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ウサギのナミダ

ACT 1-19



 その夜、俺は意識が妙にさえていて、眠れそうになかった。
 だから俺は、PCの前に座って考える。
 クレイドルの上で眠る、ティアの顔を見ながら。
 どうすればティアを守ることができるのか、と。
 考える。


 そもそも、神姫風俗は違法だ。
 神姫風俗を経営している者も、それを利用した者も、法を破っていることになる。
 神姫に性的虐待を与えていることになるからだ。
 これはMMS保護法に抵触することになる。
 だから、神姫風俗を経営する者も利用する者も犯罪者であり、明るみに出れば罰せられる。

 MMS保護法は日本独自の法律であるが、神姫が浸透している国では似たような法律が制定されている。
 その元となるのがMMS国際規約だ。
 これはMMSに対する世界共通の認識を定める国際法である。
 たとえば、神姫の大原則……一人の神姫に対し、オーナーは必ず個人であることは、この国際規約で定められている。
 「心」に等しいAIを持つ神姫の権利についても、基本ラインについて言及している。
 心のある人間のパートナーとして、神姫は保護されなければならない。
 その理念のもと、MMS国際規約に批准している各国は、それぞれ独自のMMS保護のための法律を制定している、というわけだ。

 もちろん、日本も例外ではない。
 努力目標ではなく、ちゃんと罰則があり、違反者は実刑が課せられる。
 その量刑は、動物愛護法よりも若干重い程度。
 随分軽い気もするが、それは俺が神姫オーナーであることの贔屓目なのかも知れない。
 それ以外に、他人の神姫を傷つけたりすれば、器物破損に問われる場合もある。
 もちろん、他人の神姫を盗めば窃盗だ。

 だが、神姫に対する、性的なものを含めた虐待は、表に出てこないだけで、潜在的に行われている可能性がある。
 動物や児童に対する虐待同様、内にこもるため発覚しにくい。
 周囲の告発によってはじめて発覚するケースがほとんどだ。
 神姫虐待はさらにエスカレートしている傾向があるという。
 神姫を「心を持つパートナー」としてではなく、「AIを搭載した小型ロボット」ととらえてしまうと、罪悪感が減ってしまうのだ。
 悲鳴を上げていても、たかが機械、ととらえてしまい、普段は動物などにはそんなことしない人物であっても、面白半分に神姫を虐待するケースが増えているのだそうだ。 
 また、同じ理由で周囲が虐待を気にしない場合が多いという。
 動物などなら気になるが、神姫は機械であるため、虐待という認識が薄くなる。機械が壊れたなら修理すればいい、という考え方もあり、神姫の「心」を認識していない場合があるのだ。

 かつて児童ポルノ等で国際的非難を浴びた日本だが、神姫の性的虐待についても、国際的に疑惑の目が向けられている。
 日本がMMS先進国であることも要因の一つではある。
 しかし、ホビーの対象に性的な視点を求め、それを推し進めてしまうのは、日本のマニアの特別な性癖なのかも知れない。
 ネットに流れている神姫ものの十八禁画像や映像は、その半数以上が日本から配信されているという説もある。
 また、内容が過激なのも日本発の十八禁ものの特徴だった。
 特に過激だったという、今世紀初頭のアダルトゲームの内容を参考に、それを再現するプレイを神姫に強要する。
 そんなことは神姫に対する虐待に他ならない。
 そして、その映像が神姫虐待を助長しているという人もいる。
 そのような画像や映像が、なかば公然と流通しているのだから、流通元と思われる日本が、MMS国際規約批准国から非難を受けるのはむしろ当然のことだった。

 しかし、こうした神姫虐待に対する取り締まりは、あまり厳しくない。
 警察にもMMS犯罪の専門部署が設けられているが、神姫虐待に積極的ではない。
 むしろMMSによって引き起こされる凶悪犯罪の取り締まりに躍起になっている状況だ。
 関連犯罪が増えるのはブームの暗黒面であるが、ここのところ、神姫を利用した殺傷事件など凶悪犯罪が後を絶たず、こちらも社会問題になっている。
 神姫の虐待事件よりも、人間に対する直接的脅威となっているし、事件性が高い。
 先にも述べたように、神姫虐待事件は内にこもって行われる場合が多く、表沙汰になりにくい。警察もなかなか動けないのが実状だ。
 だから、警察の動きに納得はいかなくても、仕方がないと理解はできる。

 逆を言えば、神姫虐待もその事実と裏付けとなる証拠があれば、警察も動いてくれるということだ。
 神姫保護を唱うNPO法人がいくつも活動しているし、警察の協力を得て、神姫虐待事件を解決している例もある。
 もちろんそうした神姫保護団体では、神姫風俗は反対の立場であるし、警察への告発もたびたび行っている。
 警察も、神姫保護団体が提唱する、年一度のMMS保護週間の時くらいは、ある程度神姫風俗の摘発も行う。
 だが、それで十分ではないのが現状だ。

 そういう状況にあって、神姫風俗はなくならない。
 逆に増えているくらいだ。
 なぜか。
 それはあくまでもアンダーグラウンドの、個人経営業者ばかりだからだ。
 神姫風俗に組合があるわけではない。
 情報は回ってくるが、相互扶助など行ってはいない。
 たとえどこかの店がへまをして、警察の世話になっても、一時的に店を閉めてほとぼり覚めるまで知らない振りをしていればいいのだ。
 人間相手でも、若年齢層の売春斡旋業が、違法でもなくならないのと同じことだ。

 神姫風俗はもっとたちが悪いと、俺個人は思う。
 風俗の神姫は逃げることができない。
 そもそも、経営者がオーナーであるし、オーナーとのつながりは神姫にとって絶対だ。
 仮にオーナーの元を逃げたとしても、ただの野良神姫になる。
 そうなった神姫は長くても一日程度しか活動できない。
 バッテリーの充電が行えず、行動不能に陥るからだ。
 足下を歩いている野良神姫を誰が気にとめるだろう?
 たとえそんな神姫を拾っても、それが風俗にいたと知れば捨てられるか壊されるか……ティアの正体が発覚したときの、ゲーセンの連中の反応を思い起こせば明らかだ。
 バッテリー切れの神姫など、もはや精密機械のゴミに過ぎない。
 そうなることがわかっていて、逃げ出す神姫はいない。

 また、経営者にとっては秘匿性も高くて重宝である。
 アタッシュケース一つ用意すれば、所属する神姫すべてをまとめて、店を畳むことができる。
 考えたくないことだが、ばれそうになったら、壊したり捨てたりすれば、証拠だって残らない。
 容疑があっても、証拠がなければ警察は逮捕できないし、重要事件でもなければ証拠を捜して何百人も動員することはまずない。
 どこかの店が摘発を受けて、ほとぼりが冷めるまで店を一時的に閉めたところで、経営者には大した痛手にはならない。
 しばらくして、またどこか別の雑居ビルの部屋を借りてはじめればいいのだから。
 神姫風俗などの違法営業の情報は、もっぱらネットを通じて、アングラ的に行われる。
 だから、一度店を閉めて場所が移動しても、客はネットでその情報を調べてやってくる。

 警察のマークが緩いのをいいことに、神姫風俗ではやりたい放題だ。
 先に述べた神姫の十八禁映像のような過激なプレイが現実に可能だし、画像や映像を撮影できるらしい。
 客の中には、自分の神姫にはそういうことをさせたくないが、風俗に来て神姫に性的虐待をするオーナーが少なからずいるという。考えたくないことだが。
 雑居ビルの殺風景な部屋の中では、映像から場所を特定するのも難しい。
 だから、神姫風俗の経営者たちも、非公開を条件として、個室内での画像や映像の撮影を許可している場合が多いのだ。

 彼らが問題にするのは、自分たちの素性が割れてしまうような情報が流出する事態、である。
 いままでに述べたことから総合すれば、神姫風俗は秘匿性も高くて、抜き打ちの摘発で現行犯でもなければ、立件に至らない。
 だが、例外はある。
 所属神姫が客によって持ち出された場合、だ。
 もちろん、退店時に所属神姫は返却されるわけだし、客が神姫を持ち出すなど、店側が許すはずはない。
 だが、客がそもそも神姫を奪う目的で入店していたとすればどうか。
 それでも、どうやって持ち出すのか、持ち出した後どうやって店をごまかすのか、いろいろと高いハードルがあるので、まず持ち出そうなどとは考えないだろう。

 しかし、それをやってのけた奴がいる。
 井山だ。
 井山はティアを連れ出し、店の人間たちから逃げ切れそうになくなって、ゴミ捨て場に捨てた。
 あのときはなんとか逃げ切ったようだが、もし捕まっても、ティアを持っていないとしらを切るつもりだったのだろう。
 本当はそのままバッテリー切れとなり、ゴミとなるか、戻ってきた井山が回収したかもしれないティアだったが、そうはならなかった。
 俺が拾ったことによって。
 ティアのメモリの中には、客への奉仕の記録だけではなく、その客のデータや、風俗店のスタッフの映像やデータも記録されている。
 それが明るみに出れば、店は摘発を受けるだろう。
 店を畳んでも、顔写真などの明確な個人情報が流出してしまうので、警察に捕まる可能性は拭えないままだ。
 ティアが生きていることは、神姫風俗店『LOVEマスィーン』とそのスタッフにとっては、死活問題なのだ。
 だから、店のスタッフの黒服たちは、武装神姫が盛んなゲームセンターに現れ、ティアを捜していたのだ。
 連中に必要なのは井山ではない。
 連れ出されて今も稼働している神姫・ティアこそが奴らの目的なのだ。

 井山もティアを狙っている。
 奴の様子からして、ティアを大層気に入っていたのだろう。
 だから、自分のモノにしたいという欲求が強くなり、我慢できなくなり、店から奪うという行為に及んだのだろう。
 そのくせ、店の連中に追われているのをティアのせいにして、ゴミ捨て場に投げ捨てるあたり、どれだけ自己中心な奴なのかと思う。
 諦めた神姫が、立ち寄ったゲームセンターで、突然目の前に現れたのだ。
 奴の物欲と性欲に再度火が点ったのは想像に難くない。
 今度は俺という個人から奪えばいいだけの話だ。
 だからあれほど執拗に仕掛けてくるのだろう。
 しかも、それで俺が苦しんでいるのを見て楽しんでいるようだから、性格が歪んでるとしか言いようがない。

 ティアを狙う神姫風俗店も、その客であった井山も、れっきとした犯罪者だ。
 証拠があれば、告発できる。警察は動く。
 しかし、『LOVEマスィーン』に気付かれないように、警察には動いてもらわなくてはならないが。
 警察を動かしうる、確たる証拠と、伝手があるだろうか?


 俺はクレイドルの上で眠るティアを見つめた。
 愛らしい寝顔。
 俺の中で様々な葛藤が巻き起こる。
 俺にとって大切なもの、大事なこと。
 捨てていいもの、捨て去れないこと。
 社会的な立場や、なけなしのプライド、様々なしがらみ、感情や理性、そういったものが俺の思考で渦を巻く。

 俺は長いこと考えていたのだと思う。
 ふと気がつくと、カーテンの向こうが明るくなってきていた。
 朝の到来を告げる、小鳥のさえずり。
 カーテンの隙間から指す、一条の光に、俺は目をすがめた。
 そして思う。
 ごちゃごちゃと考えがまとまらないときには、シンプルに考える。
 俺が今、本当に欲しいもの、守りたいものは、なんだ?

 ティアを見る。
 いつか見た、花がほころぶような、愛らしい笑顔が思い浮かぶ。

 証拠はある。
 伝手もある。
 あと、俺に足りないのは……

 ……そう、覚悟だった。










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