「狐狩り」
”狐狩り”という競技がある。
人間が銃を持って獲物を追うのではなく掛け声で猟犬を操り、いかに早く狐を”仕留めさせる”かを競う競技だ。
イギリス貴族のスポーツとして愛されてきたというこの競技は、21世紀に入って動物保護の見地から禁止法が施行された。
西暦2036年。
狐狩りは形をかえて存在している。
人間が銃を持って獲物を追うのではなく掛け声で猟犬を操り、いかに早く狐を”仕留めさせる”かを競う競技だ。
イギリス貴族のスポーツとして愛されてきたというこの競技は、21世紀に入って動物保護の見地から禁止法が施行された。
西暦2036年。
狐狩りは形をかえて存在している。
「まったく、夜中の上に雨ときてる。ナンバーテン(最悪)だぜ。」
背中に装備したスラスターユニットをふかしてビルの屋上へ着地したMMS、俺と同じストラーフ型のチャーリーが言う。
だが言葉とは裏腹に表情は生き生きとしていた。久しぶりのアウトドアミッションだから無理もない。
「その割りには嬉しそうじゃないかチャーリー?」
「へへ。今回の狐はストラーフだろ?俺たちと同じで高性能だ、久しぶりに狩り甲斐がある。Cドールやポイポイどもはトロくていけねぇ、張りがねぇよ」
”狐”は当然最後には破壊される。
そのためほとんどの場合は中古市場でも売れなくなった旧型の愛玩用や安価な害虫駆除用の機体が使われる。
高価な武装神姫が使われることは珍しい。
背中に装備したスラスターユニットをふかしてビルの屋上へ着地したMMS、俺と同じストラーフ型のチャーリーが言う。
だが言葉とは裏腹に表情は生き生きとしていた。久しぶりのアウトドアミッションだから無理もない。
「その割りには嬉しそうじゃないかチャーリー?」
「へへ。今回の狐はストラーフだろ?俺たちと同じで高性能だ、久しぶりに狩り甲斐がある。Cドールやポイポイどもはトロくていけねぇ、張りがねぇよ」
”狐”は当然最後には破壊される。
そのためほとんどの場合は中古市場でも売れなくなった旧型の愛玩用や安価な害虫駆除用の機体が使われる。
高価な武装神姫が使われることは珍しい。
今回肩に装備した高感度センサーで眼下の夜景をサーチしながら、自分(ストラーフ)がもう狐に使われるようなロートルになったのかという思いがわいた。
『油断してヘマをするなよチャーリー。俺に恥をかかせたら電源を入れたままスクラップにしてやるからな。』
マスターの声が無線で届く。
『あと120秒センシングして発見できなければ次のポイントへ向かえブラボー。』
「了解。 質問の許可を頂けますかマスター?」
『いってみろ』
「今回の狐について何か情報をお持ちでしょうか?」
マスターの声に首をすくめていたチャーリーがこちらを見た。おかしなことを聞くと思ったのだろう。
「相手は武装神姫です。AIの成長を予測できる情報があれば戦闘を有利に展開できると推察します。」
まるで指揮官機アルファのような事を付け加えた。
自分でも驚いた。
武装もしてない狐役に遅れをとる気など毛頭ないのに。
きっと…
俺が知りたいのは・・・
『油断してヘマをするなよチャーリー。俺に恥をかかせたら電源を入れたままスクラップにしてやるからな。』
マスターの声が無線で届く。
『あと120秒センシングして発見できなければ次のポイントへ向かえブラボー。』
「了解。 質問の許可を頂けますかマスター?」
『いってみろ』
「今回の狐について何か情報をお持ちでしょうか?」
マスターの声に首をすくめていたチャーリーがこちらを見た。おかしなことを聞くと思ったのだろう。
「相手は武装神姫です。AIの成長を予測できる情報があれば戦闘を有利に展開できると推察します。」
まるで指揮官機アルファのような事を付け加えた。
自分でも驚いた。
武装もしてない狐役に遅れをとる気など毛頭ないのに。
きっと…
俺が知りたいのは・・・
どうしてそのストラーフがオーナーに捨てられたのか、だ。
『狐になるという事は使い物にならんという事だ。お前らが危惧するような成長はしていない。安心しろ。』
アルファに聞いたことがある。AIの成長に失敗するケースがあるのだと。
武装神姫でありながら戦闘に怯え、拒むようになるのだと。
アルファに聞いたことがある。AIの成長に失敗するケースがあるのだと。
武装神姫でありながら戦闘に怯え、拒むようになるのだと。
マスターの言葉でその話を思い出すと
不安が嘘のように消えていった。
武装神姫である誇りを忘れ、ただの愛玩人形と変わらん臆病者か。
狐になって当然というわけだ。
俺は違う。
「使い物にならない」事などない。
不安が嘘のように消えていった。
武装神姫である誇りを忘れ、ただの愛玩人形と変わらん臆病者か。
狐になって当然というわけだ。
俺は違う。
「使い物にならない」事などない。
『俺はお前達の成長を信じているからな。失望させないでくれよ、ブラボー。』
マスター・・・
コアのあたりが熱くなったように感じる。
「PiPi!!」
センサーが反応した。チャーリーと視線をあわせる。
「いくぞ、チャーリー!」
人差し指をたてて見せ、反応のあった眼下へスラスターユニット噴かしてダイヴする。
「マジかよ、ブラボー!」
その様に驚きと喜びのまじった声が後に続く。
指1本。
それは60秒で仕留めるという決意。
「PiPi!!」
センサーが反応した。チャーリーと視線をあわせる。
「いくぞ、チャーリー!」
人差し指をたてて見せ、反応のあった眼下へスラスターユニット噴かしてダイヴする。
「マジかよ、ブラボー!」
その様に驚きと喜びのまじった声が後に続く。
指1本。
それは60秒で仕留めるという決意。
- mission complete-