?だからどうしようかなって」
舞の返答に、俺も肩をすくめて同意を示した。すると旋華達は互いの意思を
視線を合わせ、同時に頷いた。
「ねぇ、よかったらボク達と対戦しない?」
「2対2のタッグバトル!おもしろそうじゃん?」
タッグバトル!そういうのもあるのか!思っていた以上に神姫バトルは自由度が高いようだ。だがやはり勝手はわからないので、進行は舞達に任せて俺はただ関心している事にしよう。
「タッグって、あたしと隼人で?」
「そ!ちょうどアタシら神姫を改造したばっかでさ。どうせならお披露目も派手にしたいじゃん?」
「それに、ボク達はもう受付を済ませてるからね。そんなに待たなくてもいいはずだよ」
なるほど、それは確かに助かる。知り合いとバトルというのも気兼がなくていいし、なにより――
「売られたケンカは、買わないとな!」
「そうこなくっちゃ!」
想像以上の賑わいに、俺は思わず驚嘆を……ってあれ、前にも同じセリフを吐いた気がする。またデジャブか?
「すっっっっごい人だね……」
舞、ヒカリ達と神姫センターにやって来たのだが、そこはとんでもない賑わいを見せていた。バトルスペースを埋め尽す人と神姫、軽く見回しても昨日の倍はいるだろうか。改めて神姫ユーザーの多さを実感させられる。
「昨日で少ない方だ、って言ってたのがわかった気がする……」
「んー、やっぱり連休最後の日だからしょうがないかな……?」
俺も舞も顔を見合わせて苦笑い。流石に全員が参加登録を済ませて順番待ちをしているワケではないだろうが、それでもかなりの待ち時間になるのは確実だ。帰りたくなってきた。
「どうする?また今度にしよっか?」
「えー、ヤだ!今日がいい!舞、約束したもん!」
「んー、そうなんだけど……」
舞はもう一度人混みに視線を戻した。人、人、人、そしてその神姫達。サッカーと野球の試合を同時に出来そうな人数だ。あ、それおもしろそうだな。やってみたいかも。
「それはまたの機会ということで、どうするんですか?」
「人のモノローグを勝手に読むな」
そんな実りのない会話を交しながらフロアの隅でぼんやりしていると、見覚えのある二人の少女が声をかけてきた。
赤いキャスケット、肩にかかる程度の栗色の髪、そして猫の様に大きな瞳が印象的な少女。丸い大きな襟のブラウスに裾口の広いハーフパンツと控え目な服装だが、胸元や袖口、足下の浅いブーツにも結い付けられた小さな赤いリボンが可愛らしい。
もう一人は、彼女とは対称的な長めの黒髪を青いカチューシャでまとめ、後ろで二つに結んでいる。やや切れ長の目はどこか挑戦的で、それだけでその勝ち気な性格が伺い知れるようだった。黒いノンスリーブのブラウスにアームウォーマー、青いネクタイと青いチェックのプリーツスカート。そこから伸びるすらっとした足はニーソックスに包まれ、全体的にゴシック調にまとめられている。落ち着きのない黒いローファーはコツコツと床を叩き続け、堪りかねた栗毛の少女がそれを制す。
「あ、やっぱり!隼人と舞じゃん!」
「本当だ、久しぶりだね。元気だった?」
「旋華ちゃんに風華ちゃん!来てたんだ!」
栗毛の少女は姉の鳳旋華(おゝとり せんか)、そして黒髪の彼女はその妹、鳳風華(おゝとり ふうか)。控え目で丁寧な姉に、勝ち気で大雑把な妹と性格、雰囲気共に対称的な二人だが、れっきとした双子の姉妹だ。
「ここにいるってことは、お前らも神姫オーナーだったのか?」
「あれ、言わなかったっけ?この二人、ここのランカーなんだよ」
「なん……だと……?」
さっきも言ったが、このセンターにはかなりの人数が集まっている。つまり、ライバルはそれだけ多いという事だ。そこでランカー、つまり、少なくとも上位30位以内という成績を収めているというのであれば、実力はかなりのモノなのだろう。
「へへーん、アタシらならそのくらい軽いもんよ!」
「最初はひどかったんだよ。ボクなんて初戦から三ヶ月くらいは負けっぱなしだったんだから」
苦労の成果、というワケか。あれ、それじゃもしかしてデビュー戦で勝った俺達って、結構すごいんじゃないのか?
「デビュー戦、というのは少し違いますよ。あくまでエキシビジョンでしたからね」
「だからモノローグを読むなっての」
「えぇと、君が隼人君の神姫だよね?始めまして。ボクは鳳旋華。こっちは妹の風華。よろしくね」
「アタシ達の神姫はもうスタンばってるから、後で紹介するな」
二人は律儀に突っ込みを入れる凛の前にしゃがみこむと、にこやかに挨拶を交した。その自然な対応からも、日頃から神姫との交流が良好なモノだというのが見てとれる。
「ところで、君達もバトルを?」
「そうなんだけど……こんなに混んでるでしょー?だからどうしようかなって」
舞の返答に、俺も肩をすくめて同意を示した。すると旋華達は互いの意思を
視線を合わせ、同時に頷いた。
「ねぇ、よかったらボク達と対戦しない?」
「2対2のタッグバトル!おもしろそうじゃん?」
タッグバトル!そういうのもあるのか!思っていた以上に神姫バトルは自由度が高いようだ。だがやはり勝手はわからないので、進行は舞達に任せて俺はただ関心している事にしよう。
「タッグって、あたしと隼人で?」
「そ!ちょうどアタシら神姫を改造したばっかでさ。どうせならお披露目も派手にしたいじゃん?」
「それに、ボク達はもう受付を済ませてるからね。そんなに待たなくてもいいはずだよ」
なるほど、それは確かに助かる。知り合いとバトルというのも気兼がなくていいし、なにより――
「売られたケンカは、買わないとな!」
「そうこなくっちゃ!」
2対2の変則タッグバトル、レギュレーションはオフィシャル、フィールドはバーチャルフィールド「渓谷」。
これが今回のバトル設定になります。オフィシャルバトル、という事は、当然ランキングやクラスにも関係している訳なのですが……今回はその辺りの説明から始めましょうか。
まず、オフィシャルバトルには四つのクラスが存在します。クラスC、クラスB、そしてクラスA、クラスSです。デビュー前である私達は当然クラスC、つまり一番下のクラスです。上のクラスに上がる為にはある程度の戦績を積み、昇級バトルで勝利を修める必要があります。
昇級バトル、とは同クラス内で、同じくある程度の戦績を積んだ神姫を募って行われる物で、そこで3戦中2勝以上する事がクラスアップの条件となります。
と、いう訳で私達の当面の目標はその昇級バトルという事なのです。
ランキングというのはその名の通り、その店舗、もしくは地域、全国規模での順位になります。勝率やそれに応じたポイントによってランク付けされています。
ちなみに、別クラスの神姫とも対戦は可能となっています。当然自分より上位クラスの神姫に勝利すればそれだけポイントは大きくなり、逆に自分より下位であればそれだけ低くなります。
旋華さん、風華さんは共にクラスB。気を引き締めて行かなければ!
これが今回のバトル設定になります。オフィシャルバトル、という事は、当然ランキングやクラスにも関係している訳なのですが……今回はその辺りの説明から始めましょうか。
まず、オフィシャルバトルには四つのクラスが存在します。クラスC、クラスB、そしてクラスA、クラスSです。デビュー前である私達は当然クラスC、つまり一番下のクラスです。上のクラスに上がる為にはある程度の戦績を積み、昇級バトルで勝利を修める必要があります。
昇級バトル、とは同クラス内で、同じくある程度の戦績を積んだ神姫を募って行われる物で、そこで3戦中2勝以上する事がクラスアップの条件となります。
と、いう訳で私達の当面の目標はその昇級バトルという事なのです。
ランキングというのはその名の通り、その店舗、もしくは地域、全国規模での順位になります。勝率やそれに応じたポイントによってランク付けされています。
ちなみに、別クラスの神姫とも対戦は可能となっています。当然自分より上位クラスの神姫に勝利すればそれだけポイントは大きくなり、逆に自分より下位であればそれだけ低くなります。
旋華さん、風華さんは共にクラスB。気を引き締めて行かなければ!
『よーし、説明ご苦労さん』
「いえいえ、ご清聴ありがとうございます」
「んーと……がんばっていっぱい勝てばいいんだね!」
「平たく言えばそうなります」
流石(?)はヒカリ。なんとも簡潔に一行で済ませてしまいました。それにしても彼女、もしかしてその辺りわかっていなかったんでしょうか?
「残念だけど、今回は諦めるのね。次がんばんな」
と、頭上から私達を遮る声。そこにいたのはハイスピードトライク型神姫アーク、そしてハイマニューバトライク型のイーダ。ただし通常とは異なり、真っ赤にカラーリングされたイーダと、青のカラーリングを施されたアークでした。
「あなた達が対戦相手ですか」
「そ。アタシがアイナ、んでこっちが」
「……イリア……」
「ま、よろしく♪んで?アタシの相手はどっちなんだ?」
「………タッグバトルなんだよ……?」
「じゃ、そっちのハウリン!あんた!イリアはアーンヴァルの方な!」
アークタイプのアイナさんでしたか。なんというマイペース。と言うか、そもそも話を聞く気なんてないんじゃないでしょうか。
「……うん……」
そしてイーダタイプのイリアさん。派手なカラーリングとは異なり、イーダタイプの基本的な性格通り、随分おとなしい方のようです。
「んと、ヒカリですっ。よろしくおねがいします!」
元気よく挨拶を交すヒカリ。あなたもまたマイペースですね。ついていけてないのは私だけなんじゃないですか?
しかし、このまま挨拶無しでは失礼というもの。ひとまずは私も自己紹介というのが礼儀でしょう。
「私は――」
「そう、ヒカリ!あんたの相手はそっちのイリアだからそーゆーコトで!さあ、ハウリン!ぶっちぎってやるからかかってきなさい!」
こいつ、人の話を……おっと、いけません、私とした事が取り乱してしまいました。
落ち着きなさい、私。彼女だって決して悪気があった訳ではないんです。ただちょっとせっかちなだけで……
「と、ゆー訳で先にあの岩山の頂上に着いた方が勝ちね!妨害も攻撃もなんでもアリアリだから!」
「え、あ、ちょっと待っ――」
「行くわよ!レディー、ゴー!」
「だから人の話を聞けーーーっ!!」
「いえいえ、ご清聴ありがとうございます」
「んーと……がんばっていっぱい勝てばいいんだね!」
「平たく言えばそうなります」
流石(?)はヒカリ。なんとも簡潔に一行で済ませてしまいました。それにしても彼女、もしかしてその辺りわかっていなかったんでしょうか?
「残念だけど、今回は諦めるのね。次がんばんな」
と、頭上から私達を遮る声。そこにいたのはハイスピードトライク型神姫アーク、そしてハイマニューバトライク型のイーダ。ただし通常とは異なり、真っ赤にカラーリングされたイーダと、青のカラーリングを施されたアークでした。
「あなた達が対戦相手ですか」
「そ。アタシがアイナ、んでこっちが」
「……イリア……」
「ま、よろしく♪んで?アタシの相手はどっちなんだ?」
「………タッグバトルなんだよ……?」
「じゃ、そっちのハウリン!あんた!イリアはアーンヴァルの方な!」
アークタイプのアイナさんでしたか。なんというマイペース。と言うか、そもそも話を聞く気なんてないんじゃないでしょうか。
「……うん……」
そしてイーダタイプのイリアさん。派手なカラーリングとは異なり、イーダタイプの基本的な性格通り、随分おとなしい方のようです。
「んと、ヒカリですっ。よろしくおねがいします!」
元気よく挨拶を交すヒカリ。あなたもまたマイペースですね。ついていけてないのは私だけなんじゃないですか?
しかし、このまま挨拶無しでは失礼というもの。ひとまずは私も自己紹介というのが礼儀でしょう。
「私は――」
「そう、ヒカリ!あんたの相手はそっちのイリアだからそーゆーコトで!さあ、ハウリン!ぶっちぎってやるからかかってきなさい!」
こいつ、人の話を……おっと、いけません、私とした事が取り乱してしまいました。
落ち着きなさい、私。彼女だって決して悪気があった訳ではないんです。ただちょっとせっかちなだけで……
「と、ゆー訳で先にあの岩山の頂上に着いた方が勝ちね!妨害も攻撃もなんでもアリアリだから!」
「え、あ、ちょっと待っ――」
「行くわよ!レディー、ゴー!」
「だから人の話を聞けーーーっ!!」
2対2のタッグバトル。の筈が、いつの間にか1対1×2になってしまいました。そして私は走っています。レースだそうです。必死です。
何故!?何故こうなりましたか!?
そもそもトライク(※三輪のバイク)型で純粋にスピードに特化しているアークタイプと犬型ハウリンタイプである私がレースなんて事が間違いだと思うんですよ。もう速いなぁ、アイナさん。どうしましょう。
『こーら、凛!少し落ち着け』
「何言ってるんですか隼人!ただでさえ不利な条件の上、アイナさんのあのスピードは通常のアークタイプの比ではないんですよ!?早くなんとかしないと……」
『やれやれ……凛、ストップ』
「なっ、勝負を捨てるつもりですか!?」
『いいから止まれ。はい、ストーップ』
何を考えているんですか、隼人は!ただでさえ勝ち目が薄いというのに足を止めるなどと!一瞬たりとも無駄な時間を使う訳にはいかないんですよ!?
『バカか、お前は。アークとスピード勝負なんかしたって、ドノーマルのお前が勝てるワケないだろ』
「なっ……」
なんですと!?勝負を捨てるどころか最初から勝ち目など無かったと!?どうせ無駄だと投げ出すと言うのですか!?
「見損ないましたよ、隼人!あなたはどんな不利な状況であっても立ち向かって行く勇敢なマスターだと思っていたのに!受けた勝負を途中で投げ出すような方だったなんて!」
『はぁ……少し、頭冷やそうか?』
「へ?」
ごわぁーん!
突然頭上からの落下物。響き渡る小気味良い金属音。痛いです。頭が。
「金ダライ……?」
これが頭の上に落ちてきたようです。……痛いです。すごく。
って言うか、こんなもの一体どこから!?
ごわぁーん!
更にもう一つ。
ごわぁんごわぁーん!!
続け様に二つ。……痛い……
『頭冷えたか?』
「は、隼人!?な、なにするんですか!酷いじゃないですか!これ以上背が縮んだらどうするんです!」
どうやら、この凶行は隼人の仕業のようです。こんな機能があったなんて初めて知りましたよ。あからさまに不要な機能だと思うんですがどうなんでしょう。
そんな事より頭が痛くてだから何するんですか隼人酷いですよアイナさんは速いしああもう見えなくなってしまいましたしどうしましょう。
『そうか、まだ足りないか。じゃあ……』
「いやいやいやいや、もういいです!冷えました!大丈夫です!」
これ以上は本当に縮んでしまいそうです。隼人の意図はわかりませんが、ここは一度素数でも数えて落ち着いてみましょう、そうしましょう。3、5、7、11、13、17、19……
「ふぅ……あ、なんだか落ち着いてきました」
『やっとかよ?ったく、らしくねーぞ凛』
「すみません……お恥ずかしい限りです」
ついアイナさんのペースに巻き込まれて混乱してしまいました。確かに、単純なスピード勝負では勝ち目等ありません。と、言うことはつまり。
「何か策があるんですね?」
『あー、策って程のもんでもないんだが……』
「充分ですよ。どちらにしても、このままではどうしようもありませんし」
基よりアイナさんは格上、さらに相手の得意分野で挑むのです。多少の事では勝たせてもらえない筈。隼人と力を合わせ、最善、全力を尽す。私に出来るのはそれぐらいしかありません。私一人で暴走していたのでは勝てるものも勝てなくなってしまいます。だから、勝利を掴むその為に。
「指示を、お願いします!」
『おう、任せとけ!』
何故!?何故こうなりましたか!?
そもそもトライク(※三輪のバイク)型で純粋にスピードに特化しているアークタイプと犬型ハウリンタイプである私がレースなんて事が間違いだと思うんですよ。もう速いなぁ、アイナさん。どうしましょう。
『こーら、凛!少し落ち着け』
「何言ってるんですか隼人!ただでさえ不利な条件の上、アイナさんのあのスピードは通常のアークタイプの比ではないんですよ!?早くなんとかしないと……」
『やれやれ……凛、ストップ』
「なっ、勝負を捨てるつもりですか!?」
『いいから止まれ。はい、ストーップ』
何を考えているんですか、隼人は!ただでさえ勝ち目が薄いというのに足を止めるなどと!一瞬たりとも無駄な時間を使う訳にはいかないんですよ!?
『バカか、お前は。アークとスピード勝負なんかしたって、ドノーマルのお前が勝てるワケないだろ』
「なっ……」
なんですと!?勝負を捨てるどころか最初から勝ち目など無かったと!?どうせ無駄だと投げ出すと言うのですか!?
「見損ないましたよ、隼人!あなたはどんな不利な状況であっても立ち向かって行く勇敢なマスターだと思っていたのに!受けた勝負を途中で投げ出すような方だったなんて!」
『はぁ……少し、頭冷やそうか?』
「へ?」
ごわぁーん!
突然頭上からの落下物。響き渡る小気味良い金属音。痛いです。頭が。
「金ダライ……?」
これが頭の上に落ちてきたようです。……痛いです。すごく。
って言うか、こんなもの一体どこから!?
ごわぁーん!
更にもう一つ。
ごわぁんごわぁーん!!
続け様に二つ。……痛い……
『頭冷えたか?』
「は、隼人!?な、なにするんですか!酷いじゃないですか!これ以上背が縮んだらどうするんです!」
どうやら、この凶行は隼人の仕業のようです。こんな機能があったなんて初めて知りましたよ。あからさまに不要な機能だと思うんですがどうなんでしょう。
そんな事より頭が痛くてだから何するんですか隼人酷いですよアイナさんは速いしああもう見えなくなってしまいましたしどうしましょう。
『そうか、まだ足りないか。じゃあ……』
「いやいやいやいや、もういいです!冷えました!大丈夫です!」
これ以上は本当に縮んでしまいそうです。隼人の意図はわかりませんが、ここは一度素数でも数えて落ち着いてみましょう、そうしましょう。3、5、7、11、13、17、19……
「ふぅ……あ、なんだか落ち着いてきました」
『やっとかよ?ったく、らしくねーぞ凛』
「すみません……お恥ずかしい限りです」
ついアイナさんのペースに巻き込まれて混乱してしまいました。確かに、単純なスピード勝負では勝ち目等ありません。と、言うことはつまり。
「何か策があるんですね?」
『あー、策って程のもんでもないんだが……』
「充分ですよ。どちらにしても、このままではどうしようもありませんし」
基よりアイナさんは格上、さらに相手の得意分野で挑むのです。多少の事では勝たせてもらえない筈。隼人と力を合わせ、最善、全力を尽す。私に出来るのはそれぐらいしかありません。私一人で暴走していたのでは勝てるものも勝てなくなってしまいます。だから、勝利を掴むその為に。
「指示を、お願いします!」
『おう、任せとけ!』
『ヒカリですっ!よろしくおねがいしますっ!』
『……うん……イリアです……よろしくね……』
『イリアちゃんのバイクかっこいいね!ねぇ、合体とかしないの?』
『……合体は出来ない……けど変型は出来るんだよ……?』
『ほんと?すごーい!かっこいいー!』
『……えへへ……』
………………
何をしてるのかしら、この娘達は?開始早々にすっ飛んで行った凛ちゃん達とは対称的に、ヒカリ達はさっきからずーっとおしゃべり。バトルロイヤル、じゃなかったっけ。
「ちょっとヒカリー!遊びに来たんじゃないでしょー?そろそろバトル始めなさい!」
『あ、舞!見て見て、イリアちゃんの武装すごいんだよ!あたしもこんなかっこいいの欲しーい!』
『……ヒカリ……装備してみる……?』
『え!いいのー!?やったー!』
あー、もう仲良くなっちゃって。この人懐っこさはヒカリのイイトコだと思うんだけど、いつでもどこでもっていうのは困っちゃう。
ヒカリにとって神姫はみんな遊び相手で、バトルもその遊びのうち。だから勝ち負けもあんまりこだわらないし、楽しく遊べればそれでいいって思ってるみたい。本気で戦ってればとっくにクラスBに行けるくらいのレベルはあるはずなんだけど……
『舞!舞ー!見て見て!かっこいい?』
嬉しそうにはしゃいじゃって。もう、可愛いなーこの娘は。
勝率も良くはないし、なかなかランクも上がらない。でも、こうやって楽しそうなヒカリを見てるとそんなのどーでもよくなってきちゃう。親バカって言うのかなぁこーゆーのって。
「うん。かっこいいよ」
『えへへー♪』
くるくる回ってみたり、ポーズ決めてみたり。この調子だとしばらくはこのままかな。あたしはちいさくため息をつくけど。
「まったくもう。ヒカリー?壊しちゃダメよー?」
『はーい!』
ごめんね、隼人、凛ちゃん。もうしばらく、遊んでて欲しいかも。
『……うん……イリアです……よろしくね……』
『イリアちゃんのバイクかっこいいね!ねぇ、合体とかしないの?』
『……合体は出来ない……けど変型は出来るんだよ……?』
『ほんと?すごーい!かっこいいー!』
『……えへへ……』
………………
何をしてるのかしら、この娘達は?開始早々にすっ飛んで行った凛ちゃん達とは対称的に、ヒカリ達はさっきからずーっとおしゃべり。バトルロイヤル、じゃなかったっけ。
「ちょっとヒカリー!遊びに来たんじゃないでしょー?そろそろバトル始めなさい!」
『あ、舞!見て見て、イリアちゃんの武装すごいんだよ!あたしもこんなかっこいいの欲しーい!』
『……ヒカリ……装備してみる……?』
『え!いいのー!?やったー!』
あー、もう仲良くなっちゃって。この人懐っこさはヒカリのイイトコだと思うんだけど、いつでもどこでもっていうのは困っちゃう。
ヒカリにとって神姫はみんな遊び相手で、バトルもその遊びのうち。だから勝ち負けもあんまりこだわらないし、楽しく遊べればそれでいいって思ってるみたい。本気で戦ってればとっくにクラスBに行けるくらいのレベルはあるはずなんだけど……
『舞!舞ー!見て見て!かっこいい?』
嬉しそうにはしゃいじゃって。もう、可愛いなーこの娘は。
勝率も良くはないし、なかなかランクも上がらない。でも、こうやって楽しそうなヒカリを見てるとそんなのどーでもよくなってきちゃう。親バカって言うのかなぁこーゆーのって。
「うん。かっこいいよ」
『えへへー♪』
くるくる回ってみたり、ポーズ決めてみたり。この調子だとしばらくはこのままかな。あたしはちいさくため息をつくけど。
「まったくもう。ヒカリー?壊しちゃダメよー?」
『はーい!』
ごめんね、隼人、凛ちゃん。もうしばらく、遊んでて欲しいかも。