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第四話:選択姫



「ミコちゃん。何とか情報を取ってきたわよ」

 数日後、真那が俺の家にやってきて廃人探偵事務所で入手したイーダ出没地域のまとめレポートとイーダ試作機脱走事件の全貌が入った監視カメラのデータを持ってきてくれた。
 出没地域の情報を見るだけでも非常にわかりやすい情報になっており、廃人探偵事務所の有能ぶりが窺える。
 予想以上にいい情報が手に入ったと思ってもいいだろう。

「助かるぜ。真那。蒼貴から真剣な話があるそうだ」
「何?」
「あの……あの子を……会社に渡さないようにご協力願えませんか?」
「それって……賞金を諦めろって事?」

 真那はやはりというべきか蒼貴の言葉に怪訝な表情を示した。

「こいつがな。ある仮説を立てたんだ」
「……どんな?」
「捕獲した神姫の命と引き換えに金をくれるんじゃないかってな」
「それって……」
「どういう事なんですか?」

 俺が蒼貴に代わって仮説を述べると真那は表情を変える。一緒にいたルナもその言葉に深刻なのではと言いたげな表情で俺を見る。

「調べていて思ったんだが、恐らくあれは量産性を考慮されていない性能試験用のワンオフ機だ。実験が終わればバラされて封印される運命のな。多分、この事については伏せられている」
「嘘……」
「どうする? あいつの命を差し出して金を頂くか、蒼貴の提案に乗るか。お前はどっちがいい? 賞金を選んだら多分、このちっこい奴らが許してくれそうに無いがな」

 俺は蒼貴とルナに視線を送りながら真那にストレートに選択を迫る。
 そう。蒼貴とルナにイーダを捕まえさせ、OHMESTRADA社に引渡し、賞金を得たとして一体何が起こるだろうか。
 わかりきった事だが、優しい心を持つ蒼貴とルナは俺達を大いに失望する事だろう。
 同類である彼女達がどうして死にたくないと願うイーダを死神に金と引き換えに差し出せるだろうか。
 当然彼女達にはそんな事はできまい。しかし、オーナーである俺と真那が強行した場合、彼女達は従わなくてはならない。
 イーダが死にたくないと叫ぶ中、それを見届ける事になり、その残酷な運命を作り出した俺達を極悪非道な人間だと思ってしまう事だろう。
 そして、これまでの信頼、絆といったお金では買えないものが一気に崩壊する。それは火を見るよりも明らかな事だった。
 それにもし他の企業もこの事を知ったら、その機密情報を狙って独自の捜索隊を結集するかもしれない。
 今はその様子は無いようだが、そうなったら、いくらイーダの性能が高いとしても、とても持ち堪えられる状況ではなくなってしまう。
 いずれバレて……殺される。

「あ~! もういいわよ! さっさとイーダを捕まえて何とかすればいいんでしょ!?」

 流石の真那も俺の考えている事に行き着いた様ですぐに意見を変えてくれた。こいつが冷血動物じゃなくて良かったぜ……。

「ワリィな」
「そうよ! 全部、ミコちゃんが悪い!! ミコちゃんのバカ!!」

 俺は蒼貴とルナに代わって真那に謝罪するが、腹の虫が収まらないらしく、俺をポカポカとタコ殴りし始めた。

「何言ってんだよ……。お前が何も考えずにこの賞金話を持ち込んだのがそもそもの原因だろうが……」
「うるさいうるさい! 百万返せ!!」
「んなもん払えないって。……が、その代わりにお前にはこいつをくれてやる」

 俺は自分のクローゼットの中から一つの箱を取り出し、そこから緑色の一升瓶を真那の前に置いた。それを見た瞬間、真那は驚愕の表情で俺を見始めた。

「こ、これは!?」
「先週、北海道に行った時にお前に土産として買ってきたもんだ。かなりの有名なブランドの代物なんだそうだ。百万の代わりになるとは思えんが、これで許せ」
「……ま、まぁ、こんなものをくれるなら許してやらなくもない……かな」
「そうか。じゃ、早速、お前からもらったデータを元に作戦を立てる。決行時間は後で知らせてやるからそこで適当に酒でも飲んでくつろいでろ」
「は~い」

 真那は俺がノートパソコンにイーダ試作機脱走事件の監視カメラ映像を落とし、それを見て計画を立て始めるのを見ると一升瓶にしがみ付き、それを開けると俺の机においてあった空のコップを勝手に取って、それを注いで飲み始めた。
 その瞬間。とてつもなく美味しかったらしく、恍惚な表情を浮かべ、俺のベッドの上をゴロゴロし始めた。

 ―― ……もしかするとこいつの場合、酒があれば百万なんていらないんじゃないのか?

 ここまで来るとただのお酒バカの様に思えてきた。こいつの金の使い道をもう一つ思い出した。そう。飲酒代だ。酒は値段の高い物になればなるほど美味しいものが多い。こいつの趣味はそうしたものを賞味する事である事を考えればお金が無いのも頷ける。
 そんな様子を眺め終わった俺は脳内作戦会議に戻る事にする。
 監視カメラの映像を見るとそこにはとんでもない光景が映っていた。
 そこにはイーダと六機の神姫が対立している様子があった。
 全員がナイフとライトセイバーを腰に装備し、目を隠すタイプのマスクをつけている事が共通している事にすぐに気がついた。
 機種関係なく共通装備を施しているという事は、これは一種の精鋭部隊か何かと見るのが妥当であると思われる。
 その中でも各機のフォーメーションを組む様に指示を出している、左右それぞれ違うハンドガンを装備したアーンヴァルBが隊長であると見ることが出来た。
 隊長という割に前線に出るタイプのようで二丁拳銃でイーダに迫る行動が多い。
 そして指示を受けた両手に刀、背中に四本のブレードと計六本ものブレードを有する格闘重視に仕上げられたフォートブラッグがクレイモアと七支刀を強化腕に装備する二刀流ストラーフと共に挟撃する形で接近を仕掛け始める。
 さらにグレネード、滑空砲をそれぞれ片手で持ち、さらには背部に取り付けられたサブアームにレーザーライフルとFront line社系列の試作型と思われる戦車砲を装備するというとんでもない重火力のストラーフと純正装備のフォートブラッグと共に火力支援を行い、さらには高機動型と思われるアーンヴァルBが両手にそれぞれ保持するマシンガンで敵の逃げ場を無くす様に弾幕を張る。
 もはやリンチとしか言いようの無い手加減無しの凄まじい連携が炸裂する。
 ところが、イーダは一斉に弾丸が発射される直前、敢えて近接戦を仕掛けてくる格闘型フォートブラッグと二刀流ストラーフを攻撃はブレードで受け止め、空いているサブアームクローで二人を挟み込み、捕まえた。
 その瞬間、重火力ストラーフと標準型フォートブラッグの一斉射撃が放たれ、丁度、射線軸上にいた格闘型フォートブラッグと二刀流ストラーフがその砲撃に身を晒される事になり、自らの仲間の攻撃によってやられる羽目になった。
 なんとイーダは時間差で襲い掛かろうとしていた近接機二機に接近する事でタイムラグを狂わせ、そうした上で彼女達を捕縛してそれをそのまま盾にする事で同士討ちを狙ったのだ。しかもとんでもない重火力が当たったとなればただでは済まない 深手を敵にくれてやる事が出来る上に強力な攻撃を簡単に防御できて一石二鳥である。
 その攻撃に耐え切れず格闘型フォートブラッグは早くも機能停止に追い込まれ、力尽きてしまった。イーダは動かなくなったそれと瀕死のストラーフを何の躊躇も無く、サブアームクローで握ると重火力型ストラーフに投げつけた。
 それによって重火力型ストラーフは投げ飛ばされた二機のそれぞれが装備する多量のブレードが突き刺さり、そのまま、近接機と共に、吹き飛ばされてしまう。
 これによって合計三機が行動不能となり、残るはアーンヴァルB二機とフォートブラッグ一機となる。彼女達は仲間を気にしつつも二人でフォーメーションを組み、攻めに入る。
 高機動型はマシンガンで弾幕を作る事で援護射撃をし、隊長機は拳銃で牽制をしつつ、ライトセイバーを取り出し、近接戦を果敢に挑んでいった。
 が、それはイーダに対しては愚かな行為だった。隊長機がライトセイバーを振るった瞬間、ブレードを取り出してそれでライトセイバーを受け止め、鍔迫り合いに持ち込んだ。
 普通の神姫ならばここで拮抗状態になるがイーダは違った。彼女はサブアームクローを使い、拮抗状態で無防備になっている隊長を掴み、そのまま高機動型に投げつけ、さらにアサルトカービンを放つ。味方が突っ込んでくる上に銃弾の弾幕まで迫ってくるこの状況に流石の高機動型も回避しきれず、ウイングをやられ、飛行能力を失って墜落して地面に叩きつけられると身動きが取れなくなってしまった。
 そして最後に残ったフォートブラッグ標準型は次々とやられていった仲間たちを見て、イーダに恐怖し、自分の持てる武器を一斉射撃する。
 普通ならただでは済まない強力な攻撃であるはずなのだが、イーダは手近にいてまだ、機能停止をしていないアーンヴァル隊長機を滑空砲に投げつける事で彼女に代わりに受けさせ、命中力があまり高くない代わりに攻撃力が高めのアサルトライフルは回避、そして命中率の高いハンドガンはサブアームの曲面装甲を盾にする事で弾をそらす形で防御して速やかに接近する。
 そして手の空いているもう一つのサブアームでフォートブラッグの本体を掴み、締め上げる事で彼女をダウン状態に追い込む。
 それを見るとイーダはトライクモードに変形し、満身創痍の小隊達をトドメをさす事も無く、早々にその場を去った。

「こいつはたまげた。見るまでは半信半疑だったがこれではっきりしたな」

 三機撃破とあったが、これではほとんど全滅したに等しい。
 これはイーダの性能もそうだが、彼女の恐るべきまでの頭の回転の速さがここまでの戦いをさせるのだろう。

「そうですね……」
「蒼貴。やれると思うか?」
「攻撃を考えなければ何とか……」

 蒼貴は自信のなさそうな声を出す。無理もない。ターゲットは性能試験用のワンオフ機。性能はイリーガルと呼ばれる違法改造機ほどではないが、基礎性能が高く、武装も充実している。さらには単機で六機を相手に逃げ延びたという実績を考えると判断力も高く、総合的に強いと見た方が妥当だろう。
 武装は近接戦が主体であるため、距離を取って戦えばアサルトカービンを注意するだけで済む。
 しかし、それだけではいけない。場合によっては距離を詰めて話さなくてはならないことも考えると距離を取るのはよほどの事が無い限りは下策である。
 そこで俺は近距離の武器を見る。彼女の近接攻撃手段はサブアームクローとブレードであり、攻撃力が高い代わりに取り回しにくい。となれば手数の方はあまり心配しなくてもいいだろう。幸い、こちらは攻撃を考えなくて良い。
 回避に集中するだけなら恐らく上手く行く。

「後は説得次第……か」

 出現場所の調査、イーダ試作機の回避対策を練り終えた俺はノートパソコンを閉じて一言漏らした。
 その言葉に俺以外の三人が一斉に俺に目を向ける。

「作戦は組んだ。後は動くだけだ。……どうする?」
「今すぐよ。今更確認しないで欲しいわね」

 真那は俺の問いかけに一升瓶を抱きしめながら不機嫌そうな口調で答える。

「酒抱えてそんな偉そうな言葉を言っても効果半減だぞ」
「……うるさいわね。こっちだってまだ完全に許した訳じゃないもん」

 俺にお酒をもらったことを指摘されてムッとした態度でまるで子供の様に一升瓶を俺から見えない様に背中の後ろに隠した。
 俺はそれに苦笑すると蒼貴とルナに目を向ける。彼女達は真剣な顔をして俺を見ていた。まるで俺に全てを託しているかのような顔をしている。

「オーナー。頑張りましょう」
「どんな作戦でもやりとげてみせます。だから彼女を救ってください」
 ―― ……やれやれ。俺はそういう託されるような偉い立場にいたくはないんだがな。

 俺は元々、誰かが上に立っている下でのんびりしているのが自分のスタイルだと思っていた。面倒ごとに巻き込まれたくないからという逃避と言われようが構わなかった。
 だが、俺はそのために誰かが死ぬというのならば……そんな上での自由などいらない。願い下げだ。そんなものを踏み台にしたって面白くもなんともない。
 そんな胸糞悪くなるような展開を変えるくらい悪あがきする権利くらいは俺にだってある。あるはずなんだ。だから俺はこのバッドエンディングを……書き換える。

「了解。任された。……行くぞ」

 俺は三人を促すと自分の部屋の扉を開き、自分の立てた計画を遂行するべく歩き始める。
 やる事はイーダの保護。それが俺に出来る悪あがきだ。

―― ……成功させる。必ずだ。


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