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二話 『主の仰せのとおりに』



幾度目かの鍔迫り合いから離れること数秒、ジリジリと期を伺っていた紅緒とオールベルン・ガーネットはしかし、突然わらわらと湧いた観客に張り詰めていた気を呆気無く散らされた。
「ちっ……!」
「クッ……!」
二人がまったくの同時に隙を晒してしまったため、双方が仕掛ける瞬間を見送ってしまった。
焦燥に駆られる二人にさらに追い討ちをかけるように、観客が自分達を横目で見ていることを二人は鋭敏な六感で感じ取った。
集中が途切れてしまった今、先に焦りを見せた方が斬られる。
しかし紅緒はあまりに無関心な視線を浴び続け、刻一刻と虚しさを募らせていた。
注目を浴びるために剣を振るっているわけではない。
だが名を馳せたいという野望が無いと言えば嘘になる。
故にその鎧に纏わり付く無関心は侍にとってあまりに酷であった。
もはやこの状況、自力ではどうにもならぬ。
そう悟った紅緒は親方様に助けを求めた。
親方様と紅緒は一心同体である。
このグダグダな状況を打破する一石がなにより欲しい。
構える剣先は揺るがせぬまま親方様のほうを一瞥し、紅緒は愕然とした。
一心同体であるはずの親方様すら、有象無象同様にあらぬ方向を向いていた。
一心同体とは何であったか。
燃えるような夕焼けを背に親方様と結んだあの日の誓いは何であったか。
紅緒はそれすらも見失ってしまった。
もはやこれまで。
自身の揺れ動いた剣気に敗北を見て、せめて最後は好敵手に一矢報いようと、いや一閃報いようと剣を握りしめた。
だが、ガーネットもまた気を散らしていた。
あろうことか、剣から片手を離し 「あれを見ろ」 と紅緒の背後を指差している。
紅緒が振り向いた瞬間に斬りかかる腹積もりだろうかとも考えたが、しかし紅緒がこれまで戦ってきた誰よりも誇り高き剣士だった彼女がそのような真似をするはずがない。
彼女が指差した方向を見て、紅緒は得心した。
筐体の外、観客と親方様の視線の先に、視線で火花を散らす二人の神姫使いがいた。
その二人を知らぬ者はこの神姫センターにはいまい。
片や、いつぞやの大会で頂点に立つも事件により姿を消した序列上最強の神姫使い。
片や、その事件の張本人であり勝者を頂点から蹴落とした事実上最強の神姫使い。
ふっ、と紅緒は苦笑を零した。
知らぬうちに自分達の勝負はあの二人の前座と成り果てていたらしい。
まったく、誇りも何もあったものではなかった。
ふとガーネットと目を合わせた紅緒は、相手も同じことを考えているらしいことを悟った。
「お互い、ままならないものだな」
「ええ、全く」
「しかし試合は試合。生憎と集中を切らしてしまってな、次で決めさせてもらう」
「望むところです。あなたのような良きライバルに出会えたことを感謝します」
礼をするように同時に剣を下ろした二人は深く息を吸い、必殺の構えを取った。
「では行くぞ。朱き剣士よ」
「では行きます。紅き侍よ」
言うや、紅緒は動いた。
剣客の足運びにこの程度の距離など無いに等しい。
紅緒は瞬きのうちにガーネットの懐へ飛び込むつもりだった。
しかし一寸も進まぬうちに、ガーネットの刃は紅緒の目と鼻の先にあった。
「ぬあっ!?」
ガーネットは剣を投げていた。
それは投擲とも呼べぬ力任せに放り投げられただけだったが、紅緒の足を止めるには十分だった。
辛うじてガーネットの剣を弾いた紅緒は移動の出始めを挫かれ、体勢を崩した。
そこへガーネットが飛び込んだ。
「ハアッ!」
紅緒の空いた胴に蹴りが突き刺さった。
剣を弾いた格好のまま紅緒の身体が不自然に折れ曲がった。
「剣を投げるなんてあなたには考えられないかもしれませんが、これも相手に刃を届かせるための 『剣術』 です」
ガーネットは紅緒の神速の足運びを脅威に思っていた。
しかし自分とて接近しなければ刃は届かない、ならばいっそ自ら飛び込み、隙を作り出すまで。
紅緒の胴から脚を引き剣を拾おうと手を伸ばした。
しかし握り締めた手は空を掴んだ。
――斬るための剣術か、道理だ。
「っ!?」
紅緒はガーネットの背中の羽を掴み引いていた。
それに気付いたガーネットの直感が、今この瞬間斬らねばやられると彼女に告げた。
無理矢理手を伸ばし剣を握って、そのまま紅緒の首めがけて刃を振った。
――この距離ならば、斬れない理由はあるまい。
紅緒の剣が陽炎のように揺らいだ。


「 『 九 砲 逢 録 』 」


紅緒が修行の果てに見出した奥義は、迫り来る斬撃ごとガーネットを討ち払った。
剣を振り切った格好のまま、紅緒は静かに佇んだ。
後に残ったのは、紅緒が掴んだ確かな勝利の手応えのみ――そう思われた。
紅緒は剣を納め、一息つくと同時に観客から送られた惜しみない拍手に目を白黒させた。
拍手を送る観客の中には親方様もいる。
紅緒はらしくもなく緩みかけた頬を引き締め、筐体から出て再び剣を抜き、拍手を続ける親方様の手に勢い良く剣を突き刺した。





私達が筐体に着く前から、この筐体を取り囲むように人や神姫達が陣取っていた。
バトルをしていたオーナー二人がそれぞれの神姫に手を刺されのたうち回り、筐体が爆笑に包まれるのを尻目に、私はバッグから二体のホイホイさんを取り出した。
ファーストとセカンド。
巨大なガントレットを携えた格闘人形と対物ライフルを構える射撃人形。
この二体を用意した兄貴が言うには、近距離でも遠距離でもある程度強い上に数で上回れば負けようがない、という理屈を具体化したのがファーストとセカンドらしい。
確かにコタマは兄貴の神姫マシロを除けば、まだ一度も負けたことがない。
ああ、あと八幸助さんのミサキにも頭が上がらないか。
何にせよ、兄貴がコタマを無駄に強くしてしまったせいで私はこんな面倒事に巻き込まれてしまうんだ。
コタマがもっと普通のシスター型だったら――いや、それだとコタマはあの大会の日、今コタマを親の敵のように睨んでいるジルダリアに負けて、私は伊達男の彼女(エンジェル)になっていたのか。
考えるだけでも背筋が凍る。
バトル筐体など関係無く今にもコタマに飛びかかりそうなほど敵意をむき出しにしていたジルダリア(そういえば名前を忘れてしまった)が、この日初めて口を開いた。
「……ふぅん? 全然変わってないんだ」
「あ?」
「アンタのその人形よ。こっちはアンタに泥を舐めさせるためだけに今日まで死ぬ思いで自分を追い詰めてきたってのにねェ。ハッ! 強い強いドールマスター様に努力なんて必要ないってワケ?」
「よさないかオスカル」
そうそう、オスカルだった。
伊達男はオスカルを乗せた手を胸元に引き寄せた。
「キミがどの神姫よりも努力を重ねてきたことはボクが誰よりもよく知っているつもりだ。キミはその結果をバトルで示せばいいだけさ」
オスカルを諌めたものの、伊達男が同じようなことをコタマに対して考えていたらしことはその雰囲気から分かった。
自分達のほうが努力した、だからお前が負けろ、そう聞こえたような気さえした。
でも普段ならともかく、バトルを前にしてこの程度の安すぎる挑発に乗るコタマじゃない。
「言っとくけどよ」
二つの金色の十字架を両手でクルクルと弄びながら、面倒臭そうに言った。
「この後、這い蹲るオマエを見下しながら、アタシが密かに積んできた血の滲むような努力をひけらかすっつう 【週刊少年ジャンプ】 みたいな展開にはならないぜ。アタシが勝ってオマエが負けるだけの、豚の餌にもならねェ勝負だ」
オマエ程度の相手じゃ王道のストーリーすら組めねえよ、とコタマは続けて吐き捨てた。
長い努力の果てにようやくドールズを扱えるようになった……なんてことは全く無いはずなのに、コタマが切った啖呵にはやけに説得力があった。
「へェーそんな強気なコト言っちゃっていいんだ。アンタにあっさり倒れられるとギャラリーがガッカリしてアタシまでつまんない奴って思われちゃうんだから、少しでも長く粘る算段でもしといてくれない?」
「くっだらねェ」
そう吐き捨ててコタマは両手の十字架を軽く振った。
十字架の四つの腕の先からそれぞれ極細のケーブルが伸びていて、人形二体に接続されている。
この動作でコタマはファーストとセカンドに命を吹き込む。
そっぽを向いて準備に入ったコタマを見て言い負かしたつもりにでもなったのか、オスカルは伊達男の手から飛び降り、一人満足気に筐体へと向かっていった。
「すまないね、オスカルにとって勝負前の会話も既に勝負に含まれるんだ。しかしドールマスターを前にして気持ちが昂っているのもまた事実だ。まぁボクだってエンジェルの前では興奮を抑えきれないけどね。あの神姫にしてこのマスターあり、ってわけさ」
伊達男は垂れ下がるほど長い前髪をかきあげた。
「フフッ、とはいえバトルにはベストコンディションで臨むつもりだよ。ボクとオスカルはキミに勝つためだけに今日まで努力してきたのさ。あの日以来、オスカルがトラウマを抱えてしまったことは有名だろう?」
それは傘姫から聞いた。
ハーモニーグレイスを見ると足が竦むっていう難儀なトラウマだとか。
でもさっきまでのオスカルにそんな様子はなかった。
「オスカルたっての望みでね、彼女はボクの神姫クラブのメンバーが連れているハーモニーグレイスと一ヶ月生活を共にしたんだ。最初の頃はそれはもう、近づくだけでフリーズしてしまうほど酷いものだった。他にも様々な苦労が絶えなかったが、その結果は――見ての通りさ」
親指でクイッ、と伊達男は筐体入り口で待つオスカルを示した。
オスカルは不敵に笑い腕を組んで仁王立ちしている。
早くバトルの準備すればいいのに。
「さらにドールマスターの研究も欠かさなかった。貞方君を知っているだろう。彼もボクのクラブに所属していてね、いろいろと情報を仕入れさせてもらったよ」
貞方あんにゃろう、そういえばやけにコタマのことを探ってると思ったらそういうことか。
背比がいっつもケンカ売っているけど、私もこれから一緒になってケンカ売ってやる!
味方の敵は敵だ!(あたりまえだけど)
今すぐに貞方に文句を言ってやろうと携帯を取り出すと、伊達男に 「待ってくれ」 と止められた。
「彼はあくまで彼自身の勉強のためにドールマスターを調べていたんだ。その情報をクラブのメンバーで共有していたに過ぎないよ。仮にボクが彼に協力を求めたって、彼は拒否していただろう。だから彼を責めないでほしい。責めるならボクを責めてくれ。エンジェルの責めならば甘んじて受け入れよう」
言葉の最後のほうに変態的な響きが混じっていたから、それ以上の追及はやめておいた。
私は筐体をいつまでも空けておくのも悪いから、と言って伊達男から離れた。
私とコタマが筐体の片側に着くと、観客とその神姫達の目がすべてこちらを向いた。
値踏みするような目線や、嫉視も混ざっている……にはいるけど、
「ドールマスターktkr!」
「なあ、どうせ見たって変則的すぎて参考にならないんだし、あっちでバトルしようぜ」
「ナニ言うやがるアルかこのボンクラ! こんな好カード上海でもナカナカ見ることないアルよ!」
「あのシスター服、自作らしいぜオイ」
「マジで!? どーりでいくら探しても見つからないはずだぜファッキン!」
「誰もツッコまないから黙ってたけどよ、ホイホイさん使うのって反則じゃね?」
「いっぺん審査に出して通ったらしいぜ。AI抜き取ってっから普通の武装扱いになるって」
「じゃあどうやって動いてんのアレ? 嘘くせー」
「ああ、コタマお姉様だわ……縛られたい♡」
「オイお前の神姫、目がイッてるぞ」
「以前ドールマスターと戦ってね、それ以来ずっとこんな調子なんだぜ」
「あの十字架でコタマお姉様に私の………………フヒヒッ♡」
常々疑問に思うのだけど、どうしてこの神姫センターのノリは斜め方向を向いているんだろう。
別の用事があった時に暇つぶしに足を運んだ他の地方の神姫センターは、技の研究をしていたり神姫チームを組んでいたり、あるいは強そうな奴が幅を利かせていたり殺伐としていたりと、ある意味【それらしい】雰囲気があったのに。
本気で神姫に打ち込んでいるのはココも変わらないけど、他所で武装のカスタマイズをよく目にするのに対して、ココでは最近、コスプレが目立ってきた(もちろん神姫の、である)。
コタマやエル、メルだけでなく、ビギナーから上位ランカーまでが見て呉れにやや過剰気味なまでに重きを置くようになってきたのだ。
私はこれをイイコトだと思うけど、いつかのバトルで戦車のような重装備神姫が、チャイナ服以外の装備を持たない八極拳神姫に負けたのは、実力とはいえ同情を禁じえなかった(中華神姫に対して異様なまでの盛り上がりがあった中で、重装備神姫の唇を噛み切らんばかりの苦悶の表情は見てられなかった)。
そういえば、オスカルの装備をまだ見ていない。
ボディをリペイントされ細かいアクセサリーを身につけてはいたが、他にジルダリアの素体として変わったところは見られなかった。
オスカルのさっきの言い様からして以前の装備とは大きく変わっているだろうから気をつけないと、と考えて、以前の装備がどんなものだったか思い出せなかった。
「さて、ボクもそろそろ用意するとしよう。いやしかし、エンジェルを手に入れる試練とだけあってドールマスターは強大すぎる壁だ。しかし愛に障害はつきもの。この勝負を勝利で飾り、必ずやキミの心を射止めてみせよう!」
ハーッハッハッハ! と伊達男はモーセのように、野次馬たちが避けて作った道を堂々と歩いていった。
私も筐体に着いた。
コタマはいつもどおりファーストとセカンドの軽い動作チェックを終えていた。
「よォ鉄子、リクエストはあるか」
「リクエスト?」
「バトルの勝ち方だよ。瞬殺か、それともジックリ嬲るか」
こんなことを聞かれたのは初めてのことだったから、私は少し慌てた。
いつもどおり戦えばいいのに。
そしていつもどおり勝ってくれれば、私はそれでいいのに。
それはコタマなりの私への気遣いなのかもしれないけれど、今回だけは余計なことはして欲しくなかった。
「せっかくアタシがお望みどおりにしてやろうってのに遠慮すんなよ。まさかオマエ、アタシにわざと負けろって言うつもりじゃねぇだろうな」
「んなわけなかろうもん。もし私があの伊達男と付き合うことになったらコタマ、私の神姫でおりたいと思う?」
「全身全霊遠慮願うぜ。そんなキモい主とは金輪際関わらねぇよ」
「じゃあ完璧に勝って。何がなんでも、私をあの伊達男から守って」
このバトルから私は一歩踏み出す。
その先の展開は分からないけど、まずはここで勝たなきゃ始まらない。
コタマはわざとらしく恭しく、ファーストとセカンドに十字を切らせ、その後で自分もそうした。
「すべて主の仰せのとおりに」
戦う前からこれだけ面白がっているコタマを久しぶりに見た。
仕草は神様に祈る聖職者らしく、でも戦闘狂のように獰猛な表情は誰に向けられているんだろう。
筐体の向こう側で待つ伊達男とオスカルか、それとも――
「何も心配することはねぇよ鉄子。二度とあのスカした野郎が妙な気をおこさなくなるくらい、絶対的で圧倒的で決定的な力の差ってヤツを見せつけてやる」
そう言ってコタマは筐体の中へ入っていった。
ステージは以前エルとメルが挑んできた時と同じ、高層ビルが立ち並ぶ街。
伊達男は 「どうせなら一番人気のステージでやろう」 と言ってこのステージを選んだが、絶対に何か思惑があるはずだ。
幾つものビルに阻まれ相手が見えないまま、耳慣れた始まりのコールが響く。


《 G E T   R E A D Y ? 》


その時、背中に視線を感じて、ふと、私は後ろを向いた。
筐体を覗き込む人々に紛れるように、傘姫が一人で立っていた。
目が合い、私は席を立った。


《 A T T A C K ! 》













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