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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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浸食機械
引きこもりと神姫
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戦うことを忘れた武装神姫
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
PRINCESS BRAVE
神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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双子神姫
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犬子さんの土下座ライフ。
狛犬はうりん劇場
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武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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ホワイトファング・ハウリングソウル
ハウリングソウル
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 洞窟はそこそこ奥行きがあったが、縦と横にはかなり狭かった。
 これでは銃を乱射された場合などは回避するのは困難だろう。
 しかし僕はランを引き返させようとはしない。
 ランもそれを承知しているため、迷うことなく洞窟の奥へと進んでいく。

 「マジで突っ込んでくるなんてなかなかいい度胸だな」

 相手のハウリンは1番奥深い場所に仁王立ちしていた。
 その表情はまんまと罠に掛かった獲物をどう料理してやろうかと舌なめずりするハンターそのものだった。

 「しかし残念だがテメエに勝ち目はねえ! こい、プチマスィーンズ!」

 ハウリンがそう叫ぶと、3体のプチマスィーンズがそれぞれランの後方と左右から飛び出してきた。待ち伏せされていたらしい。完全に囲まれた。

 「これで決めてやるぜ!」

 そう言ってハウリンは巨大なランチャーを取り出し構えた。
 ハウリンの遠距離最強装備。吠莱壱式だ。
 吠莱壱式はすでにチャージを始めており、その砲口からは白い電撃がバチバチと音をたててエネルギー弾を作りだしていた。
 絶対絶命。

 「うおおおおお!」

 しかしランはまったく怯むことなく、ハウリンに向かって特攻した。
 まわりのプチマスィーンズたちがランの動きを止めるべくいっせいに射撃してくる。
 ランのエネルギーがみるみる減っていく。残り3割を切った。
 それでもランは止まらず、ハウリンに一直線に向かっていった。

 「諦めず最後にカミカゼ特攻てかっ!? 残念だがなあ……もうチャージは終わってんだよ! くらえ!」

 ハウリンが吠莱壱式を真っ直ぐに構えて、引き金を引いた。ランとの距離は僅か。外しようがない。

 「ハウリングッ……サンダァァァ!!!」

 ハウリンの咆哮とともにチャージされていた雷の砲弾が発射され、ランに襲い掛かる。
 直撃。
 轟音とともに爆発し、煙が舞い上がった。

 「ふん……意外とあっけなかったな」

 相手のハウリンはそうつぶやくと構えていたランチャーを下ろす。まわりのプチマスィーンズの攻撃もやめさせていた。
 誰が見ても勝敗は決したかに思えた。
 しかし。

 「……誰があっけないって?」

 突然ランの声が聞こえたかと思うと、もうもうと立ち込める煙からにゅるりと白い手が伸びてきた。それはランのか細い手ではなく、背中に装備されたチーグルアームパーツの巨大な手だった。
 勝利を確信していたハウリンはろくに反応することもできずに白い手によって首根っこを掴まれ、高々と持ち上げられた。

 「つーかまーえたっ♪」

 これ以上ないぐらい爽やかに、子供のような無邪気な表情をするラン。それは今この状況とはまったくそぐわないものでそれが逆に不気味であった。

 「ば、バカなっ!? 直撃だったはずだ! テメエの残りライフで耐えられるはずがねえっ!」

 首を押さえつけられ、ジタバタともがきながら、絞りだすような声でハウリンが言うとランは爽やかな顔のまま返答する。

 「ざんねんだったねえ。いい一撃だったけど。ボク、ああいうのを防御するのは得意中の得意なんだよねえ」

 ランの体をよく観察すると、今ハウリンをつかんでいるアームやそのほかの装甲は傷だらけだが、ランの素体自体はほとんど無傷であった。我武者羅に突っ込んでいったように見えただろうが、当たると致命傷になる攻撃だけはしっかりとガードしていたのだ。
 しかしモニターから確認できるランのエネルギー残量は残りわずか、少しでも防御しそこねていたらランは今確実に立ってはいないだろう。
 優れた機動力と圧倒的な防御センスからなる粘り強さ。それがランの、ストラーフリペイントバージョン『白黒子』の真骨頂である。僕はその特性に懸けて罠だとわかっていながらランを洞窟内へと特攻させたのだ。

 「ちっきしょうっ! 速くて堅いなんてそんなのありかよ!」

 ハウリンはまるで誰かに抗議するかのように悔しそうに体を身じろぎさせる。
 ハウリンを掴んでいるランの背後では、プチマスィーンズたちが不規則な動きを繰り返しながら、まったくの検討違いの方向に光線を飛ばしていた。暴走している。本体が首を絞められうまく制御できないのであろう。

 「ラン! とどめだ!」

 ランのエネルギーはかろうじて首の皮一枚つながっている状態だ。暴走中のプチマスィーンズたちの攻撃がうっかり当たっただけでもKOされかねない。

 「わかってるよ。んじゃ、悪いけど……覚悟してねっ!」

 それまで爽やかだったランの表情が一変して、文字通り悪魔の顔となった。
 相手のハウリンは「ひっ!?」という悲鳴をもらす。
 次の瞬間ランは掴んでいたハウリンを地面に激しく叩きつけたかと思うと素早くマウントポジションをとり、ハウリンを滅多打ちにした。
 9割以上あった相手のエネルギーもランの『デモニッシュクロー』によりみるみる削られていき、残り時間10秒をきったあたりで0となった。
 こうして僕たちの引っ越し祝い初バトルは勝利に終わったのである。


 「ふう……」

 バトル終了のブザーが鳴ると僕は1つ大きく息をはいた。
 やはりどんな場所にも強い神姫や優れたマスターはいるらしい。なんとか勝利を収めることができたが、紙一重の辛勝だ。まったく勝った気がしない。

 「神姫センターのフリーバトルでこんな強いやつらにいきなり当たっちまうとは……」

 これが大会になったらどんなやつらが現れるんだろうか。
 田舎だからといささか侮っていた気持ちもあったのかもしれない。
 僕はこれから戦うことになるであろう、この町のまだ見ぬ神姫とマスターたちのことを考え、強いやつらと戦える期待と負ける不安を感じていた。
 僕がそんなことを考えていると、なにも映らなくなったモニターの真っ暗な画面に文字が表示された。

 No name:おつかれさまでした。

 どうやらむこうのマスターからのメッセージのようだ。
 僕も備え付けられているキーボードを打ち返信する。

 No name:おつかれさまでした。
 ダイチ:おつかれさま。

 そういえば昔オンラインゲームをしていたころは、よく試合の後などにこういった挨拶を交わしていたな。などと僕は少し過去を振り返り懐かしい気持ちになる。

 No name:あなた強いですね。お名前を伺ってもいいですか?
 ダイチ:僕の名前はダイチ。神姫の名前はランだ。
 No name:素敵なお名前ですね。

 強いですね、と言われたことと素敵な名前、と言われたことに対して、僕は少し照れくさい気持ちになりながらお礼のメッセージを書こうとタイピングする。が、その前に相手からさらにメッセージが送られてきた。

 No name:覚えました。次は絶対負けません。覚悟しておいてください。

 まさかの宣戦布告に僕は一瞬あっけにとられてしまう。
 どうやら相手はだいぶ負けず嫌いの性格のようだ。
 苦笑しながら僕も聞いておきたいことをタイピングする。

 ダイチ:キミとそのハウリンの名前は?

 すこし間が空いたのち返信された。

 No name:アイです。この子はハヤテ。

 「アイか……」

 僕はつぶやきながらすぐさま返信する。

 ダイチ:素敵な名前だね。

 お返しだ。アイ、お前もちょっと照れくさい気分になるがいいさ。
 僕は少しほくそ笑む。
 しかしその後いくら待ってもメッセージは返ってこなかった。退室してしまったのだろうか。
 なぜか僕は少し残念な気持ちになりながらキーボードをしまう。と、そこで不意に後ろから声をかけられた。

 「ずいぶん楽しそうだねえ。ダイチ」

 恐る恐る振り返るとランがパーツケースの上に仁王立ちしている。いつのまにかこちらに戻ってきていたらしい。
 武装はとっくの昔にはずしたらしく、足元のケースの中に収められていた。
 ランはいつも鋭い目つきをさらに鋭くしてこちらをにらんでいる。

 「お、おうラン。おかえり……」

 「ボクががんばって戦って来たっていうのに出迎えもせずに、相手の女マスターとのチャットに夢中だなんていい度胸じゃないか……!」

 眉間にこれでもかというほどしわがより、こめかみには血管が浮いている。
 どうやら怒っているらしい。

 「い、いや待て。女だとは限らないじゃないか……」

 「ダイチいくらモテないからって、たかが女の子とのチャットくらいで喜びすぎでしょ。にやにやしちゃってさあ……」

 「にやにやなんかしてねえよっ。あとモテないとかいうな!」

 「『アイちゃんか……ステキなお名前だなあ。デュフフwww』とか言いながら鼻の下伸ばしてたくせによく言うよ!」

 「ぼ、僕はそんなこと言った覚えはな痛ってええええっ!!!」

 僕の抗議のセリフはランの噛み付きによってかき消されてしまった。
 ちなみにランが噛み付いているのは僕の鼻だ。僕は痛みのあまり個室の中で仰向けに倒れながら悶絶する。
 鼻の痛みに加え頭や手を壁にぶつけているので2重に痛い。
 このまま鼻がちぎりとられるんじゃないかと僕は思わず心配してしまう。
 しかしランはそこで不意に噛み付くのをやめた。
 不思議に思っているとランは突然僕の眼を見つめてきた。僕の顔の上に乗っかっているのでかなり近い。

 「とにかくっ!」

 そう言ってランは一度言葉を切る。
 はい、なんでしょうか?

 「……なにか言うことがあるんじゃないの?」

 ボソボソと小さな声でそんなことを言いながらランはそっぽを向いた。
 僕はぽりぽりと頬を掻きながら、ついでに鼻がもげてないか触って確かめる。
 そしてコホンと1つ咳払いをしてから、おそらくランが求めているであろう台詞を言ってやった。

 「……がんばったな。よくやったぞ」

 「……」

 「……」

 沈黙。
 一瞬ハズレだったかと焦ったが、どうやらそうではないらしい。
 ランはそっぽを向いているため顔は見えないが、その薄緑色の髪の隙間から見える小さな耳が赤く染まっていくのがわかった。
 どうやら正解のようだ。
 ランはそのまま僕の方に顔を見せないように立ち上がると、さっさと僕のシャツの胸ポケットにもぐりこんでしまった。

 「ま、今日は疲れたし……。このぐらいで許してあげようかな……」

 最後にポケットの中からくぐもった声でそんな捨て台詞をはく。
 まったく、こういう時だけはカワイイんだが。
 僕は苦笑しながら立ち上がり、服についたホコリを掃った。
 アイとハヤテ。新しい町でであった新しいライバル。
 手ごわい相手ではあったが、勝ててよかった。
 ランのこんなカワイイ反応が見られるのならば、僕は何度だって勝ちたい。
 僕はそんな柄にも無いことを考えながら、ランの入った胸ポケットをなでた。






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