眠れない夜──あるいは清らな誓い
フェレンツェめからHVIFを3体“借り受けた”、その帰り道。
私・槇野晶は彼女らに服を買ってやる事とした。何せな、そのな?
……私と大きく変わらぬ外見年齢の、少女達の裸体を曝せるかッ!
鳳条院グループから女性社員用のスーツを借りたが、それだけでは
少々生活に苦慮するだろうし、彼女らの望む服を着せてやりたい。
私・槇野晶は彼女らに服を買ってやる事とした。何せな、そのな?
……私と大きく変わらぬ外見年齢の、少女達の裸体を曝せるかッ!
鳳条院グループから女性社員用のスーツを借りたが、それだけでは
少々生活に苦慮するだろうし、彼女らの望む服を着せてやりたい。
「そう言うわけでだ、お前達三人には渋谷で服を買ってやろう」
「有り難うございますですの、マイスター♪服、ですかぁ……」
「うんとっ……マイスター、どんな服でも大丈夫なんですか?」
「勿論構わん。制服はいずれ返さねばならんしな、必要な事だ」
「……注目集めてるけど、ボク達大丈夫かな……マイスター?」
「有り難うございますですの、マイスター♪服、ですかぁ……」
「うんとっ……マイスター、どんな服でも大丈夫なんですか?」
「勿論構わん。制服はいずれ返さねばならんしな、必要な事だ」
「……注目集めてるけど、ボク達大丈夫かな……マイスター?」
電車に乗る者が、珍しげに私達を眺める。原因は三人の造作だな。
アルマ・ロッテ・クララのHVIFは、何故か北欧系の躯なのだ。
蜂蜜色の艶やかな髪に、三人の色彩を象徴して輝く澄み切った瞳。
日本ではあまりお目にかかれぬ人種の、とびきりの美少女である。
それが三姉妹とあれば、いやが上にも人々の注目を集めてしまう。
アルマ・ロッテ・クララのHVIFは、何故か北欧系の躯なのだ。
蜂蜜色の艶やかな髪に、三人の色彩を象徴して輝く澄み切った瞳。
日本ではあまりお目にかかれぬ人種の、とびきりの美少女である。
それが三姉妹とあれば、いやが上にも人々の注目を集めてしまう。
「ほ、本当か!?本当にそれらの服で良いのかッ!?う、うぅ……」
「はいですの♪マイスターが作ってくれるお洋服は、大好きですし」
「ぅうッ!?……その顔で“大好き”と正直に言われると、そのッ」
「……マイスター、顔紅い。普段からだけど、今日は酷いんだよ?」
「い、いやな。似合いすぎて、照れるというか……その~……な?」
「えっと。何かこんなマイスターも可愛くていいですね、みんな?」
「はいですの♪マイスターが作ってくれるお洋服は、大好きですし」
「ぅうッ!?……その顔で“大好き”と正直に言われると、そのッ」
「……マイスター、顔紅い。普段からだけど、今日は酷いんだよ?」
「い、いやな。似合いすぎて、照れるというか……その~……な?」
「えっと。何かこんなマイスターも可愛くていいですね、みんな?」
それが、あろう事か……ものすっごく可愛らしい少女趣味の服を着る!
しかもその正体は、私が愛する“妹達”だ。ビジュアルが違うだけで、
こうも新鮮で、しかも胸が高鳴る物なのかッ!!私とお揃いだぞッ!?
アンダーまで数セット含めると相当な額だったが、そんなの関係ない!
という訳で改めて見惚れつつ、私達はアキバの我が家へと戻った訳だ。
しかもその正体は、私が愛する“妹達”だ。ビジュアルが違うだけで、
こうも新鮮で、しかも胸が高鳴る物なのかッ!!私とお揃いだぞッ!?
アンダーまで数セット含めると相当な額だったが、そんなの関係ない!
という訳で改めて見惚れつつ、私達はアキバの我が家へと戻った訳だ。
「はぁ……着いたな。待っていろ、地下三階の工房に部屋を作る」
「あ、お手伝いしますのマイスター!わたし達の部屋ですし……」
「いいのか、力仕事だぞ?その躯なら、神姫素体より楽だろうが」
「……大丈夫、この躯だと普段よりは力が出せそうな気がするよ」
「えっと、クララちゃんの“ゲヒルン”……大丈夫みたいですね」
「あ、お手伝いしますのマイスター!わたし達の部屋ですし……」
「いいのか、力仕事だぞ?その躯なら、神姫素体より楽だろうが」
「……大丈夫、この躯だと普段よりは力が出せそうな気がするよ」
「えっと、クララちゃんの“ゲヒルン”……大丈夫みたいですね」
神姫素体に端を発する症候群“オーバーロード”だが、HVIFでは
功罪どちらも微少ながら症状が中和される様だ。これは要報告だな。
というわけでよく働いてくれる三姉妹の御陰もあり、フロアの半分は
二時間程で、清潔な仮住まいへと姿を変えた。床も予備を出したぞ。
工房が狭くなったが、地下四階の倉庫フロアにまだ余裕がある筈だ。
功罪どちらも微少ながら症状が中和される様だ。これは要報告だな。
というわけでよく働いてくれる三姉妹の御陰もあり、フロアの半分は
二時間程で、清潔な仮住まいへと姿を変えた。床も予備を出したぞ。
工房が狭くなったが、地下四階の倉庫フロアにまだ余裕がある筈だ。
「よし、これで完成だ!御苦労だったな皆、良い娘だ……むっ」
「マイスター?……あっ、そうですの今は躯が大きいから……」
「すまんな、普段の様に撫でてやれなくて……よい、しょっと」
「マイスター?……あっ、そうですの今は躯が大きいから……」
「すまんな、普段の様に撫でてやれなくて……よい、しょっと」
抱擁や隅の掃除に苦慮した上で、私は一つの事実を改めて実感する。
“神姫素体で出来る事とHVIFで出来る事は、それぞれ違う”事。
「当たり前の事だろう?」と思うが、実際にやらんとわからぬ物だ。
という訳で屈んでもらったロッテ……のHVIFを、そっと撫でる。
“神姫素体で出来る事とHVIFで出来る事は、それぞれ違う”事。
「当たり前の事だろう?」と思うが、実際にやらんとわからぬ物だ。
という訳で屈んでもらったロッテ……のHVIFを、そっと撫でる。
「マイスターの躯って、やっぱりあったかいですの……♪」
「ぶッ?!ろ、ろ……じゃないえっと、兎も角何をッ!?」
「だって素体だとセンサーが無かったですけど、今なら♪」
「あ、あうぅう……確かにそうだが、なぁ……そのなぁッ」
「ぶッ?!ろ、ろ……じゃないえっと、兎も角何をッ!?」
「だって素体だとセンサーが無かったですけど、今なら♪」
「あ、あうぅう……確かにそうだが、なぁ……そのなぁッ」
この娘は何を言ってくれるのか。確かに私も、素体では感じ得ぬだろう
感覚を知った。柔らかい肌、暖かく火照った躯。甘い娘の香り、鼓動。
この娘らはまだそれを、備える事はないだろう……野生的な“本能”。
感覚を知った。柔らかい肌、暖かく火照った躯。甘い娘の香り、鼓動。
この娘らはまだそれを、備える事はないだろう……野生的な“本能”。
「え、ええっと……ロッテちゃんずるいですよ、あたしも……♪」
「……ボクも、敢えて混ざる。マイスター、何故かおかしいから」
「わ、わぁぁ!?お前達狙っているか、未必の故意なのかッ!?」
「……ボクも、敢えて混ざる。マイスター、何故かおかしいから」
「わ、わぁぁ!?お前達狙っているか、未必の故意なのかッ!?」
元々純粋な“想い”のみであった私への好意。私も自然と応じていた。
だがいざ“HVIFというフィルター”を得た時、それはどうなるか?
無論生理学上では、四人とも女性だ。しかしだ、私達の間には純然たる
“想い”が存在する。それが故に、人の中で本能と理性が相克した時は
予想外の方向へ“想い”が飛んでいく。もっと、抱きしめてあげたい。
もっと、愛してあげたい。もっと、愛されたい。もっと、もっと……!
だがいざ“HVIFというフィルター”を得た時、それはどうなるか?
無論生理学上では、四人とも女性だ。しかしだ、私達の間には純然たる
“想い”が存在する。それが故に、人の中で本能と理性が相克した時は
予想外の方向へ“想い”が飛んでいく。もっと、抱きしめてあげたい。
もっと、愛してあげたい。もっと、愛されたい。もっと、もっと……!
「むう……このぉっ!」
「きゃああぁっ!?!」
「きゃああぁっ!?!」
私は自分の躯をよじり、ベッドに四人揃って倒れ込む。だがそこまで。
この娘らが自らの……“神姫という知的生命体の本能”を知る日まで、
決して私はこの娘らを穢すマネはしない。一重にこの“想い”故だな。
それは同時に、私の想いが“恋慕”とまで断定できない所為でもある。
自らの心中にある鍵さえも解けずに、その様な事は到底出来ないッ!!
この娘らが自らの……“神姫という知的生命体の本能”を知る日まで、
決して私はこの娘らを穢すマネはしない。一重にこの“想い”故だな。
それは同時に、私の想いが“恋慕”とまで断定できない所為でもある。
自らの心中にある鍵さえも解けずに、その様な事は到底出来ないッ!!
「あいたたた……なあお前達、私と一つ約束してくれぬか?」
「うんと……約束ですか、マイスター?どんな約束でしょう」
「そうだ。その躯は明日から、日替わりの当番制で使おう!」
「……当番制?マイスター、理由を聞かせてほしいんだよ?」
「有無……お前達には、双方の視点を持ち続けてほしいのだ」
「双方って、神姫と人間の視点、ですの?……はいですの♪」
「うんと……約束ですか、マイスター?どんな約束でしょう」
「そうだ。その躯は明日から、日替わりの当番制で使おう!」
「……当番制?マイスター、理由を聞かせてほしいんだよ?」
「有無……お前達には、双方の視点を持ち続けてほしいのだ」
「双方って、神姫と人間の視点、ですの?……はいですの♪」
今後ずっとHVIFのままで触れ合うのは、何か違う気がするのだ。
上手く説明は出来ないが、人と同じ心を持つ神姫達であっても、急に
『ある日目が覚めたら、肉の躯になっていた』では良くないと思う。
後は決して言えないが、私の胸が……その、はち切れそうにな……。
……貴様、口外してみろ?地獄の果てまで、追い掛けてやるからな?
上手く説明は出来ないが、人と同じ心を持つ神姫達であっても、急に
『ある日目が覚めたら、肉の躯になっていた』では良くないと思う。
後は決して言えないが、私の胸が……その、はち切れそうにな……。
……貴様、口外してみろ?地獄の果てまで、追い掛けてやるからな?
「その代わり、だ。その躯の時に使う名前を、つけてやろう」
「名前?……確かに、神姫と同名だと周りが混乱するんだよ」
「そうだ。順番に……茜(あかね)、葵(あおい)、梓(あずさ)」
「名前?……確かに、神姫と同名だと周りが混乱するんだよ」
「そうだ。順番に……茜(あかね)、葵(あおい)、梓(あずさ)」
アルマ・ロッテ・クララを、それぞれの色に因んだ名前で呼ぶ。
“緑色”だけは少し捻り、梓──ヨグソミネバリの雌花だがな。
同時にその間、私は“お姉ちゃん”であるが……まあ構わんか。
“緑色”だけは少し捻り、梓──ヨグソミネバリの雌花だがな。
同時にその間、私は“お姉ちゃん”であるが……まあ構わんか。
「というわけで、茜、葵、梓。今日だけは四人一緒に寝ようかの」
「はーいっ!やったぁ、まいす……お姉ちゃんと一緒ですの~♪」
「……まずは一緒にお風呂に入って、埃を落とさないとだめだよ」
「そ、そうか……では狭い風呂だが、洗いっこしてやろうかな?」
「あ、はいっ。うんと……宜しくお願いします、お姉ちゃんッ!」
「はーいっ!やったぁ、まいす……お姉ちゃんと一緒ですの~♪」
「……まずは一緒にお風呂に入って、埃を落とさないとだめだよ」
「そ、そうか……では狭い風呂だが、洗いっこしてやろうかな?」
「あ、はいっ。うんと……宜しくお願いします、お姉ちゃんッ!」
──────貴女達をもっと大切にしたいから、今は……。