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えむえむえす ~My marriage story~

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 閃光弾の輝きを左手で遮りながら、エストはどこか満足そうに呟いていた。
「師匠」
 光の中から聞こえるのは、狼にも似た勇ましい咆吼。
「何だ?」
「いよいよ本番ですね」
 攻撃はない。
 あるはずがないと、分かっていた。
 故に、エストはこうして待っている。待っていられる。
「まあ、そういう事だな」
 師匠もそれが分かっているのか、悠然と構えたまま。
「さて。お手並み拝見と行きますか」
「ようやっと吾輩の出番であるな!」
 閃光が収まっていく中。エストはカードホルダーから二枚目のカードを引き抜き、構えた剣に滑らせる。

 変身したココはマイクスタンドに小型砲を連結させ、長杖と化したロッドを構えて叫ぶ。
「ドキドキハウリン、Rising!」

-AD-VENT!-

 それと同時。
 虚空から現われた蝙蝠型のメカが、エストの背中に翼となって接続される。


魔女っ子神姫ドキドキハウリン

その9 後編



 青い空を、曳光弾の光が駆け抜けていく。
 しかしその輝きの先には、何も存在していない。相手がいるのは既に弾道のはるか先。
「迅い……っ!」
 硝煙たなびく長砲身砲をかざして走りつつ、ココは静かに呟く。
 サポートユニットを背負って宙を翔けるエストは、桁外れに迅かった。緩急自在な空中機動に予測射撃は通用しないし、速射さえ意味を持たない。
 先程の砲撃も、当てると言うよりは牽制の意味が強い。
「どうした! ドキドキハウリンとはそんなものか!」
 魔法の杖とは言うものの、ドキドキロッドは単なる携行砲で、魔法そのものは使えない。
 武装神姫のルールには魔法系のプログラム……周囲の環境設定に干渉して特殊な現象を引き起こす『容認されたハッキング』のことだ……の項目もあるが、静香は余程のことが無い限りその手のプログラムは使おうとしなかった。
「……っ!」
 再び接敵。
 対空弾幕を張りはするが、その全てを避けきって、相手は鋭く迫り来る。
 はるか彼方に響き渡る炸裂音を背に、下されるのは鋼の斬撃だ。
 バックステップで本体への直撃をかわし、零距離のカウンターで砲撃を乱射する。だが、数発の直撃を受けてなお、有翼のストラーフは揺るがない。
「はああああっ!」
 裂帛の気合と共に返す刃が襲いかかり、鋼の長杖が鈍い音を立てて叩き斬られた。
「くっ!」
 折られた砲身部を素早くパージ。短砲身砲に戻ったロッドをかざし、カウンターの迫撃を放つ。
 だが既に相手はココから離れ、上昇軌道に移っていた。この距離で狙ってもいない砲撃が当たるはずもない。
「さて、どうするか……」
 多少強引なところもあるが、典型的なヒットアンドアウェイだ。しかし相手に十分な実力があれば、シンプルな戦術でも十分な脅威となる。
「どうするか……」
 もう一度、その言葉を口にしてみた。
 飛行タイプの神姫とココの相性が悪いのは、以前から分かっていたこと。
 というか、ドキドキハウリン自体、決して強くはないのだ。武器は実弾砲のみ、空も飛べず、かといって近接戦が得意というわけでもない。戦闘に特化していないのだから当然といえば当然だが、装備だけ見れば、セカンドランカーの中では最弱の部類に入るだろう。
 今までは静香の戦術やココの戦闘経験で何とかしてきたが、今回のようなシンプルなフィールドでは地の利を戦術に組み込むことも難しかった。
 結局は、先程のような強引な手段に頼るしかない。
「ココ。お供の準備、出来たわよ」
 そんな中、静香の声が耳元に響く。
「早く言ってくださいよ!」
 静香のどこまでも呑気な声に苛立ち気味に切り返し、実体化した鍵を乱暴にロッドへと叩き込む。
「ウルフキー、召喚!」

<BusterWolf!>

 召喚されたのは鋼の狼。
 よく見れば、ウルフの頭部にはマスィーンズが誇らしげに納まっていた。ぷちマスィーンズのように、自動操縦や遠隔操縦にも対応しているのだろう。
「いいわ。ついでにこれも使いなさい」
 同時に、一本のロッドが転送されてきた。
「これは……?」
 シンプルな長杖だ。余分な飾りが一切無く、杖の先端にはドキドキロッドと同じように戦車砲が取り付けられている。
 唯一いつもと違うのは、杖部分を砲身として利用しておらず、指した方向にそのまま砲撃できる所か。
 手に取った瞬間、装備情報が頭の中に流れ込んできた。
「……マジカルロッド?」
 静香にしては随分とひねりのないネーミングだ。マジック何とかとか、マジカル何とかといった魔法に直接関連した名前は、今までの装備では使ったことがないはずなのだが……。
「こんなこともあろうかと、ね」
 まあいい。
 微かな疑問を頭の隅に追いやって、ココはマジカルロッドを肩のジョイントへ。
 少なくともこれで火力は増えた。
 ウルフバイクにまたがり、ハンドルを握りしめる。「……行きます」
 アクセルを吹かし、ココも加速を開始した。
 天翔るストラーフと、同じ戦場に至るために。


 飛翔する翼に追い付き、同じ速度で大地を駆けるココに、エストは思わず笑みを浮かべていた。
「相手も本気みたいだぞ? 行けるか?」
 砲撃の直撃は数発受けたが、致命傷には至っていない。それにカードもまだ残っている。
「望むところ! 師匠!」
「へいへい……っと」
 師匠の操作で転送されてきた槍を握りしめると、大きく弧を描き、軌道を相手の正面へ。
 相手も正面から。
 こちらも正面から。
 どちらも止まる気配はない。
「征くぞ!」
 満足げに微笑み、エストはさらに加速する。

-TRICK-VENT-

 機械音声と共に、その姿が三つに分かたれた。
「分身!?」
 どれも軌道はまっすぐに。
 等間隔の距離を保ったまま、直線に飛翔。
 来る。
「どうするの? ココ」
「こうします」
 ココも三本目の鍵を取り出すと、グリップに装填し、ぐいとひねる。
「ファイナルキー、発動!」

<Final Break!>

「マスター!」
 右手に短砲身と化したドキドキロッド。
「神姫!」
 左手にマジカルロッド。
「獣王!」
 ウルフバイクのスポーク部分がせり上がり、二門の砲に変形する。

「勝負!」
 直線に飛翔する三人のエストも、全く同じタイミング、全く同じ動きを以て、最後のカードを叩き込む。

-FINAL-VENT!-

 蝙蝠の翼がぐるりと廻り、螺旋を描いて槍に絡み付いた。
 加速を緩めぬ突撃槍は大気を直線に切り裂いて。ぱぁん、という軽い破裂音と共に現われたのは、音速超過の細い雲だ。

「三位!」
 放たれたのは破壊の閃光。
「一体!」
 貫いたのは音速の衝撃。

 二つの三位一体が、戦場に激突する……。



 焦土と化したバトルフィールドの上。
「良い勝負だった……」
 ウルフバイクに背を預けて呟いたのは、エストだった。
「……こちらこそ」
 ココもシートにへたり込んだまま、それ以上の言葉も出ない。
 どちらも、それほどの全力だったのだ。
「ココぉ。そこでそんな事言っちゃダメでしょ?」
「はぁ?」
 唯一元気な静香の声に、力なく首を傾げる。
「高笑いよ、高笑い。勝ち誇ってイヤミの一つでも言うところよ、そこは」
「いや、でも私、どう見ても負けたほうなんですが……」
 結局、黒い突撃槍は三位一体の火力を貫いてココの元にやって来たのだ。直撃する直前に力を失い、必殺技は解除されたものの……。
 負けは自分だと、誰もが認めているだろう。
 無論、静香でさえ。
「素直に負けを認めるような子に育てた覚えはないわよ? ここは、『試合には負けたけど、勝負には勝ってますわ!』とか言って思いっきり高笑いしなきゃ」
「ああ。それは大事なことだぞ、ドキドキハウリン」
「その名前で呼ばないでくださいよ……」
 対戦相手であるエストにまで同意されては、もはややるしかない。
 右手の甲を左頬に添え、力の入らない背を無理矢理ぴんと伸ばす。
「お、おーっほっほっほっ」
「……まだまだね」
 あまりにサマにならないその姿に、静香ははぁとため息を吐く。
「まだまだだな……」
 エストでさえ、俯いて首を静かに振る始末。
「うう……」
「少しお手本を見せてやるか。はーっはっはっはっは!」
 腕を組んで勝ち誇るエストの姿は、物凄くサマになっていた。
「ココ、負けてるわよ! ほら!」
 静香に促され、ココももう一度頬に手を添える。
「おーっほっほっほ」
 はーっはっはっはっは。
 お、おーっほっほっほ。
「……なんだこのバトル」
 師匠が見回せば、自分と静香以外の対戦台は戦闘を行っていなかった。大画面に映し出された奇っ怪な高笑い合戦を、何事かと見守っている。
「エスト。大金星だし、とっとと帰るぞー」
 そう言いながら、いつもの操作で離脱指示。
「は、はい! 師匠、今日は祝勝会でビールかけ放題ですか?」
「俺の家で何するつもりだ莫迦野郎」
「え? あの、エスト……」
 コマンドを入れて、エンターを押す。
「では、さらばだっ!」
「ちょっと待……っ!」
 バトルフィールドからエストの姿がかき消えた。

『FIELD OUT! WINNER "COCO"!』

「……へ?」
 対戦台から出て来たエストは、その結果が示されたディスプレイを呆然と眺めている。
 エスト、リングアウト。
 勝者、ココ。
 そう、画面には書いてある。
「師匠……?」
「あ……」
 言われ、師匠は気が付いた。
 あまりに馬鹿馬鹿しい展開だったため、半ば無意識にした操作が……いつも通りのリングアウト処理だったことに。
「……」
「……」
 三つ向こうの対戦台では、静香とココがこちらを呆然と眺めている。
「う……」
 どうやら、掛ける言葉も思いつかないらしい。
「し、試合では負けたけど、勝負じゃ負けてないんだからねっ! 覚えてなさいよっ!」
 台の上でびしりと静香達を指差し、エストが唐突に叫ぶ。
「……いや、そこはそう言う所なのか?」
「師匠、ダッシュです!」
「お、おう……」
 エストに促され、バタバタとその場を後にする師匠。その後ろを、ようやく対戦台から解放された鋼のコウモリがパタパタと追い掛けていく。
「……ココ。完敗ね、色々と」
 その後ろ姿を眺めながら、静香は静かに呟いた。
「どう色々なんですか……」
「色々と……よ」





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