夢現で思うのは幼馴染の少年の事。
何故だろうか、食い違ってしまったのは。
何故だろうか、食い違ってしまったのは。
(こんな筈じゃ無かったのにな)
多分、“私”はあの悪魔と契約をしたのだ。
覚めて行くまどろみの中で飛鳥はそう思う。
バッテリーの充填率は3割。
充分だ。
飛鳥の巡航速度は人が走るより速い。
今から出てもまだ間に合う。
まだ、北斗を守れる。
覚めて行くまどろみの中で飛鳥はそう思う。
バッテリーの充填率は3割。
充分だ。
飛鳥の巡航速度は人が走るより速い。
今から出てもまだ間に合う。
まだ、北斗を守れる。
「きっとその為に、私が此処に居るんだ」
本来ならばバッテリーのチャージが終わるまで、決して起きるはずの無い武装神姫が目を覚ます。
それは別段超常的な事ではなく、万に一で起こりうるただのバグ。
ただ、それがココで起きた事はほんの微かな奇跡。
飛鳥は未修復の千切れた右腕を押さえながら、夜の空に翼を広げる。
それは別段超常的な事ではなく、万に一で起こりうるただのバグ。
ただ、それがココで起きた事はほんの微かな奇跡。
飛鳥は未修復の千切れた右腕を押さえながら、夜の空に翼を広げる。
「行かなくちゃ!!」
私が待ってる。
アスカ・シンカロン12
~賑禍~
「……はぁはぁ、間に合ったぜ」
家から走って校門を乗り越え、窓を割って校舎の中へ。
そして屋上まで階段を駆け上り、ジャスト15分。
そして屋上まで階段を駆け上り、ジャスト15分。
「……やっぱり来てくれた。北斗ちゃんは私の事が大切なんだよね?」
北斗ちゃん。
その呼び方は……。
その呼び方は……。
「……お前、やっぱり明日香なのか……?」
「どっちだったら良かったの?」
「え?」
「北斗は、夜宵ちゃんと明日香。どっちが良かったの……?」
「それは……」
「私は。どっちになればいいの……?」
「お前、何言ってるんだ!! そんなの、元もままで良いに決まってるだろ!!」
「……」
「だ、そうですヨ」
「どっちだったら良かったの?」
「え?」
「北斗は、夜宵ちゃんと明日香。どっちが良かったの……?」
「それは……」
「私は。どっちになればいいの……?」
「お前、何言ってるんだ!! そんなの、元もままで良いに決まってるだろ!!」
「……」
「だ、そうですヨ」
明日香か夜宵かも定かではない少女の背後から、白い悪魔型が姿を見せる。
「やはり、貴女達は同じでなければ受け入れられなイ」
「……テメェ」
「さあ、考えましょウ。二人が同じになる方法ヲ。……そうでないト。……彼に受け入れてもらえなイ」
「テメェが元凶か!!」
「まさカ。私はただ提案しただけでス。同じだからいけないのかも知れないッテ」
「……テメェ」
「さあ、考えましょウ。二人が同じになる方法ヲ。……そうでないト。……彼に受け入れてもらえなイ」
「テメェが元凶か!!」
「まさカ。私はただ提案しただけでス。同じだからいけないのかも知れないッテ」
違えば。
何かが変わるのだと。
何かが変わるのだと。
「そしテ、それが誤りだったのではないカ、と。提案しているだけですヨ?」
それを実行に移したのはカノジョ。
実行に移させたのは。
実行に移させたのは。
「他ならヌ、貴方でス。神凪北斗」
「テメェをぶっ壊す!!」
「どうぞご自由ニ。でも良いんですカ? 私にかまけているト―――」
「…………」
「テメェをぶっ壊す!!」
「どうぞご自由ニ。でも良いんですカ? 私にかまけているト―――」
「…………」
屋上のフェンスを、少女は昇り始める。
「……っ」
どちらの名前を呼べば良いのか。
その間に白い悪魔型が迫る。
その間に白い悪魔型が迫る。
「如何しましタ? ワタシを壊すならお早めニ。……でないト、でないト。……カノジョ死んでしまいますヨ?」
「……クッ!!」
「……クッ!!」
フェンスはそれほど高くない。
あっという間に彼女の手がその縁に掛かる。
あっという間に彼女の手がその縁に掛かる。
「待て!!」
駆け寄ろうとする北斗の眼前に踊り出る白い悪魔。
その爪が正確に北斗の眼を狙う。
その爪が正確に北斗の眼を狙う。
「……チッ!!」
腕で叩くが、さほどのダメージでもないらしく、すぐに次が来る。
「邪魔するな!!」
彼女の片足がフェンスを越えた。
白影は正確に眼を狙ってくる。
払っていては、間に合わない。
白影は正確に眼を狙ってくる。
払っていては、間に合わない。
「……!!」
覚悟を決めた。
目の一つ二つ奪われても、彼女の所まで辿り着く。
それが先だ。
目の一つ二つ奪われても、彼女の所まで辿り着く。
それが先だ。
「無駄でス。彼女は死ニ、貴方も死ヌ。ソレがワタシの食事なのですかラ。邪魔をしないで下さイ!!」
視界に飛び込んでくる爪が迫る。
だが、足は止めない。
払う暇も無い。
彼女は既に重心をフェンスの向こうに。
だが、足は止めない。
払う暇も無い。
彼女は既に重心をフェンスの向こうに。
「 ーーーッ!!」
自分で。
どちらの名前を呼んだのか。
神凪北斗には自覚が無かった。
どちらの名前を呼んだのか。
神凪北斗には自覚が無かった。
爪が。
フェンスを。
迫る。
乗り越えて。
突き刺さる。
落ちる。
―――直前。
「北斗!!」
「―――っく!!」
「!?」
「―――っく!!」
「!?」
“吹き飛んだ”悪魔型の横を抜け、フェンスに駆け上がった北斗の手は確かに落ちる少女の腕を掴んでいた。
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