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えむえむえす ~My marriage story~

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「んー……、ぅ」
 まだ薄暗く、静かな寝室の中、小さな影がゆっくりと起き上がる。
「ふぁ……ぁ」
 その影……物語に出てくる妖精のように小さな少女は、眠気を振り払うかのように軽く伸びをすると、隣で未だに睡眠を貪っている男の顔に静かに近づいていく。
「……おはようございます。兄さ……ま?」
「…………ぅ、ぁ」
 愛の印を刻もうとした少女が見たものは、苦痛に歪む男の顔だった。
「兄さまっ!? 兄さましっかりしてください……! 兄さま……っ」
 脂汗がジリジリと溢れだし、男が不快感でのた打ち回る。
 男の耳には、少女の悲鳴が別世界からの幻聴のように、現実感無く響いていた。



第3話 『看護な日々』



 ~Aパート~

「……食中毒です」
 救急車で運び込まれた病院の緊急処置室で、そう診断される勇人。
「前日に、何か傷んだ物を食べませんでしたか?」
「いえ、そんな記憶は……」
 まだ蒼ざめた顔のまま、医師の質問に答える。
 そしてその横では、勇人よりも一層蒼ざめた顔があった。
「(食中毒って……私の……せい!?)」
 スミレの思考は、既にパンク寸前になっていた。昨日の行動を思い返して、原因は何かと思考を巡らす。
「この時期は食中毒が増えるんですよ。特に暖かくなってきた気候の影響で、弁当によるものが多いんです」
 医師の何気ない一言に、ビクリと固まるスミレ。
「弁当ですか?」
「はい。最近手作り弁当がブームとかで皆さん作られるようなのですが、食中毒対策については中々知られていないようでして。
 痛みやすい食材を使ったり、ご飯が温かいうちに閉めてしまったりして、昼までの間に痛んでしまうケースが多いのですよ」
 薬が効いてきたのか顔色が少し回復してきた勇人の隣で、ブルーハワイの原液に突っ込んだのではないかと思うくらい顔を真っ青にしている少女が1人。
 高熱を出した重病人のように全身をカタカタと震わせ、額からは脂汗がダラダラと溢れ出している。
「そうなのですか……でも、違うと思います」
「(兄さま……)」
 きっぱりと言い切る勇人。
「そうですか、とにかくお大事に。
 お薬を出して置きますので、最低でも今日明日は安静にしていてください」
 そう言いながら、医者はカルテに一般人ではわからない謎の文字を書き込んでいく。
 その後、処方箋が出るまでに結構な時間がかかり、2人が家に帰り着いたのは、それから1時間後だった。



「兄さま、申し訳ありませんっ!!!」
 家に帰るなり、いきなり奥義・猛虎落地勢(土下座である)を披露するスミレ。
「いや、スミレのせいなんかじゃないさ。俺が買い食いした食品が傷んでただけで」
「……兄さまは、優しいです。でもその優しさが……今はちょっと、痛いんです」
「スミレ……」
 勇人の優しい嘘が、スミレの心を抉っていく。
「私は……兄さまの為に、何もできない、悪い子なんです……
 今もそうやって、兄さまの優しさに甘えて、守られて……何ひとつ、出来なくて」
 綺麗で繊細な花が、萎れていく。
「――それじゃ、そんな悪い子のスミレに、罰を与えよう」
「……はい」
 勇人の言葉に、心持ち身を硬くするスミレ。
「体調が治るまで、スミレは俺の看病をするんだ。俺の為に、つきっきりで、な」
 まだ腹痛が続く中、つとめて笑顔を見せる勇人。
 返ってきたのは、沈黙。
「……スミレ?」
「兄さまは、本当に優しすぎ……です」
 小さな……呟き。感情に震える、声。
「――わかりました。その罰、喜んで受けます。すぐに回復させちゃうんですから」
 こっそりと涙を拭い、勇人に向けた表情は、雨の後の紫陽花のように鮮やかだった。

「……ふぅ」
 ベッドに身を横たえ、一息つく勇人。
「まぁ、たまには休養もいいか」
 1人ごちる。一講師とは言え中々の激務をこなす勇人にとって、このようにゆっくりと休む機会は殆ど無かった。
「……そうか、あれからもう」
 特にスミレと一緒になってからは、休日でさえも休める時間でなかったのも確かだろう。
「――兄さま。お待たせしました」
「嗚呼、水持ってきてくれたか……ってスミレっ!?」
「はい、なんでしょう兄さま?」
 可愛い仕草で、勇人の顔を覗きこむスミレ。だが勇人の驚きの原因は、そのスミレ自身だった。
「な、なんて格好してるんだっ!?」
「見てわかりませんか、ナース服です。やっぱり看護するなら、この服かなと思いまして」
 彼女が着ていたのは、淡い桃色のナース服。しかも股下ギリギリのマイクロミニで、患者には目の毒……いや、健全な男ならば誰しも目のやり場に困るような、際どい服だった。
 スミレはそう言いながら、勇人の前でくるりとターン。ミニスカートがふわりと舞い、女の子の匂いが勇人の鼻腔をくすぐる。
「さぁ、兄さまは安静になさってください。後のことは私がやりますから」
「そうだな、宜しく頼む」
「はいっ」
「……」
「…………」
 何故か、沈黙。
「……何をすればいいんでしょうか」
 素っ頓狂なスミレの言葉に、思わず精神的にずっこける勇人。
「考えてみたら、腹痛だと……お熱を計ったりとか、汗をお拭きしたりとか、お注射したりとか……そういう事をやる必要がないんですよね」
 やたら不穏当な単語も口にしつつ、スミレは逡巡する。
「お昼……にはまだ早いしな。薬は本当は食前が良いんだが、既にこうして飲んでしまったし」
「そうなんですよね。……あ、大学へ病欠のお電話をしなくては」
「あぁ。それなら救急車で運ばれた時に、病院の方から大学へ連絡が行ってる筈だから、心配しなくていいぞ」
「そうですか……本当にやる事無くて、ちょっとションボリです」
 ぷぅっと頬を膨らませるスミレ。だが勇人が寝込んだ原因を考えれば、彼女がそんな態度を取る正当性は全くない。
「それに第一、スミレが連絡したら何かと不味いだろ。以前言われたじゃないか」
「そう、ですね」
 スミレの表情が、それまでとは少し違うものに変化する。
「……気にするな」
それに気づけない勇人ではなかったが、今の彼には、それ以上語るべき言葉を見出せなかった。
「――あ、そうだっ!」
 手をポンと叩き、勢いよく廊下に飛び出していくスミレ。
「少し待っててください。スミレスペシャルを作ってあげますから~」
 等と一方的にまくし立てながら、スミレはキッチンの方へ飛んでいった。

「……で、そのスペシャルとやらが、コレか」
「はい♪」
 ……10分後。スミレが差し出したのは、湯飲みに入った謎の液体だった。
「うちの家に代々伝わる、秘伝の薬なんです。体力回復にとても良いのだそうですよ」
 嬉しそうに説明するスミレだったが、どす黒いドロドロの液体を前に言われても、胡散臭さ満点である。
「そう……。そういえばスミレの実家は旧家だったな」
 そう応える間にも、勇人の鼻腔を強烈な刺激臭が襲う。
 スミレに対する気遣いから、一応は受け取ったものの、腹痛から来るものとは明らかに違う原因の脂汗が、頬をつたっていく。
「はい。私も以前はよく祖母に作っていただきました。これで健康になったと聞いています」
「聞いて、います?」
「えぇ。小さかったからか、飲んだ後の記憶がスッパリ無くなってるのですよね。不思議です」
 キョトンとした顔で言うスミレ。本人は意識していないのだろうが、勇人にとってそれは死刑宣告も同然に聞こえる。
「……ちなみにコレ、材料は何かな?」
「えぇと……『飲んだ人の精神安定上、秘密☆ミ』だそうです。祖母から作り方を教わる時にそう教えられました」
「へぇ、そうなんだ……」
 スミレに看護されてただ寝ていたいだけなのに、何故こんな事になってしまったのだろうと、己の選択を顧みる勇人であった。
「ささ、ぐいっと一杯♪」
「いや……その……」
 満面の笑みと共に、自殺を勧めてくるスミレ。この時の勇人には、そうとしか思えなかった。
「う……ぁ…………。えぇい、ままよっ!」
 スミレの為にと覚悟を決め、流し込むようにして一気に飲み干す。
「っ!?□△●×」
 経験した事の無い味が、口の中と喉を突きぬけ、瞬く間に全身を焼き尽くす。
 そして次の瞬間、勇人の意識は夢の中へと蹴落とされていた。
「あら、もう寝ちゃいましたか兄さま。私の時と一緒ですね。
 ……本当に良く効くみたい。教えてくれてありがとうです、お祖母様っ」





 ――男は、草原にいた。
 そこは、夢の世界。今の彼には、それが理解出来る。何故ならば……
「――!」
 叫ぼうと喉を振り絞るが、声は出ない。酸欠の魚のように、パクパクと唇が動くだけだ。
「――――!」
 それでも尚、男は叫ぼぶ。目の前に居る、1人の少女に、伝える為に。
「……」
 男と向かい合う、長い髪の少女。白い清楚なドレスにその身を包み、服と同じ白い大きな帽子を深く被っている。
「   」
 少女の唇が、言の葉を作る。だが、男の耳に、その言葉は届く事が無い。
「―――!!!」
 男はありったけの力と、祈りを込めて叫び続ける。感情の渦に呑まれ……そして。
「   」
 少女は、微笑む。
 男の心に安堵が生まれ、少女の元へと歩みを進める。その時、だった。

 暗転。

 ――闇、闇、闇。
 完全な、漆黒の世界。音もなく、光もない。ただ、少女の姿だけを遺して。

 ――それは、絶望。

 白いドレスが、真紅に染まっていく。
 少女の顔が、生気を失ない、凍りつく。まるで、物語の眠り姫のように。

「――!!!」
 男はそれを、ただ見ている事しか出来ない。いくら手を伸ばそうとも、彼女に届く事は……ない。
 やがて、真紅のドレスに身を包んだ少女は、静かにその瞳を閉じる。
「…………」
 少女が最後に呟いた言葉は、男の心を抉り取る。

「――――!!!!!」

 男の叫びが、暗闇の中、虚しく響いていった……






「すみれぇっ!!!!!」

「ひゃっ!? は、はい何でしょう兄さま」
 勇人の傍らには、スミレが付き添っていた。叫びながら飛び起きた勇人を、心配そうに見つめている。
「嗚呼……寝てたのか。
 いや、なんでもない。うん、なんでもないんだ」
「兄……さま?」
 スミレを引き寄せ、自らの頬でスミレの温もりを感じる。
「……ごめん。今は、このまま……」
「――はい」
 そんな勇人に対して、スミレは彼の目に浮かんだ雫をそっと拭うと、傷ついた子供を癒す天使のように、優しく寄り添う。

『ぴんぽーん』

「……ん」
「あやっ」
 そんな2人を邪魔するかのように、タイミング悪く玄関のベルが鳴る。
「何でしょう……こんな時間に。食品配送の時間じゃありませんし、宅配便か何かでしょうか?」
「あ、こら勝手に……」
 そう口に出して考えながら、ドアホンのスイッチを入れるスミレ。

「すみません。周防さんのお宅でしょうか。私……勇人さんのお見舞いに……」

 ドアホンから聞こえてきたのは、若い女の声だった。
「……兄、さま?」














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