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 正面扉を塞ぐ中央のアルアクラン。
 そこに正面から突撃してゆくストレリチア。
 ただし、携えるのは何時ものランスではなくアイゼン。
『……』
 無言で振るわれるアルアクランのシザーアームを潜り抜け(アイゼンのつま先が地面を引っ掻いてガリガリ言ってるが無視)、その速度のままストレリチアは前方へアイゼンを投げ飛ばす。
「……みぎやー」
 普段どおりの無表情のまま、一応礼儀としてか(?)悲鳴らしき声を上げるストラーフ。
 まぁ、その声も平坦なので全然恐がっているように見えないが、アイゼンの深層は既に祐一にも完全には理解できないほどにカオスだ。
(案外本気で恐がってたりして……)
 そんな事を考える間に正面の扉へ辿り着くアイゼン。
 程なく祐一も辿り着き、二人でその奥へ。
 振り返ったのは一瞬だけで、京子と視線を交わらせ、即、背を向けて走り出した。
「……ふん、コレで一応目標達成だな」
 無事、アイゼンをフブキの元に送り込めた。
 後はこちらが全滅してもアイゼンがフブキを倒せば勝ちだ。
「……もっとも」
 負けるつもりはこれっぽっちも無いのだが……。



鋼の心 ~Eisen Herz~


第34話:Shuffle!




「……さてと、三人とも。準備は良いか?」
 尋ねる京子に頷く後姿で答える三人。
 カトレア、アルストロメリア、そしてストレリチア。
 それぞれ一機ずつアルアクランを正面に据えつつも隣の敵と神姫を意識においている。
 姉妹ゆえのコンビネーション。……と言いたい所だが、実の所彼女達に乱戦の経験はさほど無い。
 京子の下でオリジナルナンバーを狩って居た頃は基本的に1対複数だったし、それ以外でも奇襲が基本だ。
 敵味方が複数入り乱れる本格的な乱戦は、誰にも経験が無い。
 ましてやアルアクランの武装はどれも極めて高威力。カトレア以外の二人は直撃を貰えばほぼ一撃で戦闘不能だろう。
 そして、カトレアも複数機に囲まれれば確実に勝てるとは言い難い。
 ならば。
(……一対一を3つ同時に行うしかあるまい)
 一番心配なのは粒子砲の流れ弾だが、逆に言えばそれだけ気をつければ良い。
 そして、それは京子の役目だ。
「……では行くぞ!!」
 その言葉と同時に。
 敵味方6機が同時に動く。

 このメンバーならば、最初に動くのはアルストロメリア以外に有り得ない。
 静止状態から即座にトップスピードに乗れるという特性は、他の神姫が一歩踏み出したときには、既に接敵して攻撃を開始しているほど。
 当然。アルアクランのAI如きが反応できるスピードではない。
「死ネ」
 簡潔に意思を口にし、それを実行に移すアルストロメリア。
 直上から2丁のアルヴォを乱射、マズルフラッシュがその名に相応しく金色の花びらのように咲き乱れる。
 インレンジに踏み込まれた、と理解したのだろう。
 ようやくアルアクランのシザーが振り上げられるが、その動きは彼女にとっては非常に緩慢だ。
「……フン」
 難なく身を引き、更に射撃。
 ガトリングガンの弾幕すら縫える機動性と動体視力を持つアルスだ。
 一対一ならば、鈍重なアルアクランを相手に負けは無い。
 しかし。
「……チッ。徹甲弾でカスリ傷カヨ……。イイ装甲材使ッテヤガル」
 勝てるとは限らないのが現状だった。

 軽量化の結果、武装を極端に制限されるアルストロメリアにとって、勝負は常に『敵と』ではなく『自らの残弾と』だ。
 2丁のアルヴォに予備のマガジン6つ。
 これがアルストロメリアの限界火力で、それで対処できない物量、或いは防御力を持つ敵には、彼女は決して決定打足り得ない。
 故に、残りの姉妹は何れも一撃必殺の高威力武器を持つことでバランスを取っていたのだが、今回に限ればそれをあてにしたくは無い。
 出撃前にマスターである京子から貰った指示は、『倒さなくても良いから時間を稼げ』と『ダメージを受けるな』の二つ。
 京子の意図は判る。
 被弾さえしなければ、補給だけで十全の戦力を回復できるのがアルストロメリアであるし。
 なにより、フブキの速度に確実に抗し得るのもアルストロメリアだからだ。
 故に、それは理にかなった指示ではあるし、アルストロメリアにとっては造作も無い事だ。
 だが。
(ソレッテ、残リノ二人ノ負担ガ増エルッテ事ダヨナ……)
 彼女が姉妹の間で自らに課した役割は補助。
 決定打を持たない彼女は、それを自らの存在意義として姉妹の間の位置付けを取っていた。
 故に。
 その自分(補助役)が、姉妹に面倒をかけるのは我慢できない。
(ますたーモ安心シ切ッテ、コッチニハ注意ヲ払ッテ無イヨナ? ……ナラ、少シ無茶出来ルナ?)
 時間を稼げ、被弾するな。
 その指示は了解だ。
 だが。
(倒シチャだめ。トハ言ワレテ無イモンナ……)
 彼女は方針を決め、敵に向かって肉薄しに行った。


 四姉妹の一番下、ブーゲンビリアは屋内戦が苦手だ。
 否、超長距離以外の全てのレンジが苦手距離なのだ。
 故に今回は一階でお留守番。
 だが、一つ上の三女、ストレリチアも近距離戦は得意でない。
 武器はランス(騎兵槍)で、一見接近戦に長ける様に見えるが、その実、彼女の攻撃手段は突撃のみだ。
 要するに、助走(飛行しているが)の為の“距離”を必要とする。
 その距離が稼げない場合、彼女の攻撃は不発に終わる。
 そもそも。
 ストレリチアの攻撃は事後の隙を無視した全力吶喊だ。
 生じる隙は、そこに反撃できる神姫が居なければ何の問題も無い。
 彼女の突進を受けて戦闘不能にならない神姫など居ないし、万一避けられた場合でも彼女の速度ならば即座に危険領域を離脱できる。
 紙一重で避せるようなチャチな攻撃ではない。
 突撃により生じる余波すら軽量神姫には脅威だ。
 それを避けるためにも、全力で避わすしかないのだが、その場合、反撃準備を終える頃にはストレリチアは遥か彼方だ。
 故に、長距離からの突進を行う限り、ストレリチアが被弾するポイントは一つしかない。
 だが、充分な距離がとれない場合、彼女の攻撃は敵を倒しきれず、容易に反撃の機会を生んでしまう。
 そして、彼女にはそれに耐えられる耐久力は無い。
 良くも悪くも“突進”に全てを掛けた神姫なのだ。

 しかし、平時ならば問題は無い。
 彼女の役割は、アルストロメリアやカトレアが牽制している敵へのトドメだけだ。
 先に述べた彼女が被弾する唯一の危険性。即ち、突進中の迎撃も気にしなくて良い。
 だが、今は違う。
 姉妹の援護は受けられず、広間とは言え室内では十分な距離を取るのも容易ではない。
 突進は直線移動で、途中での回避などは出来ない。
 そして、突進の為に距離を離せば、こちらを狙って粒子砲が来る。
「う~、ストレス溜まるです。めんどいです。実は避けるの、得意じゃないです」
 それでも持ち前の機動性は充分に高く、予測射撃の甘いAIに過ぎないアルアクランの粒子砲は掠りもしない。
 だが、一撃当たればTHEEND、という状況は身体よりも精神に負担をかける。

 さて。
 ここで彼女がとり得る選択肢は実は三つある。

 一つはこのまま時間を稼ぎ、他の姉妹が相対する敵を倒し、彼女の援護に回るのを待つことだ。
 彼女の能力ならば回避に専念する限り被弾は無いし、援護が得られればアルアクランなどただのデカイ的だ。
 突進一発、5秒で終わる。
 しかし。
「……姉さま方の手を煩わせるのも無為なのです、他の選択肢が有るなら蹴るべき案なのです、却下なのです」
 現状、一番連携を必要とするのがアルストロメリアである事をストレリチアも理解していた。
 故に、この案は却下される。

 二つ目は目の前の敵を無視して、他の姉妹と戦っている敵への突進を行う事。
 コレならば援護を得られているのと同義だし、距離を取るのも楽で迎撃もまず無い。
 先も述べたとおり、彼女の突進の威力は問答無用だ。
 これも決断から5秒あれば一丁あがり。
 数が一つ減れば後は駆逐戦だ。
 彼女たちにかかれば30秒もいらない。
 が。
「問題は、目の前のコイツが一瞬とは言えフリーになる事なのです。それはマズイのです」
 ストレリチアの突進後の硬直を狙われるのはアウト。
 粒子砲の直撃は、ストレリチアを容易に戦闘不能に追い込む。
 しかし。
「それ以上に、姉さま方が狙われる危険があるのです、ギャンブル過ぎるのです」
 カトレアならば問題は無い。
 彼女のバリアは粒子砲の集中照射すら弾く。
 しかし。
 万が一でもアルストロメリアに向かえば……。
「却下なのです、不採用なのです。アルス姉さま意外にドジっ子なので、ここぞとばかりに避わし損ねてアフロになるのです」
 第二案も却下。

 ならば三つ目。
 もとから設計にある機能だが、一度しか実戦で使った事の無い能力の行使だ。
 コレならば、彼女単体でもアルアクランを突破できる可能性がある。
 問題は、実働数回分のデータしか無い機能を上手く活用できるかどうか、だ。
「……失敗したら大惨事になりかねないのですが……」
 果たして、ソレ、を仮定する意味があるのだろうか?
「……マスターの作るものは、とにかく最高の性能なのです。……後は使う側の技量の問題……」
 そして、その仮定すら無意味。
「……そして、私自身も、他ならぬマスターの“作品”なのです!! 傑作を自負するのです!!」
 ならば、問題など在るはずも無い!!
 ストレリチアにその能力があるということは。
 取りも直さず、それをストレリチアが使えるということに他ならない!!
「決定です、決まりです、さっさと倒して姉さま方の援護にむかうですよ!!」
 こうして、彼女は戦場で二度目のタイフーンモードを行使した。


 カトレアの最大の武器は、バリアだ。
 射撃武器を完全に無効化するこのバリアの所為で、どんな敵でも彼女の間合いであるインレンジで戦わざるを得ない。
 だが、逆に言えば。
 インレンジではカトレアはただの神姫だ。
 超高威力の光線剣を持ち、その剣技は神姫としては達人の域だ。
 他に訓練の手間を割く必要が無く、CSCもそれに特化した成長を行った結果である。
 だがしかし。
 そこには何の絶対性も無い。
 バリアは近接攻撃を無効化できない以上、斬られれば普通にダメージを受ける。
 耐久力には然程の長所を持たないカトレアは、負けるとしたら自らの得意距離である接近戦で、なのだ。
 事実として、後日に数名の神姫を相手にその距離で敗北を喫している事もその証明だ。
 そういう視点で見れば、現状は確実に窮地だと言えた。
「……インレンジに留まり続けるのは中々厳しいものがありますね……」
 本来なら、カトレアは距離を取る事でいくらでも仕切り直しが出来る。
 近距離以外ならば無敵なので、一旦距離を取って気を抜くことが出来る。
「今まで何の気無しにやっていましたが、仕切り直しがこれほど重要だとは……」
 近距離でのカトレアは言うなれば全力疾走だ。
 100メートルを100回走るのと、10キロを1回走るのでは“走っている時間”だけを見れば明らかに前者が速い。
 だが、今のカトレアには距離を取る余裕は無い。
 遠距離に逃げれば、学習能力の低い敵は嬉々として粒子砲を撃ってくるだろう。
 もちろん、カトレアのバリアは平然とソレを弾く。
 そう。
 弾く。のだ。
 流れ弾が何処に向かうのか、など保証は無い。
 相対位置に気をつけている為、マスターである京子に向かう可能性はほぼ無いが、同じ戦場で乱戦状態にある二人の妹は別だ。
 流石にアルアクランの粒子砲とは言え、バリアで弾かれ拡散した状態では、妹達を一撃で破壊する事は無いだろう。
 が。
 アルストロメリアもストレリチアも、どちらも軽量回避型の神姫だ。
 軽いとは言え、一撃受けてバランスを崩せば、それぞれの敵からの追撃が入る可能性が高い。
「それは避けたいですね……」
 故に、距離は取れない。
 取りたくても取れない。
 普段なら通信機で互いの状況は把握できる為、他の姉妹に注意を促せるが、今、自分たちはその通信機を取り外している。
 別働隊として動くサブシャフトの神姫たちに、連絡用として渡してしまったのだ。
 その判断は正しいが、結果としてカトレアはアルアクランのシザーアームの間合いに留まり続ける危険を冒さねばならない。
「……息をつく暇もないですね、これは少々厄介です……」
 姉妹の中で唯一、自分だけが敵に対して優位を持っている。
 その認識が妹達にある以上、ここで時間を掛ける訳には行かない。
 一秒でも早く目の前の敵を倒し、妹達を援護せねばならないのだが……。
 それが意外に難しい。
 敵の武器である電熱式のシザーアームはもちろん、装甲表面も非常に高度な対レーザー処理が施されているらしく、レイブレードが思ったほどには通じない。
 普通の神姫ならば、一度きりの消耗品であるコーティングに2万も3万もかける事は出来ないからだ。
 故に、カトレアのレイブレードに抗する事もできない。
 だが、試作品の流用と言うアルアクランの特性は、ここに来てカトレアを苦しめる。
「コーティングを考慮すれば四肢から切り崩すのは時間がかかりすぎです。……神姫で無いとは言え、中枢ユニットの位置は同じ筈。……ピンポイントでそこを狙うしかないですね……」
 確証がないのは不安だが、この際贅沢は言っていられない。
「……やれやれ、ほんの数日前まで弱点なんか無いと思っていた筈なのに……、今日だけで2つ目の改善点ですか……」
 ふぅ、と溜息を吐き、カトレアは表情を切り替える。
「……これは、今夜から早速、特訓のやり直しですね……」
 決めたのならば、もう。
 実行に移すだけだ。


「…………」
 距離を取って三人の戦闘を見守る京子は、一つの疑問に行き当たっていた。
「……確かにアルアクランは強い。廃棄された試作機をベースにある種の完成を見ている」
 その戦闘力は高い。
「……並みの神姫ならば複数で取り囲んでも歯が立たないだろう」
 だが、逆説的には。
「……しかし、なぜだ? これは、決して突破できない相手ではない」
 使われているのは真紀の技術だ。
 だが、京子は知っている。
 真紀が設計したものが、この程度ではない事を。
「……だが、この敵はここまでの敵だ。……裏が無い」
 つまり、真紀はこれを以ってアルアクランを完成とした。

 アルアクランは、これで十全。
 と言う事は。
「……これを、真紀が望んでいた?」
 技術者としての勘だ。
「……」
 京子にはまるで、アルアクランは力押しでは勝てないと言う『良い練習相手』の理想に見えた。 


 アルストロメリアが跳ぶ。
 手には唯一の武器である2丁のアルヴォSMG。
 神姫相手には充分でも、この敵にはこれでは火力不足だ。
 だが、その先端にはマガジン2つの代わりに装備したバヨネット。
 銃が効かないのなら、それ以上の威力をぶつければ良い。
 簡単な理屈で、バヨネットならばソレが可能だ。
 アルストロメリアの速度ですれ違いざまに切り付けられればアルアクランの装甲でも無事では居られまい。
 だが、欠点もある。
 平素から彼女がバヨネットを使用しない理由。
 それは。
「運動えねるぎーヲだめーじニスル以上、攻撃後ニ速度ヲ奪ワレル」
 速度を叩きつけるのだ。
 当然叩きつけた側のアルストロメリアは速度を失う。
「反撃ガ怖イガ、大丈夫。……一撃デけりヲ付ケル!!」
 ならば、狙うは唯一つ。
 敵のコア、AIボックスのある神姫部分の頭だ。
 そして、一撃でケリを付けると決めたのならば、次を考える必要も、反撃を恐れる必要も無い。
「すとれりちあ。……御株ヲ奪ウゼ!!」
 妹の得意技。
 バヨネットを突き立てた吶喊!!
 アルストロメリアはそれを放った。


 先の屋外での空戦に初めて使用したタイフーンモード。
 双頭の怪鳥(プレステイル)はその名をテュポーン。
 そのまま、タイフーンの語源となったギリシャの怪物である。
 そしてソレは台風とも語源を同じくすると言われている。
 故に。
 今やストレリチアは文字通りの颱風となった。

 タイフーンモード。
 要はアーマーをプレステイルに変形させるだけだ。
 最大推力も自重も変わらない。
 むしろ投影面積の変化から速度は僅かに低下する。
 だがしかし、それは双頭の異形という特性の前には何の意味も持たない。
 そう。
 双頭である。
 それは、先端が二つあると言う事。
 進むべき先を二つ持つということ。
 そして、その二つを自由に切り替えられる、という事だ。

 今までの直線的な機動とは明らかに違う変則機動を描くストレリチア。
 時に90°近く推力を偏向させ、アルアクランを中心に旋回。
 もちろん方向転換の度に速度は多少なりとも落ちる。
 しかし、ソレを補って尚余りある加速距離。
 鋭角な旋回を続けながらも徐々に速度と高度を上げてゆくストレリチア。
 そして、その速度に到達した。
「……来ましたです、この速度。ここからの突進なら、如何にアルアクランでも一撃です!! 必殺です!!」
 そして、真上から下に急旋回。
 圧倒的なGに耐える間も無く突撃は成立した。 
 自らのアフターバーナーの残滓を突き破り、火の鳥と化したストレリチアの一撃。
「トドメなのです!! フレイムバード!!!!」


 カトレアの防御力は高い。
 何もそれは、バリアに限った話ではない。
 ジュビジーのキュベレーアフェクションをベースにしたイージスシステムは、装甲だけでも神姫の最上クラスだ。
 だが、バリアに全幅の信頼を置いていたカトレアには、その感覚が無い。
 理論値で行けると分っていても、装甲で敵の攻撃を防ごうと言う思考は生まれにくい。
 だが、今はそれを信じるしかない。
 決着を急ぐカトレアは、真正面からアルアクランに飛び込んでゆく。
 当然、アルアクラン側も両のシザーアームで挟み込むような双撃。
「……甲殻閉鎖!!」
 シェルが閉じ、正に鉄壁の防壁として飛び込んだカトレアを守る。
 そこに左右から襲い来る剛刃。
 刃に挟まれ、悲鳴のような擦過音が響くがバーニアで進むカトレアは止まらない。
 シーザーアームの有効圏を強引に突破!!
 そして。
「甲殻解放!! メドウサー!!」
 バリアを転じて拘束用の電磁檻を形成、アルアクランの本体を捕縛。
 そして、そのまま0距離まで肉薄。
「……断罪のゴルゴーン」
 ぞむ。という異音。
 そして。
 その音を境に、アルアクランはその機能を停止した。


 奇しくも三人の決着はほぼ同時。
 そして、彼女たちが先に進む頃には。

 先行したアイゼンとフブキの決着が付いていた時間でもある。













次回はいよいよフブキVSアイゼン。
恐らく本編最後の戦いです。









































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