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第九話:劣等姫



 次の日、俺と真那はOHMESTRADA社に来ていた。修理した神姫達は自分の鞄の中にしまい、とりあえずバレない様に上手くここまで来た。
「ここまで来ちゃったね……」
「ああ。……まずはその賞金をくれる所にいこう。そこから交渉の糸口を見つけるんだ」

 考えた事は実は特にない。何せこんな大きな会社の前に俺のような一般人が細かい事を取り決めする権利はないし、出来る事といえば交渉をすることだけだ。
 少なくとも紫貴を奪う。俺の目的はこの一つだけだ。
 後は……まぁ、知ったことじゃない事にしておこう。

「……行くぞ」

 俺は真那を促すとOHMESTRADA社の入り口に入った。
 入り口に入るとそこはOHMESTRADA社の作った最新鋭神姫であるHST型アークのデモンストレーション映像が流れる大型のテレビが並び、小規模ながらバトルブースも設置されているかなり開放的な空間になっている。
 どうもここは一階までは一般公開されており、自分たちの会社を知ってもらおうと必死になっているらしい。
 さらに紫貴の賞金騒ぎもあって一般人がたくさん行き交っている。彼らにとっては絶好の宣伝でもあるようでそのついでと言わんばかりにアークについての紹介を行っている。
 俺はそれに目もくれず、イーダ捕獲のイベントのブースへと足を運ぶ。そこはあまり騒ぎを起こされては困るための配慮なのか、入り口と打って変わってほとんど人が居らず、社員が少数いるだけの静かな空間だった。
 その少数の社員に近づいてみる。すると彼らは営業スマイルを浮かべて俺達を見てきた。

「どうなされましたか?」
「イーダを見つけました」

 俺は紫貴を取り出して彼らに見せた。その瞬間、社員達は一瞬の安堵の後、満面の笑みを浮かべて拍手を始めた。

「おめでとうございます! 賞金は貴方のものです!! ではイーダをこちらにお渡し頂けませんか?」
「いえ。賞金は要りません。代わりにイーダを下さい」

 イーダ発見に騒ぐ社員に俺が本題を切り出すと彼らは急に顔を真っ青にした。

「そ、それは出来ません」
「何故です? これはただのイベントではないのですか? 見た所、彼女はイリーガル仕様にはなっていない。僕が貰い受けた所で何の問題もないと思うのですが」
「まだ、未公開ですし……」
「こんなイベントを用意しておいて未公開はないですよ。先行入手と言う形でも取れませんかね? それとも、イーダには何か重要なデータがあるのですか? なら、他の企業にそれを売り渡す方がいいですかね? おっと、僕を捕まえようとしても無駄ですよ。すぐに他の者に警察にでも連絡させてちょっとした難癖をつけてもらう事にするので」
「それはその……」

 マニュアルにはない事だったのか、それ以上の事が出来ない型通りの社員達は焦り始めた。それもそうだ。まさか「百万円要らないからイーダをくれ」と言われるなど夢にも思わなかったに違いない。
 俺としても百万よりも神姫を取るというお馬鹿な選択をしたいとは思わない。何でこうなったのか、自分でもよくわからない。

「いいよ。持ってっちゃって」

 突然、第三者の声が響き渡る。社員を含めた全員がその声が聞こえる方向を見る。そこにはメガネに白衣を着た研究者と思しき男が不気味な薄ら笑いを浮かべながら立っていた。

「杉原博士!?」
「ああ。機密データは吸い上げちゃうからその辺は心配しないでちょ~よ。大丈夫大丈夫CSCは抜くつもりはないない。ボクの最高傑作を自分で壊すなんて事はしたくなんてにゃ~しね」

 随分と珍妙な口調だが、どうやらこの博士は紫貴のメモリから機密データを吸い上げてそのまま、俺にくれるらしい。

「でもさ。ただ渡すのも何か面白くない。つー訳でそこにいるボクの芸術品で邪魔なアークを倒してもらえるかい? 実はさぁ……」
 思ったよりもあっさり事が進んでよかったと俺は一安心しようと思っていた矢先、杉原はニヤリと笑って条件を突きつけてきた。
 それはライバル研究チームであるウエストラボラトリーにて製造されたアークプロトタイプを撃破すること、ひいてはイーダという製品の価値を会社に見せつける事でこちらの研究を進めるための足がかりを作れという事を意味している。

 ――やはりそう問屋は卸さない……か。

 俺は苦笑する。廃人探偵事務所の話じゃ……。

「博士! あれはあっちにしかないイリーガル技術を使った奴ですよ!? まだ挑戦する気なのですか!? 何度も負けているのに!!」

 社員達が大いに焦り始める。
 そう。アークは性能のリミッターを開放した状態であるイリーガル仕様なのである。単純に素体の性能を極限にまで改良するために身体の隅々に違法パーツを仕込まれており、通常の神姫に比べて力に際限が無い。

「いいじゃにゃいっすかぁ。あんなイリーガルで単純な腐れ外道にやられっぱなしって言うのもやだしね。それにオーナーが強ければもしかするといけるかもじゃない? ねぇ? デュアルオーダー君?」

 なんと杉原は俺が蒼貴と紫貴による双姫主をすぐに見抜いた。ふざけている割にこいつはかなり人を見ている。
 研究者としての眼力は確かなもののようだ。

「何でミコちゃんが双姫主なのがわかるの?」
「いやはや、お恥ずかしい。あのねぇ。お嬢ちゃん。何となく思ったんだよ。あのフブキとイーダ両方操っていたんじゃないかな、なんてさ。だって二姫共、この仏頂面のオーナー君にベタボレなのがよくわかるもの。ムフフ……」

 無茶苦茶気味の悪い笑いをしながら俺が双姫主である事を見抜いた理由を杉原は語る。研究者ともなるとこういう事がわかるのかと微妙に感心しておく事にした。
 ただ、ベタボレなのはよくわからん。ただ厳しくしていただけな気がするんだがな。

「さってぇ。じゃ、早いところ、準備しちゃおう! お二人様をボクの研究室にご招待~」

 杉原は何やらよくわからないポーズをとって一回転すると俺と真那を連れて自分の研究所へと向かった。
 とりあえず条件付きではあるが、紫貴を得ることが出来そうだ。……イリーガルアークがどれだけの性能を持っているのかが気になるが、構いやしない。
 どれほどの戦力差があろうと俺はそれを覆す。それしか戦い方が無いのだから。



「ん~。これで芸術品から機密データを抜き取れたよん。修理屋さんに頼んだようだけどちょっと規格外品じゃ無理があったみたいだからできなかったっぽいとこはちょちょいと調整しておいたよぃ」

 しばらく研究室で待っていると杉原は両手を大きく上げつつ、終わったとでも言いたげな顔をして俺たちを見た。そこには新品同様に蘇った紫貴の姿があった。

「準備は整ったな。紫貴。調子はどうだ?」
「オーナー。もう身体は大丈夫。でも……」
「……イリーガルアークか」

 俺が今回の事件の原因となった単語を言ってみる。

「……うん。私ね。いっつもその子に負けてばかりなんだ。だから商品化の計画が頓挫しちゃって私が解体されそうになって……」
「逃げ出してしまったのですね」
「……うん」

 後を引き継いで蒼貴がいった言葉になると紫貴が暗い気持ちになっていくのがよくわかる。結果を出さなければ始末される苦しみは相当のものだろう。
 杉原はそういう事を望んではいないようだが、会社の上層部は結果が出なければただの役立たずとしてしか見られなくなるようだ。
 全く……大人の世界ってのは迷惑な所だ。

「大丈夫だ。お前は強い。あの戦いを見た限り、ポテンシャルは相当のものだった。今までは結果っていう束縛があったからってだけだろ?」

 俺は紫貴を安心させるために頭を撫でてやった。そうすると彼女は顔を赤らめて嬉しそうな顔をする。

「それに何度も言っているだろ? 『戦いを決するのは戦力じゃなくて戦略だ』ってな」
「……はい!」

 その言葉を言った瞬間、紫貴の目に火が灯り始めた。これまでの戦いではこうした励ましがなかったのかもしれない。……確かにあんな奇天烈博士から応援をもらえるとは思えないがな。
 そういえば、何故、あの博士は拒否をしなかったのだろうか。一応の紫貴との付き合いもあったであろうにこうするとはあまりにも不自然だ。
 それにこれまでの展開が上手く出来すぎている。杉原は何かを隠している気がしてならなかった。
 俺が展開への不信感を考えていた様子を見たその奇天烈博士であらせられる杉原はニヤニヤと笑うと俺に近づいてきた。

「準備は出来たようだね。それじゃあ、移動しようか? 敵はさっき部下が騒いでくれていた通り、イリーガル仕様のアーク。簡単な改造で性能を上げた全くもって品が無いお馬鹿仕様だ」

 彼はイリーガルという言葉を口にするたびに何か不快そうな顔をした。どうにも杉原はイリーガルが嫌いでそれ以外の改造で性能を高める事を重視しているらしい。
 彼の口ぶりから察するにイリーガル改造はかなり簡単な方法であり、彼にとっては『品の無い』……つまりは面白くもなんとも無い改造であるようだ。
 俺が集めた情報によればイリーガル仕様というものは内部パーツを違法な物に変え、本体そのものを強化するというものならしい。
 しかし、杉原の場合は違法でない範囲で内部パーツの見直しと調整、高品質なCSCに躯体用の素材などの総合的な品質を引き上げ、よりまとまった単純な性能には留まらない調整をしている。これだけを見ても彼のこだわりは凄いものがある。
 俺としてもこうした職人芸というものが単純な違法に負けるというのは困る。紫貴のためというのが一番だが、こうした技を守るという意味でも勝つ必要があるだろう。

「それじゃ、付いて来て。もう手はずは整えてあるんだ。……これで最後になるんだがね」



 杉原に案内されて辿り着いた場所は神姫のバトルブースだった。それは神姫センターに置かれているものとは違い、様々な計器類が増設され、様々な特殊フィールドを形成で切る様になっている特別製の代物だった。
 ここで紫貴は毎日、テストバトルでイリーガルアークと戦っていたらしく、彼女の顔に少し怖れの顔が出始めている。

「何をグズグズしてんだ。そんなんじゃ、奴には勝てないぞ」
「う、うん……」
「ミコちゃん、そんな不安を煽るような事は……」
「今回は俺がついているんだ。前とは違う。自信を持て」
「……わかった。オーナーを信じて頑張る」

 叱咤し、今までとは状況が違うことを教えてやると紫貴は頷き、俺に応えるべく、気を引き締め直す。顔も何とか恐れを押さえ込んでいる。何とかなってくれたようだ。
 これならば戦いに望む事ができるだろう。

「改めてルールを説明させてもらうよん。勝負はアークとイーダの一騎打ち。ルールは一般のバトルロンドに準ずる」
「了解。敵の武装はイリーガル標準装備とアーク一式と見ていいんですか?」
「ああ。そうだよん。それと角による再生には注意してちょーよ。あれのせいでせっかくのダメージが治ってしまうんだ。それとこの戦いでイーダの本格的な量産の最後のチャンスだからね。勝てないと僕の芸術品が公に出せないから頑張ってほしいなぁ」
「……まぁ、努力させてもらいますよ」

 とりあえずまとめると敵は再生能力持ちであり、素体の性能も違法パーツに組み変えてあるため、どの点においても紫貴を上回る性能を有している。
 ルールは通常のバトルロンドと同じとなれば、何らかの隠れる場所もある。戦術的にはこちらに分があるはずだ。

「紫貴。行くぞ」
「はい!」

 俺の声と共に紫貴が戦闘フィールド内に入場する。彼女の視界に広がったのは寂れたゴーストタウンの空間だった。
 そこは車両型であるアークとイーダの双方の実力を十二分に発揮する事が出来る。互いにとって有利なこの空間では機体の特性がものをいう事になりそうだ。
 周りを見てみる。地面は舗装してから点検されずに放置され、何年か経っているかのように少し朽ちかけのアスファルトに覆われており、それと同じように周りの建物もボロボロで温かみも感じられない物になっている。
 しかし、形を保っているため、遮蔽物としては十分すぎるほどのものである。これは利用しない手はないだろう。
 さらに建物内部には色々と備品が残っている様子で建物全てに利用価値があった。これを使えばもしかすると距離を詰める布石として使えるかもしれない。

 ――後は相手の出方次第……か。

 俺は作戦の思案を追え、相手側のゲートを見据える。その直後、それが開いて何かの影がこちらに歩みを進めているのが見えた。
 そうしているのは燃える様な赤いトライクとイリーガルの象徴である角をその身に纏い、桜色の髪をなびかせながら、気の強そうな青の目で紫貴を睨む神姫――アークだった。

「どんな面下げてノコノコ戻ってきたと思えば何? その顔は? オーナーなんてものとつるめば私に勝てると思っている訳?」
「……思ってる。オーナーは教えてくれたの。本当の意味での戦う術を」

 アークが出会い頭に紫貴を見下すかの様な目を向ける。イリーガルとしての性能に酔いしれている事がよくわかる典型的な態度だった。
 紫貴はいつも受けていたであろうその態度に屈さなかった。後が無い背水の陣になったからか、俺が励ましたからかはわからんが、何とか精神が折れずに済んだ。

「本当の意味? ……笑わせないでちょうだい。戦場では性能が全て。より強く、より効率的に敵を倒すには優れた武器があれば可能なのよ。指揮なんてあってもなくても同じ。最終的には自分自身で戦わなきゃならないんだから。あんたの様な失敗作は一生、私に勝つことなんて不可能よ。大人しく負けてバラされなさい。あんたがそうして地面に立っている事がどれだけここの負担になっているのかわからない訳じゃないでしょう?」
「それは……」

 紫貴はアークの言葉に口ごもってしまった。確かに紫貴には開発費、テスト費、今回の事件などの賞金などのその他費用がかかっている。
 それはどうしようもなく膨大な時間と金を彼女がもたらすであろう対価を求めて賭けた事になる。
 しかし、紫貴はそれに応える事は出来なかった。だからOMESTRADA社は見限り、研究チームを解体し、その際に紫貴も解体、回収をしようとしたのだろう。
 ただ、その時に彼女は脱走したため、この最後のチャンスが偶発的に生じた。脱走事件によってどれだけ紫貴が有能なのかが見直された結果なのかもしれない。
 しかし、それが対価になっているかといえばアークの口調からしてNOの様である。
 だからアークは紫貴を倒せると思っている。紫貴が企業に認められていない故に弱いと確信じみた考えをしている。
 詰まる所、アークにとって企業というものが絶対的であり、認められているという事そのものを絶対的な自信としているのである。

「……なるほどな」
「あら? 貴方がこの失敗作のオーナーさん? こんなのよりもHST型アークをお求めになりませんか? 社内価格であれば安くできると思いますよ? 性能は今からご覧に入れて見せましょう」

 俺がアークの思考を見切っていると彼女が俺に話しかけてきた。随分と慇懃無礼な口調はかなり癇に障る。

「黙れ」
「なっ!?」
「お前の実力の根源は会社って事はよくわかった。だが正直、あんたの言い草は下らねぇ。上に尻尾を振って、それから貰った甘い汁に酔いしれて威張り散らす様は虎の威を狩る狐と変わらねぇよ」
「我が社を侮辱する気!? それだけは許さないわよ!!」

 俺がアークの性格をストレートに現した言葉を次々と彼女にぶつけると俺に対して営業スマイルという表情という名のメッキが一気に剥がれ落ちた。
 そこから現れたのは憤怒という名の業の顔だ。

「誰もお前の会社は馬鹿にしてねぇ。あくまでお前だ。イリーガルの狐さんよ。お前から会社を抜いたら何が残るんだ?」
「……いいでしょう。そこのイーダがスクラップになる様をよく拝む事ね。私の性能をその腐り切った目に焼付けるがいいわ」
「そうか。……やれるならやってみるんだな。企業の狐」
「……言ってろ!」

 挑発を重ねると、痺れを切らしたアークが激昂しながら紫貴にレーザーキャノンをいきなり放った。放たれたレーザーはルナの使うそれ以上の出力で放射され、極太の光の帯を作り出し、紫貴に襲い掛かった。

「紫貴。左へ回避しつつ、エクステンドで反撃」
「うん」

 俺を信じている紫貴は俺の言葉通り、素早く左へ回避する。
 アークのレーザーキャノンの照準はいきなり撃ったのもあってかなり雑だった。それ故に砲身による射撃予測が簡単であり、紫貴はレーザーキャノンの回避に成功した。

「バカな!?」

 一撃で終わると思っていたらしいアークは回避された事に驚愕の表情を見せる。
 この様子だと紫貴はあっさり負けるケースが多かったらしい。それは恐らくイリーガル出力によるこのレーザーなど表面上のことに恐怖していたのだろう。
 確かに当たれば怖いが、当たらなければどうという事はない。
 その直後、アサルトカービンによる狙撃がアークに対して放たれる。
 紫貴によってしっかりターゲッティングされて導かれた銃弾は油断し、無防備となっているアークの腹部を穿ち、彼女にダメージを与えた。

「ぐぁぁっ!? ……やってくれるじゃない」

 紫貴をナメていたアークは腹部のダメージを頭頂部に装備されたユニホーンによる自己再生で修復を始めた。
 穿たれた箇所が見る見るうちに塞がれていき、しばらくすると何事もなかったかのように傷が消え失せる。

「なるほど。あれが自己再生能力か。……さて、紫貴。イーダとはどういうものか教えてやろうじゃないか。この狐によ」
「うん。頑張る」
「その意気だ。行くぞ!」






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