そのはち「そうだ、有名ショップに行こう♪」
式部とバトルしたおかげで、僕はなし崩し的にサードリーグに参加する事になった。
……式部がポイントにこだわったせいだ。
大体ノービス相手にポイントたかるなよ、とも思ったが、どうせ後々リーグ戦に参加するつもりだったし、良しとしよう。
式部には秘密だが。
そんな事もあり僕とティキは、式部、きらり達と日々切磋琢磨する日々が続くようになる。
おかげでご近所では(地元と言うにはおこがましいほど限定的に)、チョットは名前が知られるようになってきた。
……それの弊害はもちろん有るのだけれども。
具体的には僕と式部が神姫のオーナーだと言う事がバレそうになるとか。いや、結果的にはまだバレて無いんだけど。
そんな日々を過ごしていたある日の事、僕らはセンター内のフードコートで読んでいた雑誌の、とある記事に釘付けになった。
……式部がポイントにこだわったせいだ。
大体ノービス相手にポイントたかるなよ、とも思ったが、どうせ後々リーグ戦に参加するつもりだったし、良しとしよう。
式部には秘密だが。
そんな事もあり僕とティキは、式部、きらり達と日々切磋琢磨する日々が続くようになる。
おかげでご近所では(地元と言うにはおこがましいほど限定的に)、チョットは名前が知られるようになってきた。
……それの弊害はもちろん有るのだけれども。
具体的には僕と式部が神姫のオーナーだと言う事がバレそうになるとか。いや、結果的にはまだバレて無いんだけど。
そんな日々を過ごしていたある日の事、僕らはセンター内のフードコートで読んでいた雑誌の、とある記事に釘付けになった。
『有名ランカーの通う店百選』
僕らみたいな地方ランカーにとって、その文字はとても輝いて見えた。
次の日曜日。
僕らはとある玩具店の前に居た。
店の規模に対して大きめな印象のその看板には、「ホビーショップエルゴ」と書かれてる。
ごく普通の商店街に、まぎれるように存在するその店は、一見さんに発見するのは困難だ。いや、もっとはっきりここで断言しよう。
僕らはとある玩具店の前に居た。
店の規模に対して大きめな印象のその看板には、「ホビーショップエルゴ」と書かれてる。
ごく普通の商店街に、まぎれるように存在するその店は、一見さんに発見するのは困難だ。いや、もっとはっきりここで断言しよう。
大 変 だ っ た 。
地元から電車で約1時間20分。その後、本来なら徒歩で数分歩けばたどり着くハズの道のりを、迷いに迷って2時間超! わざわざお洒落しているティキ――今日は白いシャツにチェックのスカート。それに緑のコートを重ねている。僕に合わせたのか伊達眼鏡をつけてて、足元は茶のブーツという装い――にサブユニット付けて広域検索してくれとも言えず、なのに携帯電話のナビゲーションの存在を二人して失念して、それを思い出しいざ検索したら現在地の別方向で、一番初めに彷徨っていた時が一番ニアミス。
……有名店だからってそれらしい佇まいを想像してた僕らってバカですか?
一見すると本当にただ何処の町にもあるありふれた玩具店の様な店構え。もっとこう、なんていうか正義の見方の基地みたいなのを想像していた。
それでも僕たちは感動していた。
あのエルゴにやって来たんだぁ……
「な……なぁ、入る前に、何か飲もうぜ?」
僕と一緒にエルゴに見入っていた式部が固い口調で言う。僕と一緒で緊張してるんだな。
「ティキにはマスタの少し下さいですよぉ♪」
ジャケットの胸ポケットからティキが顔を出す。
ティキさんも喉が渇きましたか…… 愛飲している某“山のしずく(英訳希望)”は炭酸飲料なので断念せねば。僕は神姫に炭酸飲料を飲ませたくない派なのだ。だって、炭酸て酸性なんだよ? 解けちゃうんだよ?
僕と式部の二人、そしてティキときらりの二体は、エルゴよりチョット離れたところにある自販機で一息入れる。
そして僕と式部は気合を入れなおした。僕らに緊張は二体の神姫にも確実に伝わっている様で、彼女達も押し黙る。
無用な緊張だってわかってるけど、初めてで、しかも有名な小売店に入るのって、それでも緊張するモンだよね?
緊張と期待でイッパイイッパイになりながら、おずおずと店の扉を開ける。
「いらっしゃいませ。……初めての方ですね?」
「うわあ!」
思いもよらない方向――無人のレジ脇――から声をかけられ、僕は動揺して奇声を上げた。
「――!?」
明らかに不機嫌そうな表情になったソレは――ソレって言い方も失礼だ――ヴァッフェバニーのコアが据付けられた胸像で……すいません、素直に驚きました。
僕がその胸像(?)に対して非礼を詫びてると後ろから式部が、これがあの有名なウサ大明神様かぁ、と感嘆の言葉を洩らす。
ああ! これが!! 式部の言葉に僕も思い出す。そういえばここは『神姫の学校』としても有名なんだ。
僕らは地方から都会に出てきた旅行者の様に――実際間違って無いが――店内を見回す。
そんな僕らを見てウサ大明神様はクスリと笑った。
……有名店だからってそれらしい佇まいを想像してた僕らってバカですか?
一見すると本当にただ何処の町にもあるありふれた玩具店の様な店構え。もっとこう、なんていうか正義の見方の基地みたいなのを想像していた。
それでも僕たちは感動していた。
あのエルゴにやって来たんだぁ……
「な……なぁ、入る前に、何か飲もうぜ?」
僕と一緒にエルゴに見入っていた式部が固い口調で言う。僕と一緒で緊張してるんだな。
「ティキにはマスタの少し下さいですよぉ♪」
ジャケットの胸ポケットからティキが顔を出す。
ティキさんも喉が渇きましたか…… 愛飲している某“山のしずく(英訳希望)”は炭酸飲料なので断念せねば。僕は神姫に炭酸飲料を飲ませたくない派なのだ。だって、炭酸て酸性なんだよ? 解けちゃうんだよ?
僕と式部の二人、そしてティキときらりの二体は、エルゴよりチョット離れたところにある自販機で一息入れる。
そして僕と式部は気合を入れなおした。僕らに緊張は二体の神姫にも確実に伝わっている様で、彼女達も押し黙る。
無用な緊張だってわかってるけど、初めてで、しかも有名な小売店に入るのって、それでも緊張するモンだよね?
緊張と期待でイッパイイッパイになりながら、おずおずと店の扉を開ける。
「いらっしゃいませ。……初めての方ですね?」
「うわあ!」
思いもよらない方向――無人のレジ脇――から声をかけられ、僕は動揺して奇声を上げた。
「――!?」
明らかに不機嫌そうな表情になったソレは――ソレって言い方も失礼だ――ヴァッフェバニーのコアが据付けられた胸像で……すいません、素直に驚きました。
僕がその胸像(?)に対して非礼を詫びてると後ろから式部が、これがあの有名なウサ大明神様かぁ、と感嘆の言葉を洩らす。
ああ! これが!! 式部の言葉に僕も思い出す。そういえばここは『神姫の学校』としても有名なんだ。
僕らは地方から都会に出てきた旅行者の様に――実際間違って無いが――店内を見回す。
そんな僕らを見てウサ大明神様はクスリと笑った。
僕は店内に所狭しと並べてあるエルゴのオリジナル製品に夢中になった。
一方式部は雑誌等でも紹介される事のあるランカー達のバトルに釘付けになった。
僕達二人の差なんて、つまりはそういう所。どちらが健全でどちらが歪んでるとか、そんな問題なんかじゃなく。もちろん、ただ単に僕は人と交わるのが苦手だという問題提起的な話というわけでもない。
金が無いのに見物だけしに来たコイツの根性が立派だという話だ。
探し物をしている僕の頭の上で、ティキが時折チラチラとバトルスペースに目を向けている。
「ティキもどうせならきらりと一緒にバトル見てきて良いよ。あっちには式部も居るし」
「ティキはどっちでもいいのですよぉ☆ だけどティキはマスタと一緒にいたいですぅ♪」
うーん、気を使ったつもりが使わせちゃったかな? でもどうしても欲しいアイテムがあるから、もうチョットだけティキには我慢してもらおう。
正直に言ってしまえば僕だってバトルが見たくないわけじゃない。てらわずに言ってしまうなら、すっげー見たい!
そわそわしながらアイテムを物色していると、とんでもないものを発見する。
ゾウリンゲン産の神姫用クレイモアってなんですか?
「色々出鱈目過ぎだよ……」
「そりゃそうだ。出鱈目だからね」
「そうだよねぇ? だってクレイモアはハイランダーの武器で、ハイランダーはスコットランドの高地民族の事で。なのにドイツのゾウリンゲン産て変だろ? そもそもこれ、クレイモアじゃない……って???」
そこで僕はようやく自分か会話しているのかティキじゃない第三者な事に気付く。
振り向くとそこには温和そうな表情の男の人が、ニカッと笑って立っていた。
「えと……あの……どちら様で??」
豪快な独り言(?)を聞かれ、頭が真っ白になる僕。なぜか一緒になってはわはわしてるティキ。
「ふふふっ、オレはこの店の店長さ! 少年、今日が初めての来店だね?」
「ハ、ハイ!」
僕はこの店の店長相手に店の品に難癖付けていたのか~!
穴があったら入りたいってのは、きっと今みたいな心境をさすんだと実感。
ところが当の店長はニヤニヤして、
「ところで君は、これがクレイモアじゃないってわかったんだ?」
と僕に聞いてくる。
「へ? え……えっと、クレイモアって、決まりごとって言うか、共通した特徴があって、キヨン……えと、鍔が刃先に向かってなだらかに傾斜してるんです。更にそのキ……鍔の先端には複数の輪で構成された飾りがあるものなんです」
「お見事! 大正解だ」
「すごいです! 正解なのですよぉ♪」
目の前と頭の上からほぼ同時に褒め言葉をいただく。
「第一関門は突破、ってトコロかな?」
「はい?」
僕は店長のその言葉に改めて疑問符を浮かべる。
「マオチャオのお嬢ちゃん、名前は?」
「ティキって言うのですよぉ♪」
「そうか。それじゃティキ、ティキは西洋剣が好きか?」
僕の疑問に答えが与えられる事はなく、今度はティキと問答を始める。
僕の頭の上には更に疑問符が浮いた事だろう。
「ハイですぅ☆」
頭の上で元気良く答えるティキ。
そう、ティキは刀に人気が集中しているこのご時勢では珍しく、西洋剣がとにかく好きで、今の標準装備もティキの要望で無理やり剣を持たせたくらいなんだ。おかげでオーソドックスなマオチャオっぽくないんだけど、それは僕の趣味も要因だから仕方ない。
「よしよし。で、ここで更に問題」
そういって店長は剣を鞘から抜く。そしてその剣身を僕らに見せた。
「これ、なーんだ?」
そう言われて、僕は店長の顔を見る。そこには悪戯を仕掛ける前の少年のような表情が浮かんでいた。僕はその顔に怪訝なものを感じつつ、改めてその剣を見た。
神姫のサイズより大きめに作ってあるのか、ロングソードと呼ぶには長い直刀 。細身だが、突く事だけではなく斬る事にも留意されている拵え。本当の、二重の意味でのバスタードソード。
だが注目すべきはその表面に浮かび上がる、まるで水面のような刃紋!!
「まさか!?」
ありえない。
今から30年くらい前、極めて高いレベルでこの鋼は再現された。しかし、本来錆びるハズが無いと言われていたオリジナルに対し、再現されたそれは錆びる事が後に判明する。
その時点で再現されたそれはオリジナルが掲げた名を冠する事が出来なくなり、別な名で呼ばれることとなる。
そして店長の持つそれは、オリジナルとレプリカが同じように持つ一つの特徴が備わっていた。
でも、もう一回言う。
ありえない。
だけど店長はニヤリとして、
「正解」
と言ってその刀身をクニャリと曲げた。
「!!」
伝承にあるその鋼は、簡単に曲がり、手を離すと元に戻る。そして、決して折れる事が無い。
「つい最近、製造方法が再現されたんだよ。つまり、この時点では何処にも出回る事の無い、特注品さ。さすがに本来の生産地、シリア製では無いが、それでも実力ある刃物鍛冶の手によるものだ。で、どうする?」
決まってる。もちろん欲しい! だけど……
僕の気持ちを読み取ったように店長はおどけたように言う。
「価格は、こうなってんだなぁ」
店長が表示したその剣の価格は……
一方式部は雑誌等でも紹介される事のあるランカー達のバトルに釘付けになった。
僕達二人の差なんて、つまりはそういう所。どちらが健全でどちらが歪んでるとか、そんな問題なんかじゃなく。もちろん、ただ単に僕は人と交わるのが苦手だという問題提起的な話というわけでもない。
金が無いのに見物だけしに来たコイツの根性が立派だという話だ。
探し物をしている僕の頭の上で、ティキが時折チラチラとバトルスペースに目を向けている。
「ティキもどうせならきらりと一緒にバトル見てきて良いよ。あっちには式部も居るし」
「ティキはどっちでもいいのですよぉ☆ だけどティキはマスタと一緒にいたいですぅ♪」
うーん、気を使ったつもりが使わせちゃったかな? でもどうしても欲しいアイテムがあるから、もうチョットだけティキには我慢してもらおう。
正直に言ってしまえば僕だってバトルが見たくないわけじゃない。てらわずに言ってしまうなら、すっげー見たい!
そわそわしながらアイテムを物色していると、とんでもないものを発見する。
ゾウリンゲン産の神姫用クレイモアってなんですか?
「色々出鱈目過ぎだよ……」
「そりゃそうだ。出鱈目だからね」
「そうだよねぇ? だってクレイモアはハイランダーの武器で、ハイランダーはスコットランドの高地民族の事で。なのにドイツのゾウリンゲン産て変だろ? そもそもこれ、クレイモアじゃない……って???」
そこで僕はようやく自分か会話しているのかティキじゃない第三者な事に気付く。
振り向くとそこには温和そうな表情の男の人が、ニカッと笑って立っていた。
「えと……あの……どちら様で??」
豪快な独り言(?)を聞かれ、頭が真っ白になる僕。なぜか一緒になってはわはわしてるティキ。
「ふふふっ、オレはこの店の店長さ! 少年、今日が初めての来店だね?」
「ハ、ハイ!」
僕はこの店の店長相手に店の品に難癖付けていたのか~!
穴があったら入りたいってのは、きっと今みたいな心境をさすんだと実感。
ところが当の店長はニヤニヤして、
「ところで君は、これがクレイモアじゃないってわかったんだ?」
と僕に聞いてくる。
「へ? え……えっと、クレイモアって、決まりごとって言うか、共通した特徴があって、キヨン……えと、鍔が刃先に向かってなだらかに傾斜してるんです。更にそのキ……鍔の先端には複数の輪で構成された飾りがあるものなんです」
「お見事! 大正解だ」
「すごいです! 正解なのですよぉ♪」
目の前と頭の上からほぼ同時に褒め言葉をいただく。
「第一関門は突破、ってトコロかな?」
「はい?」
僕は店長のその言葉に改めて疑問符を浮かべる。
「マオチャオのお嬢ちゃん、名前は?」
「ティキって言うのですよぉ♪」
「そうか。それじゃティキ、ティキは西洋剣が好きか?」
僕の疑問に答えが与えられる事はなく、今度はティキと問答を始める。
僕の頭の上には更に疑問符が浮いた事だろう。
「ハイですぅ☆」
頭の上で元気良く答えるティキ。
そう、ティキは刀に人気が集中しているこのご時勢では珍しく、西洋剣がとにかく好きで、今の標準装備もティキの要望で無理やり剣を持たせたくらいなんだ。おかげでオーソドックスなマオチャオっぽくないんだけど、それは僕の趣味も要因だから仕方ない。
「よしよし。で、ここで更に問題」
そういって店長は剣を鞘から抜く。そしてその剣身を僕らに見せた。
「これ、なーんだ?」
そう言われて、僕は店長の顔を見る。そこには悪戯を仕掛ける前の少年のような表情が浮かんでいた。僕はその顔に怪訝なものを感じつつ、改めてその剣を見た。
神姫のサイズより大きめに作ってあるのか、ロングソードと呼ぶには長い直刀 。細身だが、突く事だけではなく斬る事にも留意されている拵え。本当の、二重の意味でのバスタードソード。
だが注目すべきはその表面に浮かび上がる、まるで水面のような刃紋!!
「まさか!?」
ありえない。
今から30年くらい前、極めて高いレベルでこの鋼は再現された。しかし、本来錆びるハズが無いと言われていたオリジナルに対し、再現されたそれは錆びる事が後に判明する。
その時点で再現されたそれはオリジナルが掲げた名を冠する事が出来なくなり、別な名で呼ばれることとなる。
そして店長の持つそれは、オリジナルとレプリカが同じように持つ一つの特徴が備わっていた。
でも、もう一回言う。
ありえない。
だけど店長はニヤリとして、
「正解」
と言ってその刀身をクニャリと曲げた。
「!!」
伝承にあるその鋼は、簡単に曲がり、手を離すと元に戻る。そして、決して折れる事が無い。
「つい最近、製造方法が再現されたんだよ。つまり、この時点では何処にも出回る事の無い、特注品さ。さすがに本来の生産地、シリア製では無いが、それでも実力ある刃物鍛冶の手によるものだ。で、どうする?」
決まってる。もちろん欲しい! だけど……
僕の気持ちを読み取ったように店長はおどけたように言う。
「価格は、こうなってんだなぁ」
店長が表示したその剣の価格は……
『資質を示せ』
……………………
なんですか、これは?
「買っちゃダメなのですかぁ?」
不安げな声が頭上から聞こえてくる。そしてその不安は僕の不安でもあった。
店長は口の前に人差し指を立て、それを左右に振る。ご丁寧にその指の振りに合わせ、「ちっ、ちっ、ちっ」と舌打ちした。
なんだかそういう仕草がやけに似合う人だな。
「それを手に入れられるかどうかは、お前さんたち次第だ。本当の意味で『資質を示せ』。簡単な話だろ? 具体的言えば、シミュレーターでの十人抜き。プラス本来の代金」
代金の方は兎も角、十人抜きはチョット心引かれる。それって、ヴァーチャルとは言えあの剣をティキに持たす事が出来るってこと。でも……
正直、そんなに強い相手じゃなければ、ティキはそこそこイイ線いけると僕は自惚れている。相手が多少強くても勝てるとさえ、僕は考えている。だけど。
「なあ、ティキ……」
「大丈夫ですよぉ♪ ティキも、マスタと一緒ですぅ♪」
ティキはいつものように歌うように言葉を紡ぐ。
その言葉に僕はうなずいた。
「「遠慮させていただきます」ですよぉ♪」
僕たちは声をそろえた。
店長が怪訝そうな顔で僕らを見てる。その目は鋭い。
「……自信が無いって事か?」
自信がなくて、試す勇気が無いにしては、僕らの表情は不敵なものだと思うんだけど。
「確かにあるとは言い切れません。でも……」
これは謙遜だけどね。でも続く言葉には、自分達の未熟さを自覚して。
「ティキは……僕達はまだティキの本当の能力でさえ、使いこなせていません」
「それにまだ今の武器でさえ使いこなせてないのですよぉ♪」
「確かに強力な武器を使えばそれだけで強くなるかもしれません」
「でもでも、それではちゃんとティキが強くなったわけじゃないのですぅ~」
「だから」
「だから」
「「い ま は」」
「いりません」
「いらないのですよぉ☆」
僕たちのその言葉に店長はニヤリと笑った。
「まあ、その代金に、僕が手も足も出せない事実がついて回りますけど」
そして最後に付け足した、僕のまぎれも無く正直な告白に、店長は声を出して笑った。
「そこまでの心意気を示してくれたのなら、無碍にするわけには行かないな。……お前さんたちが納得できる強さになるまで、この剣は取っといてやる。だから、這い上がって来い!」
そういって店長は僕の肩を叩いた。
なんですか、これは?
「買っちゃダメなのですかぁ?」
不安げな声が頭上から聞こえてくる。そしてその不安は僕の不安でもあった。
店長は口の前に人差し指を立て、それを左右に振る。ご丁寧にその指の振りに合わせ、「ちっ、ちっ、ちっ」と舌打ちした。
なんだかそういう仕草がやけに似合う人だな。
「それを手に入れられるかどうかは、お前さんたち次第だ。本当の意味で『資質を示せ』。簡単な話だろ? 具体的言えば、シミュレーターでの十人抜き。プラス本来の代金」
代金の方は兎も角、十人抜きはチョット心引かれる。それって、ヴァーチャルとは言えあの剣をティキに持たす事が出来るってこと。でも……
正直、そんなに強い相手じゃなければ、ティキはそこそこイイ線いけると僕は自惚れている。相手が多少強くても勝てるとさえ、僕は考えている。だけど。
「なあ、ティキ……」
「大丈夫ですよぉ♪ ティキも、マスタと一緒ですぅ♪」
ティキはいつものように歌うように言葉を紡ぐ。
その言葉に僕はうなずいた。
「「遠慮させていただきます」ですよぉ♪」
僕たちは声をそろえた。
店長が怪訝そうな顔で僕らを見てる。その目は鋭い。
「……自信が無いって事か?」
自信がなくて、試す勇気が無いにしては、僕らの表情は不敵なものだと思うんだけど。
「確かにあるとは言い切れません。でも……」
これは謙遜だけどね。でも続く言葉には、自分達の未熟さを自覚して。
「ティキは……僕達はまだティキの本当の能力でさえ、使いこなせていません」
「それにまだ今の武器でさえ使いこなせてないのですよぉ♪」
「確かに強力な武器を使えばそれだけで強くなるかもしれません」
「でもでも、それではちゃんとティキが強くなったわけじゃないのですぅ~」
「だから」
「だから」
「「い ま は」」
「いりません」
「いらないのですよぉ☆」
僕たちのその言葉に店長はニヤリと笑った。
「まあ、その代金に、僕が手も足も出せない事実がついて回りますけど」
そして最後に付け足した、僕のまぎれも無く正直な告白に、店長は声を出して笑った。
「そこまでの心意気を示してくれたのなら、無碍にするわけには行かないな。……お前さんたちが納得できる強さになるまで、この剣は取っといてやる。だから、這い上がって来い!」
そういって店長は僕の肩を叩いた。
結局僕が購入したのは今の剣より使いやすい護拳付きのロングソードと銃口つきの鞘、防具を兼ねた大型ガンホルダーの三点。
僕達は満足してエルゴから出た。
「いやー、すごかった! ホントに凄かったんだゼ、あのハウリン!!」
興奮冷めやらぬといった感じで、式部は熱弁をふるう。
「変身も凄かったけど、あの『はいぱー☆降臨っ!』ての? くぅぅぅぅ~~~~、カッコイーーーー! 俺もヤリテーーーー! きらりにヤラセテーーーー!!」
時々コイツは普段のイメージからかなりかけ離れた言動をする事があるんだけど、今まさにその状態。
「マスター、お願いですから考え直してください。本当に、お願いですから」
きらりは式部に思いっきり懇願していた。一体どんなだったんだ、そのハウリン?
そんな二人を生暖かく見ながら、僕は頭上のティキと話す。
「なぁ、また、来ような」
「ハイですぅ♪」
しかしその時、僕もティキも考えてなかった。
毎回片道1時間20分、その道のりをよもや月二のペースで通うなんて事は。
僕達は満足してエルゴから出た。
「いやー、すごかった! ホントに凄かったんだゼ、あのハウリン!!」
興奮冷めやらぬといった感じで、式部は熱弁をふるう。
「変身も凄かったけど、あの『はいぱー☆降臨っ!』ての? くぅぅぅぅ~~~~、カッコイーーーー! 俺もヤリテーーーー! きらりにヤラセテーーーー!!」
時々コイツは普段のイメージからかなりかけ離れた言動をする事があるんだけど、今まさにその状態。
「マスター、お願いですから考え直してください。本当に、お願いですから」
きらりは式部に思いっきり懇願していた。一体どんなだったんだ、そのハウリン?
そんな二人を生暖かく見ながら、僕は頭上のティキと話す。
「なぁ、また、来ような」
「ハイですぅ♪」
しかしその時、僕もティキも考えてなかった。
毎回片道1時間20分、その道のりをよもや月二のペースで通うなんて事は。