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{クリスマスイブにバイトってどうゆう事!?}

「ご主人様~…」
「んだよ、アンジェラス」
「なんで私達こんな所で仕事してるんでしょうね?」
「…聞くな」

俺はカウンター席でダルそうに机に倒れ込む。
アンジェラスも俺のマネをするかのようにうつ伏せで寝る。
そう。
今はとある店でバイトをしている。
しかもタダ働きでだ。
そしてその店とは。

「よぉー、青年よ。しっかり働いているかぁー?」
「…都」

そうです。
今俺がバイトしてる店は都の本屋だったのだ。
これ言うのは二回目だが、タダ働きでだ。
そしてな~んでこんな事になってるかちょっと回想してみようか。
…あんまり回想したくないのだが。


事件は一週間前に起こった。
事件が起きた当日。
その日は俺とアンジェラス達と一緒に都の店に行った。
都の店はあんまり人気が無いというか品揃えが悪いのか知らんが…一言で言えば、客が入らない本屋なのだ。
まぁ~でも、そのおかげで俺が欲しい本が大抵手に入るので嬉しい。
そしてこの日難なく目当ての本を買って帰る予定だったのだが…。
…そうはならなかったんだなぁ~これが。
事の発端はこうだ。

「店員さん。この本欲しいんだけど、いくら~?」

クリナーレが自分目当ての本をカウンターに持って行き店員に言う。
でもって、その店員が。

「………」

都の神姫、ストラーフ型のノワールである。
このストラーフはまた変わったストラーフでね、俺のクリナーレと違って無口…と、まではいかないが結構喋らない奴なのだ。
そして今のノワールはカウンターの店員側の隅っこあたりで自分が読みたい本を読んでいた。
まさに堂々としたサボタージュだ。
あ、因みにサボタージュというのは省略するとサボりの意味だよ。

「お~い、店員さん。無視してないで仕事しろよー。この本はいったいいくらなんだよ」
「………」

クリナーレの掛け声にうんともすんとも言わないノワール。
このノワールの態度にクリナーレはだんだんと腹が立っていくのは言うまでもない。

「もう一回言うぞ。この本はい・く・ら・な・の!」
「………はぁ~」

大きな声で言ったクリナーレの言葉に溜息をはくノワール。
そして気ダルそうにカウンターの右の方にあるレジの所までトコトコと歩き、商品についてるバーコードを読み取るバーコードリーダーを持ってくる。
ほんでもってノワールはクリナーレにバーコードリーダーを渡す。
クリナーレは漫画的に言うと頭の上に『?』←このクエスチョンマークを三つ程浮べているに違いない。
ノワールというとささっと自分の持ち場に戻り本を再読しはじめる。
サボり再開、と言ってもいいだろう。

「なんだこれは?」

首を横に傾げながらクリナーレはノワールに訊ねる。
するとノワールが。

「…それで自分で調べろ」

とかなんとか言っちゃってくれるもんだから、ここからさぁ大変だ。
クリナーレはプルプルと小刻みに震えながら怒りのボルテージが上がっていく。
そして。

「ギャース!何様のつもりなんだお前はー!!」

ガスッとバーコードリーダーをカウンターに投げつける。
怒りゲージフル満タンだー!

「おい!聞いてんのか!?」
「………」
「シカトするな!」

ドガッ!

ノワールが読んでいた本を蹴り飛ばすクリナーレ。
この行為はさすがのノワールもキレたらしく立ち上がりキッとクリナーレを睨みつける。
クリナーレは右手を中指だけ起ったて『ファック!』てな感じに挑発する。
ノワールも挑発を返すように親指だけ起ったてて、下に向け『ファック!』てな感じに挑発した。

「上等!」
「…倒す」

二人は敵意むき出しにし喧嘩しはじめた。
お互い武器とかなんにも武装していないのでただの殴りあい。
子供の喧嘩に等しいのだが。
そんな二人が喧嘩場所を移しカウンターから降りる。
店の中全体が彼女達のバトルフィールドなのだ。

「この!クラエー!!」

ポイポイと店の商品である本をノワールに投げつけるクリナーレ。

「…ヘタクソ」

飛んでくる本を難無く避けるノワール。
避けられて本はそのまま重力によって地面に落ちて汚れたり、壁にブチ当たって折れ曲がったりする。
埒があかない、と思ったクリナーレは本を投げつけるの止めて、ノワールに突進した。
ノワールも接近戦に持ち込もうとしたクリナーレに察し同じくクリナーレに突進する。

「デヤァァァァーーーー!!!!」
「…これで、おしまい!」

お互いが右手を拳にし突進する!
そして互いの間に入った瞬間拳を放った!

バキッ!
バキッ!

なんとクロスカウンターし、引き分けになってしまったのだ。
互いの顔は敵の拳によって歪み酷いツラになっている。
そしてこのクロスカウンターが大ダメージだったのか、そのまま二人は気絶して一緒に横に倒れる。
結果的に勝負は引き分けになり、二人が気絶から回復して最初に見たのは困り果ててる都に、いかにもこれから叱ろうとしている龍悪がいた。

「アニキ!これには訳が!!」
「あ~ん?なんだ??言い訳でもあるのか、クリナ~レ???」

ギラッと龍悪に睨みつけられるクリナーレ。
あまりにも鋭い目にクリナーレは『ごめんなさい』と謝り、頭をたれる。
都の方もなにかしらノワールに注意している。
龍悪の右肩にアンジェラスとルーナが溜息をつきながら『しょうがないなぁ~』という顔をしていて、左肩にはクリナーレの事を心配そうな目つきで見て、龍悪の肩から降りクリナーレの元へ行き元気付ける
それから二人から事情を聞き結論的に喧嘩両成敗になった。
一応、この結論で皆は納得して終わったが…。
一番被害を受けたのは店長の都だ。
二人が暴れたおかげで店の中はグチャグチャ、まるで台風が通り過ぎていったような惨状だ、と言ってもいい程だ。
そこでいち早く察知した龍悪。
内容は都に賠償金や整理整頓をさせられる、という事だ。
だから龍悪はクリナーレを頭に乗せ、パルカを胸ポケットの右に入れ、アンジェラスを右肩に、ルーナを左肩に座らせ、さり気無く店から出て行こうとした…が。

「ちょっと、待て」

ガシッ、と空いた左肩を都の手に掴まれたのだ。
掴まれた瞬間、龍悪の頬に冷や汗が垂れる。

「このまま『はい、またご来店ください』て言う訳にはいかないよ」

恐る恐る、都の方を向く龍悪。
そして案の定。

「弁償♪してくれるよな?」

都はニッコリ笑っているが都の背中からどす黒いオーラ出ていた。
内心はもの凄く怒っているのだ。
そんな都の気持ちを察した龍悪は。


「まぁこいう事になっちまった訳だ」
「はぁ~、クリナーレには困ったものです」
「同感だ」
「こらこら青年。サボって無いでちゃんと仕事しなよ」
「うっさい、それと青年言うな」

俺の右肩をポンポンと叩く都。
あのさぁ都、俺は仕事に対しては真面目に働く奴だぜ。
でも、バイト代が出ないバイトのなんかやってられるかよ。

「そ~嫌そうな顔をするなよ。後一日、明日で最後なんだからな」
「それまで散々こき使った癖に、よく言うぜ」
「しょうがないだろ。ノワールも悪いけど、私の店をメチャクチャにしたのは天薙のクリナーレの責任でもあるんだから」
「ヘイヘイ、そうですね」
「分かればよろしい。それじゃあこの箱に入ってる本を取り出して、それぞれのジャンルの本棚に置いといてくれ」
「だぁ~、カッタルイぜ。はいよ」
「頼んだぞ」

都はそう言うと奥の部屋に入って行った。
俺は頭を掻きながら箱の数を数える。
1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11…。
11先からの数は数えたくなくなった。
だって、多いんだもん。
いったい何箱あるんだよ。

「ご主人様、箱の数は役四十」
「言うな。言うと俺はサボるぞ」

右肩にいるアンジェラスが数を言うまえに俺は制止させた。
数を聞くと気が滅入るからだ。
こいう時はひたすら仕事して終わった時の方が気分的に楽。
数を知ってしまうと『あと何箱?』と、数の事を考えてしまう。
もし、そこでまだ沢山箱があると気分的にやる気が減ってしまうのがメに見えてる。

「アンジェラス、パルカを呼んでこい」
「はい。でもこいう事はルーナも呼んだ方がいいんじゃないですか?飛行能力が高い方が仕事がすぐ終わると思うのですが」

確かにアンジェラスの言ってる事は正しい。
けどそれだと…。

「じゃあ店の掃除をしているノワールとクリナーレだけにしてみろ。このバイトの原因二人組みの仲裁に入る奴が居なくなるぞ」
「…あははは、またくだらない事で喧嘩なんかしたら大変ですもんね」
「だろ。解ったら呼んでこい」
「はい」

右肩からリアウイングM‐88対消滅エンジンを使って飛ぶ。
俺はアンジェラスがパルカを呼んで来るまで少しでも仕事をしようと箱を開ける。
そこへ都の神姫のハウリン型のハウがやって来た。

「ご苦労様です、龍悪さん」
「ん、ハウかぁ。何しに来たんだ?」
「こっちの仕事が終わりましたから龍悪さんの方を手伝おうと思いまして」
「オッ!そいつは嬉しいな。じゃあ一緒にこの箱に入ってる本を並べようぜ」
「うん!」

俺は箱から本と幾つか取り出す。
ハウはいつの間にか俺の右肩に乗っていて本を持とうとする。
そんなハウを見て、二冊程ハウに渡す。

「お前、いつの間に俺の肩に」
「え?だって龍悪さんの肩って指定席みたいだったから」
「指定席?なんのこっちゃ??」
「龍悪さんはいつもアンジェラスさん達を肩に乗せてるじゃないですか。だからアタシもこの場所にいた方がいいのかなぁ~、と思って」
「あぁ~、そいう事ね。別に指定席でもなんでもねぇーよ。ただたんに俺がそこに居てくれたら邪魔にならなくていい、というか…う~ん、正直解らん。て、そんな事どうでもいいから仕事するぞ」
「は~い」

俺は商品が並べられてる本棚に向かい手に大量に持っている本をジャンルごとに入れる。
ハウも自分の本を入れたら俺が持っている本を取り次々と本棚に入れる。
うん、かなり手馴れているみたいだな。
神姫のくせによく頑張る。

「龍悪さん、次の本棚に移動しましょ」
「あ、おう。そうだな」

ハウの言う通りに次の本棚に移動する。
どうやら俺は少しハウに見とれちまったかも。
犬型も中々いいかもしれない。

「ご主人様~!」
「お兄~ちゃん!」

俺の左耳に二種類の大声が聞こえた。
左耳を左手で押さえながら左肩の方を見ると、そこに居たのはアンジェラスとパルカだった。

「ウオッ!?なーんだ、お前等かよ。つか耳元で叫ぶなよ」
「ご主人様、さっきハウさんに見惚れてたでしょ!」
「エッ!?別に、そんな事あるわけないだろ。それにオーナーは都だぜ」
「でもお兄ちゃん、ハウさんの方をジーッと見ていて仕事の手が止まっていたよ…」

ウグッ…パルカの奴、鋭いなぁ。
ていうか、なんでそんなに怒ってるんだよ。

「あ、アンジェラス達も来てたんだ。早く仕事を終わらせて休もう♪」

ハウがニッコリと笑いながら場を和ませる。
そんなハウの無垢な笑顔を見た二人は機嫌を直したのか、俺の左肩に座り仕事の方に専念してくれた。
フゥ~これでなんとか修羅場(?)を回避できたのか?
兎に角、なんだか助かった気分だ。
まぁここから話す事はあんまりないだろう。
話す事を強いていうなら、無事仕事をやり遂げ、帰宅して疲れた体を休ませる事ぐらいかな。
死んだように眠ったのは言うまでもない。
…。
……。
………。
そして翌日、バイト日最後になった。
俺は昨日早く死んだように寝たので、朝早くに眼が覚めてしまったのだ。
ベットでボーッとするのもいいかなぁ~と思ったが、今日はバイトの最終日。
それと同時にクリスマスイブだ。
まったく、今考えればクリスマスイブの日にバイトというのはちょっと許しがたいなぁ。
でも、責任はちゃんと取らないと、次都に会う時あの口から俺に対する皮肉が何連発出るのやら…。
…あ~、うん、考えないほうが自分のためかもしれない。
気分転化に窓を開けてみた。
そして俺が見た風景は。

「…マジかよ……」

白銀の世界が広がっていたのだ。
要するに雪が降っていた。
しかもこれが最悪な事にかなり積もっていやがる。
地面から高さ30センチはあるかもしれない。

「こりゃ、タイヤに鎖をつけないと不味いなぁ。運が悪かったら歩いて都に本屋まで…はぁ~、ダル過ぎる」

ガクッと頭を下げる。
子供だったら元気よく外に飛び出して遊びに行く所だが、俺はもう大人に近い年齢。
そんなハシャグ年じゃないし、寧ろ雪を見るとうんざりする方だ。
寒さはよりいっそう強くなるし、車の運転がしづらくなるし…言い事なんかまるで無い。

「朝飯でも作ろう…」

ベットから出て一階にある台所に行き、食パンを齧る。

「モグモグ、ゴックン。う~ん、クリスマスかぁ。そうい~や、クリスマスプレゼントの用意していなかった」

ちょっと困った事になった。
ここんと頃、忙しくて全然考えてなかったぜ。
今から買うに行っても遅いし、何を買えばいいのかも解らない。
う~ん…どうしよう。
食パンを銜え、腕組しながら考える。

「…あっ!そうだ!!」

俺は銜えていた食パン見て、我ながらナイスなアイディアを閃いたのだ。
答えは『飯』だ!
食い物をプレゼントにしよう。
材料なら毎日商店街まで行って買うのが面倒なので、買いだめしているから食材は大抵ある。
そして今日はクリスマス。
クリスマスと言ったら、女の子が大好きなケーキに決まりだな。
よ~し!
今日はイッチョ、頑張って作ってみますか!
…。
……。
………。

「お~い、都。これ、冷蔵庫に入れてもいいか?」
「別に構わないけど、何それ?」
「ん?フッフッフッー、そいつは時がきてからのお楽しみってやつさぁ。さぁーて、バイトバイトっとー」
「はぁ?変な奴」

俺は店のカウンター席に行き、いつものように客が来るまでダラダラとする。
今日でバイトが最後、どうせなら最後は最後らしくパーッと華やかに締めくくるものさぁ。

「ご苦労様、天薙さん」
「…お疲れ」
「オッ。ハウにノワール、お疲れ~」

カウンターの机の上をトコトコと歩いてくるハウとノワール。
ハウはいつもどうりの上機嫌でノワールも相変わらずの無表情。
前から思うのだが、ノワールは悪魔型なくせに標準的な性格が違うとこうも印象がガラリと変わるとなんか新鮮だな。
でも、それがいいかもしれない。
皆、同じ性格だったら味っけないし気持ち悪い。

「先程、マスターの冷蔵庫に何か箱を入れていたみたいですが。あの箱はなんですか?」
「ハウも都と同じ質問かよ。安心しろ、爆弾とかじゃないから」
「…爆弾だったら困るのですけれど」
「だから冗談だって」

真正直に信じるなよ。
純粋すぎるぞ、ハウ。

「いいですね~、ご主人様とハウは~。どうせ私達は蚊帳の外ですよ~」

実は先程から両肩にアンジェラス達が座っているのだ。
どうやら昨日の一件から不貞腐れてるみたい。

「そ~しょげるなって。別にただたんにハウと喋っていただけじゃないか」
「でーもー…」
「はいはい、後でイイ事してやるから機嫌直してくれや」
「う、うん!」

アンジェラスの頭を撫でててやる。
すると、頬を桃色に染めながらウットリするアンジェラス。

ガー!

店の自動ドアが開いて音が聞こえたので仕事の方集中する事にした俺は営業スマイルで。

「いらっしゃいませ~」

まぁ~、こんな感じに言った。
普通はここでコンビニとかだったら素通りなのだが、このお客様は違った。

「あぁ~!何でここにいるのよー!」

人差し指で指されながら叫ばれてしまった。
変な事したか、俺?
ほんでもってお客様のツラをよく見ると。

「な~んだ。都の妹、七瀬春奈かい」

そう、都の妹にしてなにかしら俺の事を敵意があるような目で見てくる奴だ。
そしてその妹さんの隣にいたのは。

「ども…こんにちは、です」

妹さんの事がLOVEな八谷良平。
相変わらず、俺にビクビクした物腰だ。
もっとフレンドリーに接してきてもいいのに。

「なんでお姉ちゃんの店にアンタがいるのよ!」
「見て解らないのか?バイトだよ、バ・イ・ト。ちょっとしたことからバイトする羽目になっちまってさぁ」
「…ちゃんと働いてるの~?」
「もちのろんろん。お前の姉貴にこき使われてるよ」
「ふ~ん。お姉ちゃんに聞けば分かるか。お姉ちゃんー」

都がいる奥の部屋に春奈は行ってしまった。
『お姉ちゃんに聞けば分かるか』というセリフをはくのなら最初から訊くなよ。
もろ俺の言葉が信用してないのがバリバリ伝わってくるぜ。
はぁ~、信用されてないなぁ俺。

「…あの~…」

八谷が俺に尋ねてきた。
いったいなんの用事だろうか?

「この前のチケット、ありがとうございます!」

深々と頭を下げてお礼を言う八谷。
うんうん、礼儀正しい事は良い事だ。
おっそ~だ。
ちょっとからかってみよ~っと。

「なぁ八谷~」

両肩に居る俺の神姫達を下ろしてカウンター席から離れ八谷に近づき、ガシッと八谷の右肩に俺の腕を回す。
その時に八谷がビクッと震え上がる。
そんなにビビらなくてもいいじゃん。

「お礼を言うぐらいなら一つ教えてくれ」
「なっ…何ですか?」
「決まってるだろ。ホテルで交尾したか?」
「エエエエェェェェーーーーモゴモゴッ!?!?」

八谷の口に俺の左手で覆い被せるように声を遮る。
まさかまた、叫ぶとは思わなかった。
このベタベタな展開は前の夏休みにバトルの帰りと同じじゃないか。

「バッカ!声が大きい!!」
「ごっ!?ごめんなさい!」
「まったく…テメェはいまだにヘタレなのかよ。はぁ~、春奈が可哀想だ」
「そ、そんな事言われても…」

俺はグイッと八谷を引き寄せ格好つけて言った。

「いいか。時に強引というものが必要だ!」
「え、はい?」
「でもレイプ駄目だぞ!ちゃんと二人が愛し合っているのなら文句無し!SMプレイだろーとマットプレイでも何でもいい!!」
「は、はい!でも、なんでエッチしてない、て分かったんですが?」
「バーカ!俺をだと思ってんだ?テメェ等見た瞬間にビビッとくるんだよ!!処女臭と童貞臭がな!!!」
「いやな臭いの嗅ぎ方ですね」
「余計なお世話だ。兎に角、今度はホテルにでも誘ってヤッちまえよ!大丈夫、春奈だったらお前に身も心を預けるさ!!」
「で、でもさっきレイプは駄目だって」
「馬鹿野郎!レイプと強引は似てるようで違う!!レイプは英語表記でrapeだ。つまり英語なの。日本語は強姦というじゃん。ほらここで漢字も意味が違う。強引は時にはいいんだよ!!!」
「けど、やっぱり強引はちょっと…」
「このヘタレが、素直になっちまえよ!交尾!!子作り!!!セックス!!!更に言えグバァハー!?!?」

天薙は叫びながら店の中で倒れた。
そして後頭部には神姫用の弾が転がる。
八谷は弾が飛んできた方向を見ると。

「昼間から、なんて事を口走っているのよ!このエロ馬鹿!!」

顔を林檎よりも真っ赤にした春奈が仁王立ちしていて、そのすぐ近くにはサラがいた。
サラの両手に持っていたのはスイングアウト式多目的グレネードランチャー。
弾の種類は鉄鋼杭弾、いくら神姫用の弾だからって、頭は不味い。
しかも後頭部だ。

「八谷、変な事吹き込まれてないよね?もし吹き込まれても絶対信じちゃ駄目だから!ぐ、具体的には~…その~…」
「無理しなくて言わなくてもいいよ」

内容が内容なので春奈もストレートに言えない。
八谷は察して春奈を落ち着かせる。

「ご主人様~大丈夫ですか~?」
「駄目だこりゃ。完全にノびちゃってるよ」
「でもダーリンの事だから後、数分もすれば復活しますわ」
「このまま倒れぱなしはよくないので運びましょ」

天薙の神姫達が両腕と両足を持ちカウンター席にある椅子に無理矢理座らせる。
勿論、バランスがあいまいなので上半身だけ前のめりになりそのまま。

ゴン!

カウンターの机に顔面直撃した。
天薙の神姫達が思わず『あっ』と一斉に言う。
でも天薙は沈黙を守ったまま。
どうやらまだ気絶しているみたいなので天薙の神姫達はホッとする。

「天薙さん、大丈夫ですか?」

八谷は心配そうに言うと天薙の神姫のアンジェラスが。

「大丈夫ですよ、ご主人様は頑丈ですから。それに非はこちらにあるので心配する必要もないですよ」
「あはは…じゃあ天薙さんによろしく言っといてくれませんか?」
「はい、言っときます。八谷さんは優しい人ですね♪」

八谷は苦笑いしながら春奈の方に行き、そのまま二人は都の部屋に行った。
それから数分後。
本当に天薙はガバッと上半身だけ起き上がらせ周りをキョロキョロする。
自分の居場所が確認出来た同時に不意に後頭部に痛みが走った。

「イテテテッ。ヴァ~なんか後頭部が痛いんだけど…何があったか教えてくれないか?」

自分の神姫達に訊いてみるとアンジェラスが深い溜息を吐いた後にこう言った。

「ご主人様が極度のセクハラ説を唱えてたから気絶するはめになったです」
「はぁ~?意味解らん。まぁいいや、後はバイト終わらせてお楽しみタイムに入るだけだから」
「お楽しみタイム?何するんですか??」
「それは夜のお楽しみって奴だよ、アンジェラス」
「はぁは~…」

俺の言葉をまるで理解していないアンジェラスは首を傾げていたが、そのうち解るだろ。
夜になればな。
…。
……。
………。

「天薙、ご苦労さん。もう上がっていいぞ」
「ん?そうなのか??あ~、これで明日からゴロゴロできるぜ。と、その前に」

俺は自分の神姫達を両肩に座らせてかうんたー席を離れ、都の部屋にある冷蔵庫の目の前に行く。
都の部屋に八谷と春奈がいた、いきなりの乱入者の俺に睨みつけてくる春奈。
俺はシカトしながら冷蔵庫の中に朝入れた箱を取り出す。

「朝から思っているがそれはなんだ?」

都は俺が持っている箱に豪く好奇心旺盛だった。
俺はフッと都にニヤついて見せると首を横に傾ける。
中身が予測不可能なのだろうか、全く解らないみたいだ。
そうじゃないと面白くない。
開けて見て吃驚、玉手箱並みの驚き見せてくれないとツマラナイからな。
でもそろそろ中身を教えてやるか。
都の部屋は広く、食堂、つまり台所と直結しているので食堂テーブルにはすぐ行けた。
しかも食堂テーブルの椅子は四つあったから丁度人数が合う。

「そんじゃあ、都、春奈と八谷。このテーブルの椅子に座ってくれや」
「なんで、アンタに命令されなくちゃいけないのよ!」

春奈がくってかかってきた。
まさか、八谷に教えたあの力説に怒ったのは春奈かもしれない。
俺が襲撃されてから眼が覚めた間の記憶が素っ飛んでるからな。

「あっそう。じゃあ春奈無しだな。あぁ~あ、本当に残念だ」

心底残念そうな顔をしながら言う。
すると春奈は俺の顔を見て箱に興味示したのか、無言で椅子に座った。
八谷はその隣に座り、都は春奈の向かい側に座る。
俺も都の隣に座り、両手で箱を開けようとした。
こう言いながら。

「メリークリスマス!」

ガバッと箱を開けるとそこには大きなホールのホワイトケーキが存在していた。
俺の自作ケーキ。
今日の朝、フと思って即席で作った物だが、このケーキは少し自信がある。
三人とも驚きの表情でケーキを見てくれたので俺も嬉しい。
けど春奈が。

「毒でも入ってるんじゃないの?」
「だぁーもう!俺が嬉しがっているひと時に水を差すじゃない!!」
「だってアンタなんだもん。信用できないし、今ダイエット中なの!」
「はいはい。なら食わなくていいよ。俺が考えたこの特製ケーキは、低カロリーで太りにくいケーキなのになぁ~」

ピクッと春奈の右眉毛が動く。
おっ脈ありか?
ならカロリーの数値も言ってやるか。

「なんと1グラムあたり1カロリー!」
「なんですって!?」

春奈が驚愕して椅子から立ち上がる。
いや、そこまで驚かなくてもいいじゃん。

「そ、それは本当なの?」
「食い物の事で俺は嘘つかねぇ~よ。ましては皆に食べてもらうんだから常識でもあり礼儀でもある」
「パク、モグモグ。お、これは美味しい!天薙はよくこんな美味い物が作れるなぁ」

都が人差指でケーキの上に乗ってるクリームだけぺロッと舐めて味見しやがった。

「おいおい、まだ皆に分けてから食えよ」
「だって春奈との会話が長いから待ちきれなくてさぁ」
「はぁ~まぁいいか。まぁこれで少なくとも味の保障になったろ、春奈」
「うん、早く包丁で切り分けなさい!」

元気よく春奈はまだかまだか、と俺を急かす。
俺は立ち上がり俺達人間の分とそれぞれの神姫達にもケーキを分ける。
結構人数がいるので分けるのは一苦労したぜ。
ほんでもって最後にケーキを渡す時、小声で八谷にこう言った。

「お前の苦労すると思うけど、頑張れよ」

すると八谷は苦笑いした。
俺もつられて苦笑いする。
それと最後の自分のケーキを分けて席につき人間四人と神姫八人で仲良くケーキを食べた。
こうして俺の都の店でバイトする日が終わる。
クリスマスの経験には楽しい事も辛い事もあるが、今回のクリスマスは楽しい方だな思った。






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