猛り狂いし、地を灼く竜(中編)
このガルラという娘。セイレーン型をベースとしていながら、機動性能は
さほどでもない……というより、ピーキーな調整となっている様だった。
何故か?パッと見飛べないアルマの先手を取るならば、上空に舞い上がり
彼女の攻撃を回避しようと努める筈だ。だが、浮遊こそすれ飛び上がらぬ
その飛行能力は……恐らく、大剣を活かした突進の為に用いる物なのだ。
読み通り彼女は騎乗するアルマの高さまで浮かび……一直線に突撃した!
さほどでもない……というより、ピーキーな調整となっている様だった。
何故か?パッと見飛べないアルマの先手を取るならば、上空に舞い上がり
彼女の攻撃を回避しようと努める筈だ。だが、浮遊こそすれ飛び上がらぬ
その飛行能力は……恐らく、大剣を活かした突進の為に用いる物なのだ。
読み通り彼女は騎乗するアルマの高さまで浮かび……一直線に突撃した!
「では、行きます……その愚鈍なトカゲで何処まで耐えられますか!」
「ッ!?は、速いッ!きゃうっ!?……っと!」
「……と言いつつ、その小さな盾で凌ぐとは。侮れませんわね」
「痛……作ってくれたマイスターの、御陰です!せぁぁぁっ!!」
「くっ、この槍も……鋭い!?いえ、これは貴女自身の……!」
「ッ!?は、速いッ!きゃうっ!?……っと!」
「……と言いつつ、その小さな盾で凌ぐとは。侮れませんわね」
「痛……作ってくれたマイスターの、御陰です!せぁぁぁっ!!」
「くっ、この槍も……鋭い!?いえ、これは貴女自身の……!」
だがアルマの反射とて生半可ではない。咄嗟に“ティンクルスター”の
ビームシールド機構を展開して、大剣の一撃を凌ぎきったかと思えば、
“センチュリオン”の能力……アルマの場合は、電磁徹甲機能だ……を
フルに活かして、鋭い突きを幾度と無く繰り出していく。そう、相手は
重量級ランクでは軽量の類に入る“神姫パーツ流用組”。槍の一撃でも
相応の傷を負わせる事は可能だ!無論、アルマの“技術”もあるがな?
ビームシールド機構を展開して、大剣の一撃を凌ぎきったかと思えば、
“センチュリオン”の能力……アルマの場合は、電磁徹甲機能だ……を
フルに活かして、鋭い突きを幾度と無く繰り出していく。そう、相手は
重量級ランクでは軽量の類に入る“神姫パーツ流用組”。槍の一撃でも
相応の傷を負わせる事は可能だ!無論、アルマの“技術”もあるがな?
「修羅場を潜り修練を積んできたのは、伊達じゃありません……ふっ!」
「うぁっ!?……しかし、下に潜り込めば届かないでしょうッ!」
『グァオオオッ!!』
「!?しま……くあぁっ!?」
「うぁっ!?……しかし、下に潜り込めば届かないでしょうッ!」
『グァオオオッ!!』
「!?しま……くあぁっ!?」
流石に堪えきれなくなったガルラが、下から攻めようと高度を下げる。
だが通常のヴィークルと違い、アルマのそれは恐るべき“竜”である。
彼女がそれと相対する危険性に気付くのと、大角での突きを喰らうのは
ほぼ同時だった。装甲を貫通するには至らぬが、効いた様だ……だが!
だが通常のヴィークルと違い、アルマのそれは恐るべき“竜”である。
彼女がそれと相対する危険性に気付くのと、大角での突きを喰らうのは
ほぼ同時だった。装甲を貫通するには至らぬが、効いた様だ……だが!
「ファフナー、そのまま跳ね上げて!“アレ”をやりましょうっ!」
『グル、ァァッ!!』
「う、わああぁぁっ!?」
「“エルテリア”……そして“ヨルムンガルド”、出番ですよ!」
『グル、ァァッ!!』
「う、わああぁぁっ!?」
「“エルテリア”……そして“ヨルムンガルド”、出番ですよ!」
更に私の知らぬコンビネーションを、アルマとファフナーは発揮したッ!
角に引っかかったガルラを、そのまま天に放り投げるファフナー。それを
追って、緊急用排出機構を用いたアルマが己を天に打ち上げる!両手には
盾と槍ではなく、双振りの“クレイモア”が握られていた。片方は従来の
“ヨルムンガルド”が合体した通称“ホーン”という大剣。もう一つは!
角に引っかかったガルラを、そのまま天に放り投げるファフナー。それを
追って、緊急用排出機構を用いたアルマが己を天に打ち上げる!両手には
盾と槍ではなく、双振りの“クレイモア”が握られていた。片方は従来の
“ヨルムンガルド”が合体した通称“ホーン”という大剣。もう一つは!
「な、っ!?その剣は……槍と盾が、合体……ッ!?」
「“ソリッド・バスタード”。魔剣の威力を活かす形態です!はっ!!」
「ぐぁっぅううっ!?」
「“ソリッド・バスタード”。魔剣の威力を活かす形態です!はっ!!」
「ぐぁっぅううっ!?」
そう、“センチュリオン”と“ティンクルスター”には変形機構がある。
“妹”達が携える魔剣の、直接的なパワーを引き出すパーツとなるのだ。
アルマの場合は“剣達を統べる”時、副次的に発生する硬度強化の権能を
利用している。盾と槍が変形して出来た“巨大剣”を、魔剣エルテリアを
埋め込む事で使役させるのだ……“龍神剣エルジェネリス”の応用だな。
ともあれその双振りの剣で、ガルラは十字に斬り裂かれ地に落とされる!
“妹”達が携える魔剣の、直接的なパワーを引き出すパーツとなるのだ。
アルマの場合は“剣達を統べる”時、副次的に発生する硬度強化の権能を
利用している。盾と槍が変形して出来た“巨大剣”を、魔剣エルテリアを
埋め込む事で使役させるのだ……“龍神剣エルジェネリス”の応用だな。
ともあれその双振りの剣で、ガルラは十字に斬り裂かれ地に落とされる!
「ファフナー、仕上げですっ!“フォールダウン”!!」
『グゥゥ……グルァッ!!』
「ひぁっ!?うわあああぁぁあっ!?あ、熱い……ッ!?!」
『グゥゥ……グルァッ!!』
「ひぁっ!?うわあああぁぁあっ!?あ、熱い……ッ!?!」
墜落と同時に、ファフナーがその顎から何かを吐く。それは“弾”だ。
“フォールダウン”。私が“プルマージュ”に与えた最後の共通武装が
この砲撃機能だ。円錐状の弾丸は、内部に充填された物質を炸裂させて
着弾点に様々な打撃を与える。ファフナーのそれは“焼夷弾”。神姫の
鎧を融かし灼き尽くす“竜の吐息”。“灼地龍”という異名の由来だ!
実は二発しか撃てぬが、その威力は目の前のガルラが証明してくれた。
“フォールダウン”。私が“プルマージュ”に与えた最後の共通武装が
この砲撃機能だ。円錐状の弾丸は、内部に充填された物質を炸裂させて
着弾点に様々な打撃を与える。ファフナーのそれは“焼夷弾”。神姫の
鎧を融かし灼き尽くす“竜の吐息”。“灼地龍”という異名の由来だ!
実は二発しか撃てぬが、その威力は目の前のガルラが証明してくれた。
「これがあたし達のコンボ技、“ディスロケート・スラッシュ”!」
「痛……こ、この……調子に乗らないで頂きたいわね!」
『まだ削り切れていない、警戒しろアルマ!!』
「……え?朱天の刃が真っ二つに開いて……え、えぇっ!?」
『いかん!アルマ、避けろ!力場式のレーザーブレードだッ!!』
「──────遅い、ですわっ!!」
「きゃぁあああぁぁっ!?」
「痛……こ、この……調子に乗らないで頂きたいわね!」
『まだ削り切れていない、警戒しろアルマ!!』
「……え?朱天の刃が真っ二つに開いて……え、えぇっ!?」
『いかん!アルマ、避けろ!力場式のレーザーブレードだッ!!』
「──────遅い、ですわっ!!」
「きゃぁあああぁぁっ!?」
着地と同時に“再合体”して騎乗状態に戻るアルマは、誇らしげだった。
だが、相手も一筋縄ではいかない。己の大剣を先端から割り開いた彼女は
その根本より、巨大なレーザー刃を発生させて……振り下ろしたのだッ!
全身の翼とブースターをフルに活かしたその斬撃は、アルマの脳天を狙い
真一文字に突き進み……そして、巨大な爆風がアルマ達を包み込んだッ!
だが、相手も一筋縄ではいかない。己の大剣を先端から割り開いた彼女は
その根本より、巨大なレーザー刃を発生させて……振り下ろしたのだッ!
全身の翼とブースターをフルに活かしたその斬撃は、アルマの脳天を狙い
真一文字に突き進み……そして、巨大な爆風がアルマ達を包み込んだッ!
「ふふふ、はははははっ!多少はやる様でしたが、これまでですわ!」
『アルマ……!アルマ、無事だな!?』
「ん……にしても遅いですわね、何をしているのジャッジシステムは?」
『……それは勿論。あたしが倒れてないから、ですよッ……!』
「え!?」
『アルマ……!アルマ、無事だな!?』
「ん……にしても遅いですわね、何をしているのジャッジシステムは?」
『……それは勿論。あたしが倒れてないから、ですよッ……!』
「え!?」
アルマの声に、ガルラだけでなく私達の視線も集まる。確かに爆風の中、
光の刃は地面に突き立っている……様に見えた。しかし、その中心点には
巨大なクレーターがあり、その奥に……一つの影があった!小さな脚と、
大きな腕。まるでヘリコプターの様な長い胴体に、メットのみの頭……。
その歪な“人形”が、“力場式”レーザーを真剣白刃取りしていたのだ!
光の刃は地面に突き立っている……様に見えた。しかし、その中心点には
巨大なクレーターがあり、その奥に……一つの影があった!小さな脚と、
大きな腕。まるでヘリコプターの様な長い胴体に、メットのみの頭……。
その歪な“人形”が、“力場式”レーザーを真剣白刃取りしていたのだ!
「こ、れは……馬鹿な!?これを白刃取りなんて、無茶な事……ッ!」
「痛ぅ……力場式でなかったら、真っ二つでした。今も危ないですけど」
『“ゴーレム・シルエット”で耐えるとは。しかし負荷が高いぞ!?』
「分かってますマイスター!駆動系がバーストする、ギリギリです……」
「ならこのまま、押し切ってあげましょう……はぁぁああッ!」
「痛ぅ……力場式でなかったら、真っ二つでした。今も危ないですけど」
『“ゴーレム・シルエット”で耐えるとは。しかし負荷が高いぞ!?』
「分かってますマイスター!駆動系がバーストする、ギリギリです……」
「ならこのまま、押し切ってあげましょう……はぁぁああッ!」
“ゴーレム・シルエット”、それが“プルマージュ”第二の姿である。
“竜”の姿よりも“搭乗用ヴィークル”の側面を強調させたその機体は
防御性能に富んでおり、攻撃用の“武器腕”を備えた重装形態である。
神姫が中に乗り込み制御コアとなる事で、この形態は真価を発揮する!
アルマはその“武器腕”……一種のヒートクローで、刃を止めた訳だ。
だが、大出力の閃光は長く止められぬ。そこでアルマは、討って出た!
“竜”の姿よりも“搭乗用ヴィークル”の側面を強調させたその機体は
防御性能に富んでおり、攻撃用の“武器腕”を備えた重装形態である。
神姫が中に乗り込み制御コアとなる事で、この形態は真価を発揮する!
アルマはその“武器腕”……一種のヒートクローで、刃を止めた訳だ。
だが、大出力の閃光は長く止められぬ。そこでアルマは、討って出た!
「そうは、させません……“レコード・ブレイカー”点火ッ!!」
「ぅあっ!?あ、ああああぁぁっ!?」
『グルォォォーンッ!!!』
「ぅあっ!?あ、ああああぁぁっ!?」
『グルォォォーンッ!!!』
──────己を護る精強な鎧で、反撃だよ……!