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 第四話 「味噌汁とナミダ」


 夜眠っていると、夢を見る事がある。
 そしてそれは時に、夢だと分かっていても気分の悪い物だったりする。


 暗闇の中にテーブルが一つだけあって、その上には後ろを向いた雅が座っている。
 話しかけても返事は無い。手を伸ばそうとして体を動かしても、腕が妙に重くて動かない。
 それでも無理矢理に重たい腕を動かして雅に触れると、途端に雅の体が石になってばらばらと砕けるのだ。
 そして情けなく叫ぶ俺の背後で声がする。振り返ると。
 寂しげな顔をした白髪の男が、ゆっくりと後ろを向いて暗闇の中へ溶けていくんだ。


 「はっ」
 その日も、隣でうるさく鳴り響く目覚まし時計の音で目を覚ました。
 「ん、う」
 ぴーぴーがなり立てるそいつを殴りつけて止めてやると、もう窓から日が差し込んでいる事に気付いた。
 「ふぁあ。ん、やべ、もう八時かよ」
 昨日は結局遅くまで大学のレポートを仕上げていたせいか、いつもより遅くに起きてしまった。
 しかもわけの分からない夢のせいか非常に目覚めが悪い。
 「ちっ」
 痛む頭を小突きながら布団から起き上がる。今日は水曜で定休日だから急ぐ必要は無いが、腹が減っていたので、とっとと起きて朝飯を作ることにした。
 傍の机の上には神姫のクレイドルがあって、メリーがそこで寝息を立てていた。メリーは昨日めぐみさんから貰ったクマのぬいぐるみを大事そうに抱えている。こうして見ていると、やっぱり女の子らしくて可愛いもんだと思う。
 「あ、ん……だめ、ですアキラさん……そんな、はげし……んぅ」
 前言撤回。一体何の夢を見ているんだ。
 かといってまあ起こすのもなんだし、さっさと下に降りることにした。




 下に降りて、顔を洗ってから居間の冷蔵庫の中を探る。今から何か作るのは面倒だったので、冷え冷えのカレーを温めて食うことにした。
 「……GW、明後日までかよ」
 レンジの低い音が唸る中、俺はカレンダーを見てつぶやいた。そういやそうだったな。
 大して遊ばなかったような気もするし、だれか誘って遊びにでも行くか。
 「ん?」
 レンジを止めたその時、厨房の方から良い匂いが漂ってくるのに気付いた。
 「……味噌汁?」
 この匂いはそう、雅がいつも作っている味噌汁の匂いだ。そういえば部屋にも姿が無かったし、もう起きていたのか。
 厨房に行ってみると、案の定雅がいてネギを刻んでいた。包丁の背を両手で持って、ネギを上からまたいで輪切りにしている。体が小さい神姫ならではのやり方だ。鍋がコンロにかけられていて、匂いはそこから漂っていた。
 「よう」
 俺が呼びかけると雅が気付いて顔を上げた。
 「……アキラ」
 「ずいぶん早いな。どうした?」
 すると雅は、さっと顔を伏せた。
 「アキラ、あんた……夢って見る?」
 「夢?」
 「うん。あたしね……最近変な夢を見るのよ……。神姫が夢って、変な話かもしれないけど……」
 「どんな夢だ?」
 さっき自分も夢を見たせいだろうか、興味を持った俺は身を乗り出していた。
 「……夢の中でね、あたし……お味噌汁を作ってるの……一人でずっと。……そしたらね、あたしの頭を誰かが撫でるのよ……誰かと思って振り向いたらね、ここはこうするんだって、その人があたしの手を取って、一緒に包丁を握るの……」
話しているうちに、雅の目尻に涙が浮かび始めた。


 「その人の手が……すごく暖かくって……優しくて……でも、すぐに消えちゃって……でもまるで……ホントに、おじいさまみたいで……」


 「!」
 雅の涙はいよいよ大粒になって、雪のように白い頬を濡らしてゆく。
 「それで……いてもたってもいられなくて……ここで……お味噌汁作って……」
 「……」
 そこまで聞いた俺は雅の横に立つと、業務用の冷蔵庫から豆腐としじみを取り出してまな板にのせる。
 「……アキラ?」
 鍋に水を張ってしじみを入れ、その間に豆腐をさいの目にする。煮立ったと思ったら火を弱めて味噌を溶かし、丁度良いと感じたところで火を消して、豆腐と雅が刻んでいたネギを入れる。
 「これでどうだ」
 出来上がった味噌汁を小皿にほんの少し注いで、雅に手渡す。
 「じじいのとは違うが……それでも、少しはじじいの作ったのに近づけてるか?」
 雅は少し香りをかいだ後、口を付ける。
 「……美味しい」
 「……」
 「でも、おじいさまの味とは……やっぱり違うわ」
 「……そうか」
 「……気にしないで良いのよ? アンタはアンタで、自分の味を目指せば良いんだから……」
 雅はそう言っているが、まだ涙がこぼれている。


 分かっている。
 俺だって、いつかはあのじじいとは違う味を作りたいさ。そのつもりだ。
 でも……今だけは。
 今だけは、目の前の小さな少女の涙を止めてやりたいじゃないか。


 「雅」
 俺はなるべく気持ちを抑えながら、雅の名を呼ぶ。
 「……? ……きゃっ!?」
 雅が驚くのも気にせず、手のひらへと導く。
 「今日は天気いいし、ちょいと散歩でも行くか」
 「え……」
 「幸いな事に今日は定休日だ。どっか行くには充分時間がある」
 「アキラ……」
 「でも、ちょっと腹が減ってるんでな。カレー食ってからにさせてくれ。お前もたまには食うか?」
 雅は、ほんの少し、ほんの少しだが微笑んだようだった。
 「……うん」


 ※※※




 「……ん~、ふぁうあ~」
 私が目を覚ました時、もうお日様が昇っていました。
 「むにゃ……九時ですか……アキラさーん、起きて……って、いない……」
 クレイドルから降りて、一階の居間へ向かいます。
 「アキラさんー……いませんね」
 椅子の上に登ってみると、まだアキラさんの温もりが残っていました。なので、そう遠くへは行ってないはずなのです。
 「雅さんもいないようでしたし……まさか二人で出かけたんでしょうか……」
 なんて考えていると、厨房の方からお味噌汁の匂いが漂ってきました。
 「……? ……そこにいるんですか?」
 厨房に行ってみると、アキラさんではなく京介おじさまがお鍋をかきまぜていました。
 「おじさま」
 「ん……メリーか。どうしたんだい?」
 「アキラさんを見かけませんでしたか?」
 「いや……見てないね。僕が起きたらもういなかったよ」
 「そうですか……」
 おじさまの表情はどことなく沈んでいるように見えます。
 「どうされたんです?それに、そのお味噌汁は?」
 「ああ、これか。起きてここに来たら置いてあってね。たぶん輝が作ったんだな」
 「アキラさんが?」
 「うん……それにしてもこの味……違うんだがどこか似ているよ……あの人に」
 「あの人ってまさか……」」
 「ああ……懐かしいな」




 「……どうだ? ちょっとは気が楽になったか?」
 しばらく外を歩いて、俺と雅は駅の近くまで来ていた。
 「……うん。ありがと」
 雅の涙はもう大分乾いて、ゆっくりとだが俺に微笑み返してくれた。
 「じゃ、帰るか。今日はゆっくりしたい」
 店に向かって元来た道を歩き出す。その間、雅はずっとまぶたを閉じて、俺の歩くリズムに体を預けていた。
 そんな雅の姿を見ながら、俺は和やかな、しかしとてつもなく申し訳ないような気分だった。
 ああ、俺はどうしてこんなやり方でしか、こいつの涙を止めてやることが出来ないんだろう、と。




 じじい。
 どうして、俺たちを置いてっちまったんだ。






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