「相変わらず、ずいぶんなお祭り騒ぎだね~」
「参加している当人がしみじみと言わないで下さい」
鳳凰杯1日目、修也とリュミエはそんな会話を交わしながら、会場を歩いていた。
「でも、今年はずいぶんと活気がありますよね~」
主人と似たような言い回しをしているのに気付いているのかいないのか、そんなリュミエに苦笑しながら、修也も言う。
「ま、参加者の立場になってみて、そう感じるだけかもしれないけどな」
「そうですね」
彼らが鳳凰杯そのものに参加するのは、今回がはじめてだ。過去に何度か観に来たことはあったが。
「あ、マスター、あそこ」
「ん?」
リュミエの視線の先を、修也も見る。
「鶴畑興紀さんですよ。参加するんでしょうか?」
「参加もなにも・・・・・・。優勝候補の一角だぞ」
「サイン、もらえないでしょうか?」
「・・・・・・あのなあ」
おまえが一番はしゃいでるんじゃないか、と心の中で突っ込んだ修也は、
「っと」
時計を見て、そろそろ時間が近いことに気付く。
「出番だ、バレットエンジェル」
「はい」
その呼びかけを受け、リュミエも応える。
「参加している当人がしみじみと言わないで下さい」
鳳凰杯1日目、修也とリュミエはそんな会話を交わしながら、会場を歩いていた。
「でも、今年はずいぶんと活気がありますよね~」
主人と似たような言い回しをしているのに気付いているのかいないのか、そんなリュミエに苦笑しながら、修也も言う。
「ま、参加者の立場になってみて、そう感じるだけかもしれないけどな」
「そうですね」
彼らが鳳凰杯そのものに参加するのは、今回がはじめてだ。過去に何度か観に来たことはあったが。
「あ、マスター、あそこ」
「ん?」
リュミエの視線の先を、修也も見る。
「鶴畑興紀さんですよ。参加するんでしょうか?」
「参加もなにも・・・・・・。優勝候補の一角だぞ」
「サイン、もらえないでしょうか?」
「・・・・・・あのなあ」
おまえが一番はしゃいでるんじゃないか、と心の中で突っ込んだ修也は、
「っと」
時計を見て、そろそろ時間が近いことに気付く。
「出番だ、バレットエンジェル」
「はい」
その呼びかけを受け、リュミエも応える。
「異常はないか?」
「ええ、全て良好、オールグリーンですよ、マスター」
バーチャルフィールド内のリュミエは、修也の言葉にそう答えた。
「吹き上がりも最高です。一気にアフターバーナー全開まで持っていけますよ!」
珍しくテンションが高い。久しぶりの大規模な大会で、かなり興奮しているらしい。
「さすが、かすみ達が造っただけのことはあるな」
修也もうなずく。と、
(・・・・・・そういや、あいつ昨日はいなかったけど)
ふと、そんな事を思い出す。が、とりあえず置いておく。
「だけど、最初から飛ばしすぎるなよ?」
やや興奮気味のリュミエに、釘を刺す。
「燃料の積載量は落ちてるんだ。調子に乗ると、すぐなくなるぞ」
「はい、わかってます」
答えるリュミエの背には、主翼下に推進器付きランディングギア、バインダーに強化型エクステンドブースターを搭載したフライトユニットが装備されている。
もともと単純な戦法なのだから、思い切り単純にすればいい。そう考えて構成した、なんの捻りもない装備だった。ただ、その推進力は倍増されているのだが。
そしてリュミエ本体には、右手首のライトセーバーとハンドガンだけを装備し、あとはヘッドセンサー・アネーロも、シールドも、胸部アーマーも付けていない。
完全な「一撃必殺」の装備だった。
「・・・・・・はじまるぞ」
「はい」
ジャッジAIが、試合開始を告げる。
その瞬間、リュミエは弾丸と化し、空を切り裂いた。
「ええ、全て良好、オールグリーンですよ、マスター」
バーチャルフィールド内のリュミエは、修也の言葉にそう答えた。
「吹き上がりも最高です。一気にアフターバーナー全開まで持っていけますよ!」
珍しくテンションが高い。久しぶりの大規模な大会で、かなり興奮しているらしい。
「さすが、かすみ達が造っただけのことはあるな」
修也もうなずく。と、
(・・・・・・そういや、あいつ昨日はいなかったけど)
ふと、そんな事を思い出す。が、とりあえず置いておく。
「だけど、最初から飛ばしすぎるなよ?」
やや興奮気味のリュミエに、釘を刺す。
「燃料の積載量は落ちてるんだ。調子に乗ると、すぐなくなるぞ」
「はい、わかってます」
答えるリュミエの背には、主翼下に推進器付きランディングギア、バインダーに強化型エクステンドブースターを搭載したフライトユニットが装備されている。
もともと単純な戦法なのだから、思い切り単純にすればいい。そう考えて構成した、なんの捻りもない装備だった。ただ、その推進力は倍増されているのだが。
そしてリュミエ本体には、右手首のライトセーバーとハンドガンだけを装備し、あとはヘッドセンサー・アネーロも、シールドも、胸部アーマーも付けていない。
完全な「一撃必殺」の装備だった。
「・・・・・・はじまるぞ」
「はい」
ジャッジAIが、試合開始を告げる。
その瞬間、リュミエは弾丸と化し、空を切り裂いた。
5.7秒。一回戦と二回戦の、リュミエの試合時間の合計である。
これがあまり知られていない人間だとちょっとした騒ぎくらいにはなるのだろうが、あいにく修也とリュミエは古参には案外名が通っていたりするので、あまり注目されることはなかった。
「勝ち上がってきてるのは、と・・・・・・。お、『鋼帝』がいるじゃんか。あとは例によって鶴畑興紀と、あれ、弟もか」
そんなふうに呟きながら、修也はふと、ブースの一角を見る。
(・・・・・・喉、渇いたな)
足を向けたのは、喫茶店「LEN]のブース。
これがあまり知られていない人間だとちょっとした騒ぎくらいにはなるのだろうが、あいにく修也とリュミエは古参には案外名が通っていたりするので、あまり注目されることはなかった。
「勝ち上がってきてるのは、と・・・・・・。お、『鋼帝』がいるじゃんか。あとは例によって鶴畑興紀と、あれ、弟もか」
そんなふうに呟きながら、修也はふと、ブースの一角を見る。
(・・・・・・喉、渇いたな)
足を向けたのは、喫茶店「LEN]のブース。
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