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えむえむえす ~My marriage story~

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ウサギのナミダ
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出撃~接敵

1223時 114サーバー、ブリーフィングルーム(VR空間)

  最初のブリーフィングタイムは特にこれといった話し合いも無く、ほとんど気の合った仲間内での自己紹介に終始した。小さな体育館ほどの広さのブリーフィングルームに二百体近くがいるのである。とても全員の顔や名前は覚えられないし、ましてや誰がどのような戦い方をするのかも不明瞭。結局はかねてからの知り合いを呼び出したり、たまたま側にいた者たちでくっついたり、マイティたちのようにアクセスポイントが同じであるがゆえに成り行きで一緒になったりして、各々個別に飛行隊を結成するくらいであった。ほとんどが飛行隊と呼ぶには間に合わせの体たらくであったが、それでも気取ってソロプレイをさせようとするオーナーはまったくと言ってよいほどいなかった。
  実際の戦争かバーチャルバトルかに関係なく、多数と多数がぶつかり合う戦いは徒党を組んだ方が明らかに強い。長い人間の戦争史がそれを何度も何度も懲りずに証明してきたし、また一般人に身近なオンラインゲームの多人数戦闘でも、草創期からそのセオリーは絶対に崩れなかった。一騎当千などスタンドアローンゲームの中の存在でしかないのだ。
  全員がホビーショップ・エルゴからの接続神姫で構成されたエルゴ飛行隊(ERGO Squadron)と名づけられたマイティたちのグループは、そもそもエルゴのバトルスペースを利用する神姫たちのレベルが比較的高くまとまっているからか、だいたいまともな構成員が揃っていた。
  まず、飛行隊の主宰がファースト、セカンド各リーグにおいてトップクラスの神姫が揃っていた。飛行隊長はファーストランカーのシヅ(ここで断っておくが、ランクはオーナーではなく神姫自体に付与される。複数所有していればそれぞれの神姫にそれぞれのランクが与えられるのである。所有神姫が一体のみならば、神姫のランク、イコールオーナー自身のランクと読み替えてもかまわない)が務め、副隊長にはセカンド強豪の一体であるアーンヴァルのスノーボウ、またセカンドでは中級ながらも神姫自身の気違いじみた超重装備とオーナーのマニアックが功を奏した戦術指揮能力を買われ、ヴァッフェバニーのバーニング・ブラック・バニー、二体が就任した。
  彼女らは五つに分割されたフライトのうち三つのフライトリーダーも兼任した。この時点でシヅのオーナー、バセットにより、フライト(四機編隊)、そしてエレメント(二機編隊)が振り分けられ、飛行隊としての体裁が整いつつあった。彼女に比べればほとんどヒヨッコである他の十九人のオーナー、そして彼らの神姫は、実戦経験豊富な文字通り老練の隊長に従った。
  が、それでも、間もなく始まる第一次会戦においてバセットが作戦会議として言ったことは、
「自由に戦いなさい」
  これだけであった。
  シヅがオーナーの言葉を継いだ。
「大規模空中戦は誰もが初心者です。経験やランクの差、リーグの違いはあっても、スタート地点は同じなのです」
  飛行隊員をぐるりと見渡す。
「大事なのはまず誰よりも早く慣れることです。ブルーチームの一人として、飛行隊の一員として何ができるのか。最初の戦いはおのずと模索の段階となります。リラックスして望みましょう」
  要するに一番大事なのは怖がらないことなのだ、とマイティは自分なりに噛み砕いていた。
  それでも彼女は漠然とした不安を完全に消すことができなかった。初めてのことはやっぱり怖い。ここにアクセスしたとき悲鳴を上げそうになったのも――別の理由で実際に上げてしまったが――いきなり体験したことの無い環境にほっぽり出されたからなのだ。
  自分が新しい環境にこうも適応しにくいというのをマイティは初めて知った。今までは、オーナー登録も、バトルも、何もかもが「武装神姫としてすべきこと」としてあったために特に拒否反応を起こさなかっただけなのだ。どんなにトリッキーな対戦相手が現れようとも、それがバトルであるかぎりマイティは自然に闘えた。それが武装神姫の根底に根付いているのだ。ただの「神姫」ならともかく、「武装神姫」に戦いの嫌いな個体など無い。「武装神姫」として生まれた以上、戦いは陽電子頭脳の根底に刻み込まれた本能なのだ。人が毎日ご飯を食べるように、息を吸うようにできることなのだ。腕前は別として、戦うという行動自体に何ら弊害は存在しない。
  このイベントは仮想空間の構築実験としても史上初ならば、武装神姫にとっても前代未聞だった。
  目の前に展開された環境は何もかも、ここにいる神姫全員にとって、大規模空中戦以前に初めてのことばかりなのだ。
  よく発狂しなかったものだとマイティは自分に感心した。むしろどうしてみんな平然としていられるのかという方が不思議だった。自分が感じやすいだけなのだろうか?
  こんなんで空中戦に出たらお先真っ暗だ。ナーバスになっているうちに天井のスピーカーからアラームが鳴った。
「ひっ!?」
  それでマイティはまた叫びそうになった。察したシエンがマイティの肩を抱いて、安心させた。
『これよりハンガーへ移動します。総員、そのまま動かず待機してください』
  放送からきっかり十秒後、ブリーフィングルームが消失した。エルゴ飛行隊以外の神姫も。

◆      ◆      ◆

1225時 11番コンソールルーム

  バーチャル空間が移動しハンガーに移動するのが画面に展開されると、マスターのところにも指示が来た。
『オーナーの皆様はカードを開封してください。カードは現在より以後、カードリーダーに差し込むことでいつでも使用できます。使用回数は一回のみ、再使用はできませんのでご注意ください。カードの効果については表面をご参照ください。なお、カードの効果は複数種類あります』
  画面にビジュアルつきで説明される。
  マスターは封を裂いた。プラスチック製のカードが出てきた。
  カードの表面を見て、ちょっと困ったような表情を浮かべた。
  そのままコンソールの横に置いて、マスターは再び椅子に深く腰掛け画面に注意を向けた。
  マイティが心配だった。もちろんのことだが、彼女の新たな問題を、マスターも初めて知ったのだ。

◆      ◆      ◆

BGM:Hangar 1(エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー オリジナルサウンドトラックより)
同時刻 ハンガー(VR空間)

  空中空母、と呼ぶに相応しい空間だった。
  先のブリーフィングルームよりもはるかに広かった。
  格納庫兼着艦デッキらしく、壁のあるほうから見て、カタパルトの付け根が乗ったエレベーター、その後ろには格納庫としてのだだっ広い空間があり、半透明のシールドシャッターを隔ててさらに後方には、尻尾のように長い着艦路が伸びていた。着艦路の末端の両側には尾翼らしき羽がある。
  ハンガーは吹きさらしではなく、ちゃんと天井があった。カタパルト付エレベーターに乗せられた戦闘機はそのまま天井のハッチの向こう側にあるカタパルトデッキに上げられ、そのまま射出されるのだ。
  全てが等身大サイズであった。つまり、エレベーターが実際の戦闘機サイズ(もちろん神姫スケール、つまり神姫が人間の大きさだとしてなのだが)、大きすぎるのだ。
  二百体以上のブルーチームメンバーが散り散りに広がっていた。それでもなお十分すぎる余裕があった。本来ならば数十機の戦闘機が整然と並んでいるはずなのである。
  カタパルトだけが神姫を射出するための構造であった。普通はエレベーター一台に付き一基しか無いが、ここではエレベーター一台に八基も取り付けられている。二フライト単位で打ち出せるというわけだ。
  そのエレベーターが壁際、つまり空母の進行方向の壁にずらりと十台ほど並んでいる。発艦シーケンスを三回繰り返せば全員射出できる計算だ。
  時間は調整されることは無いから、つまり急いで発艦しないと戦場に出遅れるというわけだ。ブリーフィングタイムのラスト五分にドックに移されるわけである。
  そうと分かれば急がねばならない。もう周囲ではメイン装備の呼び出しが次々と行われ、終わった飛行隊からどんどんカタパルトに向かっている。
  エルゴ飛行隊は一番はじっこのカタパルトのまん前を占拠し、装備の呼び出しにかかった。
  戦闘開始まで残り四分を切っていた。
「準備の整った隊員から順次発艦してください。合流はフィールドで行います」
  シヅの指示が飛ぶ。メンバーは口々にオーナーに装備呼び出しを請うた。
  マイティはおろおろしながらも、
「マスター、メインボード展開です」
  と震えの抑え切れない声で要請。
『分かった、もう操作している。出るぞ』
  マイティの体を光るポリゴンの粒子が包み込む。
  あらかじめ設定しておいた装備が顕現し始めた。
  リアウイングAAU7を背負いありったけの推進装備を付けた従来の装備とは、今回は大きく様相を異にしていた。
  まずAAU7の推進器付き主翼が、脚部に普通に履かれたランディングギアAT3の側面に直付けされている。翼表面にはスティレット短距離ミサイルが四発。膝ジョイントにはガードシールドが取り付けられ、これだけでデルタ翼戦闘機の主翼と垂直尾翼だとすぐに分かる。
  両手にはそれぞれアルヴォLP4ハンドガンとカロッテP12ハンドガンを持ち、両手首にはM4ライトセイバーを装備。このように手に持ちかえず、装着箇所から直接光刃を発生させるやり方は、ライトセイバー使いの間ではもはや常套手段である。いちいち外して手に持つ手間など無いほうが良い。
  つづいて上半身の武装が現れる。
  胸部装甲はスラスターの付いたホーリィアーマージャケット、頭部はオーソドックスにヘッドセンサー・アネーロ。バックパックが最後に出現し、それはレインディアアームドユニット・タイプγだったが、リアスラスターユニットの代わりに戦闘補助としてシロにゃんが乗っかり、フォービドブレイドは外されてAAU7のバインダーとハグダンド・アーミーブレードがあった。
  素体にそのまま羽をつける飛行タイプ神姫のシルエットはほとんど残っていない。まるで体全体がそのまま、機首の二つに分かれた未来的デルタ翼戦闘機を髣髴とさせていた。どこからともなく「ビックバイパーみたいだ」という声が聞こえた。
  もうエレベーターはいっぱいで、マイティは次の発艦を待つ。
  その間にシエンが、少し離れた場所でメインボードの呼び出しを行っていた。
  頭甲・咆皇、ドッグテイル、ヴァッフェバニーのアーマー類。
  シエン自身の装備はそれだけで終わってしまった。
「あれ? シエンちゃん、飛行装備は?」
「ああ、マイティ、ちょっと離れてて」
  シエンが手をかざしてマイティを制止した直後、シエンの周囲の空間に一瞬ジャギーが発生した。
  ガカカカカカカカカカカカカカ。
  重たそうな処理音とともに、なにか巨大なものがシエンの前に呼び出されようとしていた。
  明滅するポリゴンが下から集まってくる。
  まるで映画「アヴァロン」の多砲塔戦車ツィタデルの出現シーンである。
  メインボード展開としてはかなりの時間をかけ、現れたのは確かにある意味、戦車であった。
  神姫換算四メートルちょっとはあろうかという、真っ赤な頭をした一つ目のロボットが鎮座していた。
「これが私の戦闘機、『クリムゾンヘッド』さ」
  誇らしげにシエンは言った。
  シエンがバトリングクラブで使っている、1/12フルモータライズスコープドッグを、専用の飛行装備に換装して持ってきてしまったのだ。
『あらあら、大胆ねえ』
  バセットは笑っていた。シヅは相変わらず、忍者型MMSフブキ特有の表情の無さで、驚くことなく見ていた。
  マイティをはじめ、周囲の神姫たちはぽかーんとしてその巨人を見上げていた。
「シエンちゃん、これ・・・・・・」
  大丈夫なの? とまで言えなかった。ここにあるということは、少なくとも「許可された」ということなのだから。
  シエンは誇らしげに巨人の体をひょいひょいと登り、あっという間に乗り込んで始動をかけてしまった。
「準備ができました。行きましょう」
  シヅの一声で我に返る。彼女はもう装備を終えていた。リアウイングに必要十分に武装を引っさげた、かなりの軽装である。射撃武装はスティレット短距離ミサイルとカッツバルゲル中型ミサイルだけで、両腕はシェルブレイクパイルバンカーと忍者刀・風花という完全近接戦闘武装である。
  マイティも一応ライトセイバーを腕に取り付けてはいるものの、これはサブ機能のレーザーガンとして主に使う算段であった。ライトセイバーとして至近距離で切るなんてことは、空中戦ではほとんど無いだろうと考えていたのだ。
  マイティがシエンのスコープドッグを見つめている間に、他の隊員は空いた隣のカタパルトも使って皆すでに飛び立っていた。エルゴ飛行隊で残っているのはマイティとシエンとシヅの三人だけだった。
  ぎこちない歩き方でカタパルトに両足を固定する。ランディングギアは歩行には向かない。
  右隣のカタパルトにはシヅが立ち、左隣にはカタパルトを片足ずつ、二つも使ってシエンのクリムゾンヘッドが立った。
  ガコン。エレベーターが動き、せり上がる。
  同時に天井のハッチが開いてゆく。外は晴天。
  上がりきると、本当にまぶしいくらいの晴天だった。雲ひとつ無い。いや、雲は空母の下に流れているのだ。風は強かったが、慣れているから気になるほどでもない。
  なんというハイクオリティの空間構築だろう。マイティは思わず驚嘆した。
  突然ガクンとカタパルトが前に傾き、マイティはびっくりした。
  倒れるかと思ったが、体がほとんど水平になって止まった。シヅもクリムゾンヘッドも、同じようにうつぶせに近い状態になっている。
  なるほど、こうして飛びたつのだ。
《エンジン推力を最大にしてください》
  管制官からの指示が来る。
  マイティは言われたとおりに、主翼のスラスター、ランディングギアの補助バーニア、そしてエレクトロマグネティックランチャーの後部電磁推進器の出力を上げた。
  途端に凄まじいGがかかった。カタパルトが射出されたのだ。すぐ下のデッキが目にも留まらぬ速度で流れ、気がつけば空中に投げ出されていた。
《姿勢を安定させて!》
  慌ててマイティは背筋を伸ばして飛ぶ。通信で呼びかけたのはシヅだった。彼女はマイティのやや右後方を飛んでいる。
  これ以降ほとんどの会話は通信で行われることになった。肉声ではほとんど聞こえないのだ。戦っている間に会話するなどということも、ほとんど無いことだった。
  ぐうん、と体に影かかかる。左情報に陽光をさえぎってシエンのクリムゾンヘッドが、大きな主翼を展開させて白い飛行機雲を引いていた。
《フィールドとは空間続きです。全速で合流しましょう》
  三人はアフターバーナーで高空を飛ぶ。

1234時 特設フィールド「諸島」

  そのフィールドは輪をかけて広大だった。ヘッドセンサー・アネーロの見慣れたHUD(※ヘッドアップディスプレイ。速力や高度、状態表示、武装のコンディション、レーダー、マップなど、必要情報が視界に重ねて表示される)を操作し全体マップを表示しても、いつものバトルフィールドと違って自分の居場所が本当に点に見え、アイコンはちまちまとしか移動しない。
  二百体以上のブルーチームメンバーが、青いアイコンで固まっている。全員南から北上する。進路上、マップの中心域には大小さまざまな島が点在していた。
  全開出力で赤いアフターバーナーをちらつかせながら、チームはそのまま北上した。予想するにレッドチームは北から諸島上空目指して南下しているに違いなかった。時刻は1235時をまわった。接敵まで最大五分以上かかる。実際の戦闘時間は一時間いっぱいではなく、どんなに長く見積もっても五十分少々ということだろう。ブリーフィングタイムも実質二十五分なのだから、全ての所要時間はマイナス五~十分と見積もればよい。
  島の上空に到達するまでに、マイティたちは飛行隊の編隊を組んでおく。
  各フライトずつ四機、フライトリーダーを戦闘にして傘型陣形。主戦闘部隊のヘッド、アームズ、トルソー三フライトが前に出て、チェスト、レッグスの支援系フライトがその後方につく。シヅやスノーボウの的確な指示で素早く編隊が組み終えられた。おのずとエルゴ飛行隊が最前列につく。
  他の飛行隊もエルゴを見真似ていそいそと編隊を組み始める。が、もう下には諸島が見え始めていた。
  今回は諸島上空の制空権確保がその任務である。
《こちらニーズ1、敵集団をレーダーに補足》
  亀の甲羅のようなレーダードームを背負ったレッグスフライトリーダー、オーリーエンダーが報告する。
  まだ視界には捉えられない。
《ヘッド1了解。全機このまま前進しましょう》
  すかさずシヅの指示が来る。が、オーリーエンダーが反論した。
《待ってください。敵の数が・・・・・・》
《どうしました?》
《アルタ、全員に私のスクリーンを送って》
《ラジャー》
  ニーズ2、アルタを通じて、エリント機であるオーリーエンダーの捉えた広域レーダー映像が飛行隊全員に送信された。
「これって・・・・・・!」
  マイティは息を呑んだ。飛行隊全員がこわばる空気を感じた。
《多すぎるよ!》
  隊員のだれかが悲鳴を上げた。
  レーダー映像には、ブルーチームよりもはるかに大きな赤い塊が映っていた。敵、レッドチームである。
《戦力は拮抗してるんじゃなかったんですの!?》
  チェストフライトの二番機、パーシモンケープが抗議した。
  その答えはアームズフライトリーダー、スノーボウがすぐに出した。
《カードを使ったんだわ》
《ねぇさま、カードって?》
  ショルダー2、千乃が暢気そうな声でリーダーに訊くと、
《おばか、オーナーが一枚ずつ持ってる特殊効果が出るカードのことです》
  四番機のマリオンがうんざりしたように教えた。
  他の飛行隊も状況を悟ったらしく、混乱が広がり始める。
  通信がうるさくなった。
  どうするんだ、このままじゃやられちゃう、逃げたいよう。どれをとっても弱気な内容しか聞こえない。
  そうしているうちに向こう側にぽつぽつといくつもの点が見え始める。
「てっ、敵です、敵! 肉眼で確認!」
  あわててマイティが全体通信で叫ぶ。
  半ば口論に近い言い合いをしていたチームはいっせいに前を向いた。

1236時 諸島上空 接敵

《戦闘機だ》
  クリムゾンヘッドの望遠カメラで確認したらしく、シエンが言った。
  マイティもヘッドセンサーの望遠機能で見る。
  確かに戦闘機だった。レッドチームの神姫に混じって、本当に戦闘機が飛んでいる。
  総数およそ四百機。
『こりゃあ、アレだぜ』
  呆然としてシエンのオーナー、ケンが言った。
『ポーカーで席に着いたばっかで、まずは様子見と思っていたら、隣のヤツがいきなりフォーカードを出しやがった、って状況だ』
《敵機、ミサイル一斉射!》
  オーリーエンダーが怒鳴った。
  ビーッ!
  ミサイルアラート。HUDが真っ赤に染まる。
《回避! 高度を下げて!》
  シヅの命令が飛んだ。
  戦力差三倍、記念すべき初戦が始まった。






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