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ウサギのナミダ

ACT 1-11



 久住菜々子は大学生である。
 東京にある大学からの帰り、あのゲームセンターに寄るのは、一度最寄り駅を行き過ぎなくてはならない。
 また、武装神姫を常に持ち歩いているわけではない。
 だから、あのゲームセンターに行くのは、週末にしていた。

 だが、今日は違う。
 朝からミスティを連れ、装備の入ったアタッシュケースを持って、大学に行った。
 はやる気持ちを抑えて、大学の授業をみっちりと受け、講義が終わったらダッシュで駅まで。
 それでもゲームセンターにたどり着いたのは、夕方も遅くなってからだった。

 今日は金曜日。
 繁華街は、翌日休みの気楽さで、週末の夜を楽しもうと、すでに多くの人が繰り出している。
 浮ついた世間の雰囲気とは逆に、菜々子の心は緊張していた。
 ゲームセンターにつくと、すぐに武装神姫のコーナーへと向かう。
 平日とはいえ、金曜日の夕方。休日に劣らず盛況である。
 壁際に、見知った顔を見つけた。
 大城大介だ。
 雑誌を片手に、なにやら難しい顔で、バトルロンドの筐体を睨んでいる。

「大城くん、こんばんは」
「おお、菜々子ちゃん!」

 振り向いた男の顔がぱっと明るくなった。わかりやすい。

「もう、来ないかと思ってたぜ……」
「うん……迷ってたんだけど……やっぱり、ね」

 微笑みながら頷く大城。
 そんな彼に、菜々子は片手を突き出した。

「その雑誌……またティアが出てるんでしょう?
 見せて」
「いや、あの……これは」

 雑誌と菜々子を見比べながら、困った顔をする大城。

「刺激が強すぎるから……見ない方がいいんじゃ……」

 なかなか雑誌を渡そうとしない大城を一瞬睨み、菜々子は物も言わずに雑誌をひったくった。
 薄い雑誌をぱらぱらとめくる。
 中ほどの袋とじに、目的の記事はあった。開封されている。
 扉は写真の反転画像で、黒の背景に白のラインで女性の姿を形作っている。
 「大反響アンコール! 淫乱神姫・獣欲のまぐわい」と、また奇妙な字体で貼り付けられていた。
 菜々子には中身の想像がつかないタイトルだ。
 意を決して、一枚目をめくる。

「……っ!!」

 肩にいるミスティが息を飲む気配。
 震える手で、二枚目をめくる。
 次のページを目にした瞬間、菜々子は雑誌とミスティを大城に押しつけると、すごい勢いでお手洗いに駆け込んだ。

「だからいわんこっちゃない……」

 半分あきれ気味に大城が呟いた。
 確かに、あの内容なら、見るのを止める方が親切よね、とミスティも思う。

 しばらくして、菜々子が戻ってきた。
 顔面は蒼白。ハンカチを口元に押しつけている。身体は小刻みに震えている。
 それでも菜々子は、また黙って、大城に片手を突き出した。

「いや、だから、やめといた方がいいって」
「わたし、決めたの……もう逃げないって。あの二人の力になるって。だから、どんなに辛くても、わたしはそれを見なくちゃいけないのよ」

 大城はため息をつくと、雑誌とミスティを菜々子に手渡した。
 ミスティを肩に乗せ、再び例の記事を開く。
 今度は、さっきよりも冷静に見ることが出来る。
 しかしまた身体が震えだした。

「……ひどい……」

 怒りだ。怒りに身体が震える。
 雑誌の中で、ティアは陵辱されていた。
 よつんばいのティアの後ろからのしかかっているモノ。

 人間じゃなかった。人型ですらなかった。
 犬だ。
 神姫サイズの犬型ロボットが、ティアの背後から覆い被さっている。

 雑誌の中のティアは、苦悶と恍惚が入り交じった表情を浮かべていた。
 写真を見ているだけで、胸が張り裂けそうになる。気が狂いそうになる。
 ティアは……毎日、こんな仕打ちに耐えていたというの。

 菜々子の耳に、笑い声が聞こえてきた。
 少し離れたところで、数人の男達が同じ雑誌を見ている。同じページを開いている。
 下卑た笑い声を上げ、ティアのことをあることないこと声高に話している。
 みな見知った顔だった。このゲーセンの常連達だ。
 だったら、知っているはずではないのか。ティアと貴樹がどんな戦いをしたのか。それを見てもまだ、そんなバカにしたことが口に出来るのか。
 ミスティは憎しみすらこもった眼差しで、猥談に花を咲かせる男達をねめつけた。

「あいつら……ふざけやがって……」

 憎々しげな呟きの主に目を転じると、それは虎実だった。
 ミスティはちょっと驚いて、虎実を見つめた。

「あら……虎実はちがうの?」
「たりめーだろ! ティアと戦ったヤツにはわかるはずだ! こんなクソ雑誌の記事なんか……いまの二人に何の関係もねぇんだって!」

 虎実はミスティを睨んだ。

「アンタもそうじゃないのかよ、ミスティ」

 ミスティを見る虎実の目は、真剣だった。
 いつもはミスティがからかったのを真に受けて、ただ怒った視線を向けてくるだけだ。
 だが今日は違う。
 眼差しの質が違う。
 自分の確固たる信念の下に、相手の嘘を許さない、揺るぎない視線。

「わたし、初めてあなたに関心したわ」
「……どーゆー意味だ、それ」
「あなたと同じ意見、っていう意味よ」

 ミスティは薄く笑いかけた。

「虎実、わたしたち、協力しない? ティアが戻ってこれるように力を尽くすの」
「だったら……一時休戦すっか?……ティアのために」
「いいわ。これからわたしたちは仲間……戦友よ」

 ミスティが握った拳の親指を立て、サインを出す。
 虎実もサムアップして頷いた。
 奇妙なシンパシーでつながった二人の神姫に、マスター達は顔を見合わせて、肩をすくめた。
 そして、大城が、ちょっと難しい顔をして、言いにくそうに口を開く。

「先週末……遠野が来てな……日曜日に、ちょっと騒ぎになった」
「え? ……なにが、あったの」

 日曜日の出来事を、大城はかいつまんで話した。
 菜々子の顔がみるみる険しい表情になっていく。

「壁叩いて右手壊したって……あの、遠野くんが……!?」

 にわかには信じがたい。
 あの、いつもクールな雰囲気の遠野が感情を剥き出しにして自分を傷つけるなんて。
 それほどまでに、彼は深く傷ついているのだ。
 菜々子の想像よりも遙かに。
 菜々子がうつむいて、思いを巡らせていたその時、

「よお、エトランゼ。珍しいな、平日の夕方に来るなんて」

 男が声をかけてきた。
 思わず睨みつけてしまったのは、タイミング的に仕方がないことと思う。
 むしろ、空気を読め、と菜々子は言いたかった。

 声をかけてきたのは、ヘルハウンドのマスターだった。
 一緒に二人の男がいる。
 いずれも見知った顔だった。

「三強が揃い踏み……ね。何か用?」

 菜々子ははっきり言って、三強のマスター達が嫌いだった。

 『ヘルハウンド・ハウリング』の二つ名を持つハウリン・タイプのマスターは、坊主頭で日焼け肌の男だ。
 三人の中では一番の常識人だが、自分が三強の一角であることを時々鼻にかけることがある。

 後ろの男達の一人は、ウェスペリオー・タイプのカスタム機のマスター。
 『ブラッディ・ワイバーン』と呼ばれている。
 背がひょろひょろ高く、薄気味悪い顔色。
 困ったことに菜々子に気があるらしく、しょっちゅう言い寄ってくる。
 このゲーセンに来た頃、「バトルに勝ったらデート」を無理矢理承諾させられた。
 もちろんバトルは菜々子が勝ったが、その後の対戦者も次々に同じ条件を申し入れてきて、断れなくなった。
 それを見た遠野に釘を刺されたのは苦い思い出だ。
 遠野くんがわたしを、そんなに軽い女だと思っていたらどうするつもりなのかと、この男と顔を合わせるたびに腹が立つ。

 もう一人は、年下の高校生だ。
 三強の一角だけあってバトルは強いのだが、とにかく「俺強い」と主張する。
 バトルに勝てば、相手を見下し、自分の強さをえらそうに自慢する。
 逆に負けると、今回チョイスした武装、自分の神姫のせいにして、やっぱり対戦相手を見下す。
 ミスティに言わせれば、最低の武装神姫プレイヤーだ。
 そんな彼の神姫はエスパディア・タイプ。基本ユニットと素体はエスパディアだが、武装は種類も搭載量も毎回違う。
 対戦相手に合わせてチョイスしているわけでも、武装を試しているわけでもないのだ。
 あまりにも毎回武装が違うので、『玉虫色のエスパディア』と呼ばれていた。
 本人は意味をよく分かっていないらしい。


 三強を代表して、ヘルハウンドのマスターが口を開く。

「エトランゼを誘いに来た。……俺達の仲間に入らないか?」
「……あなた達の……?」
「強いヤツは強い者同士が仲間になった方がいい。情報交換や練習、戦術の研究もその方が効率的だ。
 あんたの実力は、俺達三強も認めるところだ。だから誘いに来た。
 それに……」

 ヘルハウンドが一瞬口ごもったのを引き継いで、ワイバーンのマスターが口を挟んだ。

「それに、ティアのマスターも、もう来ないしさぁ! り、陸戦トリオも解散だよねぇ!」

 ワイバーンのマスターは嬉しそうだ。
 菜々子に気があるワイバーンにしてみれば、いつも菜々子のそばにいる遠野は、目の上のタンコブだったのだろう。
 さらに、玉虫色が言った。

「てか、もうアイツはここに来られねーよな。あんな風に発狂しちゃったんじゃさ! あはははは!」
「……は、はっきょう……って……?」
「ああ、ティアのマスター、こないだの日曜日にキレて暴れ出したんだよ。
 『悪いのは全部人間だ』とか言っちゃってさ。
 他の男にヤられた神姫使っておいて、そんなこと言うなんてさ! 笑っちゃうよね!
 あはははははは!!」
「おい……言い過ぎだぞ」

 さすがに、ヘルハウンドのマスターが、玉虫色のマスターの態度をとがめた。
 菜々子は、そっと、唇を噛んだ。
 あの遠野くんが、そこまで怒ったの。
 あそこまで真っ直ぐに神姫と向き合っている人を。
 あなたたち、そこまで彼を追い詰めたの。
 菜々子は、肩にいるミスティにだけ聞こえる声で、ささやいた。

「ねえ……この悔しさって、遠野くんの悔しさに比べたらどれくらいかな」
「いいとこ、百四十四分の一くらいじゃない?」
「ずいぶんキリのいい数字ね……」

 もう、許せない。
 意を決して、うつむけていた顔を上げる。
 菜々子は三強の男達を鋭く見据えた。

「わかったわ……それじゃあ、わたしとバトルして、あなた達が勝ったら、仲間になってもいい」
「なに?」
「わたしだって、組むなら強い人と組みたいもの。あなた達の実力、もう一度見せてもらいたいわ」
「そうか……わかった、今からバトルしよう。それでいいか?」
「ええ」
「対戦する順番は……あんたが指名してくれるのがいいかな……」
「何言ってるの?」

 ヘルハウンドのマスターの言葉を、菜々子は鋭く遮った。

「違うわよ。『あなたたち』って言ったでしょう?」

 武装神姫コーナーの奥、複数人数同時プレイ可能な大型の対戦筐体を指さした。

「スリー・オン・ワン。三人まとめてお相手するわ。準備して」









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