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えむえむえす ~My marriage story~

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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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武装神姫のリン
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 トイズ・メッセンジャー本社、スタッフルームを兼ねた二階のオフィス。ノックも挨拶もなく入ってきたのは、淡い色の髪を短く切り揃えた少女だった。
「……ただいま……」
 続く少年は、先の少女のような途切れ気味の物言いで帰還の挨拶をしてみせる。
「案外早かったのですね」
「おかえりなさい、峡次さん!」
 迎える声は、接客用のソファーとテーブルから、一つずつ。
「百式、新入りは使い物になりそうですか?」
「さあ? そこまでは分からないけど」
 百式と呼ばれた少女はオフィスの隅の冷蔵庫からスポーツドリンクを二本取り出しながら、ソファーからの声を軽く流してみせる。
「相変わらず愛想悪いコですね。ミドリみたいにスーパープリティーじゃないのですから、ちょっとは愛想良くしないと男にモテないですよ?」
 空になったリユースペットボトルを専用と書かれたカゴの中に放り投げ。自身のロッカーから薄手のジャケットを取り出し、袖を通しつつ。
「……別に、興味ない」
 自転車便のスタッフは、峡次を含めてほとんどが帰りも自前のロードバイクを使う。トイズの事務所にも更衣室は完備されているが、ここで着替える意味はあまりない。
「……それじゃ、お先」
 ロッカーに置いてあった小さなバックパックを背負い、百式はそのまま事務所を後に。階段を降りるかんかんという音がしばらく続き、それきりだ。
 バイトで働ける時間一杯ここにいる峡次と違い、今日の彼女は午前中だけのシフトなのである。
 そして、残されたのは……。
「どうでしたか? 峡次さん」
 接客用のソファーではなく、傍らにパイプ椅子を出してへたばっている少年が一人。
「……すっげーペース早かった……。死ぬかと思った……」
 接客用の高さの低いテーブルからの声に、息も絶え絶えに答えてみせる。
「……お疲れさまです」
 テーブルの上には、百式が置いていった二本目のスポーツドリンクが置かれていた。けれど、峡次がこれを飲めるようになるのは、もう少し息を整えてからの事になるだろう。
「……で、ノリコは何教わってたの? ナビの使い方?」
 テーブルの上、ドリンクのボトルの傍らでこちらを見上げている十五センチの少女は、研修の名目でトイズの事務所に残っていたはず。
 最終的には峡次のサポート役となるノリコだから、ナビソフトの使い方や、効率の良いルート設定の組み方のレクチャーなどを…………。
「はい! 旋回直後の精密砲撃が、0.3秒で出来るようになりました!」
「…………何教わってたんだお前」
 どうやら、その辺りのコツも、峡次自身で何とかしなければならないようだった。
「まあ、初日から百式に付いていけるなら上出来なのです。午後からはプライムによく教わるですよ」
「……プライムさん?」
 そういえば、午後からは上がりとなる百式ではなく、プライムと呼ばれている人物が研修担当になるとも、出かける前に言われた覚えがある。
 その時、更衣室を兼ねた休憩室のドアが、ぎぃと開き。
 現れたのは、やたらと体格のいい巨漢だった。
「やあ新人君。待っていたよ」
 目の前に立たれると、こちらから見上げても妙にバカでかい下あごしか見えない。無精ヒゲのそり残しがちらほらと見えるあたり、あまり細かいことを気にする性格ではなさそうだ。
「プライム。ご飯食べたらさっさと行くですよ」
「任せておきたまえ。私にいい考えがある!」
 左目になぜか大きなアザをこしらえているプライムの自信満々のひと言に。
「絶対ウソだっ!」
 その場にいた三人は、同時にそう突っ込むのだった。


マイナスから始める初めての武装神姫

その14 前編



 廃墟のフィールドに響くのは、風を切り裂く高い音。
 崩れたビルの窓から注ぐ陽光を弾き、描かれるのは銀の弧だ。
 神姫の身より長い太刀がまとうのは、主の長い髪と同じ黄金の輝き。ゆらりと陽炎の如く立ち上るそれは、ビルを抜ける風に吹き散らされて……胴半ばまで切り裂かれた崩れかけのポリゴンを道連れに、ゆっくりと消えていく。
「………ふぅ」
 大太刀の主は小さな溜息を、ひとつ。
 同時に視界の端に映し出されていた撃墜数のカウントが一つ増え、大太刀の根本に仕込まれた基部ユニットからは、片手に収まらないほどの大きな薬莢が吐き出される。
「………ったく」
 けれど。
 仮想世界で勝ち星を一つあげたはずの娘は、喜ぶどころか忌々しげに舌打ちをひとつ。
「お疲れ、プシュケ。フィールドシュナイダー……だっけ? 峡次のそれ、案外イケるじゃん」
「だっけじゃありませんわ!」
 むしろ、耳元に響く脳天気な声に、キレた。
「バトルロイヤル、まだ始まったばっかりですのよ! 貴重なカートリッジを、二つも使ってしまいましたのに……」
 巨大なシリンダー式のカートリッジユニットは、六連装。もちろんカートリッジを使い切ったときには、シリンダーを外に展開させて残弾を補充する機能も完備されている。
 ついでに言えば、これの制作者は専用のスピードローダーまで作っており、それを使えば一瞬で使い切った六発のカートリッジを補充する事さえ可能な………はずだった。
 それが、この場にあったなら。
「だから、忘れてきたのはゴメンって言ってるじゃん」
「……千喜のバカさ加減なら、とっくに折り込み済みですわ」
「なら、何が不満なの……」
 神姫の呟いた暴言をさりげなくスルーしておいて、千喜が出すのは困り声。
 そこが不満でないのなら、何が不満か分からない。
 仮想現実の世界に立つ神姫は、声では繋がっていても、肌と肌では触れ合っていない。今の千喜にプシュケの心根をダイレクトに知る術は、ありはしないのだ。
「どうしてこの私が、こんな無様な戦いをしなくてはなりませんの!」
「ああ、そこなんだ」
「当たり前ですわ! この私が、何で……何で……!」
 黒塗りの大太刀をがらんと取り落とし。プシュケはその場に膝を着き、頭を抱えた。
「ひょわーとか、きええとか?」
 その姿は千喜からすればアスキーアートのさる記号にしか見えなかったが……流石にそれを口にするのは辞めておくことにする。
 たぶんそれを口にしたら、プシュケはこの戦いで二度と立ち上がれないだろう。そんな気がしたからだ。
 物理的な意味でも、精神的な意味でも。
「お……思い出させないでくださいまし……!」
「んー。紅緒と戦ってる時のプシュケ、真剣で格好良かったけどなぁ」
「あれは真剣じゃなくて、必死って言うんですの……」
 悪い記憶をどこかに葬り去ったのだろう。
 プシュケはようやく立ち上がり、足下に転がる大太刀をゆっくりと拾い上げる。
「もぅ……。せめて、せめてフィールドシュナイダーのモーションチェックが終わっていれば、もっと優雅に戦えていましたのに……!」
 本当なら朝からセンターに入って、大会の前にこの大剣の動作チェックを行うはずだったのだ。
 隣人の部屋で朝食をご馳走になって、部屋に戻って。
 プシュケが譲ってもらったばかりの大剣を見てニヤついている間に、どこかのバカが二度寝したのを見逃したのが運の尽き。
 結局、八方手を尽くしても起きないバカがようやく目を覚ましたのは、受付終了三十分前。センター入りして参加登録を済ませたのに至っては、受付終了三分前という体たらく。
 それで、必要な事前準備など出来るはずもない。
「いいじゃん。きっと、何とかなるって」
「誰が何とかしたと思ってるんですの……」
 せめて接敵前にモーションデータだけでも稼ごうと、廃墟の影に身を隠したならば。
 大太刀を素振りしている所を他の参加者に見つかって、貴重なカートリッジを二つ無駄遣い。
 最低だ。
 美しくないこと、この上ない。
「じゃ、次行こうよ。モーションチェックは終わったんでしょ?」
 平然と無茶を言い放つ相棒に、もう一度溜息をひとつ。
「せめて、ハイパーモードの展開準備くらいは済ませておきたいのですけれど……?」
 花型神姫ジルダリアの真骨頂は、ハイパーモードと呼ばれるリミッターの解除にある。機動力を一足飛びに引き上げ、高機動自律砲台の火力と手数で相手を強引に押し切るそれは、神姫のデフォルト中距離武装の中では万能に近い。
 ただ、その無敵のハイパーモードも、発動に必要な大量のプログラム展開が終わるまではシステムリソースを無駄に喰らう足枷にしかならないわけで……。
 本来なら、プログラム展開はとうに終わっているはずだったのだ。けれど、大太刀のモーションチェックという難事が入ったおかげで、肝心の作業は半分ほども進んでいない。
「うーん。それはちょっと、難しいかも」
 バトルロイヤルなのは承知の上だ。
 動いていないジルダリアがする事と言えばただ一つ。それが分かっていたからこそ、先ほど倒した紅緒もこんなステージの端までやってきたのだろう。
「なら、せめて次の相手が来るまでくらい……」
 プログラムの完全展開まであと数分。
 その後なら、どんな敵が来たところで負ける気はしない。
 本来なら、大太刀を提げた開幕の時点で言いたかった台詞だが……さしあたり、そのシチュエーションは次の戦いまでお預けにしておくことにする。
「敵、真上だし」
「ちょっ!」


 降ってきたのは、一直線の振り下ろし。
 ただの上段からの大振りではない。
 ビルの屋上からの落下エネルギーでも叩き込んだ、常識外の振り下ろし。
 一歩間違えれば、そのエネルギーは相手ではなく全て己に跳ね返ってくる、限りなく諸刃に近い一撃。
「………えいっ」
 もちろん、プシュケはそれを避けた。
 爆音。
 舞い散る砂埃。
 そして。
「わーははははははは!」
 叫びと共に、風が来た。
 打撃。
 それも、神姫の近接攻撃だ。
「ちょっと!」
 唐竹、斬り上げ、袈裟斬り。
 そのまま横薙ぎに振り抜いて、突進力にモノを言わせた突きが来る。
「……っ!」
 刀身、刃、柄尻に装甲部。
 乱打を防ぎ切れたのは、プシュケが大太刀のモーションデータを最適化していたからこそのこと。ハイパーモードへのプログラム展開に回すリソースも全て攻撃予測に費やして、プシュケは受け流しに集中する。
「わーははははははは!」
 落下からの自爆なら、しばらくは動けないか、そのダメージで自滅するかのどちらかだろう。
 しかしプシュケのその予測を完璧に無視し、目の前の『何か』はフィールドシュナイダーに乱打の雨を浴びせかける。
「プシュケ! 何とかしないと!」
 千喜の言葉は承知の上だ。
 黒の大太刀はただの太刀ではない。続けざまの衝撃に本体の機構が壊されれば、その威力は半減どころの騒ぎではなかった。
「やれるならやってます……………わ!」
 なるべく大太刀の本体にダメージが来ないように。
 回避運動にスウェイバックやバックステップを組み込み、相手の攻撃を端から流すものの……。
「わーははははははは!」
 乱撃は、止まらない。
 人間の達人であるならば、攻撃にも防御にも、動きの切れ目……呼吸の『間』が存在する。
 けれど、神姫にはそれがない。
 廃熱動作はある。疲れれば荒い息を吐くし、呆れたときには溜息もつく。けれどそれは人とは違い、必ずしも必要な動作ではないのだ。
 力の限り。
 バッテリーの限り。
 攻撃が止められない限り。次の攻撃へのモーションと廃熱動作を意識的に切り離す事は、戦い慣れた神姫であればさして難しいことではない。
 ならば。
「プシュケ! 前へ!」
「………ええ!」
 が、という音が響き。
 相手の乱打が、停止した。
 プシュケの踏み込み。
 そしてフィールドシュナイダーで相手の攻撃を完全に受け止める、という動作によって。
「おぬし、やるなっ!」
 太刀を押し込む相手はポモック。フィールドシュナイダーのトリガーに指を掛けたところで異変に気付いたか、大きく跳び退がって間合を取り直す。
 そして、乱打を繰り出していた得物は……。
「………バット?」
 であるが故に。
「プシュケ! 外から何か飛んでくるっ!」
 千喜の声よりはるかに迅く。
 バット使いのポモックは反射的に右足を振り上げて。左足を軸足に、前へと重心を打ち落とす。
 どこからともなく吹き飛んできた青い物体の真心を捕らえたその一撃は、完璧なスイングと振り抜きを経て……。
「葬らん!」
 青い翼のウェスペリオーをバトルフィールドの彼方まで打ち返すことも、余裕なのであった。


「ふむ。ジャストミートである」
 キラーンという擬音が相応しい輝きをひとつ残して、フル装備状態のウェスペリオーは空の彼方へ消えていった。
「…………」
 それを満足げに眺めていたポモックだったが、ふとプシュケの方を向き直る。
「な……何ですの」
 ポモックの表情は先ほどまでとは違う、極めて真剣なもの。漂わせるその気配に、さすがのプシュケも半歩足を引いてしまう。
「なあ……」
 フィールドシュナイダーを握る片手に、力がこもる。
 飛んできた神姫を打ち返した反応速度といい、そのパワーといい、尋常なレベルではない。ここからバットの抜き打ちが来たとしても、不思議でも何でもないのだ。
「やっぱり一本足打法より、秘打・G線上のアリアのほうが良かったかな?」
 問う表情は、全力で真顔。
「……それじゃただのバントじゃありませんの」
「ああ、それは盲点だったのだ……」
 頭の中身は、所詮ポモックのようだった。
「なんでプシュケがそんなこと知ってるのよ」
「それはまあ、色々とですわね」
 千喜の突っ込みを平然とかわしておいて、プシュケはポモックに対する警戒を緩めない。
 バカは次にどんな手を打ってくるか分からない。
 その事は、起動してこのかたずっと身をもって学んでいたからだ。
「それより、さっきのウェスペリオーと戦ってた奴、来るよ!」
 だからこそ、千喜のその言葉にも対応出来た。
 大太刀を構え、主から送られてきた敵の侵入方向と、敵対するポモックが見通せる位置へと。
 そして、入ってきたのは……。
 淡いグリーンの髪の、小作りな頭。
「……あれ? ジル?」





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