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第一話:潜入姫



 ……目の前の状況を確認してみようと思う。
 デスクの上を俺がトイレに行って戻ってきた僅かな時間で俺の部屋に紛れ込んできたちっこい蒼髪の人形が正座して占拠している。
 この人形は確か、武装神姫なるものだったような気がする。
 武装神姫とは俺の知る限りでは色々と着せ替えて戦わせる今、大流行なものだとか聞いた事がある。
尤も、それは子供と俗に言うオタクと呼ばれる人種が主であり、ただの一般人である俺が持っている事がバレれば体面上、よろしくない事が起きるのは目に見えていた。
 大学生以上にもなってくると野郎が人形を愛でる事をバレたら、気味悪がる人間が続出するのは言わずとも誰もが考えている事だと思われる。
 俺もそんな中の一人だ。正直、目の前の事実を許容したくない。これが幻である事を切に願いたい所だが……。

「あの……。お邪魔してます……」
「あ、ああ……」

 蒼髪の人形はご丁寧にも敬語で部屋の主である俺に挨拶をして、ものの見事に幻という説を完全に否定した。
 動くのは知っていたが、喋る上に敬語を操る思考がある事には驚いた。最近のAI技術はここまで来たのかと素直に感心せざるを得ない。

「……誰だ? お前?」

 しばらくの静寂の後、俺は何とか目の前の事実を見て、問いかける。

「私は……××××です。マスターに捨てられて猫に振り回された果てにここに放り込まれた者です」

 イマイチ理解できない俺はそれについて詳しく聞いてみると、何でもあまりにも勝てず、別の神姫を買ってそれでやってみたら勝ち始めたため、役立たずなこの……××××を捨てたらしい。そうして町の中を冒険して遂にバッテリーが尽きかけの極限状態となり、俺の部屋に入り込んだらしい。

―― ……おいおい。役に立たなくなったらポイですか。そりゃ、あんまりだろ。

 見た限り、心があるってのにそれを考えてやれないのは流石に少なくともオタクではない事を主張する俺でも酷い話だと思える。

「なるほどな。同情するよ」

 そう思う俺には二つの選択肢がある。一つは非情にもバッテリー切れを待ってそうなったらバラして売り払う事。とりあえず需要はあるのだから売ればそれなりの値段は付くのかもしれないから普通ならこれをしてしまうだろう。
 そして、もう一つは……、

「あの……」
「あ?」
「……貴方にお仕えさせては頂けないでしょうか?」

 やはり頼まれたが、こいつを引き取る事だった。確かに俺は武装神姫を持っていないから引き取る人間としてはうってつけかもしれない。
 だが、これを持ってバレれば体面上の問題が発生する。それは俺にとって少なからず不都合な事である。

「お願いします! 何でもしますから!!」

 バッテリーが無くなりかけにもかかわらず突然、必死に××××が叫ぶ。
 死にたくない。このままで終わりたくない。
 そんな真剣な声と必死な表情が不覚にも俺の心に鋭く突き刺さった。

 ――そんな顔をするなよ……。切り捨てられなくなるじゃないか……。

 非情になり切れない俺は俺自身に呆れ果てる。『自分の欲望に忠実に生きる』というのが俺の持論だってのに……。
 しかし、目の前の蒼髪の嬢ちゃんの顔をブルーに染めるのも寝覚めが悪い。俺はここで一つの妥協案を出す事にする。

「……わかったよ。とりあえずしばらくは面倒を見といてやる」

 そう。少しの間だけ世話して他のこいつを大事にしてやれそうな奴に渡す。それが俺にとっての第三の選択肢だった。
 しかしそれは自分が神姫を持っていた事をその人にバラす事にも繋がる。非情に矛盾していて危ない選択でもあった。

「ありがとうございます!」

 仕方なく了承した俺に××××は満面の笑みで礼を言った。
バッテリー切れかけなのに律儀なこったなぁ……。とため息をつきながら俺は苦笑する。俺は迷い気味だってのに……。

「いきなり押し入ってお願いするのは何ですが、私のクレイドルをゴミ置き場から回収して頂けないでしょうか?」
「クレイドル?」

 突然の質問に俺はオウム返しをした。どうもそれは大事な物なのはわかるが、俺にはイマイチよくわからない。

「神姫の充電に必要な機材です。幸い、私と一緒に捨てられてあるので回収すれば使えると思います」

 ……随分と贅沢な奴だな。機材もまるごと買い換えたのかよ。となると相当こいつを使い回してもダメだった事が推測出来る。神姫の武装はテレビで見たことがあったが、心があるという事を含めるとこいつとマスターとやらは絶望的に相性が悪そうだった。

 ―― ……本格的に同情したくなってきたなぁ、おい。
「なるほど確かにそれがないとマズいな。どこのゴミ置き場にあんだ?」
「そこまで正確には……すいません……」
「謝らんでいい。今からゴミ置き場を順番に回る。見覚えのある場所があったら教えてくれな」
「わかりました」
「おし。行くぞ」

 俺は大きめの鞄に××××を隠し持って、家を出ると自転車に乗って駆け出した。
 彼女の話から考えると猫がどの位を縄張りにしているかにもよるが、そう遠くはないはずだ。少なくとも俺の住む町から外は出る事は無い。
 まず、一つ目。かなり物が煩雑しているが××××はここではないと言う。確かにそれらしい物は残念ながら見つけられなかった。
 ただ、収穫もあった。何やら黒装束らしき装備だった。丁度、××××は丸裸なため、折角なのでもらって行く事とする。
 気を取り直して二つ目。ここでは鎌が見つかった。厳密にはシックルに分類されそうな片手持ち式の代物だ。
 幸運にもこれで最低限の装備が揃った。まともに戦う事も出来るだろう。
 だが、バッテリーが無くては話にならない。……そういえば××××からの反応がない。遂にバッテリー切れを起こしてしまったのかもしれない。

 ――全く、何でこうして得体の知れない人形の為に頑張っているんだろう。今なら匙を投げられるってのに……非情になりきれないな……俺。ただの人形ならすぐに捨てられただろうにさぁ。

 本当に馬鹿馬鹿しい限りだった。なんでこうしているのか、自分でも不思議に思う。本当なら投げ出したい気持ちにあるはずなのに××××の真剣な眼と必死な表情が俺の良心を揺さぶり、それの邪魔をする。
 心があるといっても人形だってのに何でなんだか。

 ―― ……おっと、そんな事を考えている場合じゃなかった。三つ目は……と。

 迷いを感じながら一時間後、遂にクレイドルを発見した。何やら痛いイラストの入ったパッケージに箱詰めされた状態で放置されてあった。
 特に理由でも無ければ携帯で写メでも撮ってネタにしたいが、今はそれどころではない。
 俺は周りに人がいない事を確認すると素早く痛い箱を開け、中身……クレイドルと説明書を回収し、さっさとその場を後にした。
 これでひとまずは落ち着けそうだ。

「で、俺は隠れオタクになったって訳か……」

 そんな独り言を言って俺は苦笑し、とりあえず××××をどうしたものか考えながらゆっくりと帰る事にする。
 あんまりオタクがどうこうするのに無関心な俺がオタクと同じ事をしているとは世の中わからんものだ。

 ―― ……厄介な拾い物をしちまったなぁ。



「ん……」

 説明書に従い、クレイドルに××××を充電して数時間後、彼女はゆっくりと目を開けて目覚めた。

「おはよう。よく寝れたか?」
「はい。お手数掛けました……」

 俺が声をかけるや否や××××は申し訳なさそうに頭を下げた。ここまで謝り癖が付いてしまっているとなると相当、前のマスターとやらにやられてしまったらしい。とりあえず……前のマスター様からもらった物は全て破棄してやる。

「謝らなくていい。それは大事だからやったまでだしな。それとお前は××××じゃない。今日からお前は蒼貴だ」
「ソウ……キ……?」
「蒼い貴石と書いて蒼貴だ。……どうだ?」

 彼女は与えられた名前の響きを確かめ、嬉しそうな顔をして頷く。

「……はい。わかりました。どうぞ、そうお呼び下さい。……貴方の事はなんとお呼びすればいいですか?」
「オーナーとでも呼んでくれ」
「わかりました。オーナー、よろしくお願いいたします」
「あいよ」

 これでマスター様とやらが残した異物である名前と主に対する呼び名は消去した。これでしばらくはやっていけるかな……。
 そんな事を考えていた矢先、階段の音が自分の耳に入ってきた。

「やばっ! 隠れてくれ!」
「きゃっ!」

 俺は蒼貴が驚くのに構わず、彼女を引き出しの中に隠した。周りを確認する。ゴミ置き場で拾った装備は鞄の中、クレイドルも鞄に入れた。完・璧。
 直後、妹が入ってきた。こいつは今時の女子高生で色々と外で遊びまわっていて、チャラチャラしたファッションをよくしている。だがその反面、家ではイラストを描き、BL小説を数多く保有している上に家族の前じゃ、丈の短いシャツとパンツという出で立ちだ。正直、勘弁してほしいものだ。
 こんなのを見ていると恋愛シミュレーションとかで出てくる様な妹なぞ幻想だとマジで思う。
 考えてもみてほしい。これに加えて騒げば何とかなると思い込んでいる脳みその持ち主だ。こんなのに魅力を感じるだろうか、いや、ない。

「お兄~。パソコンやらせて~」
「やなこった。お前に貸したら何時間延長されるかわかったもんじゃない」
「え~」

 あまりよろしくない口調で頼み込んでくるが速攻で断る。
 言い忘れていたが、こいつはパソコンを際限なくなるものだから親に時間を制限されている。そんな訳でノートパソコンのある俺に頼むのである。
 たまに上手いイラストを書くことを取引にやらせたからこうして来たクチだと思われる。だが、今はギブアンドテイクをしている時間はなどない。

「うっさい。俺はレポートがあるんだ。一人にしてくれ。こんなのを始末しているんでな」
「……わかった」

 俺がとっさに見せたパソコンの内容……レポートやらCG製造ソフトの様子を見せると妹は引き下がった。
 こういう単純な奴には訳のわからないものを見せつけるに限る。それに勉強ともなれば手出しの出来ない建前となる訳で誰かが来る率も下がる。
 そうして妹が立ち去ると誰もいない事を確認して蒼貴を引き出しから出した。

「びっくりしました……。どうして家族には隠すのです?」
「……俺の体面上の問題だ。人形を持っていると気味悪がられる」
「私のせい……なのですか……?」

 人形という言葉に反応した蒼貴はまたしても自分が迷惑していると思い、俺の顔を伺う様に問う。

「違うって。何でも自分のせいにするな。いいか? 大の大人が人形を持っているというのは気持ち悪がられるのが全体のイメージなんだ。要するに大多数の意見を敵に回したくはないってこった」
「はぁ……。何だか難しいですね……」
「まぁ……なんだ、大人の事情って事で我慢してくれないか?」
「……わかりました。家族が来たら隠れます」

 理由を取り繕い、蒼貴に自分から隠れる事を確約させる。これで隠れ場所を作っておけば余程の事がない限り、バレないだろう。

「ああ。そうしてくれ。……そういや、俺は武装神姫について知らん。これからどう面倒を見ていけばいいか、教えてくれ」
「あの……もしかして武装神姫を知らないんですか?」
「ワリィ。俺は今まで興味がなかったから見た事があるだけなんだ」

 再三言う様だが俺は武装神姫のタイトルと人形が動く姿を映像で見たぐらいしかない。ぶっちゃけ、オタクが家で引きこもって愛でる愛玩用か何かのものとしか考えてなかった。
 そんな訳で世話の仕方なんて知るはずもない。さらにクレイドルの説明書はあっても武装神姫についての説明書がなく、残る方法は目の前にいる神姫そのものに聞く事だけだった。

「それでしたらマニュアルをネットからダウンロードした方がいいと思います」

 なるほど。と俺は蒼貴の提案に納得する。
 確かに公式ホームページで説明書だけをダウンロードする事が出来る電化製品は結構ある。神姫も例外ではないのかもしれない。
 早速、ネットを開き検索をかける。案の定、すぐに求めるものが見つかった。開いてみるとかなり痛いイラストが混ざった公式ホームページが表示された。
 こういうのが流行りなんだと強引に自分に納得させると早速、マニュアルのダウンロードをし、今後の予定を考える。とりあえず、鍛錬して技能試験をするのが当面の目的とするのが良い様だ。
 掲示板にも入って情報収集をする。そこには例のごとく何やら趣味がアレな奴らが混ざっていたりしたが、情報は確かであり、蒼貴の躯体は命中と回避に優れた忍者タイプである事が判明した。
 さらに前のマスターが埋め込んだCSCも確認した。中にはルビーが一つ、エメラルドが二つが格納されてあった。バカにしてはなかなかな組み合わせをしてくれているものだ。それにだけは感謝してやろう。
 まとめると回避をし、反撃する……蝶の様に舞い、蜂の様に刺す戦いが最適であるという事だった。
 そのためには無駄な装備を省き、回避力と機動力に特化したやり口で行くしかない。鍛錬も相当必要だと思われる。
 蒼貴を見てみる。俺の隣で一緒に掲示板を見て、知識を吸収しようとしている。小さいながらも感心できる姿勢で俺はそういうのは良い事だと思う。

「オーナー、頑張りましょう」

 唐突に彼女が話しかけてくる。まだ信用しきっている訳じゃないが、俺をアテにしているのがわかる。

「お、おう……」

 俺は思わず、返事をしてしまう。そうした姿勢を無碍にするほど、俺もろくでなしではないつもりだ。
とは言え、内心は複雑な心境だった。もし誰かにバレたらどうしようとか、もし、変な目で見られたら俺はどうなるんだろうとか、その他etcetc……。
 何でこうなったんだかはわからんが、ここまで来てしまったら仕方がない。

 毒を食らわば皿までだ。やるとしますかね。……はぁ。






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