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第十三話 脱出


  基地内は静かだった。あれだけ歩き回っていた人間がまばらだ。ほとんどの人員は飛行船の作戦司令室に陣取っているのだろう。脱出行は難なく完遂できそうだった。
  ただ、外からいくつもの飛行船のエンジン音がくぐもって響いてきていた。まだ隊列を整えている最中だが、発進が始まったら時間を経るにつれて撃破は面倒になってゆく。
  一隻たりとも逃してはいけない。絶対に、神姫と人間とを戦わせてはならない。神姫は人間の敵になるために生まれてきたのではない。人の隣にいるための存在なのだ。人の社会の、世界の、空間の隣に神姫のそれがある。そういう世界が始まっているし、おのずとやってくる。それをノウマンはあさっての方向にぶん投げようとしている。
  結果的にノウマンは人間の敵だった。彼自身が気づいていない、無意識下の敵。彼自身は神姫のためを思ってやっている。だからといって人間側のことを考えていないわけでもない。ただ、神姫のためを思うあまりに人間がおろそかになっている。
  たとえるなら悪魔の善意だった。悪魔は悪意をもって人に仇なすのではない。悪魔には善意しかない。悪魔の善意すなわち悪意なのである。彼は自分が大変なことをしでかそうとしていると気づいていない。いや、気づけない。自分のやっていることはひたすら善意なのだから。良かれと思ってやっていることなのだから。そして、ノウマンは彼の知らないうちに神姫の敵にもなろうとしていた。彼の行動は神姫にとってありがた迷惑になっている。それを彼は気づいていないだけだ。ほとんどの神姫も、彼のそれが結果自分たちの未来を一方向に狭めることを知らない。知っていたとしても、今どうにかできるのは、自分だけだ。
  自分、悪魔型というのもけったいな存在だ、とクエンティンは思った。悪魔型は悪魔を模しながら悪魔そのものではない。なぜなら悪魔の善意が悪意であることを知っているからだ。本物の悪魔は自分の善意が悪意であることを知らない。指摘されても気づかない。気質的に気づきようが無い。それが悪魔。
  悪魔型とは悪魔の器質を持ちながらその器質を客観的に観察することのできるタイプであった。だからノウマンの考えの奥底にある彼自身も知らない無意識の欲動も分かるのだった。
  まあ、同じ悪魔型でもここまで深く洞察することはできないと思われる。なにしろ自分はちょっとおかしい。おかしい、という言い方はマジョリティの見方であるが。あるいは一歩進んだ、いや進んでしまったタイプなのかもしれない。本を読みまくって知識を貪欲し、自分とは何かを考える神姫。自分の存在に疑問を持つ、自分。きっとそれはひとつ先の神姫の姿なのかもしれない。エイダと融合したりして、それが強力に現出したのだ。

《その角を右です》

  エイダのナビゲーションが頭の中から聞こえる。
  怪しまれないように、一仕事を終えて帰ってきた虎の子であるというすました表情で、ごく自然に通路を行く。あとはこの角を曲がってまっすぐ行けば営倉だった。

《気づかれてない?》
《ノウマン以下造反組には気づかれていません。情報遮断、およびデコイは完璧に作動しています》

  デコイ。帰り際にドライバのインストールが終わったサブウェポン。精巧な質量を持った残像を発生させる。中心にはビットが配置され、ある程度の移動ができるし、ちょっとした仕草もとれる。。それで整備室の整備班をだましている。スキャナにかけられてもバレない。完璧だ。ただあまり時間が無い。ビットのエネルギーが切れたら即座にバレる。
  営倉入り口に看守が二名いた。今の自分ならぶちのめすこともできる。だがそれはやらない。やってはならない。人間と戦ってはいけない。自分も守らねばならない、それは。
  消火装置の中に隠れて、壁に手をつく。エイダが処理を開始する。

《付近の通信ネットをハッキングします。ハッキング完了。看守の通信網に割り込みます》

  すると入り口の二名の看守が同時に片方の耳を押さえた。エイダが偽の通信をかけているのだ。ご丁寧に彼らの上司の声をまねて。
  二人は頷き合うと持ち場を離れ、先ほどクエンティンが来た通路を曲がって行ってしまった。

《営倉内部に看守はいません。行けます》
《最高》

  消化装置からそっと出て、入り口へ。
  電子ロックを難なく解除。エイダがセンサーや監視カメラをハッキングし続けているから大胆に真ん中をふわふわと進む。左右に十個ずつ、壁と一体化しているドアがあり、右の七番目が鶴畑三兄妹、隣の八番目が理音だった。
  クエンティンは真っ先に八番目のドアを開けた。
  薄暗い明かり。やつれた顔がこちらを向いた。いや、もともとやつれ気味だったのだけれど、それがちょっと目立ってきたみたいだ。

「お姉さま!」

  思わず叫んで、理音の胸に飛び込んだ。エイダがしっかり音声センサーもハッキングしていなければ、気づかれていただろう。
  パジャマ姿のままの理音はしばし目を見開いていたが、ふう、とため息をつくと、豊満な胸元にうずまっている妹分をそっと抱きしめた。

「おかえり、クエンティン」

  ああ、お姉さまは変わっていない。クエンティンは心のつっかえが取れたような気がした。理音はずっと自分のことを信じていたのだ。

「ルシフェルを撃退したって聞かされたときには、ちょっと心配になったけどね」
「あ、あれはしょうがなかったのよ。あのバカ何にも考えずにやってくるんだから」
「分かってる。大変だったでしょう」

  そう言って理音はもう一度ぎゅっと抱きしめてくれた。クエンティンの体の突起が肌に刺さってもかまわなかった。
  クエンティンは思わず泣き出しそうになった。

「さ、さあ! 帰りましょ! 時間が無いわ」

  慌てて理音から離れる。

「ふふ、そうね」

  理音の微笑。相変わらずのんきな顔。いつものお姉さまだ。クエンティンは安心した。
  通路に出て、うっかり三兄妹を忘れそうになって慌ててドアを開ける。興紀はクエンティンを見てしばらく警戒していた。まあ、仕方が無いだろう。
  目が合って一番、

「お前は人類の味方なのか」

  と訊いてきた。
  クエンティンは、

「誰の味方でもない。アタシは神姫の未来を邪魔する壁を取り除こうとしてるだけ」

  と言ってやった。どうとも取れる表現だから、興紀はさぞや混乱しただろう。何しろ当の神姫は自分らを脱出させるためにエスコートしているのだから。
  廊下がいきなり真っ赤になった。けたたましいアラームが鼓膜をびっくりさせる。

『デコイのエネルギー切れです。気づかれました。脱出ルートに変更はありません。急いでください』
「ほらほら、のんびりしてる場合じゃない! ついてきて!」

  くるりと反転してクエンティンは飛ぶ。青白いエネルギーの残滓が引かれる。理音たちにはクエンティンがまるで妖精のように見えた。


つづく







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