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 伊藤組の朝は早い。
 起床は朝の5時半。
 これは、組長である伊東観柳斎の起床時間でもある。

「……む」
 観柳斎は年齢を感じさせない逞しい男だった。
 盛り上がった筋肉を和服で隠し、蓄えた髭と総髪は堅気の者とは一線を画す雰囲気をかもし出している。
「……組長、おはようございます」
「辰由か」
 観柳斎は、重々しい声で襖の向こうに傅く忠臣の声に答える。
「いつも通り、朝礼は6時丁度に……」
「応」
 午前6時丁度の朝の朝礼は、ここ伊藤組の伝統であった。
「……時に辰由」
「はっ」
 襖越しの忠臣は、観柳斎の言葉に短く答える。
「……今日のワシは如何か?」
「……今日の組長は『絶好調』だと存じます」
「そうか、やはり『絶好調』であったか……」
 うむ。と一つ頷き、観柳斎は身を起こした。
 清々しい朝の始まりである。



鋼の心:番外編 ~Eisen Herz~

伊藤組のとある一日(前編)




 伊藤組の一室。
 20畳を優に超える畳敷きの大広間に、朝礼に参加する組員たちが勢揃いしていた。
 アットホームをウリにするのどかな極道一家ではあるが、序列の上下ははっきりと決まっている。
 上座から下座まで、2列に向き合い列を作り座する組員達。
 組長の座までの距離が、そのまま組内の序列となる。
 その中でも最も組長の座に近い場所に、永倉辰由の姿があった。
「では、これより朝礼を始めます」
 雑談に興じていた組員達も、彼の一言で静寂に還る。
「……」
 すっ、と辰由は深呼吸をし、言った。

「貴様らの特技は何だぁ!?」
『警邏、清掃、老人介護っ!!』
「貴様らの目的は何だぁ!?」
『防火、防犯、町内美化ぁ!!』
「貴様らは極道を愛しているか、伊藤組を愛しているかぁ!?」
『ガンホー、ガンホー、ガンホォーッ!!』

「では、組長からの挨拶です」
 先程の熱狂を何事も無かったかのように流し、辰由は上座を見る。
「うむ」
 一同の視線を一身に受け、観柳斎は重々しく口を開いた。
「今日のワシは、『絶好調』であるっ!!」
『おぉーっ!!』
 沸き立つ伊藤組の組員達。
 これが伊藤組の朝礼であった。

「……何なのよ一体……」
 上座、辰由の対面であきれ返る美空。
 組長の娘である彼女は、立場上辰由よりも上位に位置する。
 まあ、さり気無くその横(上座側)に、フェータ用の小さな座布団(組員手製)が置かれているのは愛嬌。
 なお、客員であるリーナとレライナの席も美空のすぐ横に置かれていた。

「お嬢、そしてちっこい姐(あね)さん。おはよう御座います!!」
 組員達が続々と、美空とフェータに挨拶をしに訪れる。
「おはよう御座います芦屋さん」
「はい、今日もお元気そうで何よりです、ちっこい姐さん!!」
 芦屋と呼ばれた組員が、フェータに微笑まれ強面を綻ばせる。
「おはよう、芦屋」
「はい、お嬢」
 美空相手だと割りと軽い。
「あ、芦屋さん目の下に隈が出来てますよ?」
 フェータの指摘に芦屋は照れたように頭を掻いた。
「申し訳ありやせん。実は新作のRPGに嵌まってまして、徹夜を……」
「ダメです!! 皆さんは体が資本なのですよ!? 風邪でも引いたら如何するのです。……私も心配しちゃいます!!」
「はっ、申し訳ありやせんでした、ちっこい姐さんっ!!」
「もう、めっ!! ですよ」
「ははぁーっ!!」
 フェータの小さな指でおでこを突つかれ、平伏する芦屋。
 伊藤組において、フェータは『ちっこい姐さん』として組員達のアイドルと化していた。

「羨ましいぞ、芦屋ぁ!!」
「畜生~っ。俺もちっこい姐さんに『めっ!!』してもらいてぇ~!!」
「ああ、俺もだ。あのちっこい指で『めっ!!』ってしてもらった時の恍惚感は忘れられん!!」
「くそう、明日は俺が『めっ!!』してもらうんだぁ!!」
 呆れ顔の美空が一言。
「……この変態どもめ」
 と呟いても。
「ああ、いえ。別にお嬢の『めっ!!』では、そういう事無いんで」
「あれはちっこい姐さんだから良いんですよ」
「お嬢じゃなぁ……」
 はぁっ、と溜息を付く始末だった。

「お嬢、宜しいでしょうか?」
「……ん、辰由?」
 誰から殴ろうか考えていた美空は、辰由の声で振り返る。
「組長がお呼びです。奥の間へどうぞ……」
「……げっ」
 美空は、とても嫌そうな顔をした。
 もう、お見せできないのが残念なくらい、嫌そうな表情だった。



「組長。お嬢をお連れしやした」
「ご苦労、辰由」
 観柳斎は床の間の奥で鷹揚に頷く。
「で、何の用よ?」
「うむ」
 若本さん張りの渋い声で答え、立ち上がる観柳斎。
「美空たぁ~ん。今日はパパと遊ぼぉ~」
「ダメ」
「そ、即答だとぉ!?」
「組長、気をしっかり!!」
 よろめく観柳斎をすかさず支える辰由。
「な、何故だ……? 今日は美空たんとオセロでもしようと思っていたのにぃ!?」
「……って言うか、なぜオセロ?」
「だってワシ、囲碁も将棋も出来んもん」
「胸張って言う事か!?」
「……ぅうっ……。辰由ぃ~、美空たんが冷たいよぉ~」
「組長が子分に泣き付くなぁ!!」
「だってぇ~、美空たんが冷たいんだも~ん」
「お嬢、今日は何か用事がおありなので?」
「うん」
 美空は頷く。
「今日は祐一を家に呼ぼうと思って」

「―――何?」

 伊藤観柳斎が固まった。
「お昼までに落ち合って、家に招待するのよ」
「まっ、待て、美空たん!?」
「ん?」
「わ、ワシ、初耳」
「何が?」
「ゆ、ゆういちって、誰じゃ?」
「友達」
「……何と言うか、男の子みたいな名前じゃが、ちゃんと女の子なんじゃろうな?」
「あん? 何言ってるの? 祐一は男の子よ?」
「いあかぁ~ん!! 良いか、美空たん。世の中の男なんて物はな、み~んな美空たんのプリティボディを淫らな目で見る変態ばかりなんじゃ!! そんな不埒な輩を美空たんに近づける訳には行かん!! どうせワシの可愛い美空たんをあんな事して、こんな事して、あまつさえ、せ、せ、せ、接吻を試みたりする淫獣なんじゃ、そんな奴は敵じゃ、敵。パブリックエネミー発生に付き世界の防衛機構がブギーポップとかエクセレントウォーリアーとか英霊エミヤとか絢爛舞踏とか呼び出して大惨事になるんじゃ~」
「組長。既にお嬢が居ません」
「なっ、何じゃと!?」
 『変態ばかり』の辺りで既に姿が消えていた。
「いかん。いかんぞ辰由。組員を召集しろ、伊藤組臨戦態勢じゃぁ!!」
 伊藤観柳斎の暴走が始まった。



「へぇ、お嬢が男を……」
「やるなぁ、お嬢」
「俺、一生男に縁が無いかと思ってた」
「いやあ、目出度い目出度い」
「まさか『あの』お嬢が男連れ込むとは~」
 組員の反応はこんなものであった。
「貴様らぁ~、ワシの可愛い美空たんの一大事に何事かぁ!? 緊張感を持て、緊張感を!!」
「でも組長。ここらで男捕まえとかないと、お嬢一生行かず後家ですよ?」
「いいんじゃ、美空たんは嫁になど出さん!! 幼い頃の約束どおりワシのお嫁さんになるんじゃぁ~!!」
「流石にそれは問題があるような気が……」
 暖簾に腕押し、観柳斎の怒りも組員達には伝わらない。
「組長、ここはこの辰にお任せを……」
「おお、辰由、言ってやれ、言ってやれ」
「はっ!!」
 ここで辰由、コホンと一つ咳払いをして小さな声で呟いた。
「実は……。お嬢から聞いた話によりますと。その島田祐一とか言う少年。フェータさんを裸に剥いて弄り回した事があるとか……」
 ……………。
 ……………。
 ……………。
 ……………。
 ……………。
 ……………。
 ……………。
 ……………。

「……んだとぉ?」

 ポツリと、静寂の中に声が漏れる。
「ちっこい姐さんを、剥いただとぉ!?」
「お嬢はともかく、ちっこい姐さんに不埒な事かましたのか、そのガキャぁっ!!」
「だぁぁっ!? 島田とか言ったな、ごらぁ。落とし前付けさせてやらぁっ!!」
「おう、新井ぃ!! 俺の長ドス出せやぁっ!! そのガキャ斬り刻んで天海の海に沈めてやらぁっ!!」
「チャカだせ、チャカ。蜂の巣じゃそのガキャぁっ!!」
 組員全員大激怒。
 気の早い者は既に懐からドスやら拳銃やらを抜いて臨戦態勢を整えている。
 伊藤組に、にわかに不穏な空気が立ち込めた。
「あれ~、皆さん集まってどうかしましたか?」
「あっ、ちっこい姐さん!?」
 フェータの声にさっと武器をしまう組員一堂。
「あれ? 今拳銃とか、ナイフとか……」
『気のせいです、ちっこい姐さん!!』
 組員の声が一つに揃う。
「でも、確かに……」
『気のせいです、ちっこい姐さん!!』
「そ、そうなんですか……?」
「フェータさん。そろそろ剣術の稽古のお時間かと……」
 辰由が咄嗟に話題を切り替えた。
「あら、もうそんな時間ですか……」
「はい、今日も抜刀の練習をなさるのでしょう? 久々にこの辰が巻き藁を作らせて頂きやす」
「まぁ、ありがとうございます。辰由さんの作る巻き藁は、斬り心地抜群なんですよぉ~」
 こうしてフェータは辰由に連れられ道場へ。
 組員達は、島田祐一対策会議を開始した。



『島田祐一対策委員会本部』
 達筆な筆(観柳斎直筆)でそう書かれた、木の看板の架けられた一室で組員達が頭を寄せあう。
 会議開始から1時間。
 結論として、島田祐一は全殺し。
 屍骸はバラしてコンクリに詰め、天海の海の底に沈める事で話が付いた。
 だがしかし、会議は紛糾する。
「いいか、よく聞け。俺なんかちっこい姐さんにナデナデしてもらった事があるんだぞ!? その恩義に報いる為にも俺が止めを刺すっ!!」
「馬鹿なっ!? 俺はちっこい姐さんに『いつもお疲れ様です』と栄養剤の差し入れを貰った事があるんだ!! その借りをお返しするチャンスを棒に振れと言うのか!?」
「お、俺なんかちっこい姐さんに『サングラスが素敵ですね』と言われた事があるんだぞっ!?」
「なんだと、許さーん!!」
 まあ、こんな感じで、誰が島田祐一に止めを刺すかで揉めていたのだ。
 各々既に、ライフルやら刀やらダイナマイトやらを装備し、これから他所の組か警察にでも殴りこむ気だと言わんばかりの重武装。
 デフコン的には既に『2』だ。
「あら皆さん、また集まって。今日は仲良しさんですね」
「あっ、ちっこい姐さん!?」
 フェータの声にさっと武器をしまう組員一堂。
「あれ? 今ライフルとか、刀とか……」
『気のせいです、ちっこい姐さん!!』
 組員の声が一つに揃う。
「でも、確かに……」
『気のせいです、ちっこい姐さん!!』
「だって、そこに一つ落ちてますよ?」
 フェータの指の先にはAK47、俗にカラシニコフと呼ばれるアサルトライフルが落ちていた。

 こんなの。

 世界に銃は数あれど、このカラシニコフほど普及した銃は皆無である。
 ソ連で開発されたこの銃は、安価で信頼性も高く、異常と言っても過言では無い生産性が特徴だ。
 ちょっとした知識があれば、町工場程度の設備でコピー生産できる程である。
 もちろん、ここ伊藤組でも愛用されていた。

「それ、AK47なんじゃ……」
『……………』
 流石に現物を前にしては誤魔化しきれないか……。
 組員達が覚悟を決めようとした瞬間、彼が言った。
「こ、これ。お菓子ッス!!」
「や、山南!?」
 奴の名は山南三郎。通称サブ。
 若手ながら辰由の信頼も厚い出世頭だった。
「え、でも、これって……」
「お菓子ッス!!」
 山南。それは流石に苦しいだろう?
 組員達の視線がそう告げる中、彼はAK47を手に取った。
 全長90cm弱、重量4kg強。
 ずっしりとした鉄の塊を―――。
「ほら、お菓子なんッス!!」

 ―――山南はバリバリ食べ始めた!!

  ごりゅ、ごりゅ、ごりゅ、ごりゅ。
 銃身を咀嚼し。
  めきょ、ばきっ、めりっ、もぎゅ。
 銃握を噛み千切り。
  べきき、べきっ、ばきょ、ごぎゃ。
 マガジンを飲み込んだ。

 ……言っておくが、普通アサルトライフルは食べられない。

(耐えろ。耐えるッス。自分!! ここで負けたらちっこい姐さんの信頼がパァッス!!)
 山南三郎は顔面を紫色に変色させながらも、金属と硬木で構成されたライフルを平らげる。
(そうッス、自分は『あの』お嬢の料理も完食できた数少ない“漢”ッス!!)
 山南、カッと目を見開き、カラシニコフを食べる速度を上げる。
(そう考えれば楽ッス!! お嬢の料理に比べたらこれは結構イケルッス!!)

 銃床を嚥下し、トリガーガードを飲み込むと、AK47が一丁、この世から消滅した。

 なお、刑事事件の証拠隠滅の方法に『食べてしまう』と言う物がある。
 だがしかし、今までの古今東西、銃を食べて証拠隠滅した者は居ない。
 ……いや、居なかった!!
 そう。
 彼こそが!!
 山南三郎こそが、その最初の一人であるっ!!

 まあ多分、最後の一人でもあると思うが……。

「ほ、ほらちっこい姐さん。お菓子だったッスよ?」
「はへ~、そうでしたか。わたし、勘違いしちゃいました」
「い、いえ。お分かりいただけて何よりッス……」
 山南、脂汗だらだら。
 って言うか、密かに死相出てる、死相出てる。
「あっ!! でもダメですよ、山南さん!?」
「な、なんッスか?」
「それ、皆で食べる筈だったのでしょう? 独り占めはいけません!! めっ!! です」
 フェータの指が山南のおでこを突っつく。
「は、はひ。すみませんッス。ちっこい姐さん」
(うぬぅ、三郎、羨ましい奴……)
(耐えろ、今は奴の所業を称える時だ……)
(山南、なかなかやるな……)
 こうしてまた、山南三郎は伊藤組での評価を上げた。

「フェータさん、訓練お疲れ様です。あちらの部屋に『三直屋』のタイヤキを用意してあります。どうぞお召し上がりを……」
「あら、ありがとう御座います辰由さん。―――皆さんもご一緒に如何ですか?」
 微笑むフェータに組員達が相好を崩す。
「はい、是非ご一緒に!!」
「光栄です!! ちっこい姐さん!!」
「ありがたや、ありがたや~」
「うぅ、ちっこい姐さんとティータイムなんて、これは夢か?」
 沸き立つ組員を前に、フェータは三郎に向き直る。
「でも、山南さんはお菓子を独り占めしてしまったので、ダメです。私が一個では多いので、私と半分こだけですよ?」
 むしろその方が嬉しい。
「流石にそれは許さ~ん!!」
「このやろ、このやろ」
「山南~っ!!」
 山南三郎はタコ殴られた。

「注進、注進!!」
 と、その場に駆け込んでくる組員が一人。
「あっ、これはちっこい姐さん!! 失礼いたしやす!!」
 急いでいてもフェータへの礼は忘れずに、それが伊藤組組員のルール。
「何がありました、服部?」
 辰由が落ち着いた声で問う。
「それが、島田祐一が現れやした。お嬢も一緒です!!」
「あら、祐一さんもう来たんですね」
 ててて、と出迎えに走るフェータ。
 途端に殺気立つ組員を、辰由が抑えた。
「……判っているとは思いますが、お嬢とフェータさんの前で荒事は禁止ですよ?」
「はっ、承知してやすアニキ」
「お嬢はともかく、ちっこい姐さんの前で不埒な真似は出来やせん!!」
「だが見てろ。島田祐一~っ」
「生きて伊藤組の敷地から出られると思うなよぉ~」
『おーっ!!』
 組員は、それぞれに武装を隠し持ち、島田祐一の出迎えに赴いた。






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