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与太話15 : 小ネタ二つ



■■ 進撃の人間 ■■

今から100年以上前、神姫は人間の支配下に置かれていた。
勝ち目のない争いを強いられてきた我々はその後、支配から逃れることができた者によって、人間の超えられない3重の巨大な【壁】を築き、人間の存在しない自由な領域を確保することに成功した。

一番外側の壁を【ウォール・マリア】。
その内側の壁を【ウォール・ローゼ】。
最も内側の壁を【ウォール・シーナ】と呼ぶ。

壁によって守られた神姫はその内側で100年の自由を実現させた。
「しかしにゃ……、その自由も終わりを告げたのにゃ」
5日前、突然表れた【超乱暴型人間】によって【ウォール・マリア】を破壊され、人間の侵入を許してしまった。
次々と侵入する人間を阻むことはできず、神姫は【ウォール・マリア】を放棄し、活動領域を【ウォール・ローゼ】まで後退させた。
そして神姫は再び思い出すことになった。
人間の脅威を。
「今、この瞬間にもあの【超乱暴型人間】が再び現れ、壁を破壊しに来たとしても不思議ではないのにゃ」
2割の人口と3分の1の領土を失った……、だが、それと同時に神姫は目を覚ます。
「その時こそオマエ達は自らの命を捧げて、人間という脅威に立ち向かってゆくのにゃ!」
神姫――武装神姫は戦うために存在する。
「CSCを捧げるにゃ! 人間を駆逐してやるにゃ! この世から……、一匹残らず!」


◆――――◆


カグラが突き上げた肉球に呼応するように、主にマオチャオやその他雑多な神姫達は見事に揃った敬礼を見せた。
隊列こそてんでバラバラ、というかカグラの周りに集まってるだけなんだけど、全員が右拳を胸に当て、目をギラつかせている光景には相当な迫力がある。
あれが本物の兵士というものなんだろうか。
あれが使命のために己が命――CSCを捧げた神姫の覚悟の現れなのか。
遠巻きに見ている私の口からは感嘆、もとい呆れのため息が出た。
これから行われるらしい壁外調査……、という名のヂェリ缶確保作戦はそこまで崇高なものなんだろうか。
「アマティ団長」
と真面目そうなゼルノグラードが駆け寄ってきた。
「調査兵団より協力依頼がありました。壁付近の人間をできるだけ遠ざけるよう援護せよ、とのことです」
「あー、ガン無視でいいです。私たち駐屯兵団が一番忙しいんですから、暇な憲兵団にそのまま投げてください」
「し、しかし自分は……」
ふと、彼女に聞いてみたくなった。
私率いる駐屯兵団が壁内の雑事ほぼすべてを行っており、つまりそれは、カグラ率いる調査兵団の超独善的な悪行に手を貸してしまっているわけで、もはや言い逃れできないこの状況をどうすればいいのかを。
「憲兵団は何といいますか、その、いささかコンタクトを取りづらくて……」
「やっぱりいいです。私が連絡しときますから。あなたは調査兵団から何も聞かなかったことにして、引き続き壁の補強に当たってください」
指示すると、やっぱりこのゼルノグラードも調査兵のように見事な敬礼をして持ち場に戻っていった。
こんな不真面目な私の命令に従ってくれて……、何だろう、この罪悪感は。
もやもやした気分を落ち着かせたくもなり、憲兵団長様への専用回線へと繋げた。
「ほむほむ、今いいですか」
《アマティ姉? ごめん、ほむほむ姉はいなくなっちゃった》
「いなくなった? あれ、この声はメルですよね。どういうことです?」
《今日はジャンプの発売日だからって帰ちゃった。だから今はボクが団長代理》
せめてそこは別冊少年マガジンにしろよと言いたい。
けれど全くやる気のないほむほむよりは、戦乙女型アルトアイネスのほうが様になるだろう。
ほむほむ脱走については後で軍法会議にかけるとして、カグラには今はこの事は黙っておくことにしよう。
《ウォール・シーナの内側からじゃ壁の外側がどうなってるのか全然分かんないんだけどさ。今はどんな様子なの?》
「ウォール・マリアが完全に撤去されましたよ」
《やっぱり駄目だったんだ。まぁ、ダンボールの壁が5日間も機能しただけで奇跡だよね》
まったくメルの言う通りである。
鉄子さんがウォール・マリアを蹴破りはしたものの、この神姫センターはいつまで私たちの不法占拠をほったらかすつもりなんだろうか。


◆――――◆


神姫センターがこの状況――暇を持て余した神姫達による暴挙――を逆に面白がって放置していようとも、そうは問屋が卸さない。
『超乱暴型人間』などという不名誉なあだ名が定着してしまう前に、あの阿呆神姫達を解散させてやる。
差し当たって突撃するのに、家の倉庫に何か役立ちそうなものはないかと探してみる。
「ところで妹君。なぜ前回はダンボール壁の破か……、撤去を途中で止めてしまったのですか」
「マシロ、人間の気持ちって結構脆いもんなんよ……。例えばよ? ちょっとダンボール壁を壊しただけで神姫達からバケモノを見るような目で見られたら傷つくと思わん?」
「え、ええ……、心中お察しします」
「お父さんのゴルフクラブ発見。これ良さそうやない」
「そのまま持ち出したら職務質問されますよ」
「そっか。じゃあ弓袋に入れていこう。いやいっそ弓道具のほうがいいかもしれんね」
「それは本当に捕まってしまいます」
「よし! じゃあ行ってくるかね。マシロも手伝ってくれたら助かるんやけど」
「あー……」とここで、マシロにしては珍しい歯切れの悪い反応。
「妹君、大変心苦しいのですが……、この後、私にはどうしても外せない所用がありまして、申し訳ありませんが遠くからご武運をお祈りします」
言葉の割に表情にちっとも心苦しさが表れてない。
しきりに居間のほうに顔を向け、サスペンスドラマが始まるから早く行ってくれと言わんばかりである。
今回の件はマシロにとっても神姫センターにとっても、よほどどうでもいい事らしい。
そして私の本当のパートナーであるはずの神姫、コタマの手を借りることもできない。
何故ならあの阿呆は今頃、ダンボール壁の内側でニトロヂェリーでも飲みながらゴロゴロしているんだろうから。


◆――――◆


「駅方面索敵班より連絡! 『超乱暴型人間』が出現、壁内に向かっています! しかも今度は長い武器のようなものを携行している模様! 壁までの推定到達時間、およそ2分!」
「カップラーメン作る暇もないにゃ! どーしてここまで発見が遅れたのにゃ!」
「駅から神姫センターまで徒歩5分ですから。というか駅で信煙弾を使っていいのか判断に迷ったために連絡が遅れたんです」
「公共の場で信煙弾なんて使っていいはずあるかにゃ! つーか緊急時に原始的連絡手段とか意味わからんにゃ!」
「しかし連絡には必ず信煙弾を使うよう命令したのはカグラ団長でしたが」
「あー、そうだったかにゃ? ――とにかくコトは一刻を争うにゃ! 索敵班を含む調査兵は総員、壁内まで全速力で撤退するにゃ! 『超乱暴型人間』と遭遇した者は可能な限り時間を稼ぐにゃ!」


◆――――◆


途中で何人か遭遇した神姫から「お願いですからご勘弁を」みたいなことを言われたが無視して、私が神姫センターに到着した時には、ダンボール壁の撤去作業が始まっていた。
これまで籠城していた神姫達によって。
たぶん、私がここに向かってるって連絡を受けたダンボール壁内の神姫達は、これ以上の抗戦は不可能と判断した――のではなく、遊びはこれまではい終了―、みたいな感じなんだと思う。
あんなに大切そうに守られていた壁が神姫の武器で引き裂かれ、折り畳まれ、無駄に手際よく片付けられていく様は、なんだか子供が飽きたおもちゃを箱に放り投げるのに似ている気がした。
で、べろんべろんに酔っぱらってゴミと仲良く捨てられているコタマを発見。
ドールマスター with ゴミ。
Kotama bite the dust.
ブームに乗っかって遊ぶのはいいけれど、ここの神姫達にはもうちょっと刹那的じゃない生き方を覚えて欲しい。










■■ そして刹那に生きた神姫達 ■■


――――――――――――
☢ CAUTION!! ☢
――――――――――――

既に終わっていることを前提としています。
あとコレも特にオチとかないです。




メル
アルトアイネス型
私の妹、ごくごく普通の神姫な感じ
スカートの内側に暗器を大量に隠し持つ

カグラ
マオチャオ型
『疫病猫』、『マッドサイエンキャット』、科学力だけはすごい
町のマオチャオの総大将、犯した罪は飲んだヂェリーの数程か

ほむほむ
マオチャオ型
本名はホムラだという説がある
カグラの横によくいたりいなかったり。仲が良いんだか悪いんだか分からない

アマティ
アルトレーネ型(頭に猫耳を生やしてる)
カグラがマッチならアマティ姉さんはポンプ
私と同じアルトレーネだけれど、モード・オブ・アマテラスを発動できなければ超弱い

コタマ
レラカムイ型(元ハーモニーグレイス型)
『ドールマスター』、一般レベルでは自他共に認める最強の神姫
ハーモニーグレイス型からレラカムイ型に変わり丸くなった。キャラも薄くなってしまった

マシロ
クーフラン型
『ナイツ・オブ・ラウンド』、その強さはスポーツ漫画にサイヤ人が紛れ込んだレベル
竹櫛家のためなら超法的手段も躊躇しない

ハナコ
『ディフェンダー』、コタマと同等の実力はありそうだが、絶対に攻撃行動を取らない
メルの二人目の姉であり、つまり私とも姉妹関係になるんだと今更ながら気付いた

ホノカ
飛鳥型(ストライクウィッチカスタム、という拘りがあるらしい)
『セイブドマイスター』、ファンクラブを勝手に作られては壊滅させ作られては……
神様と何かの契約を結んでいたけれどグダグダに終わってしまったらしい

ハルヴァヤ
アルトレーネ型(私やアマティ姉さんと比べてやたらイケメン)
『火葬』、マシロ姉さんらと並ぶ『デウス・エクス・マキナ』の一人
ホノカさんと命の賭けた勝負で『火葬』として蘇った。能力はアマティ姉さんの完全上位互換

神様
オールベルン型
強いのか弱いのか、そもそもどういった存在なのか謎
武装神姫コンテンツが停止したせいで色々とやる気を失ったらしい

エル
アルトレーネ型(猫耳アマティ姉さんや灼熱ハルヴァヤさんと違って普通)
メルと共にヂェリー販促神姫として起動して、紆余曲折(姫乃さんに殺されそうになったり)を経て今に至る
射美ちゃん事件解決後から時が過ぎ、素体の老朽化のためアルトルージュ型に換装してもらう(予定が無くなってしまいましたチクショウ)


◆――――◆


「猿の惑星って映画、あるでしょ」
私達がよく使う茶室では、まだ炬燵を出しっぱなしにしてあった。
桜の花弁を押しのけて生まれる緑が夏に向けて育っていったところで、炬燵の魔力が衰えるわけではない。
それに、どれだけぐうたらしたって誰に蹴り出されるわけでもない。
何せ、私が知る限り最もそういった規律・秩序を重んじていたマシロ姉さんが「猿の? ……さるかに合戦の話ですか」天板に突っ伏しているくらいだ。
炬燵の中ではコタマ姉さんが丸くなっている。
タマちゃんはコタツで丸くなる~♪ とからかう季節が随分、遠い昔のように感じた。
「さるかに合戦? 猿軍団と蟹大群が戦ったらそりゃあ……、意外とカニ強そう」
マシロ姉さんに負けず劣らずトンチンカンな返事をしつつ、テーブル中央に積まれたみかんヂェリーの山に手を伸ばすホノカ姉さん。
でも届かない。
手が届く範囲のヂェリーは全て飲んでしまったからだ。
さっきからこの人、どんだけヂェリー飲んでるんだろう。
「エル、そっちからヂェリーの山押して。取れないから」
今更だけれど、カグラとほむほむ姉さんはよくもまあこれだけのヂェリーを集めたものだ。
「俺の名はホムラだ」
正方形の一辺に三人まで座れるこの巨大な炬燵だってカグラによる特注品だ。
作った本人は猫型のくせに炬燵の中で丸くならず、普通にほむほむ姉さん、うたた寝中のアマティ姉さんと並んで、タブで艦これのオリョクル? とかいうものに勤しんでいる。
炬燵の四辺のうち一辺に私とメル、左辺にカグラら三人、右辺にマシロ姉さんとハナコ姉さん、向かいにホノカさんとハルヴァヤさん、神様を名乗る謎のオールベルン型神姫。
そして炬燵の中にコタマ姉さん。
なんとなく、改まって眺めて見ると妙な繋がりができてしまったものである。
ちょこちょこ顔合わせの機会はあったけれど、こうして集まってだべるようになったのは武装神姫の一番くじが終息したくらいからだっただろうか。
「エル早く」
「はいはい」
私も一缶取って、その缶で山を小突いた。
派手に音を立てて崩れるヂェリ缶の山というのは本当に贅沢なものなのだが、皆ポヤポヤしていて、お休み中のアマティ姉さんが「んんぉ」と呻いた以外の反応はなく、ホノカさんは手元に転がってきたものを開けて「それで」と話を再開した。
「どっちが勝ったの? 猿? 蟹?」
「勝ち負けで語られる話ではないのですが……、まあ、敢えてどちらかと言うならば先に仕掛け、最後に負ける滑稽な猿の負けでしょう」
「へー。その猿って一匹で蟹の大群に挑んだの?」
「いえ…………、ああ、その通りです。猿の愚鈍と蟹大群の戦術により、猿の戦果は一匹だけでした」
「猿って弱いのねー」
「そうですね」
「ハサミギロチン的なねー」
「そうですね」
誰もつっこまない。
マシロ姉さんの隣ではハナコ姉さんが何か言いたそうにオロオロしていて、ホノカさんの隣ではハルヴァヤさんと神様が笑いをこらえているが、つっこまない。
「またメガネにゃ! ワガハイもう何回マイクチェックしたにゃ!? 大和が全然出にゃー!」
「猿の惑星の話じゃなかったの?」
ぼんやりと天井を仰ぎ見ながら、興味無さそうにメルがさるかに合戦の話を流した。
「そうだった、猿の惑星よ。マシロあんた猿の惑星見たことないの?」
「記憶にあるような気はするのですが……、何故でしょう、記憶を辿ろうとすると自由の女神像が思考を妨害してくるのですが」
「ぶふぅっつ!」
「にゃぶっ!?」
ハルヴァヤさんが吹き出した緑茶ヂェリーをカグラは顔面で受け止めた。
「汚にゃー! オマエ何してくれとんにゃー!」
「す、すまな、ふふっ、いやマシロ本当にやめてくれ、その、ふヒッ、真顔で冗談を言うのは」
「私は表情豊かな貴様が羨ましい」と冷めた声のマシロ姉さん。
この二人の今のような関係が、私は本当に羨ましい。
距離感が安定するまで、ツンケンしていたマシロ姉さんと、そのマシロ姉さんのことが何故か笑いのツボらしいハルヴァヤさんは喧嘩を繰り返してきた。
口げんかや取っ組み合いなどと可愛いものではない、一歩間違えば最低でもどちらかが死ぬ、文字通りの死闘だ。
公式な場であれば満員御礼間違い無し。
十二の騎士率いる『ナイツ・オブ・ラウンド』。
灼熱の武装で何もかも燃やし尽くす『火葬』。
そんな二人のバトルを私は間近で見ることができる、ということになるのだろうが、マシロ姉さんがどんな場面でハルヴァヤさんの笑いのツボを付いてくるか分からないからたまったものじゃなかった。
何せ二人のレベル・戦闘スタイルだと『戦闘』が『殲滅』になってしまうのだ。
例えばこの炬燵。
私がこの炬燵を武器で解体しようとするなら大剣での助走・切断・助走・切断を何度も繰り返し行う必要がある。
それに対してマシロ姉さんとハルヴァヤさんはひと薙ぎで床ごと木っ端微塵・灰燼にしてしまう。
私達のお茶会には常に死と隣合わせだった(それでもお茶会を続けた私達もアレだが)。
そして本当にダメだと思った時、ハナコ姉さんが命懸けで私とメル、コタマ姉さんを守ってくれて、鉄子さんに直訴して何とかしてもらった。
鉄子さんがどうやって何とかしたのかは聞いていないが、今はこうして炬燵もろとも自分が消し飛ぶ恐怖に怯えることはなくなっている。
何度も衝突を繰り返したが決着はつかず、お互いの実力を知り尽くした二人はこうして仲良く……、なのかどうかはわからないけど、ハルヴァヤさんは楽しそうだし、マシロ姉さんも嫌がってはいない。
出会ってから二ヶ月くらいはホノカさんが「ハルの爆笑なんて私、見たことなかったわ」などと言いつつ嫉妬を込めた視線をマシロ姉さんに送っていたりもしたし、本当の友達って案外、こういうものじゃないかと思う。
私はマシロ姉さんのことを(恐ろしい部分を含む)少しは知ってるつもりだから、そんな人を平気で笑えるハルヴァヤさんはきっと、運命的で理想的な相手だ。
私達が鉄子さんに何とかしてもらわなかったとしても、最終的に二人は今の形に落ち着いていたことだろう(私達の生死は別として)。
「なんですかエル殿まで顔をにやけさせて。そんなに私の顔が滑稽だと?」
「いえいえいえいえ! 違いますって!」
いつか行ったコタマ姉さん復活記念バトルでマシロ姉さんと戦ったことはあったが、その時はあくまで余興であって、日を改めて本気の本気、マシロ姉さんが十二の騎士を完全に使い、遊び手加減一切無しの真剣勝負をお願いしたことがあった。
四秒だった。
速さが自慢の私がまさか距離を取ることすら許されず、あまりの実力差というか理不尽さでわけが分からず――じゃあ後はもう号泣するしかなかった。
つまり私がマシロ姉さんと喧嘩を始めた場合、その時点から私の寿命は残り四秒ということになる。
「そっち移るから場所開けるにゃスピード自慢。オマエに島風コスプレは似合わんにゃあ。アルトレーネに似合うのは……、ビスマルクか飛行場姫にゃね。なのです繋がりで電でもネタ的に悪くにゃい」
「艦これって面白いの?」
私とメルの間にわざわざ割り込んできたカグラのタブを、メルは大して興味もなさそうに覗きこんだ。
「エル姉に似合うのってどれ?」
「ビスマルク持ってたらワガハイは苦労せんにゃ。大和すら出ないからオリョール海でクルージングとかやらんといかんのにゃ。あ、言っとくけどワガハイの秘書艦は夕立改二だからにゃ。球磨型もみんな好きにゃが多摩じゃあないにゃ」
「ちょっとやらせてよ」
「聞いとらんにゃオマエ。じゃあワガハイが休憩してる間にデイリーこなしとくにゃ。潜水艦を出撃させるだけの簡単なお仕事にゃ。まずは――」
「ふう……、落ち着いた。申し訳ないホノカ、マシロ。話を遮ってしまったな、続けてくれ」
「何故私を侮辱したかの説明は無しですか。神様も口を押さえていたようですが?」
「神姫が生まれる2036年よりずっと昔の有名な話さ。映画『猿の惑星』の円盤パッケージを飾ったのが自由の女神像でね。ほら何となく想像できるだろう、タイトルが猿の惑星なのに、どうして自由の女神像が関係しているのか」
「――――つまりパッケージでネタバレしている、ということですか」
「それもラストのインパクトを生むためだけに作られたような類の映画だったこともあってね。そりゃあ当時の人間に味わい深いインパクトを与えたものさ」
「犯人はヤス、みたいなものですか。ネタバレブームでもあったのでしょうか。ところでホノカ殿、その猿の惑星がどうかしましたか」
「もう猿の惑星からどう話そうとしてたか忘れたわよ……、人がせっかく真面目な話しようとしてたのに、どっから出てきたのよハサミギロチンって」
自分で言ったくせに。
トゲトゲしく言いつつ、またヂェリ缶に手を伸ばすホノカさん。
ヤケ酒ならぬヤケニトロ、というわけでもないのだろうが、空き缶がどんどん増えていく。
「じゃあストレートに聞くけど、私らっていつ死ねばいいの?」
飛び跳ねそうな勢いでハナコ姉さんが震えて、炬燵の中に潜ってしまった。


◆――――◆


何度かそれらしい雑談はしてきたけれど、こうも直球で話題になるのは初めてのことだった。
「昨日ゴクラクが自殺したのよ。エルとほむほむは知ってったっけ? 『清水研究室』の室長。ディアドラ型の神姫」
「俺の名はホムラだ」
私はほむほむ姉さんのように平然としてはいられない。
口を開いたら何を言ってしまうか分からなかった。
「潜水艦だけじゃ面白くないし……、よし、なんかストラーフに似てる空母大鳳、出撃!」
呑気な妹が羨ましい。
「そんな顔で私見ないでよエル。言いたいことは分かるわよ、どうして知り合いが自殺したのに、こんなに平然と喋ってんのかってことでしょ。私にもね、ちょっと関係あったのよ。この有難い神様の……、あれ?」
ホノカさんが握りこぶしを作って振りかぶろうとした先、さっきまで座っていた神様が忽然と姿を消していた。
私だけでなくマシロ姉さん、ハルヴァヤさんすらも気付かなかったらしく、炬燵の中を覗いてもコタマ姉さんとカグラ、それに耳を塞いで縮こまっているハナコ姉さんしかいなかった。
この炬燵は大きくても茶室まで広いわけではない。
畳の下か天井の上を除けば隠れる場所なんてない。
「まぁ、クソ神様が仕組んだこととは別問題だとは思うけどね。一週間くらい前にゴクラクがわざわざ私のところに来て、こんなことを言ったのよ。「セイブドマイスター殿は我を消失しても痛みを覚えることはない。覚えておいてくれ」だって。その時は何言ってんだコイツって感じだったけど、実際そうだったって昨日、分かった」
「聞いていないぞホノカ」
「言わなかったのよ。ゴクラクの遺言というか、あいつが見つけたものが本物か確かめたかったの。『デウス・エクス・マキナ』でハルと一緒に括られてるマシロも、平然としてるけど実は疼くものがあるんじゃない?」
「……貴様の五月蝿い口を上半身ごと消したいところではありますね」
「その疼きの正体をゴクラクは掴んだらしいのよ。『清水研究室』は元々、そういった私達が普通掴めないものを掴むために立ち上げられた機関だった。ゴクラクはこんな話も残していったわ」


◆――――◆


三人の神姫オーナーがいてね、所謂三角関係だったのよ。
男性のAくんと女性のBさんは恋愛関係にあって、女性のCさんはAくんのことが好きでもあり、恋敵のBさんの親友でもあった。
Cさんは悩んだ末にラブレターを書いて渡そうとした。
でもAくんに渡す勇気がなくて、じれったく思っていたCさんの神姫はある日、自分がラブレターを渡してきてやる、と言った。
Cさんの神姫はAくんの神姫にラブレターを渡して、Aくんにしっかり読ませるように頼んだ。
ここが最悪の間違いだったのよね。
この日の夜、CさんはAくんのメールを受け取った。
自分にはBさんがいるけれど、それを知っているはずのCさんに告白されて戸惑っている。
Bさんには内緒で、まずはチャットのやり取りをしてみないか。
で、翌日からCさんはAくんと夜、おしゃべりをするようになった。
三人が顔を合わせる昼間はAくんとBさんの仲を絶対に崩さず、でもCさんは夜になればAくんと好きなだけ話すことができるようになって、思い詰めることはなくなった。


◆――――◆


「あぁ、大鳳が轟沈しちゃった。大丈夫なのかな」


◆――――◆


そんな昼夜で区切られた歪な二股が……、まぁ歪じゃない二股があるのかって話だけど、長く続くはずがなかった。
Cさんの神姫は、Cさんが喜んでいるならそれでいいって考えてたけど、間抜けよね、おかしいことに気付くのに数日もかかったのよ。
Bさんという彼女がいながら、どうしてAくんは毎晩、Bさんのための時間を作れるのか?
Cさんの神姫はAくんに問い詰めたけれど、チャットどころかラブレターのことすら知らなかった。
つまりCさんのラブレターはAくんの神姫に止められていて、Cさんのチャット相手もAくんの神姫だった。
坂を転がる石のように、ってな感じで、間が悪くこの話をCさんは聞いちゃった。
Cさんに負けず劣らず、Cさんの神姫もパニックに陥ったわ。
Aくんの神姫にケジメをつけさせるはずだったけど、それよりCさんが強い人間じゃないって誰よりも知ってるんだもの。
慌てて追いかけたけどすぐには見つからなくて、一度家に戻るとCさんはチャットのログを食い入るように見てたの。
「これ全部、背比やないん? ねぇコタマ、嘘やろ?」
そんなこと言われたってCさんの神姫――竹櫛さんのコタマが返事できるはずもなくて、とにかく落ち着かせるために布団に入れた。
コタマはずっと監視するつもりだったけれど、竹櫛さんの寝息が聞こえたら自分にも疲れがのしかかってきて、クレイドルに横になった。
ちょっとだけ、のつもりで。
でもコタマだって普通の神姫だし人間みたいに根性で疲労を我慢するなんてできないから、仮眠じゃなく深い眠りについてしまった。
で、コタマは数時間後に飛び起きたけれど、もう手遅れだった。
竹櫛さんはコタマの目の前で首を吊っていた。


◆――――◆


「つまんねー話だなぁオイ」
炬燵の下からコタマ姉さんが、マシロ姉さんの横にもぞもぞ出てきた。
ホノカさんのトンデモ話を聞いていたらしく、でも鉄子さんが自殺するなんて話を聞いて怒らないなんて、コタマ姉さんの反応じゃない。
マシロ姉さんだってそうだ。
私の知るマシロ姉さんなら今の話はこの茶室を戦場にするに十二分の理由になるのに。
「ゴクラクって奴の言いたい事がアタシにも分かってきたぜ。ホノカ、その話はここからやっと本題に入るんだろ?」
「さすが当事者。もしかして続きも分かる? というか知ってる?」
「本題っつっても残件処理みたいなもんだけどな。まずエルを殺す。まぁ当然だ」
「当然のように私を殺さないで下さい」
「ラブレターを届けず鉄子ちゃんを騙し続けたAくんの神姫って誰だろうな?」
「…………」
「そしてアタシは【自分のAIを竹櫛鉄子に書き換える】。エルがいなくなった場所に鉄子ちゃんとしてのアタシが入って、背比弧域と竹櫛鉄子を永遠の仲にする。事情を知っている弧域はこれを拒否できない。こうしてアタシは鉄子ちゃんの願いを叶え、復讐を遂げることもできましたとさ。めでたしめでたし、だろ?」
「めでたしめでたしかどうかはさておき、その通りよ」
「待て。話にまったくついて行けないぞ。俺にも分かるように説明してくれ」
ほむほむ姉さんだけじゃなく、表情を見る限りハルヴァヤさんも蚊帳の外だった。
「今の話は実在するストーリーをなぞったものか? 先の自殺した神姫というのも、貴様らの反応もまるで理解できない」
「結論から言うと私達、武装神姫のAIは人間でいうところの感情とか性格とか、そんなものとは程遠いって話よ。残念って言い方も今となってはだけど、私達に心は無い。技術的には可能だけど、いざ作ってみたらさっきのコタマみたいな狂った神姫が生まれてしまった」
「おい本人を前にして狂ったとか言うなや」
「ゴクラクが本当に知りたかったのは【神姫のあるべき寿命】だったそうよ。でも武装神姫コンテンツそのものが終わっちゃったし、心も存在しないとなれば人間様の都合を考える必要もない。機械が勝手に故障するようなものよね。逆に人間から見ると心の無い神姫に対する生み出した責任も、権利を保護する義務もない。今メルがやってる艦これの艦娘と同じよ。大鳳を沈めてしまっても――」
「赤城も沈んじゃった」
「……赤城が沈んでもプレイヤーは悲しむだけだし、いつか艦これそのものが終われば艦娘も消える。形として残る私達が幸か不幸かは分からないけれど、残るのであれば余計な騒ぎを起こすなよってことで、極端な行動に走らないようになっている。【感情のような信号】なんて不気味の谷を回避するための役割程度しかなくて、さっきの話の【自分のAIを竹櫛鉄子に書き換える】コタマのような制御不能の暴走機械は生まれない。旬が過ぎたオモチャがどうなるかは持ち主次第ね。今のチマチマしたサポートもそのうち終わるだろうし、サードパーティだって手を引くか超高値で取引を続けるかのどちらかしかない。これは今の神姫とオーナーにとって当然の事だけど、神姫に心がないとまで分かるとオーナーはどうすると思う? それとも私達神姫はずっとオーナーを騙し続けてお人形さんであり続ける?」
「その必要はにゃい」
突然、炬燵の中から再び私とメルの間に出てきたカグラは、メルからタブを取り上げて操作し確認し、暫くプルプル震えた後、メルに跳びかかりスリーパーホールドを決めた。
「ぐえっ!?」
「そのゴクラクとかいう神姫はいい線行ってるにゃ。いや逝ってるにゃ? でもツメが甘いっつーか、重大な見落としがあるにゃあ」
「メルに何すんですか!」
カグラの腕を引き剥がそうとするがビクともしない。
どっから湧いてくるんだこの腕力。
「心が無いのは正解にゃ。AI書き換え朝飯前のワガハイが太鼓判を押してやるにゃ。でもソイツも人間も次元論で検証したんにゃろ? にゃらその結果も次元論で楽々覆せるにゃ。忘れたにゃ? 武装神姫は第三次世界大戦の可能性を否定したレアリティの高い世界の存在にゃ。そんな世界、ワガハイならぶっちゃけ次元戦争を持ち込んで征服するのも楽勝にゃ。今ワガハイがそれを実行しないのは……、武装神姫が終わっても、艦これだけは絶対に終わらせんからにゃー!!」
「く、苦し……」
「なにしてくれとんにゃオマエ! ワガハイが大鳳にどんだけ資材つぎ込んだ思っとるんにゃー! つーか赤城轟沈とかバカにゃろマジで! 体で償うにゃ! オマエの素体から資材回収して那珂ちゃん建造して解体してやるにゃー!」
「やめて本当にメルが! アマティ姉さんも止めてください! さっきから寝てる振りしてるの分かってんですからね!」
「…………」
「クソ猫あんた、私達の心と艦これのどっちが大切か――」
「あぁん!? ワガハイの艦娘より大切なものがこの世にあるっつーのかにゃあ!?」
「じゃあ他人にプレイさせるなよ。楽して資材回収しようとしたお前が悪い」
「やかましゃー! オマエタチがにゃんと言おうがこのアルトアイネスが那珂ちゃんになることは確定事項にゃ! 四八の次元からコイツを集めてNKC48結成解散解体処分にゃ!」
「私の妹が死ぬ! ちょっと皆さんホント助けて! なんかカグラが本気! すごい本気!」
「いやまぁ、さすがに大鳳と赤城を沈められるのはちょっと……」
気不味そうに頷く一同。
コタマ姉さんとホノカさんはともかく、ほむほむ、マシロ姉さん、ハルヴァヤさんまで。
ブームって恐ろしい。











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