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BGM:Follow/Incubus(Halo2 Original soundtrack and new music volume oneより)

戦況再変~戦術再考

1303時 諸島沖合 B3甲板上(VR空間)

  一瞬マイティは何が起こったのかわからなかった。
  B3の黒曜石色の甲板に降り立った途端、何の前触れもなく世界がぐらりと傾いだ。目がくらんだ。強烈な寒気が全身を襲った。
  次に気づくと視界いっぱいに甲板の黒が広がっていた。耳の中でごうごうとくぐもった嵐が吹きすさび、その奥で誰かが自分を呼びかける声がする。チェストフライトの四番機、ハウリンのオービルだろうか。彼女は帰投してきた飛行隊員やB3に立ち寄ったブルーチームメンバーの補給や修理のために甲板に立っていたのだ。ユーティリティーポーチを縫い合わせて形作ったメイド服を着て。
  体が動かない。声も出せない。
  頭の中に直接マスターが自分の名を叫ぶ。応答できない。
  そのまま意識がフェードアウト。

1310時

  最初に感じたのは太陽のまぶしさだった。直射日光の熱まで再現してある。どこまでリアルなんだろう、このバーチャルリアリティは。
「マイティ!」
  自分の頭を膝の上に乗せて顔を覗き込んでいたのはシエンだった。
  マイティはそれで、ああ、私は意識を失っていたのかと知った。
  彼女の装備は全部取り外され、傍らに並べられている。
  自分らと同じくB3に一時帰投していた飛行隊の面々がマイティを囲んでいた。
「大丈夫、陽電子頭脳の疲労が蓄積して、強制スリープモードになっていただけです」
  オービルと一緒にマイティの装備を点検しているシヅが言った。危険なのでVR接続の解除はしなかったとのことだった。
『マイティ、気分は悪くないか』
  疲れきったマスターの声だった。マイティを心配していたのだ。
疲れ。そう、自分は疲れていた。実感をはるかに越えて。それにまったく気がつかないほど激しい戦闘。三百六十度前方向に注意を向けながら、敵を撃ち、攻撃を避けなければならない。シロにゃんも索敵に手一杯でマイティ自身のコンディションを把握する暇がなかったのだ。
  せっかくマスターが教えてくれていたのに。
「マスター、ごめんなさい・・・・・・」
『いいさ。俺ももっと早く気づいていればよかったんだ』
  マイティは申しわけない気持ちでいっぱいになった。
「そうだ、戦況は!?」
  そんな場合でもなかろうに、マイティははっとしてシヅに訊いた。
  そのまま何事もなく順調に押しているとマイティは思っていた。赤青双方すべての戦力が島の上で戦っているのだ。自分のいる間に新しいカードの使用もなかったから、ブルーチームの優勢が揺らぐとは考えられなかった。
  が、シヅは神妙な口調で答えた。
「少し難しい状況です」
  時間はマイティの着艦直後にさかのぼる。

◆      ◆      ◆

1303時 B3甲板上(VR空間)

  目の前でマイティが昏倒したときは、ただつまづいたのかとスノーボウは思った。が、彼女はそのまま起き上がらない。装備を脱がせて横にさせると、顔色から陽電子頭脳の疲労がピークに達しているのが分かった。戦闘による緊張で気がついていなかったのだろう。普通のバトルにおいて過労で緊急スリープするなどありえない。スノーボウ自身でさえ、大規模長時間戦闘という前例の無い戦いに存外に手間取ったのだ。マイティのそれは推して知るべし、か。
  しばらく休ませれば大丈夫だ。スノーボウはふう、と息をついた。
「ねぇさま、笑ってる」
「え?」
  千乃に指摘されてはじめて、自分が安堵の表情を浮かべていることに気がついた。サレンフェイス(仏頂面)のTACネームを付けられるほどのこの自分が。
「さっきこの子と話しているときも嬉しそうだったよ。いつもより口数も全然多かったし」
「そうだったかしら」
「そうよう。わたしにはそんな顔ちっとも見せてくれないくせにー」
  そう言って千乃は頬を膨らませた。
  まだ経験の浅く幼い人格のくせに、よく私の戦闘機動についてこれる。千乃を見てスノーボウは思った。彼女に対する評価をあらためねばならない。
「五分後に再出撃。はしゃがずにちゃんと休みなさい」
「もー、わたしにも心配とかねぎらいの言葉とかくらいかけてよーっ」
  ぷんすかしている千乃を放っておいて、スノーボウは装備を解除しようとイジェクトプログラムを走らせた。
《緊急報告! 主戦域において新たな機影を確認した》
  B3の傍らに並んで飛行していたスカイアイから通信。
  イジェクトプログラムを中断。
《総数、五。諸島より飛び立つところをレーダーが捉えた。上空のチームメンバー数人も肉眼で確認している》
「こちらアームズ1。スカイアイ、援軍は航空支援カード?」
《いや、神姫だ。作戦開始からずっと隠れていたらしい。そのまま乱戦に合流して個体までは把握できていない》
  なるほど、そういうやり方か。スノーボウは冷徹に思った。
  たった五体の援軍。五体ぽっち加わったところでどうにかなるものではない。普通は。
《さらに情報。五体が参戦してからこちらの被撃墜数が増えだした。まずいぞ、このままのペースでは逆転される》
「了解。エルゴ飛行隊アームズフライトが戻る。そちらでも帰投した全メンバーに再出撃要請をしてほしい」
《了解。なるべく早く頼む》
  その五体はたぶん強い。しかし強いか弱いかというのは今、あまり関係がなかった。その五体以外の全員が、弾が尽きかけ、燃料が切れかけ、疲労が蓄積しているというのが問題だった。
  乱戦を続けている疲弊した二百体以上の神姫の只中で、ただその五体だけが絶好調なのだ。
  早く行かねばならない。
「アームズフライト、補給を完了し次第武装して集合」
「ええーっ!?」
  いちはやく千乃が抗議の声を上げた。
「仲間が危ない。援護に向かう。まだ戦っている飛行隊員もいるのよ」
「チェストフライトも出ますわ。待ちっぱなしは飽き飽きしていましたの。こことあのAWACSの護衛は戻っている人たちがいっぱいいるからかまわないでしょう?」
  飛行隊以外の神姫たちも集まって騒がしくなり始めた甲板を下目で一瞥しながら、チェスト二番機のツガル、パーシモンケープが立った。
「ビーキューブとオービルはこのままですけれど、わたくしとリッテはフルコンディションですわ」
《私も行く》
  飛行隊の通信空間に声が響いた。
  ぴっちりとした全身タイツのようなスーツに身を包んだ黒髪のアーンヴァルが片手を挙げていた。同型のマイティやスノーボウよりも白い肌だった。
  こんな近くなのにどうして通信回線を使うのかしらとスノーボウはちょっと疑問に思ったが、どうやら彼女は声帯(合成音声装置)が機能していないらしかった。
  彼女はレッグスフライトの四番機。ルゥンという名前だった。
「了解。では二分後に出撃する。千乃、二分だけ休ませてあげるわ」
「はーい」
  そしてきっかり二分後、B3から七体が出撃した。

◆      ◆      ◆

1306時 11番コンソールルーム

「マイティは無事なんだな?」
『ええ、ただ、接続解除はしないほうがいいでしょう。このまま休ませます』
「そうか、・・・・・・頼む」
  シヅの言葉に深くため息をついて、マスターは浮きかけた腰を落とした。それでもまだぐるぐると胸の中で心配が渦を巻いている。
  事件というのはいつも重なるものだな、とマスターはスポーツドリンクを胃に流し込みながら頭を掻いた。
  息を整えて画面を見る。B3の黒い甲板が俯瞰から見下ろされ、装備を外され仰向けに寝かされたマイティが中心に捉え続けられている。周囲には一時の休息を求めて立ち寄る神姫たちが増えはじめ、どこか宴会の様相を呈してきた。サイドボードにお菓子やお酒の類を入れて呼び出している一団もいる。なるほど、あんな使い方もあるのか、とマスターは感心した。
  それでも、先ほどまでのめまぐるしく変わり続ける戦場の真っ只中に比べればはるかに静かだった。
  マイティは苦しそうな表情をしていない。穏やかに眠っていた。
  戦場の方は出撃した飛行隊員に任せておけばなんとかなるかもしれない。
  そう思っていた矢先、更なる事件が舞い込んできた。
  ねここのオーナー、美砂から通信が来たのだ。
「どうした?」
『ねここが危ないんです!』
  彼女のねここはシューティングスターの燃料、弾薬の積載量が多いために、まだ戦場にいるのだ。
『援軍に追われてて・・・・・・。ああっ、当たった!?』
「大丈夫か!?」
『・・・・・・はい。なんとか逃げ続けていますが、そろそろ燃料が危ないんです。帰らせようと思ったら、例の援軍に目を付けられてしまって』
  地上から出撃した五体の神姫のことか。こちらの画面は戦場を映せない。マイティの周囲しか見られないのだ。
「さっきアームズフライト全員とチェストフライトの二人が出た。あと一分半だけでいい。逃げ続けてくれないか。申しわけないが、マイティはいま休ませなければならない。このまま出したら共倒れになってしまう」
『分かりました。一分半ですね?』
「ああ、こちらからも連絡しておく。本当にすまない」
『いいんです。一分半だけならなんとかなります。ありがとう』
  マイティが気を失っていることは伏せておいた。
  すぐにスノーボウに直接連絡し、スカイアイを通じてねここを助けてくれるように要請した。スノーボウは快く――表情は変わらなかったが――応じてくれた。
  戦況ゲージがついにイーブンに戻った。そのままずりずりと赤い部分が増えてゆく。
  目に見えて、その五体は強敵らしかった。

◆      ◆      ◆

1307時 諸島上空 乱戦空域直前(VR空間)

《データリンク。例の五体とマウス2の位置を表示する》
  スノーボウの前方望遠レーダーが変化する。敵は白、見方は緑に表示しなおされ、丸枠のついた五つの赤い点と、同じく丸枠のついた青い点がピックアウトされて表示された。
  赤い点の一つは青い点を追い回している。
  あれだ。
「私とショルダー2はマウス2の救出へ向かう。フィンガー1」
《は、はひっ!》
  ホーンスナイパーライフルを抱きしめたアーンヴァルのエーコが上ずった声を出した。
「ビクつかないの。あなたが皆の指揮をとりなさい。やれるわね」
《りょ、了解です。できます》
《こんな弱虫がわたくしたちの指揮なんてとれるのかしら?》
《そ、そんなあ・・・・・・》
  パーシモンケープからやんわりと抗議される。
「少なくともあなたよりは使える。死にたくなければ黙って後につきなさい」
《何ですってえ!?》
「間もなく接敵する。通信終わり」
  ぎゃあぎゃあとわめきちらす通信回線をブチンと切って、
  一同はふたたび乱戦へ突入する。

BGM:Aquila(エースコンバット04 オリジナルサウンドトラックより)
1308時 交戦

  以前よりもHUDの見晴らしが良くなっている。主に青いほうが少ない。件の五体が蹴散らしたのだ。三十分間ずっと島に隠れ続け、力を温存していた五体が。
  単なる素人ならばそんな小細工をやったところですぐにダメになる。が、レーダーには未だ悠々と飛び続けているそれらが映り続けていた。
  実力者だ、スノーボウは無感動にそう思った。自分と同じくらいの。もしかしたらファーストに行っているかもしれない。五体編成のチームバトルランカーで知っている名を羅列する。そのなかで飛行タイプの神姫はいない。スノーボウが知らないだけなのかもしれない。ということはファーストか。
  エルゴの全員同サーバー同チームというのもおもしろいが、全部で何体いるかわからないが結果五体の編隊が自分たちと同じように同サーバー同チームに配されるというのは、おかしさを通り越してなにか意図めいたものを感じざるをえない。
  完全なランダムではないのだろうとスノーボウは察した。だがそれが分かったところでゲームの進行が変わるわけでもない。
  敵は撃ち落とすだけだ。
  雑魚の追撃をかわし、すぐにねここを追う一体の背中につく。
  素体はアーンヴァルのようだった。が、外見ではその面影が微塵も見当たらない。
  Su-37をモデルにしている、と、スノーボウはその神姫を見て思った。いまや近代化改修されコフィンシステム標準装備の「ターミネーター」。その神姫は羽の配置がそっくりだった。
  肩にカナード翼、大腿に主翼、可動ノズル式ランディングギアの脛に水平尾翼と三対並んだ水平翼、かかとに一対並んだ垂直尾翼。胸部装甲には長く伸びた垂直安定翼がついている。
  すべての翼端はあざやかな黄色で塗られている。仲間からの映像リンクで、五体すべての装備が同一であることが分かる。
  そして腰から尻尾のように伸びたテイルコーン。実機であればあれには強力な後方警戒レーダーが内蔵されている。
  ということは。
  前方に最大限の脅威を感じた。
  ミサイル!
  いきなり後方にミサイルを撃ってきた。マイティのようにミサイルを後ろ向きに落として撃つのではなかった。
  機体ごとひっくり返って撃ってきたのだ。
  機銃のオマケつきである。
「くっ」
  大きくロールしてミニガンの射線から逃れつつ、迫ってきた二発のミサイルをライトセイバーで切り落とす。
  千乃もかろうじて避けきる。
  敵はもう機首を前方に向けてねここの追撃に戻っている。スノーボウたちは大きく置いていかれた。先ほどの攻撃は牽制だったのである。
《ねぇさま、あいつ強い!》
「追いかける!」
  F-15モデルの大推力を甘く見るなと言わんばかりに、スノーボウはアフターバーナーをかける。
  出力で差のある千乃を置いて、たった一人で黄色の敵を追う。
  後ろから《ねぇさま待ってー》と悲痛な声がするが、いまは気にかけている場合ではない。
「あなたは他に行きなさい。私は奴を追う」
  スノーボウはどんどん差を詰める。ねここはかろうじて無事だった。
《イエロー4、敵機が最追撃》
  なんだ? 敵の通信。混線している。あれはイエローというのか。イエロー飛行隊、イエロー中隊というところか。
《迎撃する》
  イエロー4と呼ばれた眼前の敵がまたくるりと反転して自分を狙う。
  ここだ。
  エンジンのニトロタンクをコンマ一秒作動。
  ズドン!
  爆発したのかと思ってしまいそうな音が響き、スノーボウのノズルから緑色の炎が上がる。強烈な前G。みるみる加速。
  反転して減速した敵に近接。ライトセイバーを振るう。
「っ!?」
  敵も上手いもので、すぐにライトセイバーで受ける。重力素子のぶつかり合いでレーザー刀身がたわみ合う。
《ねここ、今。逃げなさい。ビーキューブへ》
《にゃあ、ありがとうなのっ!》
  満身創痍のシューティングスターは前線基地へと帰ってゆく。
「なかなか・・・・・・っ!」
  ぎりぎりと鍔迫りあったまま、イエロー4が言った。黒い肌の、インド系を模したカスタムアーンヴァル。
「ずっとかくれんぼしていた怖がりに負けるほど、私はへこたれてないわ」
  簡単な挑発。相手は激昂した。
  ぐいとライトセイバーに力が込められる。
  しめた。
  そのままするりといなす。
  勢い余ったイエロー4はスノーボウに背中を見せてしまう。
  そこにライトセイバーを突きたてようとするが、なんと後ろに返されたセイバーで払われる。
《イエロー4、そいつは捨て置け》
  さらに飛び掛ろうとしたイエロー4に隊長機らしき通信が入る。
《イエロー13、しかし!》
《一体でも多く撃墜し制空ポイントを稼ぐんだ》
《・・・・・・了解!》
  きびすを返してスノーボウから離れてゆくイエロー4。賢明な判断。
  私たちも撃破数を稼ごう。イエローの妨害をしつつ。
  スノーボウは千乃の位置を確認し、合流に向かう。
  第一ラウンドは佳境に入ろうとしていた。

◆      ◆      ◆

1311時 B3甲板上(VR空間)

  ねここが帰ってきた。もうほとんどボロボロの状態だった。
  着艦と同時にシューティングスターから抜け出し装備をイジェクトさせてその場にばら撒くと、自分の状態をかまわずマイティに駆け寄った。
「マイティちゃん!」
  自分が怖かったのか、マイティが心配だったのか。その両方かもしれない。ともかくいつもの通り、マイティにぎゅうーっ、と抱きついた。
「わああっ、ねここちゃあんっ!?」
  頬をすりすり、背中やわき腹や言えないようなところをさすりさすり。本人は無意識にやっているのだろうが、
「やぁ、ソコっ。だっ、めぇぇ・・・・・・」
  マイティはもはやまな板の上の鯉である。
  周囲は肩をすくめてため息をついたり、くすくすと笑ったり、「んーまあんーまあイヤらしい」と顔を赤らめつつ見入ったり。バセットは「仲が良いのねえ」と言うばかり。
  が、その中で一人わなわなと震えている神姫がいた。
  なんとシエンである。
「マイティは私んだっ!」
  そう叫んだかと思うと、いきなり背中側からマイティに抱きついた。
「ええっ、シエンちゃん!?」
  シエンのまったく予想外な告白に、マイティはもちろんうろたえまくった。
  マスターとケン、二人のオーナーは口をあんぐりしたまま一言も声が出せない。
「そこをどけっ、このどろぼうねこーっ!」
「やーなのー、マイティちゃんはねここのなのーっ」
「ちょ、ちょっと二人とも、落ち着いて、ひぁあんっ!?」
  すると風見美砂の通信回線が開いた。
『もう我慢できない! 姉さん、私も参加させてください! ねここが、ねここがーっ!』
  声の主は美砂ではなかった。彼女の肩に乗っていたハウリンらしかった。後ろの方ではそのハウリンをたしなめる美砂の声が聞こえている。
  マイティはその喧騒の中心で、しかし奇妙な安心感を抱いていた。
  戦場から一時とはいえ離れることができたからかもしれないし、仲間がいることへの安堵かもしれない。あるいは自分を好いてくれる神姫がいてくれた驚きと喜びだろうか。
  何はともあれ、彼女達と一緒なら戦える。マイティはそう思った。強く。
「はうぅっ、だからソコはだめだってばーっ!」






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