第八間幕。
ライトがゆっくりと明るさを強めていく。
ライトがゆっくりと明るさを強めていく。
中央に置かれた木製のテーブル。その上に置かれたソファに座る、先ほどとは髪型もスーツカラーも違うフェスタとルクス。何らかを楽しげに話していた二人であるが、ふとこちらに気付く。
ルクス、先に立ち上がって恭しくフェスタを手で引き起こす。フェスタ、ドレスの裾を持つようなジェスチャーを交えて立ち上がると、手に持っていた銀色のカチューシャを頭に付け直して仰々しく一礼。
ルクス、先に立ち上がって恭しくフェスタを手で引き起こす。フェスタ、ドレスの裾を持つようなジェスチャーを交えて立ち上がると、手に持っていた銀色のカチューシャを頭に付け直して仰々しく一礼。
フェスタ「こんにちは。お久しぶりのフェスタです」
ルクス「同じくルクスです。2036の風、第八幕をご覧頂き、ありがとうございます」
ルクス「同じくルクスです。2036の風、第八幕をご覧頂き、ありがとうございます」
二人、ゆっくりとソファに座る。
ライト、照り返しが弱くなり、テーブルだけが浮かび上がる。
ライト、照り返しが弱くなり、テーブルだけが浮かび上がる。
ルクス「姉様とお会いした時です」
フェスタ「うん、懐かしいな・・・とてもうれしかった」
ルクス「はい。12月でした・・・2036年も残り少なくなっていました」
フェスタ「そうだね。私達は一月に一度はあのデパートに行ってたけど・・・えっと?」
ルクス「私とマスターは初めて足を運んだ時です。今もまだ、二度しか行った事が無い事を考えれば、偶然というのも躊躇う確立でお会いした事になります」
フェスタ「・・・そうかな?」
フェスタ「うん、懐かしいな・・・とてもうれしかった」
ルクス「はい。12月でした・・・2036年も残り少なくなっていました」
フェスタ「そうだね。私達は一月に一度はあのデパートに行ってたけど・・・えっと?」
ルクス「私とマスターは初めて足を運んだ時です。今もまだ、二度しか行った事が無い事を考えれば、偶然というのも躊躇う確立でお会いした事になります」
フェスタ「・・・そうかな?」
フェスタ、ちらりっと流し目でルクスを見やる。ルクス、不思議そうに首を傾げる。
ルクス「姉様?」
フェスタ「ねぇ、ルクス? 『偶然』だって思ってる? 今も」
ルクス「・・・。・・・いえ、そうですね」
フェスタ「ねぇ、ルクス? 『偶然』だって思ってる? 今も」
ルクス「・・・。・・・いえ、そうですね」
ルクス、敵わないと言いたげに肩をすくませると小さく笑う。フェスタ、にっこりと笑ってみせる。
ライト、少し暗く。
ライト、少し暗く。
ルクス「『神姫とは単一のオーナーしか持つ事が出来ず、対するオーナーはその神姫の所有権を持つ』」
フェスタ「そうだね」
ルクス「ならば・・・神姫は一代限りの物。全てはオーナーの意志に従うべきなんでしょうか」
フェスタ「・・・夢。神姫が未来に描く事が出来る、小さな、けど。確かな物」
フェスタ「そうだね」
ルクス「ならば・・・神姫は一代限りの物。全てはオーナーの意志に従うべきなんでしょうか」
フェスタ「・・・夢。神姫が未来に描く事が出来る、小さな、けど。確かな物」
フェスタ、優しげに胸の前で手を合わせる。ルクス、その姿を銀色の瞳に映し、やがて。目を瞑る。
ルクス「小さな我ら。出来ることもまた小さいかもしれません」
フェスタ「だけど、夢に向かう事はきっと・・・小さくない」
ルクス「はい。確かに」
フェスタ「うん、決して小さくなんてない。とてもとても、ステキな事だと思うな」
フェスタ「だけど、夢に向かう事はきっと・・・小さくない」
ルクス「はい。確かに」
フェスタ「うん、決して小さくなんてない。とてもとても、ステキな事だと思うな」
ライト、更に暗く。ふっと、二人が悲しげな表情を浮かべる。
フェスタ「・・・夢に向かって頑張る力。夢に向かって歩く想い。夢を描いて空を見上げる瞳・・・」
ルクス「それらは。夢の中に逃げ込み、心を塞ぐ事とは違う事・・・」
フェスタ「夢に逃げないで・・・夢を見ることで逃げ続けないで! それは夢を描く事とは違う!」
ルクス「それらは。夢の中に逃げ込み、心を塞ぐ事とは違う事・・・」
フェスタ「夢に逃げないで・・・夢を見ることで逃げ続けないで! それは夢を描く事とは違う!」
フェスタ、涙を浮かべ、首を振りながら大きな声で言う。
それを見て、しばし沈黙していたルクス、瞳をこっちに真っ直ぐ向ける。
それを見て、しばし沈黙していたルクス、瞳をこっちに真っ直ぐ向ける。
ルクス「それでは皆様。いつかまたお会いします・・・」
フェスタ「・・・あと四幕。最後までお付き合い下されば幸いです・・・」
フェスタ「・・・あと四幕。最後までお付き合い下されば幸いです・・・」
ライト消灯。
・・・。
ふっと、スポットライト点灯。
がらんとした舞台。冷たい色の、どこかの廊下。
その光の中心には、いつしかの・・・種。
芽を出す気配は。
未だ、無い・・・。
ふっと、スポットライト点灯。
がらんとした舞台。冷たい色の、どこかの廊下。
その光の中心には、いつしかの・・・種。
芽を出す気配は。
未だ、無い・・・。
消灯。
第八幕。了。