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えむえむえす ~My marriage story~

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3匹目 『物売屋と愉快な仲間たち』




マスターが描いてくれた地図を頼りに家を出て、2時間くらい過ぎただろうか。
今、私は民家が道路に沿ってぎっしりと並ぶ窮屈な裏路地にいる。
マスターが描いた地図は人間基準なので、なるべく危なくなさそうな道を選んだおかげで随分と遠回りをしてしまった。
さすがに横断歩道なんて怖くて渡りたくない。
少しでも楽になればとレッグパーツとスカートパーツを装備してきたけど、あっちこっちに傷がついてしまった。
せっかくこの前の日曜日にマスターと一緒に磨いたばかりだっのに。
「はぁ……」
ツイてないのか、仕方がないのか。
やっぱり神姫の足での外出は極力控えたほうがよさそうだ。
秋になりつつある今はだんだん日差しも控えめになってきているけれど、これがもし猛暑や寒波が襲う日だったならば、物売屋へ到着することも引き返すこともできず倒れていたことだろう。
いくら神姫が過酷な環境下でも戦えるよう設計されているとはいえ、長時間の活動となれば話は別だ。
今日は幸い残暑も和らぎ、空もカラっと晴れているけれど、それでも身長15cm程度 (レッグパーツ込みで約17cm) の私にとってはインディー・ジョーンズに匹敵する大冒険だった。
この冒険譚は帰ってからマスターにたっぷり聞かせてあげるとして。
ああもう、こんなに大変な思いをするなら、あのマオチャオのことなんて放っておけばよかった。
一人道端で、帰り道もやっぱりジョーンズ博士にならなければならないのかとウンザリしていると、唐突に周りの日差しが大きな影に遮られた。
「溜め息つくんは勝手やけどね、店の前でやられちゃお客さんが遠のくんよ。 つっても、お客さんがおらんほうが私にとっちゃ嬉しいことなんやけどね」
私の側に突如として聳え立った影、その女性はひょいと私を掴み、そのまま目前の古い家屋 【物売屋】 へと入っていった。





「鉄子よぉ。 オマエがアタシのところに持ってくる面倒事の量に比例して、アタシのヂェリー消費量も増えるんだぜ? オマエの昼メシをチーズ蒸しパン一個にしてんのはオマエ自身なんだが、そのへん気付いてんのか?」
掴まれたまま入店した私を迎えてくれたのは、お世辞にも歓迎とは言い難い言葉だった。
「あんたが調子こいて懺悔室とかワケワカランもん始めるから、こうして次から次に神姫が来るんやない。 あんたの自業自得に付き合わされるこっちの身にも……あーもういい、もう決めた。 コタマ、あんた今日から一ヶ月間ヂェリー抜きね」
「はぁ!? オマエの不幸に他人を巻き込むんじゃねぇよ! オマエ一人で苦しめ!」
「どの口がそれを言うか! あんたを買ったことが何よりの不幸やわ!」
「やめなさい二人とも。 ごめんなさいね、みっともないところを見せてしまって」
「あ、いえ、こちらこそお邪魔します」
シスターのコスプレをしたハーモニーグレイス型 (なるほど、マスターの言っていたとおり、武装ではなく本物の修道服を着たチンピラだった) と、マスターより少し若いくらいの女性は、紗羅檀型の神姫に窘められて 「フンッ」 とそっぽを向いてしまった。
来店早々、なんだか居づらくなってあたりを見回してみた。
店内は、というよりここを店といっていいのか、昔ながらの駄菓子屋から駄菓子を無くしたようなスッカラカンの土間だった。
土間の中は日が当たらず、その分だけ外より少しだけ涼しい。
一面ガラス張りの戸を開け放った入り口を向いて、二人の人が子供のお客を待つおばあちゃんのように (なんて言うと失礼か) 座っている。
二体の神姫は店員さん二人の間にいて、紗羅檀型は上品に脚を折って座り、シスターは寝そべって肘をついて手に頭を乗せている。
私のハーモニーグレイスに対するイメージに、大幅なマイナス補正がかかった。
「大したおもてなしもできないけど、ゆっくりしていってね。 ほら、鉄子さんもコタマも、もう少し愛想良くできないの」
ムスッとした鉄子さんと呼ばれる人とシスター二人を見てやれやれといった具合な紗羅檀型は、ほんの数日前に発売されたばかりの最新型だ。
動く実物を見るのはこれが初めてになる。
シスターのようなコスプレはしていなけれど、各部に金をあしらった意匠はそれだけで十分に魅力的で、下品な贅沢さでは決してなく、クラシカルな雰囲気はこれまで世に送り出されたどの神姫よりも “雅” というものを形にしている。
「私の身体に糸くずでもついてる?」
「え、えっと、その、紗羅檀型は綺麗なデザインだなー、と」
「そうだろうそうだろう。 見た目でうちのミサキに敵う神姫はそうそういないよ」
もう一人の神姫オーナー、朱色のジャージをだらしなく着た細身のおじさんがこの店の店長さんだろうか。
鉄子さんのお父さん……と言うにはまったく似ていない。
アルバイトを雇うような店には見えないし、知り合いの鉄子さんにお店を手伝ってもらっているのだろう。
自分の神姫であるミサキさんを褒められて得意気なジャージさんは、さも自分でミサキさんをデザインしたような口ぶりで自慢するけれど、ミサキさんはどう見ても全国共通のデフォルトな姿をしている。
「褒めたって何も出ませんよ。 それよりこちらのアルトレーネさんの……」
「アマティです。 よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね。 アマティさんのほうが目を引く装備ではないかしら」
「あ、これはですね、ここまで来るのに機動力があったほうがいいかなと」
「レッグとスカートじゃなくて、その耳よ。 猫の耳だけ装備して他は普通だなんて、大抵の神姫は全身をそれらしく装飾するものだと思うけれど。 ねぇ、コタマ?」
「アタシに振るな。 エルとかニーキとか、そのへんの奴に言え」
「でもいいんやない、私はこれくらい控えめなほうがカワイイと――」
そう言いつつ、鉄子さんは私の頭に手を伸ばした。
ぴくん。
「うわ、動いた」
このように触られようとした時は大抵、勝手に動いてしまう。
そしてこの後のやりとりも、いつものことだったりする。
「随分と凝ったネコミミだなあ。 どうやって動かしているんだい?」
「いえ、これはですね、地なんです。 元から生えてたんです」
耳の先っぽをつまんで引っ張ってみせると、ジャージさん、鉄子さん、ミサキさんは揃って目を丸くした。
シスターだけは興味無さげに、金色の十字架をいじっている。
殆どの場合は3人のような反応になるけど、私にとってこの耳は当然のもので、普段の生活の中ではほとんど意識することはない。
ここから音が聞こえるわけでもなく、たまにぴくんと動くのも “そういうものだ” と思っているので、たまにこうして人に見せて驚かれると、自分が変わっているんだなー、なんて思い出したように思い知らされる。
「地、って簡単に言うけど、どうやったらそんなもんが生えるんかね。 んで、今日はその耳のことでコタマに懺悔しに来た、とか?」
「懺悔、ですか?」
さっきもそのようなことを言っていた気がするけど、私はお悩み相談に来たのだし、そもそも懺悔は普通はもっと偉い人というか、司祭さんのような人の前でやるものだったような記憶がある。
そうでしたよね、とジャージさんに聞こうとすると、その人の目がいたずらっぽく笑っていた。
何も言われなくても 「面白いから黙っていよう」 と伝わってきた。
何故か、少しだけ、口の悪いシスターに好感を持てた。
「えっと、この耳のことではなくてですね、ちょっと困ったマオチャオがいて、そのことで相談したいなあ、と」
「相談ってオマエ、懺悔する気ナシかよ。 まぁいいや、ほれ、話の前にやることがあるだろ?」
シスターはホレホレ、と私の荷物を指差した。
その先にあるのは、マスターに言われた通り持てるだけ持ってきた、大量のヂェリー。
このシスターは懺悔 (と称した何か) の対価としてヂェリーを要求しているのか。
もう、いろいろ間違い過ぎていて指摘する気にもなれない。
それなのに多くの神姫が赦し (と称した何か) を求めて続々とやって来るというのだから、神姫も楽じゃないなあ、なんて知った風なことをしみじみと思った。
けど、それだけ多くの神姫がこのシスターに相談して悩みを晴らしているのだから、そこはさすがドールマスターといったところなのだろう。
持ってきたヂェリーを渡そうとすると、私とシスターの間にヌッと大きな手が割り込んできた。
「邪魔して悪いんやけど、コタマは今ヂェリー断ちの真っ最中なんよ。 どうしてもコタマに相談したいんやったら、一ヶ月後にしてくれんかね」
「て、てめぇ……! いや、いいんだぜ? アタシも丁度、オマエとアタシのどっちが主なのか決着をつけねぇとなーって思ってたところだったんだ」
「ああ、もう禁断症状が出てしまったん? でも大丈夫よコタマ。 私はあんたを見捨てんからね、一緒に頑張ってアル中を直していこう」
「なんだその目は、勝手にアタシを憐れむんじゃねぇ! ケツの穴の小せぇこと言ってっから何時まで経っても男の一人すらできねえんだっつーの!」
「んなっ!? そ、そんなん関係ないやろ! わ、私だってその気になれば!」
「アタシが気づいてねぇと思ってんのか? 姫乃と弧域がよろしくヤッてるだろう時によォ、オマエときたら布団の中で一人寂しくオn――」
「死ねゃぁぁあああ!!」
ケンカをするほど仲がいい、とか。
雨降って地固まる、とか。
鉄子さんとシスターの乱闘は、そんなレベルじゃなかった。
人間と神姫って互角に戦えるんだ……でもさすがにこれは止めたほうが……


「 い い か げ ん に な さ い ! 」


土間に響いた一喝が、二人をピタリと止めた。
ミサキさんの貫禄のある声が頭の中にまで反響した。
両手に金色の十字架を持ったシスターと握りこぶしを作った鉄子さんは呆気にとられて、すっかり戦意 (殺意とも言う) を喪失していた。
「お客様の前でギャアギャアと、あなた達は店員の――女性としての自覚が無いのですか」
「だって、コタマが……」
「だって、鉄子が……」
「だってもヘチマもありません! しばらく正座してなさい!」
「でも、コタマが……」
「でも、鉄子が……」
「正座!」
「……はい」
「……チッ」
渋々といった感じで正座をする二人。
紗羅檀の発売日を考えると、この店のパワーバランスは先日、唐突に大きく傾いたのだろう。
小さくなった二人の前で腰に手を当てて立つミサキさんは、やんちゃな子供を持つお母さんのように見えた。
「そういうわけで、アマティ君の依頼はボクが引き受けよう。 ここのところアルバイトの鉄子君に任せっきりでね、いやあ、神姫の依頼を受けるのは初めてだよ。 たぶん先代だって、物売屋が人形の依頼を受ける日が来るなんて想像もしなかっただろうね」
そして二人が暴れている間もまったく動じていなかったジャージさんは、この一家の大黒柱といったところか。
絶妙なバランスで成り立っている(?)物売屋という店に感心しつつ、ジャージさんに料金代わりのヂェリーを渡した。













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