晴れの舞台へと──あるいは内職業
“鳳凰カップ”への参加を決めた私・槇野晶だが、少々ピンチだッ!
のっけから怒鳴りつけて済まない。だが、欲張るべきではなかった!
レーダーリボンに帽子、ジャケットとスカート、ベストとブラウス。
更にアンダーやネクタイ、コードタイなど……品数が多すぎるのだ。
いずれも各々50個程と搾ったのだが、それでも家内制手工業の身だ。
のっけから怒鳴りつけて済まない。だが、欲張るべきではなかった!
レーダーリボンに帽子、ジャケットとスカート、ベストとブラウス。
更にアンダーやネクタイ、コードタイなど……品数が多すぎるのだ。
いずれも各々50個程と搾ったのだが、それでも家内制手工業の身だ。
「こ、これで開催までに間に合うか葵ッ?!レーダーリボンは?」
「ここまで241個動作確認が終わってますのッ!もう少しッ!」
「コードタイの強化ワイヤーは、強度試験は済んだかアルマや?」
「え、えっと……こっちは全数強度試験クリアです、エラー0!」
「梱包作業の準備はどうか、クララや?……よし、箱はOKだな」
「ここまで241個動作確認が終わってますのッ!もう少しッ!」
「コードタイの強化ワイヤーは、強度試験は済んだかアルマや?」
「え、えっと……こっちは全数強度試験クリアです、エラー0!」
「梱包作業の準備はどうか、クララや?……よし、箱はOKだな」
運悪く“HVIF”当番だったロッテ……葵をも動員して、下準備は
本日24時間全てを使い、突貫作業で行っている。ロッテのバトルに
注意を払いすぎ、肝心の出品物が展示品の作成で止まっていたのだ。
しかも私の“職人気質”が災いし、品数はトータルコーディネイトを
出来る程に……事実上の“春の新作”レベルにまで達してしまった!
本日24時間全てを使い、突貫作業で行っている。ロッテのバトルに
注意を払いすぎ、肝心の出品物が展示品の作成で止まっていたのだ。
しかも私の“職人気質”が災いし、品数はトータルコーディネイトを
出来る程に……事実上の“春の新作”レベルにまで達してしまった!
「く、これなら“和三盆”の様に割り切ってシンプルに……嫌ッ!」
「その意気ですのお姉ちゃん。お姉ちゃんは、拘ってこそですの♪」
「すまんな葵。それにアルマとクララ……火が付くと止まらぬのだ」
「その意気ですのお姉ちゃん。お姉ちゃんは、拘ってこそですの♪」
「すまんな葵。それにアルマとクララ……火が付くと止まらぬのだ」
しかもこれらは全て、色調が白黒を初めとして3~4種類も存在する。
万一“Electro Lolita”の最高級モデルで使うレース加工をしていたら
恐らく4月を過ぎても、製作業は終わらなかったかもしれんな。有無。
この点に関しては、“量産を見越した”デザインにしておいて正解だ。
だが、決して手抜きではないぞ。“和三盆”のシンプルな美と違って、
私は“Electro Lolita”としての複合的な美と、機能性を追求したッ!
万一“Electro Lolita”の最高級モデルで使うレース加工をしていたら
恐らく4月を過ぎても、製作業は終わらなかったかもしれんな。有無。
この点に関しては、“量産を見越した”デザインにしておいて正解だ。
だが、決して手抜きではないぞ。“和三盆”のシンプルな美と違って、
私は“Electro Lolita”としての複合的な美と、機能性を追求したッ!
「それでも今回の“フィオラ”は、割とシンプルにしたのだがな」
「確かに、レース生地や装飾が大分省かれていますの……なのに」
「うん。なのに“Electro Lolita”らしい可愛さはそのままだよ」
「それでいて、防弾・防刃効果を持っている素材……凄いですね」
「“和三盆”を着て、戦うに赴く神姫も多いと聞く。対抗心だな」
「確かに、レース生地や装飾が大分省かれていますの……なのに」
「うん。なのに“Electro Lolita”らしい可愛さはそのままだよ」
「それでいて、防弾・防刃効果を持っている素材……凄いですね」
「“和三盆”を着て、戦うに赴く神姫も多いと聞く。対抗心だな」
“フィオラ”……花畑を意味する銘を冠したこの“鳳凰杯限定品”は、
量産性を考慮しつつ、“Electro Lolita”で培った私と三姉妹の感性を
最大限活かして、『華の如く可憐である』コーディネイトを目指した。
更に三姉妹の戦闘経験も生かし、防御力を与え……尚克、どの神姫でも
着られる構造とした。マイスター(職人)の拘りを棄ててはいないのだ!
量産性を考慮しつつ、“Electro Lolita”で培った私と三姉妹の感性を
最大限活かして、『華の如く可憐である』コーディネイトを目指した。
更に三姉妹の戦闘経験も生かし、防御力を与え……尚克、どの神姫でも
着られる構造とした。マイスター(職人)の拘りを棄ててはいないのだ!
「でもマイスター……生産性は“和三盆”に、遠く及ばないんだよ」
「お値段も、他の“Electro Lolita”より2割安程度ですねぇ……」
「まあ……私の技術と事業規模に拘りを加味すると、ここが限度だ」
「それはしょうがないですの。その分、品質は素晴らしいですし♪」
「お値段も、他の“Electro Lolita”より2割安程度ですねぇ……」
「まあ……私の技術と事業規模に拘りを加味すると、ここが限度だ」
「それはしょうがないですの。その分、品質は素晴らしいですし♪」
その通り。服飾としての品質と、戦闘備品としての能力。この両立こそ
“フィオラ”のキモであると言えよう。布地の防御効果は前述したが、
ネクタイ及びコードタイも強化ワイヤー製であり、護身用武具になる。
更に装飾用リボンの中央部には、超小型のレーダー素子を組み込んだ。
この辺は、クララの戦闘経験が主な開発材料となっているのだ。有無。
“フィオラ”のキモであると言えよう。布地の防御効果は前述したが、
ネクタイ及びコードタイも強化ワイヤー製であり、護身用武具になる。
更に装飾用リボンの中央部には、超小型のレーダー素子を組み込んだ。
この辺は、クララの戦闘経験が主な開発材料となっているのだ。有無。
「それでいて軽量……まあ、色々詰め込んだ結果お前達に……ムグ?!」
「お姉ちゃん、それは言わないお約束ですの♪ですよね、二人ともッ?」
「そうだよマイスター。ボクらは望んで、各種お手伝いをしているもん」
「うんと……少しでも“姉妹達”に、綺麗な格好をしてほしいですから」
「くぅッ。お前達……有り難うな、終わったら一杯遊ぼうじゃないか!」
「お姉ちゃん、それは言わないお約束ですの♪ですよね、二人ともッ?」
「そうだよマイスター。ボクらは望んで、各種お手伝いをしているもん」
「うんと……少しでも“姉妹達”に、綺麗な格好をしてほしいですから」
「くぅッ。お前達……有り難うな、終わったら一杯遊ぼうじゃないか!」
あまりの健気さに涙が出そうになる、がここは我慢だ。今は早く
出品物を全て仕上げて梱包せねばならんッ!!そうでなければ、
前日になってから皆で徹夜する等と言うハメにもなりかねない。
私達は役割こそ違えど、あの会場で“人様に見てもらう”のだ。
その準備時間、仮にも女子である以上……余裕が必要であろう?
出品物を全て仕上げて梱包せねばならんッ!!そうでなければ、
前日になってから皆で徹夜する等と言うハメにもなりかねない。
私達は役割こそ違えど、あの会場で“人様に見てもらう”のだ。
その準備時間、仮にも女子である以上……余裕が必要であろう?
「はいッ!」
皆の快諾を取り付け、私も作業に没頭する。ロッテの戦闘準備もあるし
今は多少根を詰めてでも、時間的余裕を作らねばならない局面なのだ。
全ては、私達を見に来る“全ての人々”を失望させず満足させる為に!
今は多少根を詰めてでも、時間的余裕を作らねばならない局面なのだ。
全ては、私達を見に来る“全ての人々”を失望させず満足させる為に!
「よし、ベストは全てチェック終了。ヨレも汚れもないぞッ!」
「えっと、帽子の形状も全部問題なしですっ!クララちゃん!」
「梱包準備は完了してるんだよ、手の空いた人から手伝ってね」
「レーダーリボン、全機機能正常!じゃあ、手伝いますのッ♪」
「えっと、帽子の形状も全部問題なしですっ!クララちゃん!」
「梱包準備は完了してるんだよ、手の空いた人から手伝ってね」
「レーダーリボン、全機機能正常!じゃあ、手伝いますのッ♪」
──────舞台に立つには、下積みも重要だよね?