日常の2
今日も天気の良い日です。お早うございます、結です。
祝日の公園で談笑するご老人達とご近所の猫達。微笑ましい限りですね。
「平和ですね。・・・・私以外」
「ねー、話聞いてるー?」
私の尻尾を引っ張っているのはこの前お仕置きしたマオチャオの「チロル」さん。
「ねー。相手してよー」
「ですから私には巫女としての仕事があるんですって」
あー、つまりはこういう状態なのです。
朝方に来られて以来ずっとこうでして・・・
至る経緯は言うまでもなく彼女を倒したからです。
あれから暫くは持参した巻き藁ならぬ巻きダンボールで練習されていたんですよ?
でも直ぐにボロボロになって壊れるので制作時間の方が長くなるし、爪はダンボールまみれのセロテープまみれになるで止めたそうです。もう少し丈夫なのを用意すれば良いのでは?と提案すると一言「面倒くさい」との事。練習道具に面倒って・・・と思いました。とても。
その後どこからともなく拾って来たらしき木材の端っこで練習を続けていました。そして手応えを感じたのか私に挑戦してこられたのです。
勿論お断りしました。今の時期は参拝客様や受験の学生さんで仕事が増えますし巫女である以上神事を優先させるのは当然、更にはご主人に任されているのですから。つまりは私事よりもお勤めって事です。
「すいませ~ん」
「はい、只今参ります!」
どうやら参拝客様がいlらっしゃったようですね。
「それでは私はこれで」
「待ってよー!」
渋る彼女を置いて社務所へと。
「ご用件は何でしょうか?」
「わー、神姫の巫女さんだ」
女学生さんが嬉しそうに微笑まれます。
「萌える~」
ほ、微笑まれてます。少々怪しいですけど・・・
「あの、」
「・・・・Σはっ、えとお御籤引きたいんですけど」
「はい、少々お待ちを」
社務所の中からお御籤箱を取り出し彼女に渡します。普通のは重いのですがここの神社の物は私でも扱えるようにと軽く作ってあるのです。これも皆ご主人御一家のご好意、ありがたい事です。
「・・・・っと、22番です」
「はい・・・これですね。良い事がありますように」
手渡したそれを開けば?
「小吉か。んー微妙」
「でも大吉で大きく運を使うより少しずつでも幸せの続く小吉が良い。とされたりしますよ」
「そうなんだ」
「はい。だからいい事ありますよきっと」
「ありがと」
満足そうに帰っていく学生さんを見送くると社務所に声が響きます。
「仕事終った?なら相手ー」
「・・・一日お勤めありますって」
その後もずっと付いて周り仕事を終える度に同じ質問をし、をくり返す事半日間。
とうとう時刻は6時を超え夕陽が境内を朱色に染め始めました。
「ね~え~」
「頑張りますねぇ。そろそろ帰らないとマスターさんがご心配されますよ?」
半日以上外出したままでは拙いでしょうと。
「だって~」
「それにこれから母屋で皆さんのお手伝いがあるのですよ」
「む~、一日中ダメじゃん!」
「だから朝お話したじゃないですか」
何としてでも対戦したいらしいです。
「あー!、居た!」
石段から息を切らせた声に振り向けばそこには二人の学生さんがいらっしゃいました。
「探したんだよ!こんな遅くまで出歩くなんて!」
「ごめんなさ~い・・・でも、どうしてもやりたい事があるんだよ・・・」
来られたのはチロルさんのマスターさんのようです。お連れの方はお友達でしょうか。
随分心配したのか怒ったような安心したような複雑な表情でチロルさんを抱き上げます。
「で、やりたい事って何?」
「巫女さんと勝負!」
やる気満々で宣言する彼女、その言葉にマスターさんが困惑し私を見ます。
「君が巫女さんでいいんだよね?」
「はい。巫女をしております結と申します」
そして頭を下げられました。
「ごめんなさい。この前チロルが迷惑かけたそうで」
「いえいえ、松も問題ないようですし以来彼女も注意を守ってくれてますから」
「そっか」と優しげに微笑えむマスターさん。
「何かあったか?」
学生さんの後ろから私服のご主人が来られます。朝からお出かけされていたのですが、タイミングが良いです。
「お帰りなさいませ。以前話した方のマスターさんが来られたのですよ。それで件の事を」
「ふむ、律儀だね君。気にしなくていいよ」
野良も爪研ぐしとカラカラ笑うご主人。野良猫と神姫とじゃその深さが違うのですがねぇ・・
「でもそれだけの為に今時分まで?」
「それはウチの神姫、チロルっていうんですけど彼女が帰ってきてなかったから探しに来たんですよ」
「で、その彼女がここに居るって事はリベンジかな?」
流石はご主人話が早いです。
「そうなんですけど。こんな時間ですし急な事で彼女も都合とかあるでしょうし・・」
「どうなんだ?」
「そうですね。家事の手伝いがありますし」
「さよか。なら明日試合と行こう」
・・・なんですと?
「あのご主人?」
「ん?」
「明日もお勤めはあるんですけど?」
「あー、三連休だしその時間くらいつくってやるよ」
抱え上げられ頭を撫でられてしまいます。あー、何と言いますかこれ以上は無粋のようですね。折角ご主人がお時間を割いて下さるのですしチロルさんも納得されるますし、私も楽しめますし。
「判りました。では明日の午後に」
「無理言ってすいません。ほらチロルもお礼言いな」
「ありがとー!」
満面の笑みですよ彼女。
「雪辱は返すからね!」
「残念、雪辱は果たすものですよ」
マスターさんとお友達を見送るとご主人と母屋へ。そのまま宮司さんと奥さんに何か告げ私は連れられるままガレージに行く事になりました。
「家事の方はいいんでしょうか?」
「問題なし。二人とも頑張れってさ」
何でしょう?明日の話にしては少々早いですし。
「新装備造ったからその試し。良ければ明日実装するからそのつもりでな」
「そういう事ですか」
納得です。その為に工房になっているガレージ行きになったんですね。
このご主人、仕事柄手先が器用で時々神姫用のパーツとかご自身の車のパーツを自作されているのです。工具も本格的なもので仕事場の払い下げ品などを引き取ってくるんだそうです。流石は本職、神姫パーツ開発会社の工場で働いているのは伊達じゃありません。
そんなご主人が趣味と実益を兼ねて私の装備を造って下さるのですよ。
バトル対応の生地を使った巫女服とアンクルブレードと同等の強度の仕込み竹箒に更に強度の高い金属で造られた玉串ロッド。この三つが今の装備です。
全てそういう事なのは「巫女さんしてるんだし相応なのがいいだろう」との事。トータルコーディネートというものなのでしょうか?
何にしても私のお気に入りです。
「今回はどのような物ですか?」
「こんなの」
机に置かれたのは吠莱壱式くらいの六角形の物でした。私はこれにとても見覚えが有ります。
「お御籤箱ですね」
「そうそう」
まごう事無きお御籤箱、よく見れば側面にグリップがありました。どうやら射撃装備のようです。
「一定の確率でアタリが出るようになってるから」
「どうなるんですか?」
「爆発する。勿論殺傷まではいかないけど気絶はするな。確実に」
「とんでもないですね。装填数はいくつですか?」
「7発。因みに大吉と大凶がアタリで吉、中吉、小吉、凶、小凶とが通常」
中々な確立ですね。
手にしてみれば見た目よりも軽く吠莱壱式より軽いくらいでした。これならば振り回せそうですね。
「明日には間に合いそうにないけどリアパーツも開発中だから期待しててくれ」
「ありがとう御座います。楽しみです」
その後装備の訓練をし明日に備えて早い目に休む事にしました。
そういえば家事をしていません。それが心残りですが宮司さん達も応援して下さいましたしここは甘えておきましょう。
明日も晴れるように願いをしつつクレイドルに身を横たえるのでした。
現在装備
巫女服 ×1
仕込み竹箒 ×1
玉串ロッド ×1
御籤箱ランチャー ×1
今日も天気の良い日です。お早うございます、結です。
祝日の公園で談笑するご老人達とご近所の猫達。微笑ましい限りですね。
「平和ですね。・・・・私以外」
「ねー、話聞いてるー?」
私の尻尾を引っ張っているのはこの前お仕置きしたマオチャオの「チロル」さん。
「ねー。相手してよー」
「ですから私には巫女としての仕事があるんですって」
あー、つまりはこういう状態なのです。
朝方に来られて以来ずっとこうでして・・・
至る経緯は言うまでもなく彼女を倒したからです。
あれから暫くは持参した巻き藁ならぬ巻きダンボールで練習されていたんですよ?
でも直ぐにボロボロになって壊れるので制作時間の方が長くなるし、爪はダンボールまみれのセロテープまみれになるで止めたそうです。もう少し丈夫なのを用意すれば良いのでは?と提案すると一言「面倒くさい」との事。練習道具に面倒って・・・と思いました。とても。
その後どこからともなく拾って来たらしき木材の端っこで練習を続けていました。そして手応えを感じたのか私に挑戦してこられたのです。
勿論お断りしました。今の時期は参拝客様や受験の学生さんで仕事が増えますし巫女である以上神事を優先させるのは当然、更にはご主人に任されているのですから。つまりは私事よりもお勤めって事です。
「すいませ~ん」
「はい、只今参ります!」
どうやら参拝客様がいlらっしゃったようですね。
「それでは私はこれで」
「待ってよー!」
渋る彼女を置いて社務所へと。
「ご用件は何でしょうか?」
「わー、神姫の巫女さんだ」
女学生さんが嬉しそうに微笑まれます。
「萌える~」
ほ、微笑まれてます。少々怪しいですけど・・・
「あの、」
「・・・・Σはっ、えとお御籤引きたいんですけど」
「はい、少々お待ちを」
社務所の中からお御籤箱を取り出し彼女に渡します。普通のは重いのですがここの神社の物は私でも扱えるようにと軽く作ってあるのです。これも皆ご主人御一家のご好意、ありがたい事です。
「・・・・っと、22番です」
「はい・・・これですね。良い事がありますように」
手渡したそれを開けば?
「小吉か。んー微妙」
「でも大吉で大きく運を使うより少しずつでも幸せの続く小吉が良い。とされたりしますよ」
「そうなんだ」
「はい。だからいい事ありますよきっと」
「ありがと」
満足そうに帰っていく学生さんを見送くると社務所に声が響きます。
「仕事終った?なら相手ー」
「・・・一日お勤めありますって」
その後もずっと付いて周り仕事を終える度に同じ質問をし、をくり返す事半日間。
とうとう時刻は6時を超え夕陽が境内を朱色に染め始めました。
「ね~え~」
「頑張りますねぇ。そろそろ帰らないとマスターさんがご心配されますよ?」
半日以上外出したままでは拙いでしょうと。
「だって~」
「それにこれから母屋で皆さんのお手伝いがあるのですよ」
「む~、一日中ダメじゃん!」
「だから朝お話したじゃないですか」
何としてでも対戦したいらしいです。
「あー!、居た!」
石段から息を切らせた声に振り向けばそこには二人の学生さんがいらっしゃいました。
「探したんだよ!こんな遅くまで出歩くなんて!」
「ごめんなさ~い・・・でも、どうしてもやりたい事があるんだよ・・・」
来られたのはチロルさんのマスターさんのようです。お連れの方はお友達でしょうか。
随分心配したのか怒ったような安心したような複雑な表情でチロルさんを抱き上げます。
「で、やりたい事って何?」
「巫女さんと勝負!」
やる気満々で宣言する彼女、その言葉にマスターさんが困惑し私を見ます。
「君が巫女さんでいいんだよね?」
「はい。巫女をしております結と申します」
そして頭を下げられました。
「ごめんなさい。この前チロルが迷惑かけたそうで」
「いえいえ、松も問題ないようですし以来彼女も注意を守ってくれてますから」
「そっか」と優しげに微笑えむマスターさん。
「何かあったか?」
学生さんの後ろから私服のご主人が来られます。朝からお出かけされていたのですが、タイミングが良いです。
「お帰りなさいませ。以前話した方のマスターさんが来られたのですよ。それで件の事を」
「ふむ、律儀だね君。気にしなくていいよ」
野良も爪研ぐしとカラカラ笑うご主人。野良猫と神姫とじゃその深さが違うのですがねぇ・・
「でもそれだけの為に今時分まで?」
「それはウチの神姫、チロルっていうんですけど彼女が帰ってきてなかったから探しに来たんですよ」
「で、その彼女がここに居るって事はリベンジかな?」
流石はご主人話が早いです。
「そうなんですけど。こんな時間ですし急な事で彼女も都合とかあるでしょうし・・」
「どうなんだ?」
「そうですね。家事の手伝いがありますし」
「さよか。なら明日試合と行こう」
・・・なんですと?
「あのご主人?」
「ん?」
「明日もお勤めはあるんですけど?」
「あー、三連休だしその時間くらいつくってやるよ」
抱え上げられ頭を撫でられてしまいます。あー、何と言いますかこれ以上は無粋のようですね。折角ご主人がお時間を割いて下さるのですしチロルさんも納得されるますし、私も楽しめますし。
「判りました。では明日の午後に」
「無理言ってすいません。ほらチロルもお礼言いな」
「ありがとー!」
満面の笑みですよ彼女。
「雪辱は返すからね!」
「残念、雪辱は果たすものですよ」
マスターさんとお友達を見送るとご主人と母屋へ。そのまま宮司さんと奥さんに何か告げ私は連れられるままガレージに行く事になりました。
「家事の方はいいんでしょうか?」
「問題なし。二人とも頑張れってさ」
何でしょう?明日の話にしては少々早いですし。
「新装備造ったからその試し。良ければ明日実装するからそのつもりでな」
「そういう事ですか」
納得です。その為に工房になっているガレージ行きになったんですね。
このご主人、仕事柄手先が器用で時々神姫用のパーツとかご自身の車のパーツを自作されているのです。工具も本格的なもので仕事場の払い下げ品などを引き取ってくるんだそうです。流石は本職、神姫パーツ開発会社の工場で働いているのは伊達じゃありません。
そんなご主人が趣味と実益を兼ねて私の装備を造って下さるのですよ。
バトル対応の生地を使った巫女服とアンクルブレードと同等の強度の仕込み竹箒に更に強度の高い金属で造られた玉串ロッド。この三つが今の装備です。
全てそういう事なのは「巫女さんしてるんだし相応なのがいいだろう」との事。トータルコーディネートというものなのでしょうか?
何にしても私のお気に入りです。
「今回はどのような物ですか?」
「こんなの」
机に置かれたのは吠莱壱式くらいの六角形の物でした。私はこれにとても見覚えが有ります。
「お御籤箱ですね」
「そうそう」
まごう事無きお御籤箱、よく見れば側面にグリップがありました。どうやら射撃装備のようです。
「一定の確率でアタリが出るようになってるから」
「どうなるんですか?」
「爆発する。勿論殺傷まではいかないけど気絶はするな。確実に」
「とんでもないですね。装填数はいくつですか?」
「7発。因みに大吉と大凶がアタリで吉、中吉、小吉、凶、小凶とが通常」
中々な確立ですね。
手にしてみれば見た目よりも軽く吠莱壱式より軽いくらいでした。これならば振り回せそうですね。
「明日には間に合いそうにないけどリアパーツも開発中だから期待しててくれ」
「ありがとう御座います。楽しみです」
その後装備の訓練をし明日に備えて早い目に休む事にしました。
そういえば家事をしていません。それが心残りですが宮司さん達も応援して下さいましたしここは甘えておきましょう。
明日も晴れるように願いをしつつクレイドルに身を横たえるのでした。
現在装備
巫女服 ×1
仕込み竹箒 ×1
玉串ロッド ×1
御籤箱ランチャー ×1