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えむえむえす ~My marriage story~

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武装神姫のリン
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すとれい・しーぷ003


日曜日。
オーナーのお仕事が休みのため、先日のお詫びに好きなところへ連れて行ってくれると言うのだ。
わたしは少し申し訳なく思ったが、以前より興味があった“デパート”という場所へ連れて行ってもらう事にした。
「あ、あの、わがまま言って・・・ごめんなさい・・・」
オーナーの肩の上でもじもじと口元を隠すように手を添えると、オーナーはゆるゆると首を振り、手のひらでわたしを優しく包んだ。
「外は危ないから、絶対に離れたらダメだよ?いいね」
いつもよりやや強めの口調で諭されると、わたしはこくこくと首を縦に振った。


デパートにはたくさんの人が溢れかえっていた。
お金持ちのマダム、家族連れ、カップル、老夫婦。
オーナーは何かに怯えるようにフードの裾を引っ張り顔を隠した。
やはり、悪いことをした。
心の中で何度も何度も懺悔する。
ああ、この声がオーナーに届けばいいのに・・・
「あ、あ、あの、オーナー!ちょっと休憩しませんか?」
オーナーの手の中から見る光景にベンチが映る。
罪の意識からか、すかさずわたしは声を上げた。
「ん、ごめん・・・」
短く謝るとオーナーはゆっくりとした動作でベンチに腰をかけた。
ああ、オーナー、謝るのはわたしの方なのです!
人混みが苦手と知りつつ、わがままを言ってしまった。
わたしは最低の神姫です・・・
「オーナー、待っててください、わたし、冷たい飲み物買って来ます!」
気まずさから逃げようとわたしは電子マネーを搭載したオーナーのケータイをつかんで、そのまま逃げるように飛翔した。
後ろからオーナーの制止の声が聞こえたが、わたしはオーナーの隣にいる事に耐え切れずそれを振り切って人混みへと潜り込んだ。


ガコン・・
大きな音と共に機械から吐き出されたアルミ缶を引きずり出す。
このおつかいがうまくいって、ジュースを飲んだオーナーは、きっと元気になる。
根拠のない妄想でにやけるわたしを、後ろから鷲掴みにする肉厚の手。
世界が反転して、大きな目がわたしを捉えた。
「なんだ、この神姫・・・?見たことねえな」
「うは、ナイスバデー!こりゃこいつのマスター、相当いい趣味してるな!」
知らない男の人。
オーナーよりもずっと、ずっと大きくて・・・・・・怖い・・・!
わたしの身体は恐怖により硬直して動かなかった。
「この神姫、娼館に売ったらいい値段つくんじゃね?」
「おお、ナイスアイディア!でもその前に味見、だろ?」
いやらしく笑う男達の言葉の意味が理解できず、わたしはただ目を白黒させて事の成り行きを待つしかなかった。
怖い、怖い、怖い怖い怖い・・・!
恐怖が最大まで達した時、オーナーの言葉が回路を巡り記憶に再ダウンロードされた。
『外は危ないから、絶対に離れたらダメだよ?いいね』
言いつけも守らず、オーナーに迷惑をかけて、もう会えなくなるなんてっ!
わたしの瞳から大粒の涙が溢れたのと同時に、大男の悲鳴と、缶が地面に落ちる乾いた音がデパートに響いた。
「胸糞悪いことしてるんじゃねぇよ、デブが」
タイトなシャツにヴィンテージ物のジーパン、ハイカットブーツ。
ラフな格好ながら、スタイルのよさのせいかモデルのようにも見える。
後ろで結った金の髪を揺らしなから、ズボンのポケットに手をつっこんて悪漢を睨む。
救世主。
わたしは彼のことをそう認識した。
大男達は彼の登場に焦り、わたしを放り投げると、一目散にデパートを後にした。
最低の悪漢を成敗した長身の彼が、デパートの女性客の視線を集めない理由はない。
黄色い声も気にとめず、宙に放り出されたわたしを救世主は見事にキャッチしてくれる。
「悪い、お前のジュースだったんだろう?」
無残に床に巻かれたジュースの缶には不自然なへこみがあった。
「転がってたものでな、蹴ってしまった」


救世主の名前は紅というらしい。
助けてくれて、ジュースまで弁償してもらった。
その上オーナーまで探してくれるというのだ。
なんという男気。わたしは思わず感涙してしまった。
「お前のオーナーは酷いな。こんな人混みに神姫を放すなんて・・・」
半ば呆れ気味に紅はため息をついた。
「ち、違うんです!人混みに放り出してしまったのはわたしの方なんです!オーナーは気分が悪くなって、それで、わたしがジュースを買って来る、って勝手に・・・!」
オーナーを悪く言われることに耐え切れず、わたしは思わず大声を上げていた。
その時わたしは紅の肩に座していたため、彼の耳のそばでは盛大な爆発音と同等の破壊力を持っていただろう。
それが急に申し訳なくなり「ごめんなさい・・・」と小さく謝ると彼は薄い唇に笑みを湛えた。
「俺のほうこそ、悪かった。早くオーナーの元に行こう。具合が悪いんだろう?」


足早に雑踏を掻き分け、オーナーの座っているベンチを目指す。
辿り着いたそこには力なくベンチにもたれ辛そうに顔を伏せるオーナーがいた。
様子がおかしいのは明らかだった。
異常な発汗、体温の上昇、短く何度も繰り返される呼吸。心拍数も過剰に上がっている。
「おい、大丈夫か?」
紅は僅かに、目を見開くと、急いでオーナーの肩を抱くとそのままゆっくりとベンチに横たえた。
過呼吸症候群。
過度の呼吸により飽和した酸素が、必要な炭酸ガスを体外へ押し出す。
おそらくは、人混みに一人取り残された不安感のせいだ。
オーナーは体外に放出された炭酸ガスを取り戻そうと必死に息をする。
それが間違っている、などと錯乱した頭でどう考えろというのか。
わたしはこんなになったオーナーを放置していた自分と、見て見ぬふりを決め込むデパートの客に無性に腹が立った。
「おい、落ち着け、息を止めろ!っく、何か袋は・・・」
わたしがふつふつと怒りを煮やしている間にも、紅はオーナーを助けようと必死に辺りを見回す。
都合よく袋が転がっているはずもなく、紅は軽く舌打ちをすると、オーナーのフードに手をつっこむ。そして後頭部を強く自分の方へ引くと、その唇を己のそれで塞いだ。
ぱさりと落ちるオーナーのフードから覗いたのは、大きく見開かれた瞳。
息苦しさから生理的な涙が頬を伝い膝に落ちる。
それよりも、わたしの目を引いたのは、今までフードに隠れて見た事もなかったオーナーの髪の毛。
質のいい絹糸のようになびくそれは、蛍光灯の光さえ反射して艶めいている。
紅を引き剥がそうと暴れるオーナーの髪から、するりと落ちる髪留め。
開放された髪は踊るかの如く宙に舞った。その長さは腰よりももう少し長い。
だんだんと我を取り戻したオーナーの腕が力なくベンチに落ちると、ようやく紅は唇を開放した。
「こんな所で何をしてるんだ、瑠璃・・・?」
小さな子供をしかるような口調で紅は言った。その瞳にオーナーを映して。
「瑠璃・・・?」
わたしは紅と、目の前に座る、瑠璃と呼ばれた少女・・・オーナーを交互に見た。
オーナーが、瑠璃で、女の子?
わたしの頭は混乱でショートしそうだった。
フードに隠れた中身なんて考えた事もなかった。同時に興味も。
オーナーがオーナーでいてくれさえすれば、わたしはそれでよかった。
「紅こそ、ここで何してるんだ?」
控えめに空気を揺らすその声はまさにオーナーのそれで。
しかし口を拭いながら紅を見るオーナーはわたしの知らないオーナーのような気がした。
自然と溢れる涙にオーナーも紅も目を丸くしていたが、すぐにオーナーの優しい手が紅の肩に乗ったわたしを包み引き寄せた。
「怖かったね、もう大丈夫。二度と放したりしないよ」
優しい言葉。それでもわたしの涙は止まらなかった。
怖かったのではない。怖いのだ。
オーナーの中身を見てしまったことで、今まで努力して彼女に溶け込んだわたしの心が、また弾き出されてしまうのではないか、と。
わたしは泣き止まないまま、オーナーに抱かれ家路につく。


真夏のカーネリアンはもの寂しい。
オーナーの部屋へと上がりこんだわたしはまだぐずぐずと鼻から溢れそうになる冷却液をすすっていた。
「お前、まだそんなぼそぼそ喋っていたのか?」
ソファに腰掛けた紅が呆れた口調で言った。
オーナーは冷たい麦茶を運びながら、だって・・・と言葉を濁した。
「神姫を起動させたのは、進歩だと思う。だが、その前にお前が喋れるようにならないと意味はないだろう?」
子供を叱る親。まさにそんな感じで紅は麦茶を置いたテーブルに軽く手をつく。
その僅かな振動ですら、わたしに恐怖を与えるには十分だった。
どうしようもなく顔を伏せるオーナー。
それがとても痛々しくて・・・
「あ、あの・・・紅、さん・・・オーナーをいじめないでください・・・!」
紅の向かいに座ったオーナーをかばうように両手を広げ、わたしは叫んでいた。
絶えられなかった。今日初めて見たオーナーの御顔が、こんなに悲しく歪むなんて。
そんな必死な思いに、恐怖なんてものはわたしの中から零れ落ち夏の蒸し暑い空気に溶けて消えていた。
しかし、その言葉で紅のお説教の矛先はわたしに向いてしまったようだ。
吊目がちな切れ長の目をもっとつりあげて、しかし口調は子供を諭すかのように語って聞かせた。
「お前も、オーナーを守るつもりで言っているつもりなのかも知れんが、それは甘やかし過ぎだ。このままこいつが前に進めなければ、将来困るのはお前なんだぞ?バトルで指示を出せないオーナーなんて、聞いたことも・・・」
「・・・て、やめて、紅・・・!ルキスは知らないんだ!何も、話してないんだ・・・!」
オーナーはもうたくさんだ、と紅にしがみつくように懇願した。
何も話していない、とは?
確かに、わたしはオーナーの事を欠片も知らなかった。
何をしている人で、どんな人生を歩んできて、どんな思いで生活しているのか。
性別や御顔ですら、今日初めて知ったのだ。
わたしは意を決し震えるオーナーの手にそっと触れた。
知りたい。オーナーの過去を。
今、どんな思いでいるのかを。
「教えてください、オーナー。わたし、オーナーの事を知らなすぎます!・・・もう、オーナーの事、わからなくて泣くの、嫌なんです!」
必死だった。今まで機能していたCSCが仮初の物だったかのように、脈打ち始め、わたしを真実へと突き動かす。
心の奥で、誰かがわたしに語りかけた。
『オーナーのこと、聞いてあげてくれ』
『一人で背負い込んで、苦しんでいるんだ』
『わたしには、もう、聞いてやる事も、慰めてやる事もできない』
それが誰だったのか、その時のわたしには、わからなかった。
でも、不思議と不快感や嫌悪はなかった。
きっと、オーナーの話を聞けば、それが誰だかわかる気がした。これは確信。
熱意に負けてか、紅の鋭い視線に臆してかオーナーは重たい口を開いた。
「いい話ではないよ・・・?」








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