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与太話4 : 偽りの装甲



苛烈なる日々に生きる紳士諸君よ、おっぱいは好きか。
いや、確たる証拠が無くとも、諸君がおっぱい好きであることを俺は重々承知している。
愚問だった。
しかし、そこにあえて意味を見出そうとするならば、それは我々を紳士たらしめる宿命だからである。

何故男に生まれたその瞬間から我々の双眸はおっぱいのある方へ移ろってしまうのか。
発達した前頭葉を操る我々にとって、原始的意識など意味を成さないはずが、なぜ。
その答えは、実に分り易いものである。
我々紳士の眼球はおっぱいを探し、捉え、観察するためにあるのだ。
おっぱいを脳に焼き付けるためだけに、我々の眼球はあらゆる色と空間を識別するよう進化したといっても過言ではない。
では構造的に同様である淑女の眼球もそうなのか?
そこは一紳士である俺に聞かれても困る。
諸君の側にいる神姫にでも聞いてみるといい。

武装神姫は機械人形でありながら 『姫』 でもあるため、もちろんおっぱいを携えている。
武装にもよるが、その豊満なボディラインは惜しげもなく外気に晒されていることが多い。
実に眼福である。
剣や銃を携え戦場を駆ける彼女らにとって、おっぱいは行動を阻害するお荷物でしかない。
しかし彼女らは、おっぱいである。
それがクレイドルの上であろうと、バトルフィールドの上であろうと、不変的おっぱいである。
そこにはデザイナーの夢とオーナーの希望があふれんばかりに詰まっている。
たわわなおっぱいを持つ神姫がいる。
小ぶりなおっぱいを持つ神姫もいる
装備状態によりそのボリュームが増すこともあれば、装甲厚で覆い隠されることもある、二つのふくらみ。
敢えて今一度問おう。
苛烈なる日々に生きる紳士諸君よ、おっぱいは好きか。
俺は好きだ。







この日二度目となるバトルでは、エルにとっては初体験となるプールのフィールドが選ばれた。
挑戦者である人魚型イーアネイラの有利なステージ選択に異を唱えることもなく、鉛色のコートのベルトを締め直した白い戦乙女は 「大丈夫ですよマスター、絶対に勝ってみせます!」 と口では前向きなことを言いつつ、さっき姫乃の神姫、ストラーフ型ニーキに負けた腹いせに戦うことしか考えていないようだった。
ステージは一面を透明な水で深く満たされていて、そこに白く無機質な四角柱が水面から1センチ顔を出すくらいの長さで数本立っている。
その上を飛び移りながらエルは、プールの中からちまちまと水中銃で狙っては潜ることを繰り返すイーアネイラ型への反撃の機会をじっくりと伺っている。
「そんな暑苦しいコートは脱いで、お姉さんと一緒に泳がない?」
「そんな窮屈な尻尾は脱いじゃって、私と一緒にお散歩しませんか?」
幾度目かの銃撃を二振りの剣で弾いたエルは余裕綽々の笑みを浮かべた。
「ねえニーキ、エルってずいぶん余裕そうだけど大丈夫なの? もうずっと攻撃されっぱなしだけど」
「忍耐勝負に持ち込む気だろう。 迂闊に飛び込めば相手の思う壺だからな」
本日の姫乃コーディネート、学ランを着た男装ニーキの解説に、姫乃は 「ふんふん」 と分かったような分かってないような相槌を打った。
地を蹴るスピードと剣技だけが武器のエルにとって、水の中を自在に泳ぐ神姫は天敵とすら言える。
さらに足場が制限されるとなれば、あまりに分が悪い勝負だ。
やはりギャラリーからもそういった声が聞こえてくる。
「あのアルトレーネ、こんなダイヤグラム2:8くらいの相手の挑戦受けるなんてマゾなことするよね」
「そげなこと言うなら8:2の相手をカモにするとか、あの巨乳は相当タチ悪かよ」
「巨乳? 巨乳はギュウドンだろ」
「は? あの爆乳が見えんと?」
「あんな形悪ぃ胸とかもはやただの脂肪の塊だっての」
「なんば言いよっとかきさん喰らすぞ! あげん小さか乳とか巨乳の内に入らんったい!」
「二人とも公衆の面前で胸のことで喧嘩しないでよ。 どうせラズの胸が最高って結論に至るんだし」
「黙れロリペド」
「デカ乳より価値のあるもんとか存在せんと」
けれど、エルの楽なようでいて吊り橋を渡るような苦闘よりも俺はあることにばかり気を取られている。
防戦一方でも均衡を保つがんばりを見せてくれているエルには申し訳ないけれど、ぶっちゃけ、今日はバトルどころではない。


異変、というか異常に気付いたのは、ここ神姫センターへ向かう時に乗った電車が駅のホームに入ろうかというところだった。
何番ホームだかの線路はホーム手前でグイっと曲がっていて、電車はそこで大きく揺すられた。
手すりに掴まっていた俺の身体も、姫乃の身体も当然、外側に振られることになる。
俺は流されないようにうまく重心を変えた。
姫乃は後ろ髪をグイっと引っ張られるように上半身を思いっきり反らした。
胸を反らした。
胸を。
ワイシャツを伸ばすように胸を張った。
「!?」
反射的に凝視してしまった。
頭頂から脊髄を通り足の踵まで電撃が走った。
取り繕おうとして、でもそれは失敗して、かえって不自然に黙ってしまった。
姫乃は俺の反応に気付いて、でも、何も言わなかった。
俺の思考を勝手に読むニーキも、何も言わなかった。
エルだけが 「マスターマスター、昨日新技を思いついたんですよ」 と空気を読まなかった。
そのまま何も言えず、今に至る。
唐突に訪れた予想外の事態を冷静に受け止めるのに、俺には絶望的なまでに経験が不足していた。






姫乃のおムネが、お膨みなさっていた。






……というと語弊があるな。
女性の胸が膨らんでいるのは至極当然、別におかしいところはない。
むしろ歓迎したい。
でも悲しいかな、姫乃は白雪姫すら裸足で逃げ出すほどの可愛さを得る代償として、胸を失った。
……これまた語弊があるな。
別に手術で切除したとかそういったことではなく、姫乃の赤ん坊から今日に至るまでの時間の中で胸が膨らむ機会に恵まれなかった、ただそれだけのことだ。
……再三の語弊。
清々しいほどのまな板ではなくちゃんと斜面があるし、指で押すとそれなりにフニフニとした感触がある。
俺が胸をまさぐっているときに見せてくれる、リンゴのように赤くなった姫乃の顔がまた嗜虐心をそそ――――いや、ここから先は長くなるからやめておこう。
問題はその胸のサイズだ。
膨らみがあるとはいえ、それはあくまで 『有る』 か 『無い』 かで言えば前者になるというだけのことであり、例えば姫乃が仰向けに寝ると膨らみが重力に負けて完全なまな板になってしまうし、ましてや下着の下からワイシャツの布を押し上げるほどのポテンシャルは無い。
では、電車内で見たあの小ぶりな双丘は何だったのか。
俺の心をガッチリと掴み、むしろ俺がガッシリと掴みたくなるアレは何なのか。
念のため電車から降りた後もよくよく観察してみると、僅かではあるがやはり普段より明らかに自己主張している。
さらに今日の姫乃はやけに饒舌で、どこか吹っ切れたような明るさがあった。
導き出される結論は一つ。
服の内側に偽りの装甲がある。


「エルが集中力を切らしさえしなければ、いつかは人魚を打ち揚げ――――そこを踏むな!」
「えっ――」
突如、筐体を揺るがす大爆発が起こった。
ギャラリーのド肝を抜くほどの炸裂だ。
爆風に踊らされるように、エルの身体が宙に舞った。
「な、なに!? 何が起こったの!?」
「地雷だ。 私がもっと早く気付いていれば良かったのだが」
水面より上は見通しが良く足場も真っ白のステージで、イーアネイラとそのオーナーを除く誰もが地雷を見落としていた(俺はそこまでバトルを真剣に見ていたわけじゃないけど)。
知らず知らずのうちに、この2人の狙いに嵌ってしまっていたのだ。
剣や銃、食器や楽器と多種多様な武器が飛び交う神姫バトルでも、少なくとも俺が地雷を見かけるのはこれが初めてだ。
地雷は扱いが難しい。
堂々と設置しておけば牽制にもなるし、こっそり設置してうまく相手を誘導することでダメージを与えられるけれど、誰が踏んでも作動するそれは対戦相手にとっても同じことなのだ。
絶対に自分で仕掛けた地雷を踏まない自信があるならばともかく、乱戦の中で常に地雷の位置を把握しておくことは、よほど手慣れた神姫でなければ難しい。
かといって常に飛行していればよいというわけではなく、相手との距離が開けば、それは相手に地雷を処理する暇を与えてしまうことになる。
牽制用と割り切って使うにしても、広すぎるフィールド上に2つ3つ地雷を置いただけでは大した効果もない。
リスクは決して多くはないが、リターンもそれほど見込めない。
もっと他に扱いやすい武器はいくらでもある。
だから相手が地雷を使ってくるなんて、考えもしない。
イーアネイラはそんな思い込み――いや認識の外を利用して、地雷を巧妙に隠したのだ。
それに加え、水中を自在に移動できる優位を持っていながら攻撃手段をあえて水中銃に限定して、エルに単調な行動を繰り返させた。
油断はなくても、単純作業は否が応でも思考を鈍らせる。
「水中から狙い打たれることに 【慣れてしまった】 エルを、後は地雷を仕掛けた狭い足場に誘い込むだけだ。 時間の罠に嵌っていたのはエルのほうだったな」
吹き飛ばされたエルが派手に飛沫を上げてプールへと落ちた。
エルの手から離れた二振りの剣が持ち主から逃げるように沈んでいく。
まだ戦闘不能にはなっていなくとも、さっきの爆発でかなりLPを削られたはずだ。
あまりに唐突すぎた爆発で前後不覚に陥ったエルを、イーアネイラは脚を掴んで容赦なくプールの底へと引き摺っていった。
「ごぽっ……!」
それに合わせてギャラリーの目線も下がっていく。
「あーあ、こうなっちまえばイーアネイラって無敵だもんな。 プールを縄張りにする巨乳人魚に勝負を挑むほうが悪い」
「そりゃあ、キミの武士子はカナヅチだからそうなんだろうけどね」
「なんだと! 拙者とて水に顔を5秒つけるくらい造作も無い!」
「小学生の水泳教室か」
「先週ほむほむがあのレーネと勝負した時はこんなに粘っこい戦いにはならなかったけどね」
「ホムラと呼べ。 アレの能力からして水中では為す術無し、だろう」
「そんなことはありません。 アルトレーネなら……アルトレーネならきっとどうにかしてくれます」
水底まであと十数センチというところでエルはようやく意識を取り戻した。
脚を掴む手を剥がすために反対側の脚で蹴ろうとするも、イーアネイラはパッと手を離して水中銃のフルオート射撃を放った。
水中でも威力が減衰しない細い弾が、至近距離でエルを襲う。
「ん、んぐっ!」
避けるどころか剣を手放したため防ぐこともできず、全弾を受け止めるしかなかった。
水中銃の残弾が空になるまで腕と脚で身体を庇うことしかできないエルの顔が苦痛と屈辱に歪む。
「あの強化脚が仇になったな。 水中では足枷にしかならない」
「じゃ、じゃあどうすればいいの? 弧域くんエルが!」
「…………」
「弧域くん!」
「ぅえっ!? あ、ああ、そうだな、エルがんばれ!」
「すっごい投げやり……もう! ちゃんと見ててあげてよ!」
ぷんすか怒る姫乃は筐体のガラスケースにおでこをくっつけて 「エル、ファイト!」 と、俺とどっこいどっこいな応援をしていた。
ちゃんと見ろ、ってそうは言ってもなあ。
気を紛らわさないようにあれこれ考えてはいるが、どうしても目の前のバトルに集中できないでいた。
それもこれも、すべて姫乃のせいだ。
もう何度目かになる確認をしてみても…………膨らんでるよなぁ、どう見ても。
「そうよエル、脚の武装脱いで上に泳――どうして戦おうとするの!? エル早く逃げて!」
「いや、これでいい。 泳ぎで敵わない以上、下手に背を向けては格好の的になるだけだ。 不利を覚悟で、相手の土俵で真向勝負しかない」
イーアネイラがマガジンを空にした水中銃のリロードをする間、エルはコートの内側に右手を突っ込んだ。
公に出すのはこれが初になる、大剣2本を失ったエルに残された最後の武器。
それはコートから引き抜かれた右手に3本の長い爪が生えているように見える。
「「「つまようじキタ――――(゚∀゚) ――――!」」」
「がぽぼぶべばがべばばぶ! (つまようじじゃありません!)」
何故か湧き上がった歓声に律儀に反応するエルは指に3本の短い直刀を挟んでいる。
エルと俺の初めてのバトルの時、いちばん最初に持たせた武器 『つまようじ』 にエルは不満をこぼしていたものの、後から考えると案外使い易かったと言うから、それならばと用意したのだ。
つまようじと長さ形が似た忍刀を買ってきて、柄を外して指で挟みやすいようにしている。
つまようじの時は片手に4本の両手持ちで計8本だったのに何故今は3本かと言うと、もちろん金銭的な世知辛い理由があったからだ。
水中で踏み込みはできないため、腕の力だけで爪を突き出す。
水の抵抗を最低限に抑える真っ直ぐの突きでイーアネイラの水中銃を弾いた。
「そのまま逃がすなエル、しがみつけ!」
ニーキの言うとおり、エルはイーアネイラを人魚たらしめる武装、両脚に履いている尻尾を掴んだ。
水中では武器を弾いても遠くへ飛んでいくわけでもなく、手を伸ばせばイーアネイラは銃を掴むことができる。
そのまま離脱されてしまえば結局エルに攻撃の手段は無くなって負けが確定してしまうとなれば、意地でも離せない。
「ぷごっ!? がぺばぽぱ! (ちょっ!? 離してよ!)」
人魚だからって水の中でもしゃべれるわけじゃないらしい。
がっしりと手を回して離さないエルを引き剥がそうと尻尾をばたつかせつつ、イーアネイラは水中銃を取り戻した。
「ああっ! エル危ない避けて!」
「いや、もう決着はついた。 エルの勝ちだ」
自分の身体にしがみつく狙いやすい的に銃口を向け、イーアネイラはトリガーを引いた。
だが弾は出てこない。
数度トリガーを引くもカチン、カチンと音が鳴るだけで、イーアネイラはようやく、まだリロードを終えていなかったことに思い当たったようだ。
筐体の向こう側でイーアネイラのオーナーが頭を抱えている。
「自分のフィールドで自由を奪われたのだからパニックになるのも理解できるが、それは驕りがあったことの証明だ」
イーアネイラの脚から尻尾が引き抜かれ、それをエルが装備した。
慌ててマガジンを交換したところで、人魚型アルトレーネの誕生は止められない。
コートの裾から伸びる尻尾はイマイチ似合っていなかった。
「「「コスプレ人魚キタ――――(゚∀゚) ――――!」」」
「ごぷぶべびゃばべぼごぶ! (コスプレじゃありません!)」
形勢逆転、ここから反撃だ。
スイーッとイーアネイラから離れたエルはそのまま回りこむように泳ぎ、ヤケクソ気味に撃たれた弾丸をやり過ごした。
「すごいすごい! エルが人魚みたいに泳いでる!」
「装備してしまえば、完全とはいかないまでもある程度は使いこなせる。 私達神姫はそういうものだ」
水を強く蹴って、エルはイーアネイラまで一直線に加速した。
イーアネイラは銃を乱射するも、パニック状態でまともに狙いをつけられない。
スピードに乗った爪が水を切り裂き強襲する。
エルの得意技 『デーモンロードクロー』 がイーアネイラを――――




ぽよよん。




――――渾身の一撃は、ブ厚い胸の弾力に弾かれた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
誰もが絶句する中、イーアネイラが申し訳なさそうに銃を放ち、人魚だったはずのエルはプールの底へ沈んでいった。
レミリアというストラーフから受け継いだ、エル自慢の技。
立ち塞がる困難を切り開く、姉への信頼の証。
その悪魔の爪が、巨乳に敗れた瞬間だった。










時刻は午後11時。
部屋の空気が重い。
クレイドルの上で膝を抱えたエルから負のオーラが滲み出ている。
「……姫乃さんはマスターの恋人です」
いつものようにボロい椅子の上に体育座りをした姫乃と、顔を見合わせた。
改めて言われるまでもない。
それにボロアパートの隣室に住んでいるくらいだから、もう同棲しているくらいの認識すらある。
「マスターが姫乃さんのことばっかり見ていたって、それは当然のことなんです。 私だって姫乃さんを差し置いてマスターに好かれようとは思いません」
そこまで身を引かなくても……とは口が裂けても言えない。
言ってしまえば、それこそ最低の野郎だ。
「でもバトルの時くらい私のことを見ていてください! 私が戦う姿をちゃんと見届けて下さい! そうじゃないと私……なんのために戦ってるのか分からなくなっちゃいそうです……」
「……ごめん」
素直に頭を下げるしかない。
俺を信じてくれているエルへの、裏切りのようなものだった。
勝利をもたらしてくれる戦乙女への冒涜。
「言い訳になるけどさ、確かに俺は今日、集中していなかった」
そこに、慌てた様子のニーキが割って入ってきた。
「いや待て弧域。 君は十分反省しているんだろう? エルも許してやれ」
いつもなら俺を必要以上になじるのに、どうしてだか俺の弁護をしてくれた。
その気持ちはありがたいが、今は懺悔をさせてくれ。
「エルの言うとおり、今日はずっと姫乃のことしか見てなかった」
「え……そ、そう?」
「ああ。 正直に言って俺は――」
「もういい十分だ! だからもうしゃべるな!」



「姫乃が胸にパットを入れてることが、気になって仕方がなかったんだ」



重かった部屋の空気が、全身にのしかかったまま凍りついた。
ニーキが額に手を当てて天を仰いだ。
負のオーラを霧散させたエルは 「あちゃあ……」 とバツの悪い顔を作った。
何食わぬ顔をして、しっかり気付いていたらしい。
地雷があると分かっていたなら、あらかじめ教えておいて欲しかった。
踏んでしまった今となっては、もう遅いけど。
「ニーキ、エル」
極寒の声だった。
「「は、はいっ!」」
「二人とも、悪いけどちょっと外に出ててくれる?」
「「は、はいっ!」」
あのニーキまでもがビビッてる。
俺を置いていかないでくれ、という願いも虚しく、命令された神姫二人はスタコラ駆けていき、自力で玄関のドアを開けて出ていった。
閉まった玄関をいつまでも見ていたい。
というか、姫乃と目を合わせたくない。
「弧域くん」
「は、はいっ!」
刺される――――それくらい覚悟した次の言葉には、意外にも茶目っ気が混じっていた。
「この間の電気ブラン、まだ残ってたよね」



アルコール度数30。
痺れるような刺激と薬のような甘さを持つ琥珀色の液体。
電気ブランは酒に弱い俺達にはかなりキツい。
それでも専用グラス二杯目を空けた姫乃は、ぐでんぐでんとはいかなくても、表情も思考も緩んでしまっている。
「小さくても好きって言ってくれたでしょ。 でもね、隣を歩く女の子はやっぱり少しでも大きいほうがいいかなって、ね?」
「…………」
ちびちびと口を付け、その度に喉に電気が流れる。
その後で冷えた水をひと口含むと、甘さだけが残る。
「どんなに思い切ったって、弧域くんにしてみればただの見栄にしかならないのにねぇ。 ……結構恥ずかしかったのよ? 弧域くん気付いても何も言ってくれなかったし」
「…………」
熱く強烈な電撃は電気ブランの名前の由来ではない。
電気ブランが発明された当時、電気そのものが日本に渡来した珍しいものでハイカラがどうとか云々。
「ホントのこと言えば、その、外を歩いててちょっと気持ち良かったんだけどね。 あーあ、今からこれくらい成長しないかなー……にはは」
姫乃が指で自分の胸元を、左胸から右へとじっくり撫でる姿があまりに扇情的すぎて目が離せない。
誘われている。
誘ってくれている。
「こんなこと、お酒飲んでないと言えないね」
ベッドの上、隣に座る姫乃と肩を寄せ合う。
漆黒の川のような髪が俺の肩を流れる。
こてん、と預けられた頭の重みが愛おしい。
「ねえ弧域くん。 小さくて面白味がなくてごめんなさいだけど――私の胸、触ってくれる、よね?」
姫乃は一年浪人しているから俺より一つ歳上だ。
だからその分、姫乃お姉さんは俺よりも早くアルコールの力を知っていることになる。
いや、俺も弓道部に入ってすぐ飲まされたし、初めて飲んだのは同じ時期くらいになるのか。
酒の席は、付き合いの席。
酒に流されるのはあまり好きじゃないけど、こんな時くらい姫乃に付き合って酔いに任せてしまうのも悪くないかもしれない。
今日限りの、ワイシャツを少し持ち上げる魅力的な膨らみ。
その偽物を無視して俺は、シャツの下から中へと手を伸ばした。
火照った肌を撫でながら、ゆっくりと、姫乃の身体の上を這わせていく。
姫乃の吐息はとっくに荒くなっている。
訴えてくるような目に理性が溶かされていく。
きっとアルコールのせいだ。
そういうことにしてしまえば、俺達はどこまでも自由になれる。
キスをして、ベッドに倒れて、またキスをして。
口の中の甘い液体を交換し合っても、まだ全然足りない。
欲望に任せるまま伸ばした手が、姫乃のあるがままの柔肌を弄んだ。



































「私達、いつまで外にいればいいんでしょうね」

「…………」

「…………」

「…………」

「中に戻ってみます?」

「ヒメに見つかれば次はないぞ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「寒いですね」

「…………」

「…………」

「…………」

「そ、そうです、姫乃さんの部屋に――」

「鍵が無い」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………はぁ」




















































おっぱいは正義




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