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えむえむえす ~My marriage story~

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 にわか雨だったらしい雨も止み、今日から明日に変わる時間帯。
 つまりは0時頃。
 俺はこの真っ暗な時間にお気に入りの缶コーヒーが売ってなかったコンビニに再度向かった。
 別に新しく在庫が入ったかどうかをしつこくチェックしているわけではない。
 他に用事があるから向かっているだけだ。

「……お」

 コンビニの制服を着た“アイツ”がいるのを見つけた。
 殊勝にも店の前のでかいゴミ箱から、袋を出して口を結んでいる。

「おーす」
「ん? ……ああ、おはようだ」
「真夜中でおはようはねーだろ」
「とある業界では、今日初めて会った人の挨拶はおはようなのだよ」
「なにアホ言ってんだ?」

 妙な会話から始まったが、この目の前の女性は君島 縁。
 コンビニの制服で腰まである長い髪を首元でぞんざいに結んでいる姿。縁は夜中までこのコンビニで働いている。
 初めて出会った日からは俺達の関係しか変わってない。
 会いたい時は夜中にここに行けば大抵会えるので俺はよく夜中に出かける。

「おい、さっき来たら『スモロ』がなかったぞ。ちゃんと入れとけよな」
「やれやれ、我が儘を言う。私が商品を管理してる訳ではないのだがね……」

 ちなみに『スモロ』というのは『スモールロック』の略称で俺が好きな缶コーヒーのメーカーだ。
 このコーヒーが売ってなかったから神姫を拾ったガキどもに会っちまったからな。それについても愚痴ついでに話しておくか。

「そういえばよ、縁も武装神姫って知ってるよな」
「もちろん私も世間の流行は知っているのだよ。それに私はキミの例の人助けならぬ、神姫助けの病気は知っているのだし。……それの入院が必要になったのかね?」
「違えって! ……入院は違うが、神姫助けの方だ」

 縁にも、俺が神姫を助けようとする発作は知られている。
 ネタぐらいの気持ちで話したら、よくいじられることになった。コイツに話したのは後悔している。
 しかも、こいつは気にならないのか、俺がこんなアホな奇病になった経緯を聞いてもこない。

(不思議な女なんだが、俺はそんなところも……あ~……)
 恥ずかしいので俺は考えたことを瞬時に捨てた。

「実は今日壊れた神姫を…………拾ったんだ」

 俺は軽く視線を逸らしてから言った。

「……ふむ。キミもなのか」

 横目に見れば縁は何かを呟きながら、目を見開き少し驚いている。

「あ?……どうした」
「いや、なんでもないぞ。……それで、拾ってどうしたのだね?」

 その後縁は肩を竦ませてから、俺の話しの先を促した。

「神姫ショップに働く人が、偶然、道を通ってな。そこの人の店に預けた」
「ほう、偶然。ラッキーだったのだな。……で、どうするのだ? その神姫を猛は引き取るのかね?」
「正直、俺自身もわかんねーから、縁に相談しに来た」

 俺が武装神姫を持つ? 
 はっきり言って俺みたいな野郎が持つのは気色悪いという気持ちがあったりする。
 だから俺自身は持とうとしていないのだ。
 それだったら、神姫におせっかい焼くなと言いたいのはわかる。
 自分でも理屈でわかってる。だが、あの少女のような風体の武装神姫には個人的に”感謝”してるんだよ俺は。 
 ……は~あ、どうすっかなー。
 と、俺が頭を抱えて悩みこんでいると。

「別にいいのではないか? 猛が武装神姫を持っていても」
「……。野郎が持っていたら、気持ち悪くないか?」
「いや。私はそうは思わん。現にここのコンビニに働いている高校生の少年は最近、家出神姫を拾ったらしくてな。そのまま世話をしているらしいのだよ」
「へぇー、拾うところとか俺と似たようなエピソードだな。拾った神姫がぶっ壊れてなけりゃ、俺が新しい親でも探してやるんだが……」 
「そのまま猛が持ち主になればいいのではないか?」

 やっぱり、縁もそう言うのか。
 俺にはそれに一抹の不安があるのだが。

「……俺が持っていても縁は不信に思わねえのか」
「ふ、猛が言いたいことは百も承知。……実は高校生の少年の話を聞いてみたら、私も武装神姫を買ってみたいと思ってしまったのだよ。だから私も神姫オーナーになろうではないか」

 いやいや、そうじゃなくて。
 俺が言いたいことは、神姫も人形とはいえ女の格好してるんだから、変なことを起こさないか心配にならねえのかっつうことを言いたいのだが。

「ん、……なんだね? ちなみに忍者型がいるというのでそれを買おうと思っているぞ」

 だめだ。
 本気で心配してないっぽい。
 二年前に初めて会ったときからこいつは変な女だと思っていたが、いまでも変な女だと思ってる。

「はあ、わかった。様子を見に行ってみて、そんときに考える」

 俺はこれ以上縁の邪魔しちゃ悪いと思って、帰る準備をする。

「ふむ。私はなんだかんだで、猛はその子の親になると思うぞ」
「……知ったような口だな」
「キミは実際怖い顔をしているが、本当は優しい男だと私は知ってるからな」

 縁は真顔でそう言ってきやがる。
 俺はそれを聞くと後ろを向いた。
 断じて恥ずかしがってる訳じゃない。断じてだ。

「それじゃあな。仕事無理すんなよ」
「ふふ……ありがとうな。おやすみ」

 縁はお礼を言った後は口を縛ったゴミ袋を持って、店の裏に行ってしまった。
 俺も縁に会って話したかっただけなので、コンビニで何も買わずそのまま家に帰った。

 縁と俺は世間一般でいう“彼氏彼女”だ。
 ただの眼つきが鋭い大学生、と、夜から深夜帯でコンビニに働いているフリーターらしい彼女。
 傍から見たら馴れ初めなんつーモンはわからんと思うぞ。
 大恋愛をして付き合うことになったとか、少女漫画みたいなドロドロな展開になってからハッピーエンドになって付き合うことになったとか、そんなことも一切ない。
 しかも、こんな会話だけだと恋人関係にしては素っ気なくもあるが、恋人らしいこともあまりしていない。
 聞いたことはないが縁は俺よりも年上だとはわかっていた。イチャイチャするような歳でもないだろうし、これが縁の距離なんだろう。
 不満はないし、俺が初めて会った時、そして告白してOK出されてからもなぜか変わってない。
 ……あれ? 恋人らしいことをした覚えがあまりない。
 本当に縁は俺の彼女なのかと思う。
 駅とかで見る恋人たちは人前でもイチャイチャしてるのにな。
 ……別にいいけどよ。いきなりラブラブしだしたら気持ち悪いし。

 なんで年上で変な女を俺が惚れることになったとかは…………昔に色々あったとしか言えない。
 ただの若気の至りだ。
 くそ恥ずかしいので思い出したくない。


――――


「いらっしゃい!……なんでぇ、オメーか」
「……おい。来た客に向かってなんつーこと言ってんだよ」

 半日以上大学の眠くなる講義に縛られ、夜のとばりが差す頃。
 店に入れば、熊みたいな大きな店長のおっさんが残念そうにしている。
 せっかく大学の帰りからここ『Blacksmith』にわざわざ来たっつーのによ。

「閉店間際で男の顔なんか見たくないぜぇ。できれば神姫愛好家で可愛がってる二十代後半のお姉さんが来てほしいっつうの? 男なら、そういう心情がわかんだろ」
「いいや、俺はわからん。……独り身かよ。何歳なんだ?」
「俺は……29だ」
「ウソだろ」
「ホントだ! 自分でもわかってんだから言うんじゃねぇ!!」

 どうやらよく言われているらしい。
 俺から見ても、明らかに顔はもう30代に見える。
 この店長のおっさんは年齢よりも老けて見えているのが悩みみたいだ。 
 その上身体がくそでかいし、顔に傷があるしで、そんな女性客が来たとしても怯えて逃げちまうだろうが。
 おっさんの姪、霧静みたいな学生が店内で働いていたら大丈夫だが。
 店長のおっさんだけが店にいても、その望みは絶対叶わないであろう。
 つーか、29歳で高校生ぐらいの姪がいるということは、このおっさんはおそらく弟なのだろうな。だったらおっさんの兄が20歳からの前後半で霧静は生まれたことになるのかもしれん。
 兄は早く子どもが生まれてて、弟は29歳で姪とその神姫に助けられながらショップをやっている。
 哀れなおっさん。

「ふーん、あっそう。そんで? 昨日の壊れた神姫はどうなったんだよ」
「あ! 話し逸らしやがったなぁ!!…………ったく」

 店長のおっさんは、これ以上話してもしょうがないと思ったのか。
 ため息を吐いてから、店の入り口に行って営業中の札を準備中にした。

「もう閉店なのか。まだ営業中じゃねえのか?」
「別にいいだろ。もう来ないだろうからなぁ。漣同だったか? ちょっとこっち来い」

 営業者がそれでいいのかと思うが、確かに人は来ないっぽいし、閉めても来ないのだろう。主に店長の図体のせいで。
 店長のおっさんについて行って、カウンター奥に俺も行く。

「今日は来ねぇと思ってたけどよ、オメーさん、意外に神姫が好きなんじゃねぇか?」
「……うっせえ」

 前を歩きながら、後ろを振り向いてニカー、とかの擬音が似合いそうな笑顔。
 おっさんの笑顔なんか見ても嬉しくねーよ。
 俺が通された所は応接室と言えばいいのか、少し広い部屋で長方形のテーブルに向かい合わせに長広なソファーがある。
 横を見れば作業場と名が書かれた扉があった。 

「持ってくるから、まってろい」

 店長のおっさんはその作業場らしい部屋に入った後すぐに真新しくなった神姫を持って来た。
 その神姫をテーブルに置いてから店長のおっさんはソファーに座る。
 とりあえず俺も反対に座った。

「こいつはまだ完全に治ってねぇんだわ」
「ああ、あれだろ? 目の部品がねえってやつ」

 俺は神姫を手に取ってみた。
 綺麗になったが左目に眼帯をしている。
 少しどけてみると眼帯の奥は穴が開いていて、電子機器のような部品がゴチャゴチャしている。
 機械人形の頭の中は理解できないパーツでいっぱいなんだろう。

「あ、おい。頭ん中に埃とか入ったらどうすんだ。ほら、寄こせ」

 俺は素直に渡した。
 せっかく治したのに、壊されたらたまらないのだろう。俺はそんな乱暴に扱うやからではないのだが、むしろ、そういう奴が大嫌いっていうのか。
 ……俺もはたから見たらそう見えそうだけどな。 
 とりあえず、すこし反省。

「この神姫、脳内メモリとかも全滅だったんだけどよ。そんで初期化もしてっから、目以外は新品同様にしといたぜ。……んじゃ、一回、起動させてみようか」

 そう言って店長のおっさんは神姫の胸部、CSCの部分を弄ったあと、その神姫を立たせた。
 座ってる俺と向かい合わせになるように。
 なんで? と思う間に起動音がしてから、片目と口が同時に開き機械音声のような声が聞こえてきた。

『タイプ・戦車型MMS神姫ムルメルティア。まずは個体識別の為のネーム、マスターのネームをお教えください』

 俺は店長のおっさんを見る。
 さっさとしろというジェスチャーをしていた。
 もうどうにもならんらしい。

「俺の名前は漣同 猛。お前の名前は……まだ決まってねえ!」

 はっきりそう言ったら、店長のおっさんがずっこけた。

「おい!?」
「しかたねーだろ。前準備も無く、いきなりそんなこといわれても思いつかねーだろうが!」 


――――


(自分はどうすればいいんだろうか)


 起動プログラムから自我を覚ましてみれば、目の前には自分の上官となるマスター、漣同 猛という人がいる。
 どうやら、自分の名前はまだ登録できてないらしい。
 買ってきた武装神姫になかなか名前を決められない人がいるので、後で登録できる設定もある。神姫センターで名前を変えることもできるので、別に今でなくてもいいのだけど。 
 でも、この状況はどうだろうか。

 目の前のマスター。――「タケル上官」と言うことにしよう。
 眼鏡をしていているが賢そうというより、どちらかというと眼つきが鋭そうな上官ではある。格好が良い上官であるのが嬉しくはあるが。
 そのタケル上官が自分の真後ろにいる随分と身体が大きな人物と言い合いをしている。
 ……うーん、話しかけずらい。
 それになにか自分の目に違和感がある。
 ぽっかりと空洞な感じで左目が見えていない……触ってみると眼帯で隠されているみたいだ。
 戦車型はアクセサリーで眼帯があるが、本当に隠しているわけではないし、あれはちゃんと見えている。だが、自分は本当の眼帯が装備されている。

 自分が不良品なのか、リサイクルされた神姫なのかはわからない。
 自分が起動したのもこれが初めてではない気もする。
 だけど、――そんなことはよくて。
 目の前の上官に、こんな片目のない神姫でいいのかどうか聞かなくては……。

「あの!」
「ん? ああ、そうか。本格的に起動しちまったのか……まだ名前決まってねえんだよ」
「さっさと、決めちまえって。『ああああ』とかテキトー名にしても店のPCで直接変えてやっから」
「うるせえ! 俺はこういうのは真剣に考えちまう派なんだよ。旧世代のロープレみたいに考えんじゃねえ!」

 自分の入り込める隙がない。
 きっとこんな喚き散らした状況で起動されたのは自分が初めてではないのだろうか。だけど、このようなところで自分は負けない。

「タケル上官!!」
「え、“上官”? 上官ってなんだよ!?」
「ムルメルティア型はマスターの呼び名は名前の後に『上官』がデフォルトなんだと。商品のパッケージにも書いてあんだぞ」
「それを早く言えよ! 軽くビビっただろうが。……はぁ、そんで。ムルメルティア型、俺に何か質問か?」

 どうやらタケル上官は自分の名前を型名で呼ぶ事にしたようだ。
 保留にされてしまったらしい。
 内心で少しガッカリしてしまうが、後で良い名前でもつけてくれるのだろうか?
 不安だ。

「自分の左目がないみたいだけど、不具合でもあったのかな?」
「あ~、そうだったな。オメーは道で捨てられてて壊れてたんだわ。それを俺が拾った。わかるか?」
「……うん」

 自分に付けられている眼帯を再度触る。
 本当に自分は完全な新品ではないらしい。
 当り前だ。片目がないのだから。
 記憶データをリセットされてしまっているみたいなので、自分が仕えていた前の上官はまったくわからない。
 何かがあって捨てられてしまったんだろう。

「ほら、落ち込んでんじゃねえよ。目がない部分も修理する予定なんだから」
「だけど……自分は」
「このおっさんがちゃんと治してくれっから心配すんなよ」

 タケル上官が指を差したので、自分は後ろに座っていた人物を見た。
 自分が思うに……本当に大きい人だなと。
 この人はメカニックなのだろうか。 

「おっさん言うな! ……そうそう。そういえばよ、部品の事で漣同に商談があるんだが」
「……なんだよ。なかったんじゃねのか?」
「ここに、一個?……じゃねえな。……ここに一粒のパーツがあるんだが」

 メカニックの人が後ろのポケットから、プラスチックケースの薄い箱をテーブルに置く。
 自分が中を覗き見てみると、布が敷かれていて、真ん中には自分たち神姫に使われている目のような物。
 とても綺麗な色だ。

「こいつは神姫の目だ」
「あるんじゃねえか。だったら、さっさとこいつにつけてくれよ」

 ぶっきらぼうに今度は自分に指を差している。多少なりとも想ってはいてくれるらしい。
 心配もしてくれるし、優しくもある上官だ。
 少なくとも変な上官ではないらしい。
 それはよかったと思える。

「慌てなさんな。片目しかない分、こいつはとても貴重な物だ。貴重なだけに保管してたのをすっかり忘れててな。……条件次第ではこのムルメルティア型にくれてやってもいいぜ」
「……これが」

 この綺麗な瞳が自分の顔の一部になるのか。
 自分にしては心が惹かれてしまう。
 だけど、タケル上官はどう思ってるのだろうか。
 無理難題を出されてしまったりとか、起動仕立てでそんな迷惑は掛けられないのだけど。

「金とかじゃねえのかよ?」
「こいつは一介の大学生とかが払える額じゃねえからな。もちろん借金して払えとかそんな鬼じゃねえ。
 ……条件はそうさな……漣同、オメーさんここで働く気はないか?」
「…………はぁ?」

 タケル上官は数秒考えてから、すっとんきょうな声をあげた。
 自分が起動してから、なんだか凄い展開になってきているみたいだ。
 自分自身も一体これからどうなるのか、全然わからない。










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