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第十七話

「ふう・・・」
午前の講義を終え、昼食後に一息ついていた優一は物思いに耽っていた。
(それにしたって・・・。日暮店長が調べてもウィルスの類は見つからなかった。だが、昨日の夜にシラヌイは利き手の不調を訴えていた・・・。まさか、な・・・)
「よう、黒の字♪暇か?」
ボケーッとしている優一に拓真が話しかけてきた。
「何だ、拓真か。一応暇だが?」
「実はな、午後の講義が終わったらで良いんだが、新宿の神姫センターに行かないか?」
「新宿の・・・って最近出来たあの・・・」
「『バトルオブキングダム』。そこは大規模なバトルロワイヤルがウリで、しかもランク制限無し。修練には持ってこいだと思うが?」
「バトルロワイヤルか・・・・・・。上等!」
「決まりだな。それじゃあ、後で連絡プリーズ」
「OK牧場」


「マスター、バトルですか?」
拓真が去った後、カバンの中からアカツキがカバンから這い出してきた。
「おう、拓真から誘いがあってな。ランク無制限だから、少しは楽しめそうだぞ?」
「バトルロワイヤル・・・と言う事は・・・・・」
「遠慮無用の情け無用、且つ問答無用。と言う事ですね」
「シラヌイ!起きたなら言ってくれよ・・・」
「失礼しました、ご主人様」
「まあ、ウリにするくらいだからリアルバトルも覚悟しておいた方が良さそうだ」
「「了解です」」


数時間後、一日の講義を終えた優一は、拓真と合流するとすぐに新宿の神姫センターへと向かった。
「しっかし、凄い規模だな・・・。競技スペースだけで階層一つ占領するなんて・・・どんだけ金掛けりゃ気が済むんだ?」
「鶴畑グループがスポンサーになっているからな。バトルスペースだけでなく、パーツショップや試合待ちのオーナー向けの飲食店を始めとする各種施設も大充実だ」
「金に糸目は付けない、か・・・」
優一は以前に戦った鶴畑家の長女、和美の事を思い出していた。
彼女の神姫であるサイフォスタイプのジャンヌは、騎士型とは思えないほどの数の重火器で全身を覆っていた。騎士型のパワーのおかげで何とか動き回ることは出来ていたが、お世辞にも機動性は良いとは言えなかった。
「ま、一番上に釘刺されただろうし、当分は出てこないだろう。それじゃあ行こうぜ」
中に入ってみると、確かに賑わっていた。一階はエントランス兼バーチャルバトル用のスペースらしく、四つほどの筐体が設置されており、モニターの中で二体の神姫が刃を交えていた。
片方はイーダタイプの素体と装備に加えて、脚部は何故かストラーフタイプの強化脚、サバーカレッグを装備している。
もう片方は犬型をベースにしたオリジナルモデルらしい。銀髪が特徴的な、独特の雰囲気を感じられる。
「へえ、エトランゼが来ているのか。珍しい事もあるもんだな」
「なあ、拓真。その『エトランゼ』って何者なんだ?」
「知らないのか?黒の字。HMT型・ミスティ。オーナーの名前は久住 菜々子。彼女、公式リーグには登録せず、あちらこちらのゲームセンターや神姫センターに出没しては、圧倒的な強さを見せつけて去っていく。付いた異名が『エトランゼ』(異邦人)って訳だ。仮にリーグ入りしてるならゴールドは堅いぞ」
「遭遇しないように気を付けるよ。ははは」
二人はエレベーターに乗り込むと二階をすっ飛ばして一気に三階へと向かった。どうやら二階が例のバトルスペースになっているらしく、エントリー並びに試合観戦はこのフロアで行うようだ。実際周囲を見てみると、休憩用のベンチや、飲み物などを販売する自販機が見受けられた。
「さて、と。エントリーはどっちで行くんだ?ここは一人のオーナーに一体の神姫しか出来ないんだ」
「そうだな・・・・・。アカツキ、行けるか?」
「言わずもがなですよ。ウズウズしてきました・・・!」
「決まりだ。拓真は当然レッドで行くんだろ?」
「いや、今回は俺の二号の初陣のためでもあるからな。そっちでエントリーする」
「二号って散々な言い草だな・・・。んで?その子はどこに?」
「此処だよ。起きろ、トリスタン」
「うーん、ムニャムニャ・・・・」
拓真が神姫用のキャリアケースを開けると、焦げ茶色のポニーテールにスニーキングスーツ風の素体をした神姫、イルカ型のヴァッフェドルフィンが眠っていた。
「起きろ、トリスタン」
「スピー・・・」
「起きろ、この寝坊助!そのまま主電源切るぞ!?」
「わっ私は食べ物じゃ・・・。ってなんだオーナーか。そっちはともだちか?」
「なんでそこがひらがななんだ?某覆面教祖じゃないぞ、こいつは。黒崎優一だ。こっちはその神姫のアカツキちゃん」
「よろしくな」
「よろしくね、トリスタン」
「よろしく。なあオーナー、私もいよいよ戦場に出られるのか?」
「いきなしのリアルバトルだが、大丈夫さ。なんったって、百戦錬磨のアカツキちゃんがいるからね」
「拓真、買いかぶりはよしてくれ。照れちまう」
「まあ、大船に乗ったつもりでマッカセナサーイ!」
「少しは謙遜しろよ・・・・・」
堂々と胸を張るアカツキに、優一は多少なりとも憂鬱になってしまった。


『バトルフィールドは鍾乳洞。各神姫のオーナーはスタンバイをお願いします』
鍾乳洞。地底深くにある、起伏の富んだ地形が特徴のバトルフィールドだ。殆どが狭い洞窟のため、空中戦は地底湖のある広いエリアでなければ展開は難しいものとなる。
《さてと、アカツキ。今回は低空飛行が前提だから・・・・ウェルクストラのウィングをチョイスしてみた。調子はどうだ?》
「速度は少し下がってはいますけど、小回りはその分利きそうですね」
《出撃ポイントはトリスタンとは離れることになりそうだな。頑張れよ!》
「はい!行きます!!」
アカツキは右手にカロッテ、左手には小型シールドを装備することによって接近戦を意識している。
『バトルロンド、セットアップ。レディ・・・・GO!!』
ジャッジAIが試合開始の宣告をし、参加している十六体の神姫が一斉にフィールドへと解き放たれる。
アカツキが転送されたのは最も狭い、しかも入り組んだ地形のエリアだった。
《とりあえず、索敵を始めるんだ。見つけなければ何も始まらないからな》
「判りました」
不意に、遠方からミサイルが撃ち出されてくる。
《こんな所でミサイルをぶっ放そうとは、間抜けめ・・・。アカツキ!》
「はい!!」
ミサイルが飛んできた方向めがけて、アカツキはカロッテをフルオートで発射する。
深淵の支配する洞窟に、銃声と爆発音が響き渡る。
《熱源で大体の位置は判別できた。戦闘開始だ!!》
「了解!」
優一が示した位置に見当を付けて、アカツキは手榴弾を投げ込む。
手榴弾が爆発し、爆風を避けて一体の影が鍾乳石の影から躍り出た。
「まさか、見抜かれるとはね・・・」
《ゼルノか・・・。アカツキ、ここは一応公式試合だ。頭と胸は狙うなよ》
「判っています」
「手心は命取りだよ、チミィ!」
ゼルノグラードが両手で保持したガトリングガンをアカツキめがけて発砲する。
アカツキはステップ移動で回避し、放たれた無数の銃弾が鍾乳石を削り取っていく。
《近くにいては危険だ!離れろ、アカツキ!》
「くっ・・・!」
「逃げても無駄だよ!!」
不意に、ゼルノグラードがガトリングガンの銃身と弾倉を排除したと思うと、接合部分が銃口となってビームが放たれた。
「!?」
咄嗟に掲げたシールドにビームが弾け、表面のコーティングはドロドロに溶けてしまっている。
《成る程。パーツを組み合わせる事によって様々な重火器を瞬時に用意できる。しかも武装の一部だから持ち替えの手間もかからない。だから「火器型」と言う訳か・・・・・・。対策は立った。後退しろアカツキ!》
「?・・・・・判りました!」
「逃がさないよ!」
ブーストを噴かして後退するアカツキ。追うゼルノグラード。
銃弾が、ビームが鍾乳石を抉り、穴を穿つ。
「マスター、まだですか?!」
《もう少しだけ、後50・・・・・・・今だ!天井にロケット!!》
「っはい!!」
アカツキは背中にマウントしていたロケットランチャーを天井に目がけて一マガジン分全て撃ち出す。
岩盤が崩れ、アカツキを追跡していたゼルノグラードに降り注ぐ。
「・・・・へ?嘘でしょ?・・・・ムギャッ!!」
次の瞬間、特に大きい岩がゼルノグラードを直撃し、そのまま彼女は気絶してしまった。
《ふう。短期決戦に持ち込んで、大正解だったな。あのまま火力差で押し切られたら、正直危なかったぞ》
「そうですね。それに、トリスタンのことも心配ですし・・・・・」
《だな。よし、順次索敵しつつ、作戦続行だ》
「了解です!」



~一方その頃、トリスタンはと言うと・・・・・~

《さーってと、行きますかな?》
「オーナー・・・・・。この武装・・・・・・どうにかならないのか?」
トリスタンの持つ武器は、中~近距離戦を前提とした突撃銃とコンバットナイフに加え、暗闇と言うことで閃光手榴弾を携帯している。
《何だ?良いじゃないか、別に》
「これの・・・・・何処が良いんだ!!」
顔(主に頬)を真っ赤にして叫ぶトリスタン。その格好はと言うと・・・・・
《可愛いじゃないか。シュメッターリンク》
それは分類上『蝶型』、もしくは『蝴蝶型』と呼ばれる神姫。
ある方面では『イロモノ』と呼ばれ、別の方面では『こんな神姫を待っていた!』とも言われるモデル・・・・・。
シュメッターリンクの武装(と言っても衣装にしか見えないが、一応防弾・防刃加工済み)を、トリスタンは着せられていた。
「だが、戦場でヒラヒラした物は、目立つ上に格好の標的にされるんだぞ!しかも・・・・こんなミニを履いていられるかぁあ!!」
《スカート脱ぐと、パンツ見えっぞ》
トリスタンがスカートを脱いで地面に叩きつける。すると、やはりというか、お約束というか、立派な『縞パン』がお目見え。
「んなっ・・・・・!こんな物まで・・・・!!(///)どういう基準で・・・・・」
《諦めろ。俺の趣味だ!!》
「何でこんな趣味なんだ・・・・・。何で・・・・・」
デカデカと宣言する拓真。トリスタンは怒りを通り越して、呆れて頭を抱えてしまった。
《ん?》
「どうした、オーナー?」
《敵さんのお出ましだ。戦闘用意!》
「ったく。早く終わらせて、こいつを脱ぐ!」
反応があった方向に、突撃銃を三点バーストで発砲する。
全部で四回、合計で一二発放たれた銃弾はほとんどが鍾乳石に命中したが、三発だけ別の着弾音がした。
《金属音と言う事は・・・・。こりゃとんでも無いハズレくじを退かされたなぁ、オイ?》
それは岩陰からゆっくりと姿を現した。
曲線を主体に形成された装甲は、いかにも堅牢そうな印象を与え、両腕には甲殻類を模したと思われるハサミが見受けられる。
そのハサミにはガトリング砲、両肩には何かありそうな砲身。背中にはミサイルポッドらしき物も見受けられる。
「見たことのないフォルムだな・・・・・。どこ製だ、オーナー?」
《ちっ、今日は厄日だな。蟹型MMS・シェルクリーパー。開発元は・・・・カタロン・ミリタリーズ社だ》
「よりにもよって軍用神姫のプロとは・・・・・。相手にとって不足はない!!」
トリスタンは再び突撃銃を、今度はフルオートで発砲する。
対MMS用タングステン弾頭弾は寸分の狂いもなく、シェルクリーパーに命中するも、装甲には傷一つ付いておらず、逆にガトリング砲で反撃してくる。
「クソッ、こっちが十撃ったら向こうは百撃ち返してくる・・・・・。しかもロクにダメージが与えられない・・・・・・。なら、取れる手はただ一つ!!」
トリスタンは閃光弾の安全ピンを口で外すと、シェルクリーパー目掛けて投げつけた。
焚かれた強烈な光が周囲を煌々と照らす。それはまるで、サーチライトの光を至近距離で浴びせられるようなものだった。
その所為でバイザーに支障を来したのか、一瞬ではあるが相手に隙が出来た。
「はぁあああああ!!!」
その一瞬の隙を突いてトリスタンはコンバットナイフを抜き放つと、懐に潜り込んでシェルクリーパーの腹部に深々と突き立てた。
どうやら、腹部は可動部の所為もあって装甲が薄かったらしく、傷口から鮮血の如く、火花が飛び散らせながら倒れ伏すシェルクリーパー。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・・」
《軍用武装の噂は、黒の字からちょくちょく聞いてはいたが、こんな物なのか?》
「しかし、着用する神姫の側にもそれに見合った実力と性能が必要なはずだ。とてもこの程度の実力のハズじゃ・・・・・・」
「ないわけないでしょ?」
「!?誰だ!!」
不意に声がした方向をトリスタンが振り向いて銃を向けると、一体の神姫―現行のどのモデルにも当てはまらない所をみると、恐らくカスタムタイプだろう―が暗闇の中から現れた。
「ハァイ。は・じ・め・ま・し・て。私はソフィア、よろしくね『トリスタン』ちゃん♪」
「どうして私の名前を・・・・・」
「どうして?それは簡単よ。データベースの隅から隅まで、しらみ潰しに探してもらったのよ。何なら、データベースの登録番号と素体の公式設定スリーサイズでも・・・・・」
《待て待て待て待て、そこまでは・・・・・。ん?ちょっと待て。「探してもらった」・・・・・だと?バーチャルならともかく、リアルバトルの最中に、そこまで詳細な情報収集なんて、あり得るわけが・・・・・》
「あり得るのよ、御堂 拓真さん♪。いまから種明かしをするわ。こっちへいらっしゃい、イリヤちゃん」
ソフィアが声を掛けると、先ほどナイフを突き立てられて倒されたはずのシェルクリーパーが「起き上がった」。
「馬鹿な!私はこの手で、ナイフを奴に突き刺した!!腹部は神姫にとっては頭と胸に次ぐ、重要な部位のハズだ!!それなのに、なぜ・・・・・・。あり得ない・・・・・・あり得るわけがない!!」
「さっきも言ったわよね?『あり得ないこと自体があり得ない』のよ。ついでと言っちゃあなんだけど、この子も私のマスターの持ち物って訳よ」
《おいおいおい、ソフィアさんとやら、ここでのルールを読まなかったのか?「参加者一人につき、神姫は一体まで」って書いてある・・・・・》
「そんな形式張った物、簡単に潜り抜けられるわよ」
《何だと!?》
ソフィアの一言に驚愕する拓真。神姫の登録データベースは世界最高峰のセキュリティが施されており、ちょっとやそっとではファイアーウォールの突破は不可能だ。
仮に突破できたとしても、最後のなぞなぞで必ず挫折すると言う代物だ。(彼は噂でしか聞いたことがないが・・・・)
拓真自身はハッキングに関しては門外漢だが、強固なセキュリティであることは容易に想像がついた。
「言っておくけど、ハリボテに勝った程度で軍用武装の実力は測れないわよ!」
ソフィアは傍らに近寄ったシェルクリーパーから金髪の神姫―イリヤを引きずり出すと、自らが装甲を身に纏う。
「貴女はもう用済みよ。・・・・・じゃあね」
そして、彼女の足下に倒れたイリヤに、ガトリング砲を撃ち込んだ。
放たれた無数の弾丸がほとんど距離を空けずして、白い素体を切り刻んでいく。
「はぁあ、ゾクゾクする・・・・。この瞬間が、一番快感だわ・・・・・。熱で溶ける人工皮膚、弾け飛ぶ火花、粉々になる精密機器、絶望を孕んだ眼差し・・・・・、一度味わったら、二度と抜け出せないわ・・・・・。ふふふ・・・・あっはっはっはっは!!」
「ふざけるな!!!」
「?」
ギリギリと拳を握りしめながら、怒りを顕わにするトリスタン。
「どうしてそう簡単に、神姫の命を奪えるんだ!?仮にも・・・・・仲間じゃないのか?!仲間と思っていないのか!!」
《ふっ、何を言い出すかと思えば、君の神姫は随分と感情的だな、御堂拓真君》
《どちら様で?少なくとも俺の知り合いに、こんな悪い性格の神姫のオーナーはいないと思いますけど?》
《おっと私としたことが、すっかり忘れていたよ。初めまして。私は・・・・まあとりあえず、「ミスター・ウォー」とでも名乗っておこうか。其処の神姫、ソフィアのマスターでもある》
《そちらの神姫は大分偏った教育をされてきたみたいだな。トコトン歪んでいる》
《褒め言葉として受け取っておくとしよう。さて、見られてしまった以上、通報されるのも面倒だ・・・・・。ソフィ、「破壊しろ」》
「了解♪・・・・と言うわけで、死んで!!」
《回避、急げ!!トリスタン!!》
「言われなくとも!」
ソフィアが背中から放ったブーメランミサイルを、トリスタンは身を捻って躱しつつ、突撃銃で撃墜していく。
「へぇ、やるじゃん。なら、これはどう?」
ソフィアは両肩の砲身を展開すると、トリスタンが着地する瞬間を狙ってフォノンメーザーを発射する。
「ちぃっ!!」
トリスタンは咄嗟に上体を反らし、ギリギリで回避するも突撃銃が放たれた超音波によって粉々に砕け散った。
「よく躱せたわね。けどま、どうせ貴女もその銃みたいにバラバラになっちゃうんだから。大人しく受けて、楽になったら?」
「ふざけるな!誰が好きこのんで!」
トリスタンは両腰のホルスターから拳銃を抜いて連射するが、尽く装甲に弾かれる。
「無駄だというのに!」
「どうかな!?」
すると、着弾し続けた一カ所から装甲板に亀裂が入る。
「んなっ・・・・!」
「これで、フィニッシュ!!」
ダメ押しと言わんばかりに亀裂目掛けてグレネードランチャーを撃つトリスタン。シェルクリーパーの強固な装甲が砕け散った。
「やったか!?」
黒煙が晴れると、ソフィアは前面の装甲が半分吹っ飛ばされ、右腕は肘から先が無くなっていた。
「こいつ・・・・・・・。アンタだけは・・・・・アンタだけはぁあああ!!!」
ソフィアは眼を血走らせ、残った左腕のガトリングガンを乱射する。
《狙いが雑になってきたな。トリィ、止めだ!》
「了解!」
トリスタンは背中に担いだ“シュッツバルト・アンチ・マテリアル・バトルライフル”を構えると、腹部目掛けて一発、更に両脚にもう二発撃ち込んだ。銃弾は正確に関節を砕き、貫通する。
自重を支える手段を失ったソフィアはがっくりと膝を付き、そして倒れた。
「こん畜生・・・・・・!!!!」
「はあっ、はあっ、やったのか?」
《トリィ。これ以上この場に留まるのは危険だ。一度後退して、態勢を立て直すぞ》
「了解!」
トリスタンは周囲を警戒しつつ、暗闇の奥へ走っていった。


それから数分
《さてと。ソフィア、もう起きても良い頃合いだろう》
「はぁああ。やられる演技とか、悔しがる演技とか、ホンッと大変だったんだからね。関節だって、ホントに砕けるかと思っちゃった」
ミスター・ウォーが声を掛けると、機能を停止したはずのソフィアが不平を言いながら身を起こした。
《まあ、そう言うな。後でイナクトに乗せてやるから》
「そんなんで満足すると思う?ま、しちゃうけどさ♪」
彼女が顎のあたりを掴んで引っ張ると、軟質ラバー製の人工皮膚が伸びてはがされ、別の顔が表れた。
雪のように肌理の細やかな肌、芝生を思わせる緑の髪、どことなく虚ろ気な赤い瞳。ツガルタイプのソフィアだ。
《だが右腕ののガトリングは模擬戦用に減薬してあるし、当たっても大したダメージにはならないだろう?》
「左腕はHEAT(成形炸薬)弾装填だけどね。それよりはやく、シュベールトちょうだい♪」
《それより両脚と右腕の修理をしないとだろう?いくらシュベールトが空戦機だからって、アンバック無しでは使えんよ》
「はいほーい♪」
ソフィアはすぐ近くの鍾乳石に手を触れる。すると、床が開いてリペアスペースへの入り口が出現した。(このバトルでは一試合に一回だけ、修理と補給を受けるために使用できるのだ!)
「ふっふっふ、楽しみね・・・・・」
ソフィアの顔が地下へと消えていくその瞬間、彼女の口元は三日月の様に両端が吊り上がったのを、見たのは誰もいなかった・・・・・・。






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