その名はシュートレイ エピローグ
大会が終わり、恒一とシュートレイは神姫のメンテナンスルーム前の椅子に座っている芳治に声をかけた。
「どうだ、ヨツンの容態は」
しかし芳治の表情は険しかった。
「…研究所でボディを取り替えることになった。幸い中枢部は無事だったが」
どうやらさっきの試合でヨツンに無理をしてしまった事を悔やんでいる様子だった。
「私はヨツンの、いや、神姫のパートナーになる資格はないのかもしれない。彼女が全快したら二度と試合に出さないつもりだ。そして彼女を他のオーナーに渡そうと思う」
「それでいいんですか?」
神姫から離れようとしている芳治に、シュートレイはそれを止めた。
「あの時、ヨツンさんは最後まで諦めずに闘いました。身体がボロボロになっても私と闘ったんです。そんなヨツンさんの気持ちを分からないままあなたは止めてしまうんですか?もしヨツンさんがそれを聞いたら、きっと悲しむと思います」
「こいつの言うとおりだ。お前、こんな形で逃げたら今まで闘ってきた奴らに申し訳ないんじゃないのか?それにヨツンもそれを望んではいないはずだ。お前がそんな調子じゃヨツンに笑われるぞ」
恒一達の言葉に反応して、芳治は重々しく口を開いた。
「そうだったな…。他の神姫やオーナーも私を目標にして闘ってきたはずだ。目標の私がこんな所で戯言を言うわけにはいけないな」
「そうだ、俺もシュートレイもお前のことを目標の一つにしてきたからな。だから今度は俺を目標にして頑張ればいい。それが今の俺が言えるアドバイスだ」
恒一は芳治の肩を叩いた。
「ありがとう、これで私も立ち直る事が出来た。そして今度は君に負けないように精進するつもりだ」
お礼を言い、恒一に対して握手をする芳治。もはや彼には迷いも後悔もなかった。
「ヨツンのそばに居てあげないといけないので、私はこれで失礼するよ。だが、これからが大変だぞ。地方とはいえ大会に優勝した君達は、全国の強敵たちに目を付けられる形になった。でも心配ないだろう、この私とヨツンを負かした君達だ、その心意気がある限りどんな強敵にも立ち向かえると信じているよ」
そう言い残して芳治はメンテナンスルームに入った。
「あの人もトラウマを持っていたのかもしれませんね」
「今まで神姫界で頂点に立っていた男だ、それくらいあって当然さ。人は挫折を味わってこそ強くなる事が出来る、か…」
恒一達も会場を後にした。帰り道、恒一は肩に座っているシュートレイにこれからの事を語り始めた。
「さて、これからが大変だな。今まで無名だった俺たちが大会で優勝したんだ、全国の強敵が俺達をマークしてくるぞ」
「そうですね、私たちも気を引き締めてがんばらないと」
シュートレイは両手をグーにしてがんばるポーズをした。
「さあ、今から次の大会に向けて練習するぞ!」
恒一は次の大会のことで頭がいっぱいだ。しかしシュートレイはこんなことを言ってきた。
「隊長、その前にやらなければならないことがあるはずです」
「え?何だよ?」
「忘れてたとは言わせませんよ、二週間後の期末テストの事です。母上からも言われているじゃないですか」
それを聞いた恒一の顔が一転して困った顔になった。
「そ、そうだったかなぁ…」
「さあ、今日から必死になって勉強するんです。訓練だって必死でやってきたんだから出来ないわけないんです!」
恒一の表情がますます険しくなった。
『まさかこんな事を言ってくるとはな…。こいつ、母さんに何を吹き込まれたんだ?』
「私も手伝いますから、がんばって高得点を狙いましょう!」
どうやら恒一の強敵は神姫オーナーじゃなくて勉強のようだ…。
「どうだ、ヨツンの容態は」
しかし芳治の表情は険しかった。
「…研究所でボディを取り替えることになった。幸い中枢部は無事だったが」
どうやらさっきの試合でヨツンに無理をしてしまった事を悔やんでいる様子だった。
「私はヨツンの、いや、神姫のパートナーになる資格はないのかもしれない。彼女が全快したら二度と試合に出さないつもりだ。そして彼女を他のオーナーに渡そうと思う」
「それでいいんですか?」
神姫から離れようとしている芳治に、シュートレイはそれを止めた。
「あの時、ヨツンさんは最後まで諦めずに闘いました。身体がボロボロになっても私と闘ったんです。そんなヨツンさんの気持ちを分からないままあなたは止めてしまうんですか?もしヨツンさんがそれを聞いたら、きっと悲しむと思います」
「こいつの言うとおりだ。お前、こんな形で逃げたら今まで闘ってきた奴らに申し訳ないんじゃないのか?それにヨツンもそれを望んではいないはずだ。お前がそんな調子じゃヨツンに笑われるぞ」
恒一達の言葉に反応して、芳治は重々しく口を開いた。
「そうだったな…。他の神姫やオーナーも私を目標にして闘ってきたはずだ。目標の私がこんな所で戯言を言うわけにはいけないな」
「そうだ、俺もシュートレイもお前のことを目標の一つにしてきたからな。だから今度は俺を目標にして頑張ればいい。それが今の俺が言えるアドバイスだ」
恒一は芳治の肩を叩いた。
「ありがとう、これで私も立ち直る事が出来た。そして今度は君に負けないように精進するつもりだ」
お礼を言い、恒一に対して握手をする芳治。もはや彼には迷いも後悔もなかった。
「ヨツンのそばに居てあげないといけないので、私はこれで失礼するよ。だが、これからが大変だぞ。地方とはいえ大会に優勝した君達は、全国の強敵たちに目を付けられる形になった。でも心配ないだろう、この私とヨツンを負かした君達だ、その心意気がある限りどんな強敵にも立ち向かえると信じているよ」
そう言い残して芳治はメンテナンスルームに入った。
「あの人もトラウマを持っていたのかもしれませんね」
「今まで神姫界で頂点に立っていた男だ、それくらいあって当然さ。人は挫折を味わってこそ強くなる事が出来る、か…」
恒一達も会場を後にした。帰り道、恒一は肩に座っているシュートレイにこれからの事を語り始めた。
「さて、これからが大変だな。今まで無名だった俺たちが大会で優勝したんだ、全国の強敵が俺達をマークしてくるぞ」
「そうですね、私たちも気を引き締めてがんばらないと」
シュートレイは両手をグーにしてがんばるポーズをした。
「さあ、今から次の大会に向けて練習するぞ!」
恒一は次の大会のことで頭がいっぱいだ。しかしシュートレイはこんなことを言ってきた。
「隊長、その前にやらなければならないことがあるはずです」
「え?何だよ?」
「忘れてたとは言わせませんよ、二週間後の期末テストの事です。母上からも言われているじゃないですか」
それを聞いた恒一の顔が一転して困った顔になった。
「そ、そうだったかなぁ…」
「さあ、今日から必死になって勉強するんです。訓練だって必死でやってきたんだから出来ないわけないんです!」
恒一の表情がますます険しくなった。
『まさかこんな事を言ってくるとはな…。こいつ、母さんに何を吹き込まれたんだ?』
「私も手伝いますから、がんばって高得点を狙いましょう!」
どうやら恒一の強敵は神姫オーナーじゃなくて勉強のようだ…。