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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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武装神姫のリン
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 スケッチブックを滑る鉛筆の音が、部屋の中に響いている。
 書いているのはもちろん静香。ときどき私の方を見ては、うーん、とか、ふむ……、とか呟いている。
「ね、今日は何描いてるんですか? 静香」
 静香が私の方を見てはそんな事をしてるときは、服のデザインを考えてるとき。
 私はフライトユニットを背負って、静香のもとへふわふわと飛んでいく。初めて使った時はちょっと怖かったけど、半年も経てば慣れたもの。もう静香も「見てて心臓に悪いわ……」なんて失礼なことを言わなくなったし。
「んー? バトルでは、こういうのやりたいなーってね」
 スケッチブックに描かれていたのは、すらりとした細身の神姫の絵だった。すごくキレイな女の人なんだけど、静香はいつもこれが私だって言う。
 嬉しいけど、さすがにこれは冗談にしか聞こえないよね。
「これ……」
 そして、今日の美人さんが着ていたのは、いつものドレスみたいに可愛くて、もっと動きやすそうな服だった。スカートも少し短めで、背中は拡張ハンガーが付けられるように大きく開いている。
「変かな?」
 静香の言葉に私は首を大きく横に振った。
「そんなことないです! このあいだ見た、魔法少女みたい!」
 そう。この服はきっと、いつも静香が作ってるドレスやワンピースやメイド服とは違うものだ。
 戦うために…………もしかして!
「考えることは一緒ねぇ。あれ見て思いついたのよ」
 にっこり笑って、静香は私の頭を優しく撫でてくれる。
「じゃあ……私、これ着て戦えるんですか?」
 バトルサービスが始まるのは、いよいよ来月。これを着て戦場に立つ私の姿を想像するだけで、ワクワクしてくる。
「そのつもりだけど……どうかな? ダメ?」
「すごいっ! すごいですっ!」
 たぶん、私がその時振った首の勢いは、さっきの三倍はすごかったと思う。
「あらあら、頭が外れちゃうわよ」
 私の頭を止めるために、静香は笑いながらもう一度頭を撫でてくれた。
「じゃ、デザインはこれでいいわね。まずは型紙を作って……と」
 よっぽど私の様子がおかしかったのか、静香はまだ笑ってる。だって、すっごく嬉しかったんだから、しょうがないじゃない。
 あ、そうだ。
「ねえ、静香。この服の名前、私が考えちゃダメですか?」
「姫は何て付けたいの?」
 ……言われたところで気が付いた。
 まだ、名前考えてない。
 うーん。
 うーん。
 こないだ見たアニメはリリカルだったから、その次で……
「マジカル・アーンヴァルってどうですか?」
「……そのまんまじゃない」
 そう言いながらも、スケッチブックに佇む美人さんの絵の隅に、静香は『マジカル☆アーンヴァル』って書き加えてくれた。
「いいんですか?」
「ま、姫がいいんなら、それで行きましょ。あんまり時間もないしねー」
 サービス開始まであとひと月。
「はいっ! 静香、大好きっ!」
 マジカル☆アーンヴァルが戦場に立てるまで、あとひと月なんだ。


魔女っ子神姫 マジカル☆アーンヴァル

~ドキドキハウリン外伝~

その6



 フリルのたっぷり付いたブラウスに、足首まである長いスカート。ウィッグを付けて、仕上げにきゅっとリボンを結べば、その姿は完成した。
「ねえ、静香」
 傍らでは花姫が、ボクを見上げて不思議そうな顔をしている。
「んー?」
「十貴って、男のひとですよね?」
 そういう花姫も、フリフリのドレス姿だ。いつもよりも動きやすそうなデザインで、どうやら拡張ハンガーにも対応しているらしい。白い機体に似合ってて、ものすごく可愛らしかったりする。
「そうよ」
「いつも思ってたんですけど……どうして、私みたいな格好してるんですか?」
 ボクの体を鏡の前でくるりと回らせて、静姉は満足そうに「よし」と呟く。
「十貴はちょっと特殊だから」
「とくしゅ……」
「なに花姫に変なこと吹き込んでるんだよぅ……」
 正直泣きたい気分だったけど、テストバトルに行くたびにこの格好をしていると、これはこれで……って、何考えてるんだ自分っ!
 これはあくまでも、ボクが神姫なんかやってないって誤魔化すためだけの格好なんだから!
 特に今日は、テストバトルじゃない、正式サービスが始まって最初の大会なんだから。
「似合ってるぜ、十貴。……じゃねえや。その姿の時は、十貴子ちゃんだったな?」
 そんな、一発目からテンション落とすようなこと言わないでよ、ジル……。
「わ、私も可愛いと思いますっ!」
 ……花姫。悪いけどそれ、ダメ押しって言うんだよ?



 大会の会場は、駅前のゲームセンターだった。
 結構大きなゲーセンで、ボクもGFFやSRWの大会で何度か来たことがある。そんなお店だから、この手の大会の仕切りは慣れてるんだろう。初めてのイベントの割にはトラブルもなく、ボク達は受付を済ませることができた。
「ここっていつもこんなに混んでたっけ?」
 入ったばかりのバトル筐体はまだセットアップの途中らしく、お店の人達が調整の真っ最中。まあ、今日はバトルサービス開始記念大会だし、大会っていうよりもお祭りって雰囲気が強い。
「さあ。半分は見物人だと思うけど」
 ボクも内心、システムダウンの一つでもあった方が盛り上がるかなぁ……なんて思ってたりして。
「でも、これだけ人がいるなら、別に十貴が神姫やってるってバレても良かったんじゃない?」
 そんな中で、実際に神姫を持ってきてる人は二十人くらいだろうか。周りの参加者と情報交換しているマスターや、神姫を買おうかどうか迷っているギャラリーに神姫を見せているマスターなど、様々だ。
 でも、ほとんどが大学生や社会人で、ボク達くらいの歳のマスターはさすがにいない。
「……静姉、知ってる? ウチの中学で神姫持ってるの、ボクと静姉だけなんだよ?」
 ゴーイングマイウェイな静姉はともかく、そんなマイノリティに分類されたら、ボクは一体どうなるか……。
「へー」
 静姉が二つ返事をしていると、セットアップが終わったらしい。筐体に灯がともり、場内放送がボク達のことを呼ぶ。
「それでは、武装神姫大会の参加者は要項を配りますので、コーナー前に取りに来てくださーい」


「なるほどね……」
 要項は、基本ルールが簡単にまとめられたものだった。ほとんどはテストの時や、ネットに公開されているものと同じ。まあ、全国ランキングの出るゲームだから、店の独自ルールが無いのは当たり前だけど。
「装備は公式装備以外不可……ペインティングやマーキングなど、ステージ内に落着の可能性がないものに限って可。姫ぇ、やっぱ、マジカル☆アーンヴァル無理だって」
「えーっ! じゃあ、じゃあせめて、始まるまでは着てていいですか?」
 静姉達が気にしていたのは、やっぱりそこらしい。許可さえ出れば、あの格好で戦うつもりだったんだろう。
 ジルはといえば、ボクの肩に腰掛けたまま、手元の要項をじっと見つめている。
「おい十貴子、高度制限2000だってよ」
「……ホント?」
 高度制限は、その名の通りバトルフィールドの『高さ』についての制限だ。飛行タイプの神姫は、この制限された高度よりも高くは飛べないことになる。
「ねえ、この高度制限の単位って?」
「ミリだよ」
 当たり前の話だけど、セットアップが終わったセンターの筐体は、体育館にあったテストバトル筐体よりもはるかに小さい。テストバトルの時の高度制限は5000だったけど、三メートルほどの高さしかないセンター筐体でそれは無茶な話だ。
「ってことは、二メートルか……ジル、ちょっとジャンプしてもらっていい?」
 ジルはボクの肩から飛び、音もなく床に降りたった。大型のレッグパーツをぐいと曲げ、全力で跳躍する。
「……お?」
 ボクの頭より少し高いあたりで一瞬滞空し、そのまま……
「ちょっと待った!」
 ジルってば! その足、ヒールが尖ってるからボクの頭の上に降りたらっ!
「うぉっと」
 ボクの頭にニードルキックをぶち込みそうになったのに気付いてくれたのか、ジルは爪先の平たいところで頭を蹴って、そのまま床へと着地する。
「十貴子」
 着地したジルは、ボクが抱え上げて再び肩へと。
「うん。パーツ単品販売までは待ちかと思ってたけど……ストラーフにも勝機が見えてきたね」
 ボクの身長は四捨五入して1500。この高さまで支配できれば、ジル達ストラーフにも十分対抗策はある。
「今からレギュレーションチェックを行います。参加者の皆さんは、神姫を連れてコーナー前に集合お願いします」

 そして、戦いが始まった。



 その爪の一撃は、私の予想外の方向から来た。
「姫、左にっ!」
「う、うんっ!」
 静香の言葉に足のスラスターを全開。一気に加速すれば、さっきまで私のいた位置をストラーフの鉤爪が振り抜いていく。
 さっきお姉ちゃんが十貴の頭に向けてジャンプしたときは、いま私のいる限界高度まで届かなかった。このストラーフは、バトルフィールドの壁を蹴って、三角形の軌道で私のいる高さまでやって来たんだ。
「危なかったぁ……」
 落ちていくストラーフを眺めながら、私はふと思い出す。
「ね、静香?」
「何?」
「……左って、どっちだっけ?」
 レシーバーから、静香の声は聞こえてこない。
 ……壊れてるのかな?
「ねー。静香ってばー」
 相手のストラーフが動き出す頃になって、ようやく声が帰ってきた。
「えっと、お茶碗……は、姫はパン派だっけ。いつもジルと練習するときに逃げてたほうよ」
 そっか。いつもお姉ちゃんから「そっちばっかり逃げてちゃ、すぐ読まれちゃうよ」って怒られてたけど、またそっちに逃げちゃったんだ。
 うー。今度は気をつけなきゃ。
「じゃあ、お姉ちゃんが相手だったら、やられてたね」
 お姉ちゃんの最初の試合は私のふたつ前。テストバトルで慣れてるだけあって、ブースター全開で近寄ってきたアーンヴァルをあっという間にやっつけてた。
「ジルと当たるのは準決勝よ。気をつけようね」
「うん」
 それまでに、左に逃げるクセ、気をつけるようにしなきゃ。
「さて……と。それじゃ、やっちゃおう! 姫っ!」
 相手のストラーフはまた三角飛びの構えを見せている。
「おっけーっ!」
 私はライトセイバーを引き抜いて、正面に構えた。
 ホントは静香の作ってくれた杖が良かったんだけど、使えないんだからしょうがない。
 光る刀身が魔法っぽいだけで、我慢しよう。
「勝負だっ!」
 ストラーフがまた飛んできた。
 今度はこっちも……逃げるだけじゃないよ!
「魔女っ子神姫マジカル☆アーンヴァル! 武装はないけど……ここに、はいぱー☆降臨っ!」



 夕焼け空を、飛行機雲が抜けていく。
 ああ。夕焼けの時の飛行機雲って、ちゃんと朱く染まるんだなぁ……。
「静香ぁ。今日はごめんなさぁい……」
 そんな事を考えるボクの隣では、花姫が力なく浮かんでいる。
 今日の花姫の成績は、準決勝でジルに負けて三位。でも、三位って事よりも、回避のクセを突かれて負けたことを気にしてるらしい。
「でも、三位でしょ? すごいじゃない。今日は姫ががんばったお祝いよ!」
「ホント? やったぁ!」
 あ。今泣いたカラスがもう笑った。まあ、落ち込んでるよりは笑ってる方が良いけど。
「よくがんばったから、十貴がケーキ買ってくれるって!」
「ちょっと、静姉!?」
 そんなの勝手に決められても困るって! 今月はただでさえお金無いのに!
「わーい。十貴、ありがとー!」
 うー。
 他人の神姫ながら、その笑顔は反則だよ。花姫……。
「……コンビニのね」
「やったぁ!」
「やったぁ!」
「やったぁ!」
 やったぁコールが三連発。
「ああ。ジルと静姉のはないから。花姫だけね」
 ケーキひとつだけでもボクの財布は大打撃なのに、三つも買ってられないよ。
「じゃ、静香は私と半分コだねー」
「ああもう、姫ってばー。十貴はケチだけど、姫はいいコねーっ!」
 だから、嫌味言われてもそんなお金ないから。
 ため息を吐くボクだけど……。
「で、十貴。三位の姫がケーキで、優勝したあたしに何も無しってのはどういう事だ?」
 ……頭の上の殺気の塊のことを忘れてた。
「ジルはもう少し手加減しようね」
「ちょっ! お小言かよ!」
 あれだけテストバトルで戦闘経験積んどいて、勝てない方がおかしいって。最初のアーンヴァルなんか私怨全開で思いっきり瞬殺だったじゃん。
 指定された大会への参加が義務じゃなかったら、次の大会には出させないところだったよ。
「獅子は兎を倒すときにも全力を尽くすって言うだろ! それとも手を抜けってか?」
 手抜きと手加減は違うと思うけど……。
 しばらくは聞き流しとくしかないか。髪の毛もひっぱってるみたいだけど、ウィッグだから痛くないし。
「姫。大会、楽しかった?」
「すっごく楽しかった! 今度はお姉ちゃんもやっつけちゃうんだから!」
「お、言ったなぁ。左にしか避けられないクセに」
 あ。ジルの興味が花姫に移った。アーンヴァルは嫌いなクセに、花姫にだけは甘いんだから。
「今度はちゃんと右にも避けるもんねー!」
「なにをーっ!」
 元気だなぁ、二人とも。



 ……結局、十貴はケーキを私と静香、お姉ちゃんの三人に買ってくれました。静香と私は別のケーキを買ったから、半分ずつ取り替えっこして食べました。
 なんだか十貴は泣いてた気がするけど、お姉ちゃんが「男が泣いてるときは見て見ぬふりをするもんだ」って言ったから、見てないことにしときます。

 ありがとね、十貴!





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