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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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武装神姫のリン
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  「あけましておめでとうございます」
  と言うにはまだ気が早く
  「メリークリスマス」
  はもう遅い今日この頃
  うちでもクリスマスは色々あったんだが今は置いといて…
  とりあえず今はあいも変わらずと言うかエルゴにいる
  いや、ちゃんと用事はあるんだよ? マジで
  ちなみに今日は昴や香憐ねぇとは別行動だ
  俺たちだって四六時中一緒に行動してるわけでもないからなぁ
  「今年の神姫用晴れ着かい?」
  「ええ、今年は静香ちゃんの…TODA-Designだったかな? ソレを頂こうかと…」
  レジカウンターの向かい側にいるマスターと会話中の俺
  「そりゃまた太っ腹だねぇ…明人君とこは毎年だろ?」
  神姫素体サイズだからって正月用の晴れ着はけっこう馬鹿にはならない
  特に静香ちゃんは手抜きをしないから職人顔負けの仕事をしそうだし
  「そうでもないですよ; うちの場合、稼ぎ元はこいつらですし…」
  「「へっへ~ん」」
  胸ポケットのミコ、頭の上のユーナが腕組しながらどんなもんだと言わんばかりに胸を張る
  「お恥ずかしいばかりです…」
  俺の横にいたインターフェイスのノアはそんな二人に軽いため息だ
  まぁこいつらにとっての少し早めのお年玉ってトコロだな
  「それに今年は援軍もいますから…」
  そういいながら後ろを振り返る
  後ろにいたのは
  「おお! ここがエルゴかい? 私の神姫に対するLOVEを表現できるアイテムがズラリと揃っているではないか!! まことにスッバラシィーお店だねぇ!! ここは私のメッカとしようか!!」
  エルゴが大変お気に召した金髪碧眼の天才、国際重要人物なオタクことフェレンツェ博士だった
  「ああ、あの人がフェレンツェ博士? なんか想像と違うなぁ…」
  「そうですか?」
  「うん。俺の想像ではもっと、英国紳士風で寡黙な人かと思ってたんだけど…あれじゃただのオタクだな」
  「貴方が言いますか、マスター…」
  そういいながら現れたのは…
  「「「「……………誰?」」」」
  がくってなる俺たちの知らない美人のおねえさん
  「お、オホン…わ、私ですよ明人さん;」
  「へ?」
  なんとなく聞きなれた声
  ソレはいつもここ、エルゴで聞いている声で
  いつもならもっと下のほうから聞こえてくる優しげな声……って!!
  「………ま、まさか……」
  マスターにアイコンタクト
  「…………」
  無言で頷くマスター
  …アイコンタクト成立
  「「「う、うえええぇぇぇぇ!!?」」」


  それから俺たちはマスターから大まかながらエルゴでおこった『クリスマス事件』について説明してもらった


  「はぁ…それで今は秋月 兎羽子さんなわけですか…」
  「うん、今は神姫素体…ジェニーさんはメンテ中、三日徹夜の突貫作業で何とかしたからね。いざという時のために今のうちに再点検しとかないと…」
  そういえばマスターにはいつもの覇気がない
  いや、あるんだがいつもよりはないと言うべきか…お疲れなんだろうな
  「夏はん、夏はん。言われたとおりTODA-Designの晴れ着、探してきたけど…って、あれ? そちらさんは…」
  「おう、凛奈、ご苦労さん」
  はたまた店の奥から俺の知らない美人さん登場…
  なんだ? 一体全体どうなってんだ?
  「あら、えらい美形さんやと思たら明人はんやん」
  そう言ってからから笑う美人さんはどこと無く少しノアに似ている…
  「えっと…なぜ俺のことを…」
  「いややわぁ、ウチやて、う・ち♡」
  少し細目になり誘惑モードの美人さん
  なんだか少しづつ顔が近づいてきてるんですけど…
  「もしかしてウチとのあの熱ぅい夜のこと…忘れてしもたん?」
  いや、忘れてしもたというか…身に覚えがあらへんというか…
  あかん! 俺まで上方の言葉になってきてもうた!!
  「…ご主人様?」
  「…ご主人様ぁ~?」
  「…ア・ニ・キぃ~?」
  ノアは横から、ミコは胸ポケットから、ユーナは前に乗り出して逆さになる形でそれぞれ殺気のこもった熱ぅい視線を俺に向ける…
  「お、お前ら俺を疑うのか!?」
  「べつにそういうことではないですけど」
  「怪しいよねぇ~」
  「怪しいよなぁ~」
  今度は流し目になりやがった
  コイツらちっとも信じちゃいねぇな…
  「三人とも、この人の冗談を真に受けると厄介ですよ…」
  と、助け舟を出してくれたのは兎羽子さんだった
  「あ~あ、いけずやなぁ兎羽子ちゃんは。もう少しで明人はんとの既成事実ができそうやったのに…(まぁ既成事実は夏はんだけでええかな…」
  軽く色々と問題発言をぶっ放す美人さん
  何者だこの人は…
  「明人君、これ、この前言った……ラスト」
  「ラス…ト…あ、ああ!」
  そういえばマスターから話は聞いていた
  裏に流れた人型神姫インターフェイス、それを秋奈さんところのD-フォースの一人、D-ブラスターが所持していると…一応、インターフェイス云々については博士やジジイたちの管轄なので俺に連絡をくれていたのだ
  「はえ~、ラストだったのか…兎羽子さんといい、二人ともまるでわからなかった…」
  「明人はんがウチとおうたのは神姫素体の時だけやからなぁ。それにうちは神姫素体ん時と言葉もちゃうし。ちなみに今は犬吠崎 凛奈って言うねん。よろしゅうな♪」
  そう言ってウインクするラスト…ではなく凛奈
  確かに俺の中でのラストのイメージは、はんなり京都娘って感じだったからな
  「しかし、なんでまたエルゴに? D-フォースは秋奈さ…いや、D-コマンダーの方の神姫なんじゃ…」
  「ウチは別にボスの物やあらへんし。どっちか言うたら身も心も夏はんのもん?」
  「…凛奈さん?」
  「嘘、うそ! ジョーダンやないの兎羽子ちゃん。そないに睨まんといてぇなぁ」
  なんかクリスマスの間に色々あったようだな…
  しかし、まったくもってビビらされるよ、インターフェイスの完成度の高さは
  模造品なのにノアたちと五年も一緒にいる俺でさえ見分けがつかんのだからなぁ…
  「凄かろう! 私の研究の賜物というわけだね!!」
  …後ろで威張るオッサンはほっとこう
  「ほっとくな!! オホン、お二人ともその体で困ったことがあったのならばいつでも私の研究所に来るといい。どんなささいなことでもかまわない。相談に乗るからね」
  そういいながら研究所の住所の書かれた名刺を二人に差し出す博士
  「あ、ありがとうございます…」
  「フェレンツェはんやったっけ? おおきにw」
  いい人そうに見えるんだが…あわよくばサンプルとろうなんて考えていないだろうか
  「ソレで夏はん、晴れ着のことやけど」
  「ああ、どうだった?」
  「もう在庫ないで? 全部売れてしもとった」
  「ありゃりゃ、そうだっけか…う~ん、さすがTODA-Design。しかし参ったね…どうする? オーダーメイドで頼んでおくかい?」
  「オーダーか…しかし年末の今の時期に正月用の晴れ着を三着は…いくら静香ちゃんでもしんどいでしょう?」
  「それもそうなんだけどね……あ、アイツのとこならあるかもな…」
  「アイツ?」
  「うん、アキバの外れにある店なんだけど…ちょっと店長が変わっててさ」
  「「「「!!!!」」」」
  ま、マスターが、このマスターが変わっていると言うほどの人なのか…!?
  「コラ、君たち、変な衝撃を受けてるんじゃないよ」
  「夏はんが悪いで」
  「そうですね…」
  「と、とにかく連絡は俺の方から入れといてあげるから一度行ってみるといいよ。なかなか面白い店だし」
  「そこって神姫ショップなんですか?」
  「う~ん、まぁ行ってみるとわかるよ」



  「と、いうわけで」
  やってまいりましたよアキハバラ
  う~ん、しばらく来てなかったが…あいも変わらずカオスな町だこと…
  例え第三次世界大戦が起きてもここだけは変わらないかもしれない
  生命力は半端なく強いからな、オタクって……
  「それで、なんていうお店なんですか?」
  俺に並んで歩いているノアが聞いてくる
  「ん~なになに…“ALChemist”か…日本語だと『錬金術師』…」
  「へぇ~、そうなんだ。やっぱアニキはこう言うの読めるんだな」
  「ま、まぁ…な…」
  い、言えない…確かに知ってたけど、「覚えていたのはそんな名前の会社のギャルゲーのプレステ2移植版ソフトをジジイのとこからかっぱらって来たんだ」なんて言えない!!
  しかたねぇじゃねぇか…あのころの俺はレスティクラムにはまってて、似たような感じのゲームだと思ってたらギャルゲーだったんだよ!!
  不可抗力だろ? 全クリしたけど……
  「ここから後どれくらいあるの?」
  「ん?ああ、マスターの書いてくれた住所によると東京都千代田区外神田1-2Z-4X0万世橋無線会館B2Fとあるな…」
  「それってこのビルじゃないですか?」
  おいおい、随分とご都合主義的な流れだな
  あっという間に見つかっちまったぞ…



  「こんにちは…」
  「有無、来たか」
  自動ドアが開いた瞬間、俺たちの前に現れたのは…
  髪は黒髪、背丈は小柄、作業着と思われる白衣に身を包み、俺とノアと博士を丸眼鏡越しに見上げる形で腕を組んでふんぞり返っていた少女と言うよりもはやこれは…

               幼女だった

  「鉄拳制裁!!」
  いきなり俺に向かって殴りかかってくる幼女
  何とかかわしたけどいきなりだなオイ!!
  「うをっとっと!」
  「む、なかなかやるな…」
  「なにすんだいお譲ちゃん…御転婆は一人で勘弁だって」
  「だぁれが御転婆なのかな?ご主人様…」
  「…オマエ」
  ムキーと絡んでくるネコは置いておいて…
  「誰が幼女か!誰がお譲ちゃんか!!私には槇野 晶という名があるのだ!!」
  「それはすまなかった、晶ちゃん」
  「ちゃん付けするな!!」
  どうしろというのだこのちびっ子は…
  「ではなんとお呼びすればよろしいでしょうか」
  冷静なノアの対応
  確かに刺激すれば逆効果か…
  「そうだな…私のことはマイスター(職人)とでも呼んでもらおうか。ここの店長なんだがな」
  「は?店長?それにマイスターだって?」
  「何かおかしいか」
  「いや、だってさ…」
  その外見からはとてもじゃないが想像がつかん
  この子が本当にここの店長ならマスター、彼女は貴方の言う通り、いや、それ以上の変わり者なのかも…
  「おお、槇野君じゃないか!」
  「む、何ヤツ……って、フェ、フェレンツェ!?」



  「つまりはお知り合いだったと?」
  「ああ、彼女の神姫に対する愛の形は私達学者や研究者とは違うが、職人としての腕はリスペクトするに値する。私が保証しよう」
  「何を偉そうに…たまたま私達の趣味がお前に合っただけではないか」
  「それもリスペクトするには十分な理由じゃないか。ハッハッハ!」
  晶ちゃん…もといマイスターの頭をグリグリと撫でながら博士はでっかい声で笑い出した
  ホントにこの扱いでリスペクトしてるって言えるのか?
  「趣味って…どんなのなんだ?」
  ユーナが少し眉を寄せながら聞く
  基本的に博士の趣味は当てにならないからか疑心暗鬼に陥っているようだ
  「む、この店のブランドは私のオリジナルブランドで…」
  「マイスター、お客様にお茶をお持ちしたですの~」
  と、お盆を上に乗せてふよふよ器用に飛んでくる水色の三つ編みヘアーのアーンヴァル
  「おお、ご苦労だったなロッテ。紹介しておこう。私の“妹”のロッテだ」
  なぜか妹の部分をやたらと強調してるのは俺の気のせいか?
  「ロッテですの~。よろしくお願いしますですのっ!」
  あ~わかった
  どんな趣味か一発でわかっちゃった
  要するに…………少女趣味なわけか
  「ご、ゴスロリか?」
  ユーナ君、なんだか腰が引けてますよ?
  確かにオマエはこういう系は苦手なんだろうけどなぁ…
  「あんな現代の歪んだナンセンスと一緒にするな!!私の“Electro Lolita”は全くの別物だ!!」
  「その通りだよユーナ、全然違うじゃないか」
  スイマセン博士、俺も違いは全くワカリマセン…
  まぁ、この人達がそういうならそうなんだろう……か?
  「と、とにかくロッテちゃんだっけ?俺は橘 明人、よろしくね」
  「ノアールです。よろしく、ロッテさん」
  「私はミコ!ヨロシク、ロッテちゃん♪」
  「アタシはユーナだ、よろしくな」
  「わー、いっぱいお友達が出来ましたの~。嬉しいですのっ♪」
  …さっきから気になってたんだが、もしかしてロッテちゃんの口調って…この店の名前と関係あるのか?
  「それで、神姫用の晴れ着だったか?」
  「あ、そうなんだ。三着なんだけど…あるかな?」
  「ふ、私の店を舐めてもらっては困るな。季節物の対応に抜かりなどはない。全力で客のニーズには応える。それが私の美学だ…」
  おお…このちびっ子、カッコいいじゃないか…
  「ちびっ子言うな!!」
  こんどは膝蹴りが飛んでくる(難無くかわしたけどな


  そんでもって帰り道
  “ALChemist”の衣服関係の品揃えは凄かった いやホント
  ノアとミコは結構興奮していたのだが、やはりユーナにはイマイチ合わなかったのか二人とは逆に意気消沈気味だった
  「あ、アタシには耐えらんねぇ…あんなの着た自分を想像すると寒気がするぜ…」
  とヨレヨレだったのだ
  同じアーンヴァルのロッテちゃんにはあんなに似合ってたのにこいつが着ると確かに違和感がある気がするな…
  「今度はそいつの気に入るヤツも作ってやる」
  とユーナに見かねた晶ちゃんが帰りしなにそう言ってくれた
  あ、それと晴れ着はちゃんと無事に購入したぞ
  それから俺たちは二人に見送られながら夕暮れ前のアキハバラを後にした
  「そういえば博士、晶ちゃんて何歳なの?」
  帰り道の途中でミコがそう言った
  お、それは俺も興味があるな
  結局いくつだったんだ?
  「歳か……確かなぁ…」
  「確か?」
  気づいたら皆で注目していた
  「う~ん…………忘れた」
  「「「……はぁ?」」」
  「だから解らないんだ。まぁ槇野君のことだから思い出していたとしても口止めされてただろうから言えないけどね」
  「むむぅ…気になるな…」
  「あ~私も気になるよぉ~;」
  忘れたという中途半端な答えはイマイチスッキリしない
  その日の俺、ミコ、ユーナはなかなか寝付けなかった…

  追記
  帰ってから昴たちに今日の話を聞かせてやった
  香憐ねぇが“ALChemist”に興味を持ったようだが…
  香憐ねぇには悪いが、正直“Electro Lolita”よりか青山のスーツの方が似合う気がする
  でもまぁ一度くらいはつれて行ってみようか
  なんにせよ、今日はいい店を見つけられた面白い一日だったってことで…
                      続く


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