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『ざわ・・・ざわ・・・』
 という擬音が発生しそうな空気が、そこにはあった。
「すまん!」
 その空気の中心に居るのは、周防その人。
 彼は、見事なダイナミック土下座を決めていた。



第10話 『そして、二人で』




 周防の前に居るのはスミレ、白瀬とクロ。それに先程までの対戦相手である蓮とエリーナの姿もあった。
「俺が適当に設定してたから、スミレにも他のみんなにも迷惑をかけてしまった。本当に申し訳ない!」
 15cmの神姫を前に平謝りの成人男性。明らかに異様な光景だったが、本人は真剣だった。
「でも周防さん、それは私が……」
「申し訳ない!」
 白瀬の台詞を遮るように、大声で詫びる周防。
「(周防先生……ありがとう、ございます)」
 周防の気持ちを察した彼女は、心の中でそっと詫びる。
「気にしないで下さい兄さま。私結構楽しかったんですから、ね、ね?」
「まぁ……知らなかったとはいえ、アタシ達も無礼だった。ここはお互い様という事にしておかないか」
 公衆の面前で大の大人に土下座までされてしまい、蓮は気まずそうにポリポリと頬をかく。
「そうっす。私も不意打ちかましましたし、おあいこでっ」
「……痛かった」
「ひぃっ!?」
 ジト眼のクロに、完全に怯えるエリーナ。
 一瞬で消し炭にされてしまったのは、どうやら彼女の中でトラウマになってしまったらしかった。
「駄目よクロちゃん、そんな風に言っちゃ。
 ごめんなさいねエリーナちゃん、今後もクロちゃんとバトルする機会があったら宜しくね」
「は、はいっす。ぜ、全力でお相手させていただくっすよ! ね! ね!?」
「お前は誰に言ってるんだ……」
 パニック状態のエリーナは、赤べこ人形のようにカクカクと首を上下させる。
「……しかし、初めてのバトルと言ったが、あの動きは凄まじいものがあった。
 その筋の神姫は戦闘でも特異的な能力を発揮すると言うが、貴様もその類か?」
 尤もな疑問を蓮が口にする。
「……まぁ、そんな所だ。おっとこれ以上は企業秘密だから訊かないでくれよ」
 神姫は各種事業等に従事する場合も多く、更には各種試験の為にワークス神姫が一般のゲームセンターに出入りしている話もそれなりに聞かれる。
 その為周防の返答はいかにもありそうな理由ではあるのだが、その口調は若干棒読みに近かったかもしれない。
「成る程。確かにレアリティの高いヴィオラタイプのようだし、これ以上は野暮というものだろうな」
 しかし蓮は周防の説明に納得した様子で、とりあえずは矛を収める。
「――貴様の技量、尊敬に値する。いずれまた再戦を請うとしよう」
 戦闘中の好戦的な笑みはなりを潜め、感じのよい微笑を湛えて右手を差し出してくる。
「はいっ、此方こそまたお願います」
 スミレもまた、微笑みと共にその手を握り返す。全力を尽くして闘った戦乙女達の、美しい光景であった。
「ところで……見切りはともかく、最初のエリーナの狙撃で勝負がついていてもおかしくはなかった。だが、お前は立ち上がった。その力の源は一体何だ?」
 蓮の切り込みの違う質問にスミレは暫くキョトンとしたあと、自信たっぷりの笑顔で。

「それは――愛の力です!」

「……は?」
 言い切った。
「どんな事にも挫けない……どんな逆境にも負けない力。それは――私と兄さまの、『愛の力』です!」
 大事な事なので二度言いました、と言わんばかりのスミレ。
「あの……スミレさん?」
「愛があれば年の差なんてとはよく言いますけど、人間と神姫の差だってきっと乗り越えられます!」
 波が引くように周囲がさぁっと引き始めるのに対して、彼女はどんどんヒートアップしていく。
「スミレ殿……?」
「BLとか同性愛でも今の世の中アリなんです。
 同性でアリなら人間の男と神姫の女なら異性愛です。十分問題のないレベルだと思うんです!」
「スミレ……?」
「だって……だって、私は……私は……」
 感極まったのか、ワナワナと身体を振るわせ……そして。

「だって私は、兄さまと結婚――」

 そこまで言い掛けた所で、周防が慌ててスミレの口を塞ぐ。否、鷲掴みにして口ごと塞いだと言うのが正確だろう。
「あ、あはははは……。
 ちょっと初めてのバトルでテンション上がりすぎて何処かおかしくなってるかもしれないな。すみません皆さん、今のは忘れてください。
 さてメンテナンスして貰おうかスミレ。何処か異常がないかキッチリと見て貰おうなっ」
 もがーもがー!と、スミレは周防の手の中で抗議の声を上げる。
 周防はそれに構う事無く周囲に頭を下げ、荷物を乱雑に纏めると逃げるように立ち去る。――実際逃げ出したと言ってなんら差し支えない。
「周防先生……」
 立ち尽くす白瀬。――詰まる所、彼女は置いていかれたのだった。




「お前なぁ……」
 呆れ顔でスミレを見下ろす周防。
「すびばせん兄さまぁ……」
 そして半べそでしゅんと小さく縮こまっているスミレ。
 そこはセンターの敷地の外れ、資材や搬入機械などが置かれているバックヤード口で、二人の周囲に人影はない。
 つまり、此処まで逃げてきたのであった。
「……まぁ、初めてづくしでお前も色々疲れたんだろ。
 後で何て白瀬先生に言い訳するかは二人で考えるとして、今日はもう帰るか」
「兄さま……」
 責める事のない周防の優しさ。――それがスミレには嬉しく……辛かった。
「――怖かったんです」
 そしてスミレは、ポツポツと語りだす。
「撃たれた時、今思えばそんなに痛かった訳じゃないんです。
 ……ただ、もしかしたらこの痛みが広がって、私の全てを奪って……そして、兄さまと二度と会えなくなると思ったら、怖くて」
 それは内心の吐露。もしかしたら、懺悔。
「そして、兄さまを侮辱された。……私の一番大切なものを。命より大切な兄さまを……そう思ったら、止まらなくなりました。
 怒りに任せ立ち上がって、あとはそのまま……」
 周防はその独白を、ただ静かに聴いている。
「でも本当に怖くなったのは、その後です。……自分の考えた事に、やりたいと思ってしまった事」
 感情の篭らない声。
「以前の私なら、そんな事を思いもしませんでした。だから、これは……もしかしたら、って。
 幾つもの……可能性。
 いいえ、私が考えたくない可能性。その実現……そう思うと、怖くて」
 それは必死に感情をコントロールしようと耐える少女の、偽りのない姿だった。
「だからつい……そんな事を思わないように、思ったことすら忘れるように、あんな……」
「別に構わないさ」
「……兄さま?」
 スミレが驚きの表情で見上げる中、周防は煙草を咥え、自身も落ち着かせるようにゆったりと煙を吐いてから口を開く。
「生きてりゃ誰しも成長するものさ……変化とも言えるな。まさに良くも悪くもってヤツだな」
「でも私、そんな変化なんて……」
「どう変化しようが、お前はお前だ。自分を否定する事もないさ。
 それに、最終的に楽しかったってのも嘘なのかい? 俺にはあの笑顔が全て嘘だとは思えないんだが」
 スミレは困ったように眼を逸らし。
「……楽しかった、です。
 彼女と戦っている時、全身が高揚していました。今までやりたくても出来なかった事が……出来ていたんですから。
 戦い終わった後にも、しこりはありません。だからこそ、それ以前の私の感情が……」
「……それは、お前自身にも、彼女にも失礼だぞ。スミレ」
「っ!」
 周防の一言が、スミレの胸に突き刺さる。
「それに間違っていたと思うなら、そこでゴメンナサイして次は間違えないように進めばいい。――時間は、あるんだから」
 戸惑う彼女をその手に乗せると、慈しむ様に指先でそっと小さなその頭を撫でる。
「……それにな」
「はい?」
「俺がお前が好きで、お前は俺が好き。それは間違いのない事実なんだから、それだけでも今は十分ってモンだろ」
「……はい、はいっ!」
 瞳に嬉し涙を浮かべながら、スミレは何度も強く頷く。自分の心に何かを刻み込むように。
「まぁ嬉しいのはわかるが、あんまり言い触らすモンでもないさ。ヒミツの関係ってお楽しみもある事だしな」
 柄にもなくウィンクなどしてみる周防。
 プレイボーイでもない三十路前の冴えない男の仕草としては、絶望的に似合っていなかった。
「あはははっ、確かにそうですね。でもそれじゃ妻じゃなくて愛人みたいですよ兄さまぁ」
「愛人か……中々に背徳的な響きがあるな。悪くはない」
 顎に指をつけるキザなポーズも絶望的に似合わない。
「もうっ、本当に兄さまは酷いんですからぁ」
 既にスミレの顔から、暗い影は吹き飛んでいた。
「ははは。そんな酷い奴の事、嫌いになったかい。スミレ?」
「そうですね、そんな事言っちゃう兄さまは……」
 スミレは周防の肩に駆け上がると、耳たぶをぎゅーっとつねる。
「・・・」
「あたたたたっ!?」
 スミレの声が、風に乗って流れていく。

『 ダ イ ス キ 』

 そうして、彼女は彼氏の頬にキスをした。






おしまい







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