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キズナのキセキ

ACT1ー5「北斗七星」



 ホームに電車がゆっくりと滑り込んでくる。
 最寄りのT駅が始発の、折り返し電車である。
 平日の朝は、人であふれかえる時間帯だが、今朝は日曜日のためか、電車から降りる人も、これから乗り込む人影もそう多くはない。
 のんびりとした雰囲気がホームに漂っている。
 朝七時。
 冬の朝は空気がピンと張りつめていて、眠たい頭に心地よい。
 俺は昨晩のことを思い出しながら、開いた扉をくぐり、列車に乗り込む。

 長い一夜は、眠りに落ちたところで終わりではなかった。
 夜中に叫び声を聞いて、飛び起きた。
 ティアの叫び声に、深く眠っていても反応してしまうのは、我ながら過剰反応なのではないか、と思う。
 電気をつけて、ティアの様子を見ると、やはり泣いていた。
 ティアにはひどく辛い過去があり、ときどきそれを夢で見るという。
 今回もそれかと思っていたのだが、しかしティアは涙を拭うと、決然とした表情で言った。

「マスター、お話しなくてはならないことがあります」

 ティアの真剣な眼差しに、寝ぼけ眼の俺は気圧された。
 そして、彼女の話を聞くにつれ、眠気は飛んでいった。
 ネット上で、先代のミスティに会った、というのはかなり突飛な話だった。
 だが、ミスティのコアは先代のものを使っていると聞いた。戦闘データとプログラムも引き継いでいるという。
 だからこそ、今のミスティは、先代と同様に、ストラーフに近い戦闘スタイルなのだ。
 クレイドル上でティアとミスティのデータが混線し、そのネットワーク上で……つまり、俺のPCとクレイドルの間で、二人のAIが覚醒したのだとすれば。
 仮説に過ぎないが、あり得ない話ではないと思う。
 それに、他でもないティアがそう言うのだから、俺は信じるしかない。
 ティアがもたらしてくれた情報は、非常に重要なものだった。
 桐島あおい、マグダレーナ、狂乱の聖女、すべてを回避する戦闘スタイル、そして、マグダラ・システム……。
 断片的な情報に過ぎないが、ようやく具体的な手がかりが現れた。
 ティアの話が終わってもまだ日は昇っていなかった。
 そのまま眠る気にもなれず、それらの単語についてネットで調べてみた。
 結果は空振りだった。
 それらしき神姫の存在は匂うものの、はっきりとした情報となると皆無だった。
 裏バトルで活躍する神姫とはいえ、こうもネット上に情報がないものだろうか?
 ただ、マグダラ、聖女、といった単語は、聖書に関連するのではないかと考えられる。
 聖書、キリスト教、教会、信者、修道女……そういえば、シスターをモチーフにした神姫も発売されていたな。
 俺の貧困な想像力では、せいぜいその程度の連想が限界だった。
 まだ情報が足りない。
 どちらにしても、今朝一番に赴くところは、そうした調べものを依頼するのにうってつけだと思った。
 行き先はホビーショップ・エルゴである。



 ホビーショップ・エルゴは、個人経営の神姫専門ショップである。
 見た目は普通の、町のホビーショップ。店舗規模は秋葉原などの大型ホビー専門店や、各地の神姫センターとは比べるべくもない。
 だが、店内に一歩踏み込めば、神姫の魅力が凝縮された空間に圧倒され、そして夢中になることは間違いない。
 いや、大げさではなく。
 二階にある対戦フロアは連日賑わっている。
 名のある強者も多く集まり、毎日のように豪勢な草バトルが繰り広げられている。

 ホビーショップ・エルゴには、ティアとの一件以来、何度か足を運んでいた。
 頻繁に行くことができないことが本当に悔しくてならない。
 だから、近所のホビーショップでは事足りないときには、片道二時間近くかかっても、電車賃がかかっても、エルゴまで行くのだった。
 もちろん、今日の用件は、そんな自己満足の為ではない。
 エルゴの店長・日暮夏彦氏は、神姫の修理やカスタムの腕に定評のある人物だ。
 大破してしまったミスティであるが、主要部分が無事な今の状態であれば、なんとか修理してもらえると思う。
 また、彼は神姫専門の探偵業のようなことを副業にしているようだ。
 「正義の味方」などとうそぶいていたが、彼なりの照れ隠しなのだろう、と解釈している。
 ともかく、俺よりもはるかに広くて深い情報網を持っていることは間違いないから、『狂乱の聖女』について調査を依頼するつもりだった。



 朝九時ちょっと過ぎに店の前に到着した。
 いつみても、ごく普通のホビーショップの店構えだ。
 開店直後だというのに、店の前にはいくつも自転車が停まり、今もお客が扉の奥へと吸い込まれていく。
 俺はゆっくりと店内に入った。
 目当ての人物は、カウンターの中に立っていた。
 彼は、いらっしゃい、と言った後、俺に向かって相好を崩した。

「おお、遠野くんじゃないか」
「おはようございます、店長」
「こんなに朝早くから、どうしたんだい?」
「神姫の修理をお願いしようと思いまして」
「修理って……ティアちゃんに何かあったのか?」

 本気で心配そうな表情。
 神姫に対して親身になれる日暮店長を、俺は好ましく思っている。

「いえ、ティアは無事です。この神姫の修理をお願いしたいんです」

 俺はハンカチにくるんだ、その神姫を差し出した。
 かすかな既視感がある。以前もこれに似た状況があったからか。
 日暮店長は、俺に一度目配せすると、そっとハンカチを開いた。指先が慎重なのは、きっと彼も既視感を感じているからに違いない。

「っ……イーダ型か……これはひどいな……」

 さすがの店長も眉をしかめている。
 四肢がなく、包帯代わりのマスキングテープをぐるぐる巻きにされた神姫を見れば、誰だっていい気分はしないだろう。
 そして、俺はとっておきの一言を放つ。

「久住菜々子さんのミスティです」
「な……!?」

 その時の日暮店長の表情は見物だった。
 少ししかめていた顔が、一瞬で驚愕に変わっていた。
 おそらく、日暮店長はミスティの戦いぶりを知っているだろう。だからこそ、ここまで大破したミスティに驚くのだ。
 この人も、俺が知らない菜々子さんの過去を知っている。
 店長は真顔になり、ちょっと声を細めて、言った。

「……何があった?」
「……それを話すと長くなりますが」

 うーむ、店長はと考え込んでしまう。
 そして俺の方を上目遣いで見た。
 俺は店長の逃げを許さない気持ちで、じっと彼の顔を見つめる。
 すると、店長はがっくりと肩を落とした。

「しまったなぁ……今忙しいんだが」

 そう言いながら、もう一人の女性店員さんに店を任せる旨を伝えると、俺を手招きした。
 この女性の店員さんは神姫で、胸像の姿をしている。聞けば、店長がなぜかボディを与えないという、かわいそうな話だった。
 俺は日暮店長に続いて、店内の奥に入った。
 店奥にある事務スペースに入ったのは何ヶ月ぶりだろう。
 あのときも、ハンカチにくるまれた神姫のボディを挟んで、日暮店長と話し込んだものだ。
 日暮店長は、どっかりとPCの前のイスに座ると、小さなテーブルの前のパイプイスをすすめた。
 遠慮なく座る。

「で、俺に何をさせたいんだ?」

 単刀直入な問い。
 俺は店長を見据えつつ、口を開く。

「まずは、ミスティの修理を。できれば早急に」
「それはまあ、引き受けよう。重要パーツに問題がなければ、直るはずだ」
「そこはチェック済みです」
「……こっちも商売なんで、修理代がかかるが?」
「大丈夫、今回はスポンサーがいるので」

 店長は少し笑って頷いていた。

「それから、調べてもらいたいことがあります」
「調べもの?」
「はい」

 俺はバッグからメモ帳を取り出すと、いくつかの単語を書き込んでいく。
 桐島あおい、マグダレーナ、狂乱の聖女、マグダラ・システム……。
 日暮店長はこの単語の羅列に首を傾げる。

「これは?」
「菜々子さんと対戦し、ミスティを破った相手を示す言葉です。おそらくは、彼女が放浪し、戦い続ける理由です」
「ネットで調べたか?」
「調べました。ですが、芳しい成果はなかった。だから、ここに来たんです」

 日暮店長は、深いため息を一つつく。

「こういうのは依頼料がかかるんだが……」
「菜々子さんを助けてやってくれ、と言ったのはあなたのはずですが」

 彼は再び、がっくりと肩を落とす。
 どうやら覚えていたようだ。
 俺と店長は、以前、約束をした。
 いつか、菜々子さんが戦い続ける理由を知り、手助けをする、と。

「今がその時だと思います。彼女を助けるために、少し手伝ってくれてもいいと思うんですが」
「まいったなぁ……。今、ちょっと仕事が立て込んでてな」
「……探偵の、ですか?」
「うん、まあ……ちょっとやっかいな神姫が動き出していてね……ああ、君らには関係ないことだよ、うん」
「俺も店長に無理なお願いをしようってわけじゃありません。店長が調べられる範囲で、これらの言葉について調べてもらえれば」

 店長は、うーむ、と唸ったが、結局は首を縦に振ってくれた。

「それから……」
「おい!? まだあるのかよ!」
「ええ……まあこれは店長がご存じのことなので」
「……何だ?」
「店長が知る、以前の菜々子さんについて、教えてください」

 日暮氏は、ちょっと驚いたようだった。
 すると今度は腕を組み、なにやら少し考えている。
 やがて、俺の方に視線を向けた。

「話してもいいが……君は菜々子ちゃんがどうしてストラーフからイーダに神姫を変えたのか知っているかい?」
「……いいえ?」

 一体なんの話だろうか。
 店長は大きく一つ頷いた。

「そこらへんの事情は俺も知らないんだ。俺が菜々子ちゃんと初めて会ったときは、もうイーダ型のミスティちゃんを連れていたからな」
「それでは、桐島あおいを追いかけていることについても?」
「そう言う名前の神姫マスターを彼女が追っているらしい、ってことくらいかな。詳しくは知らないんだ。本当だぜ?」
「そこを疑ってはいませんが……」

 つまり、日暮店長は、菜々子さんと桐島あおいの決別や、ストラーフ型のミスティの敗北については知らないわけだ。
 その点を知ってからでないと、日暮店長から話を聞いても、わけが分からないかも知れない。

「それでは、菜々子さんが神姫を乗り換えたことについて知っている人物に心当たりは?」
「うーん……エルゴに菜々子ちゃんを連れて来た神姫マスターなら、知っているんじゃないかな」
「誰です?」
「花村耕太郎くん。『薔薇の刺』ローズマリーのマスターだよ」



 店の二階にある武装神姫コーナーは今日も賑わっていた。
 ここにも何度も足を運んだから、勝手は知っている。
 常連さんたちが溜まっているあたりに足を向けると、目当ての人物が俺に気付いて手を挙げてくれた。

「珍しいね、一人で『ポーラスター』に来るなんて」
「お久しぶりです、花村さん」

 花村耕太郎はふくよかな顔に、人の良さそうな笑顔を浮かべている。
 彼とは顔見知りだ。
 ティアの新型レッグパーツの習熟の時に、菜々子さんから紹介された。
 花村さんは、ゲームセンター『ポーラスター』の常連さんの中でも古参の神姫マスターで、『七星』の一人だ。
 『七星』とは、『ポーラスター』に通う神姫マスターの実力上位七人に与えられる、名誉称号のようなものである。
 彼らは上級者として『ポーラスター』に集う神姫マスターたちを引っ張っていく存在だ。
 ただ、『七星』は名誉称号に過ぎないから、何らかの権限があるわけでもないし、定員も七人と決まっているわけではない。
 現在、『七星』は五人。
 菜々子さんも『七星』に入るよう声をかけられているが、辞退していると聞いている。

 花村さんの名前が出たので、エルゴからの帰り道、『ポーラスター』に寄ることにした。
 確かに、ポーラスターの長老、などと呼ばれる花村さんなら、過去の菜々子さんや桐島あおいのことをよく知っているだろう。
 彼は毎日のように『ポーラスター』に顔を出しているので、おそらく会えると思っていたが、予想通り会うことができた。

「今日は、エトランゼと一緒じゃないのかい?」
「……ええ。今日は訳あって、別行動です」

 もちろん、菜々子さんはとても外出できる状態ではないわけだが、嘘は言っていない。
 花村さんは人の良さそうな笑みを崩さない。

「へえ。それじゃ、今日はどうしたの?」
「花村さんに話があってきました」
「俺に?」
「はい」

 俺は神妙に頷くと、直球勝負で切り出した。

「久住菜々子さんと桐島あおい。二人の過去について教えてください」

 俺がそう言った瞬間、あたりの空気が劇的に変化した。
 ゲームセンター内の独特の喧噪は背後に聞こえているのに、俺の周りだけ音声が沈殿してしまったかのようだ。
 その場にいた常連さんたちは、誰もが息を飲み、その後困惑したような、後ろめたいような表情で沈黙している。
 花村さんも、どこか懐かしむような、悲しいような、困惑しているような複雑な顔をしていた。
 そして、深いため息を一つつくと、

「遠野くん、ちょっと来てくれ」

 そう言って、俺をゲーセン内にある自販機のコーナーへと誘った。
 ジュースの自販機で適当な飲み物を二つ買う。
 一方を俺に渡し、花村さんはプルタブを開けた。
 都合良く、そのコーナーには俺と花村さんの二人だけだった。
 ゲーセンの喧噪は時に、会話をする者にとっての仕切板にもなる。
 花村さんは手にした炭酸飲料を一口飲むと、また一つため息をついて、言った。

「……君がいつか、その話にたどり着くかも知れない、とは思っていたよ」
「え?」
「『エトランゼ』……久住ちゃんは、随分君に気を許していたみたいだったからね……」

 花村さんは正面を見つめ、微笑していた。
 遠い目で見る視線の先は、過去を見ているのだろうか。
 そして、その微笑みは、苦笑……いや、自嘲のようにも見える。

「懐かしいね、マリー」
「ええ……ルミナスにミスティ……神姫たちも」

 花村さんの胸ポケットから応える者がいた。
 金髪の神姫。朱とピンクにリペイントされたジルダリア型は、花村さんの神姫・ローズマリーである。
 ローズマリーは、花村さんが所有するただ一人の神姫だ。
 彼女もまた、ここ『ポーラスター』では最古参なので、事情には詳しいはずだ。

「教えてもらえますか、久住さんと桐島あおいのことを」
「……二人に何かあったのかい?」
「直接見たわけではないですが……二人は対決したようです。そして、久住さんが負けた」

 そう言うと、花村さんは今まで見たこともないような、痛ましい顔を見せた。

「……そうか……結局、俺たちも、彼女に何もしてやれないままだったんだな……」
「……?」
「遠野くん……久住ちゃんを助けてあげられるとしたら……その可能性があるのは、もう君しかいないのかも知れない」
「それは……」
「……いや……君に責任を押しつけるとか、そういうのではないんだ。
 ただ、君には知っておいてもらいたいし、知る権利がある。
 『エトランゼ』に近しい神姫マスターとして……俺たちの仲間として」

 随分大仰な物言いだな、と思ったが、こちらを向いた花村さんの目は真剣だった。

「では、話してください、二人のことを」

 花村さんは俺の言葉に頷いた。

「今からもう三年近く前の話か……。
 桐島ちゃん……桐島あおいという神姫マスターは、『七星』の一人だった。
 久住ちゃんは桐島ちゃんの背中を追いかけて、ひたすら腕を磨いてた。
 やがて、彼女は腕を上げ、『アイスドール』という二つ名で呼ばれるようになったんだ……」



 某日、某所。

「……もはや猶予はない」
「でも、わたしたちだけでは手が足りないわ」
「だが、どうする。協力者なぞ望むべくもない」
「……一人心当たりがあるわ」
「……あの娘か?」
「そうよ」
「わからぬ。なぜあんな取るに足らぬ娘に執着する?」
「わたしにとっては……特別なのよ」
「……まあいい。おぬしがいいというならば、反対する理由もない」
「それはよかった」
「引き込む算段はあるのだろうな?」
「それはもちろん。……あなたにも少し手伝ってもらわなくてはならないけど」
「……仕方があるまい。『あの方』がもうすぐいらっしゃるのだ。そのためならば、骨も折ろう」
「それじゃあ、まずは……」
「……」

 二人の声は、闇の中に霞んで消える。










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