鋼の心 ~Eisen Herz~
第11話:海だ山だ温泉だ(その2)
青い空。
輝く太陽。
純白の入道雲に黄金の砂浜。
そして、よせてはかえす瑠璃色の波。
問答無用で海だった。
これでもかと言うぐらい海だった。
もうとにかく、徹底的に海だった!!
輝く太陽。
純白の入道雲に黄金の砂浜。
そして、よせてはかえす瑠璃色の波。
問答無用で海だった。
これでもかと言うぐらい海だった。
もうとにかく、徹底的に海だった!!
「いぃ~、やっほうぃ!!」
砂浜を飛び跳ねる少女、伊東美空。
猫科の肉食獣を思わせるしなやかな身体を覆うのは、布地の少ない純白のビキニ。
ふちの部分にあしらわれたレース地と、胸元の小さなリボンがチャームポイント。
「マスター、海ですよ、海!! 砂です、水です、貝殻です、空き缶ですぅ!!」
美空の肩の上で、色々台無しな事をのたまうのは彼女の神姫フェータ。
その水着は主と同じくビキニだが、色は相対色である黒。
真紅の瞳と相まって、普段は感じられない妖艶な魅力を溢れさせている。
砂浜を飛び跳ねる少女、伊東美空。
猫科の肉食獣を思わせるしなやかな身体を覆うのは、布地の少ない純白のビキニ。
ふちの部分にあしらわれたレース地と、胸元の小さなリボンがチャームポイント。
「マスター、海ですよ、海!! 砂です、水です、貝殻です、空き缶ですぅ!!」
美空の肩の上で、色々台無しな事をのたまうのは彼女の神姫フェータ。
その水着は主と同じくビキニだが、色は相対色である黒。
真紅の瞳と相まって、普段は感じられない妖艶な魅力を溢れさせている。
「まったく、美空ってばはしゃいじゃって。…本当に子供なんだから」
そう言って美しい金髪をかき上げるのはリーナ・ベルウッド。
彼女の水着は肩ヒモの無い、薄紫色のワンピースタイプ。
腰の部分に着脱可能なパレオを巻いており、11歳と言う幼い外見にも拘らず大胆な魅力と清楚な空気を同時に纏っている。
「ふむ、ただの水溜りと思うて侮っておったようだな。この雰囲気は侮れんものがある」
リーナの抱えるバスケットの上で、仁王立ちになる神姫がレライナ。
リーナの騎士を自負するサイフォスである。
水着は黒のセパレーツ。首に巻いた紐が交差し、編み上がりながら水着と融和するそのデザインは、水着の黒と、肌地の白を持って画かれる極上のコントラストを生み出していた。
そう言って美しい金髪をかき上げるのはリーナ・ベルウッド。
彼女の水着は肩ヒモの無い、薄紫色のワンピースタイプ。
腰の部分に着脱可能なパレオを巻いており、11歳と言う幼い外見にも拘らず大胆な魅力と清楚な空気を同時に纏っている。
「ふむ、ただの水溜りと思うて侮っておったようだな。この雰囲気は侮れんものがある」
リーナの抱えるバスケットの上で、仁王立ちになる神姫がレライナ。
リーナの騎士を自負するサイフォスである。
水着は黒のセパレーツ。首に巻いた紐が交差し、編み上がりながら水着と融和するそのデザインは、水着の黒と、肌地の白を持って画かれる極上のコントラストを生み出していた。
「わぁーい。海だ、海だぁ♪」
「にゃー♪」
砂浜ではしゃぐハウリンとマオチャオ。
雅のハウリン、セタは真っ白なワンピース。腰の後ろの大きなリボンがワンポイントとして輝いている。
一方の浅葱のマオチャオ、マヤアは…。………囚人服模様のウエットスーツ?
…水着か、これ?
異色にも程があるが、本人が楽しそうなのでまぁ良しとする。
「ふふふ、元気ねみんな」
楽しそうに微笑むのはセタの主にして祐一の姉、島田雅。
「…ねえ、雅。一つ言いたい事があるのだけど良いかしら?」
砂浜に立つ5人の人間の中で唯一不快そうな顔をしているのが、マヤアの主、斉藤浅葱。
水着は赤のモノキニ型ツーピース。上下をつなぐ左右のリングの銀と、大胆に開いた胸元を編み上げる紐の黄色が、アクセントとしてその魅力を存分に引き立たせている。
「…で、言いたい事ってなあに?」
「アンタの水着、何年前のものだ?」
浅葱の突っ込みもやむを得まい。
雅の水着は濃紺のワンピース。
一色のみで構成されたそのデザインは、地味であり、お世辞にも魅力的とは言い難い物の筈であった。
胸元に燦然と輝く長方形の白と、密かにツーピース化しているお腹の部分が特徴と言えば特徴だが、それではその真の姿は伝わるまい。
彼女の水着を一言で言い表せばこうなる。
「にゃー♪」
砂浜ではしゃぐハウリンとマオチャオ。
雅のハウリン、セタは真っ白なワンピース。腰の後ろの大きなリボンがワンポイントとして輝いている。
一方の浅葱のマオチャオ、マヤアは…。………囚人服模様のウエットスーツ?
…水着か、これ?
異色にも程があるが、本人が楽しそうなのでまぁ良しとする。
「ふふふ、元気ねみんな」
楽しそうに微笑むのはセタの主にして祐一の姉、島田雅。
「…ねえ、雅。一つ言いたい事があるのだけど良いかしら?」
砂浜に立つ5人の人間の中で唯一不快そうな顔をしているのが、マヤアの主、斉藤浅葱。
水着は赤のモノキニ型ツーピース。上下をつなぐ左右のリングの銀と、大胆に開いた胸元を編み上げる紐の黄色が、アクセントとしてその魅力を存分に引き立たせている。
「…で、言いたい事ってなあに?」
「アンタの水着、何年前のものだ?」
浅葱の突っ込みもやむを得まい。
雅の水着は濃紺のワンピース。
一色のみで構成されたそのデザインは、地味であり、お世辞にも魅力的とは言い難い物の筈であった。
胸元に燦然と輝く長方形の白と、密かにツーピース化しているお腹の部分が特徴と言えば特徴だが、それではその真の姿は伝わるまい。
彼女の水着を一言で言い表せばこうなる。
スクール水着、と。
もちろん惰弱な新型ではない。
腹部と脇とを分ける様に走る、二本の縫い目も眩しい旧タイプ。
だが一番の驚愕はそれが入ってしまう雅の身体。
中学生になって以来、ただの1mmたりとも身長は伸びていない驚異のボディ。
実は、リーナ以上に幼児体型だったりする!!
ゆえに、彼女にとってこれ以上の選択肢は無いとさえ言える、ベストチョイスであったのだ。
「いや~、取っておいたお母さんに感謝だねっ♪」
「いや、嬉しそうに言われても…」
ちなみに、雅の水着の胸元、白い長方形の中に書かれた文字は『4の1 しまだみやび』であった。
腹部と脇とを分ける様に走る、二本の縫い目も眩しい旧タイプ。
だが一番の驚愕はそれが入ってしまう雅の身体。
中学生になって以来、ただの1mmたりとも身長は伸びていない驚異のボディ。
実は、リーナ以上に幼児体型だったりする!!
ゆえに、彼女にとってこれ以上の選択肢は無いとさえ言える、ベストチョイスであったのだ。
「いや~、取っておいたお母さんに感謝だねっ♪」
「いや、嬉しそうに言われても…」
ちなみに、雅の水着の胸元、白い長方形の中に書かれた文字は『4の1 しまだみやび』であった。
作者として断言しよう!!
今の雅を見て、20超えているなどと看過できる奴は絶対に人間じゃない。
今の雅を見て、20超えているなどと看過できる奴は絶対に人間じゃない。
「クックックッ…。皆さん中々な水着姿ですが、まだ甘いですね」
それができそうな変態が、不気味に笑う。
言うまでも無く村上衛。
馬鹿にして天才の、既知外領域に生息する、メイドマニアの神姫オタクであった。
「皆さんの燦然と輝く肢体を飾り立てるにはやはり―――」
「―――メイド服しかない。と言うのは禁止ですわ」
浅葱の言葉に硬直する村上。
「…わ、…私に死ねと仰るか!?」
「いや、そんな。この世の終わりみたいな顔されても…」
彼にとっては同義である。
「いいですか、メイド服と言うのはそもそも作業着として―――」
「ちゃらららん。『村上君スイッチ~』」
雅が村上に、何処からとも無く取り出したリモコンを向けた。
「ピッ『≫』早送り」
「―――と言う訳で、この水着仕様のメイド服を着るのです!!」
村上の説明は30分くらい先にスキップさせられた。
「…雅。貴女、絶対人間じゃないでしょ?」
「そんな事無いよぉ?」
「聞いてください。水着仕様のメイド服です。あくまでメイド服!! メイド服型の水着ではない所がポイントです!!」
「またわけの分からないコダワリを…」
頭痛に頭を押さえる浅葱。
「そんなにメイド服が好きなら、デルタちゃんに着せればいいのに…?」
「いえ、もちろん着せてますが?」
ひょい、とデルタを取り出す村上。
「あわわ」
メイド服だった。
「んな物着て、まともに泳げるわけ無いでしょうに………」
「ご心配なく!! 私が独自に開発した流体制御機構が搭載されており、陸上と変わらぬふんわり感を維持しつつ、水流、水圧を無視しての活動が可能です。もちろん全員分、サイズを合わせた物を用意しておりますとも!!」
「………」
「………流体制御機構?」
要するに液体を自在に制御できるようになる装置だ。
例えば一切出血させずに心臓手術が行えたり、戦闘機が水中戦をこなせる様になるのである。
世間に公表すれば、医療から軍事まで、その様相が一変するであろう大発明だ。
それを、“水中でメイド服をふんわりさせる”ためだけに開発し、使用しているのが、村上を天才にして馬鹿と言わしめる由縁である。
「………それはともかく、一つだけお聞きしたい事がありますわ」
「なんなりと」
「どうして私達全員のサイズを知ってるんですの?」
「見れば分かります」
キッパリ答えた村上衛。
それができそうな変態が、不気味に笑う。
言うまでも無く村上衛。
馬鹿にして天才の、既知外領域に生息する、メイドマニアの神姫オタクであった。
「皆さんの燦然と輝く肢体を飾り立てるにはやはり―――」
「―――メイド服しかない。と言うのは禁止ですわ」
浅葱の言葉に硬直する村上。
「…わ、…私に死ねと仰るか!?」
「いや、そんな。この世の終わりみたいな顔されても…」
彼にとっては同義である。
「いいですか、メイド服と言うのはそもそも作業着として―――」
「ちゃらららん。『村上君スイッチ~』」
雅が村上に、何処からとも無く取り出したリモコンを向けた。
「ピッ『≫』早送り」
「―――と言う訳で、この水着仕様のメイド服を着るのです!!」
村上の説明は30分くらい先にスキップさせられた。
「…雅。貴女、絶対人間じゃないでしょ?」
「そんな事無いよぉ?」
「聞いてください。水着仕様のメイド服です。あくまでメイド服!! メイド服型の水着ではない所がポイントです!!」
「またわけの分からないコダワリを…」
頭痛に頭を押さえる浅葱。
「そんなにメイド服が好きなら、デルタちゃんに着せればいいのに…?」
「いえ、もちろん着せてますが?」
ひょい、とデルタを取り出す村上。
「あわわ」
メイド服だった。
「んな物着て、まともに泳げるわけ無いでしょうに………」
「ご心配なく!! 私が独自に開発した流体制御機構が搭載されており、陸上と変わらぬふんわり感を維持しつつ、水流、水圧を無視しての活動が可能です。もちろん全員分、サイズを合わせた物を用意しておりますとも!!」
「………」
「………流体制御機構?」
要するに液体を自在に制御できるようになる装置だ。
例えば一切出血させずに心臓手術が行えたり、戦闘機が水中戦をこなせる様になるのである。
世間に公表すれば、医療から軍事まで、その様相が一変するであろう大発明だ。
それを、“水中でメイド服をふんわりさせる”ためだけに開発し、使用しているのが、村上を天才にして馬鹿と言わしめる由縁である。
「………それはともかく、一つだけお聞きしたい事がありますわ」
「なんなりと」
「どうして私達全員のサイズを知ってるんですの?」
「見れば分かります」
キッパリ答えた村上衛。
―――ドグシャ!!
全女性の敵を斉藤浅葱の拳が轟沈させた。
「雅、スコップ!! 穴掘って埋めますわよ、こんな危険物」
「そう思ってあらかじめ掘っておいた」
雅が指差す先には人間一人入りそうな穴。
「…さっきはありませんでしたわよ、こんな穴」
本当に人間なんだろうか、雅さん。
「そう思ってあらかじめ掘っておいた」
雅が指差す先には人間一人入りそうな穴。
「…さっきはありませんでしたわよ、こんな穴」
本当に人間なんだろうか、雅さん。
因みに。支度に手間取った祐一がビーチに着いたとき、そこには浜辺から首だけ出した生首状態の村上がいた。
「何やってんですか?」
「ふむ。埋まっているのですよ」
自信たっぷりに答える村上。
「斉藤先生あたりに危険物として埋められましたか?」
「私は危険物ではありません、人畜無害とご近所でも評判なのですよ」
「だから危険なんですね。自覚が無いから」
呆れた様子で呟く祐一。
「では、俺ももう行きますので、お元気で」
「待って下さい、その前に掘り起こしてくれませんか?」
「嫌ですよ。俺が斎藤先生に殺されます」
「ふむ、ではトイレに行きたいので掘り起こしてください、と言うのはどうだろう?」
「却下します。大自然を天然のおトイレにしてください」
「大きいほうだったりしたらどうですかね?」
「土壌が肥えるだけだと信じたいですが、汚染物質を撒き散らされる気もしますね…」
「うん、汚染はいけません。汚染は……」
「それじゃあ、汚染源を始末するのに当って、何か良いアイデアはありませんか、村上さん?」
先程のメイド汚染未遂事件により、祐一の村上に対する態度も固まったようである。
「………………、ええと、放置するべきではないかと提言してみます」
「それじゃあそうします。っていうかぶっちゃけメンドイですし」
「ねえ、祐一君?」
「何ですか?」
「せめて海の方を向けて埋めなおしてくれませんか? これでは壁しか見えません」
「そうですね」
村上は、海岸の反対側に向けて埋められていた。
「せっかくメイド服の似合いそうな美女達が、群れを成して戯れているのに。君も男ならそれを観察する事の意義と意味は充分に理解できるでしょう?」
「どうせ斉藤先生が『いっそ顔まで埋めろ』と言ってきたのをデルタか誰かが、後ろ向きで埋めることで譲歩させたんでしょ? 埋め直すなら先生の許可を取って下さい」
「不可能ではないですか」
「でしょうね」
「では、祐一君」
「何です?」
「せめて実況してくれませんか、私にはビーチの様子も見えないのです。メイド服ならずとも、せめて妄想ぐらいはさせてください」
「………黒の水着を着てる人がいますね」
「ほうほう」
「ボディラインがはっきりと出るタイプです」
「そそりますね」
「上はトップレスですよ?」
「ふむ?」
「着てるのは、どこぞのおっさんですが…」
「ぬお~っ!! 私の妄想が凌辱されたぁ~っ!!」
「ちなみに、水着の事を聞いてくるようなら男のを教えろと先生のブロックサインが……」
祐一の視線の先で、身振りで必死にサインを送る斉藤浅葱。
「君には自立判断と言う概念は無いのか!?」
「確かに、そろそろ自主的な行動が必要だと思ったところです」
「ほほう、何をするのです?」
「実は手元にスイカ割り用の金属バットがありまして」
「スイカ割りですか。自分が割って、飛び散るスイカを浴びた少女を見て、スイカの中身が白かったらと思うのは、男の子なら誰しも一度は想像することだと思いませんか?」
「全く思いませんが、続きを良いですか?」
「うむ、聞きましょう」
「この金属バットには実は、五月蝿いものに振り下ろすと静かにできると言う特殊能力がありまして…」
「使いどころが難しいアイテムですね」
「そうでもないですよ。止まらなくなった目覚まし時計とか、怪音を発するエアコンとか、ノイズまみれのテレビとかを次々と駆逐してきた歴戦の品ですから。………主に姉さんの手によりますが………」
「伝説の品ですか、すばらしい」
「難をいえば、静かになったものが二度と使えなくなるということぐらいでして…」
「それは根本的に問題があるような気がしますが?」
「そうですね。それに気付いてからはもう、無くなっても良い物にのみ使用するように心がけているんですが…」
「賢明な判断ですね」
「それで、今、目の前に、五月蝿いものがあるんですけど、これは果たして今後必要となるのだろうかと思案している所です」
「……ところで祐一君、つかぬ事を聞きますが、何で後ろに立っているのです?」
「それはですね、このバットには有効射程1メートル半と言う制限があるからですよ」
「話は変わりますが、影から判断するに君は私の後方120cm程の位置に立っているように見えるのですが?」
「ええ、御明察。丁度、村上さんの脳天がバットの真芯に当たる位置ですよ。そして、そろそろ黙って下さい」
「何やってんですか?」
「ふむ。埋まっているのですよ」
自信たっぷりに答える村上。
「斉藤先生あたりに危険物として埋められましたか?」
「私は危険物ではありません、人畜無害とご近所でも評判なのですよ」
「だから危険なんですね。自覚が無いから」
呆れた様子で呟く祐一。
「では、俺ももう行きますので、お元気で」
「待って下さい、その前に掘り起こしてくれませんか?」
「嫌ですよ。俺が斎藤先生に殺されます」
「ふむ、ではトイレに行きたいので掘り起こしてください、と言うのはどうだろう?」
「却下します。大自然を天然のおトイレにしてください」
「大きいほうだったりしたらどうですかね?」
「土壌が肥えるだけだと信じたいですが、汚染物質を撒き散らされる気もしますね…」
「うん、汚染はいけません。汚染は……」
「それじゃあ、汚染源を始末するのに当って、何か良いアイデアはありませんか、村上さん?」
先程のメイド汚染未遂事件により、祐一の村上に対する態度も固まったようである。
「………………、ええと、放置するべきではないかと提言してみます」
「それじゃあそうします。っていうかぶっちゃけメンドイですし」
「ねえ、祐一君?」
「何ですか?」
「せめて海の方を向けて埋めなおしてくれませんか? これでは壁しか見えません」
「そうですね」
村上は、海岸の反対側に向けて埋められていた。
「せっかくメイド服の似合いそうな美女達が、群れを成して戯れているのに。君も男ならそれを観察する事の意義と意味は充分に理解できるでしょう?」
「どうせ斉藤先生が『いっそ顔まで埋めろ』と言ってきたのをデルタか誰かが、後ろ向きで埋めることで譲歩させたんでしょ? 埋め直すなら先生の許可を取って下さい」
「不可能ではないですか」
「でしょうね」
「では、祐一君」
「何です?」
「せめて実況してくれませんか、私にはビーチの様子も見えないのです。メイド服ならずとも、せめて妄想ぐらいはさせてください」
「………黒の水着を着てる人がいますね」
「ほうほう」
「ボディラインがはっきりと出るタイプです」
「そそりますね」
「上はトップレスですよ?」
「ふむ?」
「着てるのは、どこぞのおっさんですが…」
「ぬお~っ!! 私の妄想が凌辱されたぁ~っ!!」
「ちなみに、水着の事を聞いてくるようなら男のを教えろと先生のブロックサインが……」
祐一の視線の先で、身振りで必死にサインを送る斉藤浅葱。
「君には自立判断と言う概念は無いのか!?」
「確かに、そろそろ自主的な行動が必要だと思ったところです」
「ほほう、何をするのです?」
「実は手元にスイカ割り用の金属バットがありまして」
「スイカ割りですか。自分が割って、飛び散るスイカを浴びた少女を見て、スイカの中身が白かったらと思うのは、男の子なら誰しも一度は想像することだと思いませんか?」
「全く思いませんが、続きを良いですか?」
「うむ、聞きましょう」
「この金属バットには実は、五月蝿いものに振り下ろすと静かにできると言う特殊能力がありまして…」
「使いどころが難しいアイテムですね」
「そうでもないですよ。止まらなくなった目覚まし時計とか、怪音を発するエアコンとか、ノイズまみれのテレビとかを次々と駆逐してきた歴戦の品ですから。………主に姉さんの手によりますが………」
「伝説の品ですか、すばらしい」
「難をいえば、静かになったものが二度と使えなくなるということぐらいでして…」
「それは根本的に問題があるような気がしますが?」
「そうですね。それに気付いてからはもう、無くなっても良い物にのみ使用するように心がけているんですが…」
「賢明な判断ですね」
「それで、今、目の前に、五月蝿いものがあるんですけど、これは果たして今後必要となるのだろうかと思案している所です」
「……ところで祐一君、つかぬ事を聞きますが、何で後ろに立っているのです?」
「それはですね、このバットには有効射程1メートル半と言う制限があるからですよ」
「話は変わりますが、影から判断するに君は私の後方120cm程の位置に立っているように見えるのですが?」
「ええ、御明察。丁度、村上さんの脳天がバットの真芯に当たる位置ですよ。そして、そろそろ黙って下さい」
────ゴンッ
村上衛は静かになった。
「お待たせ」
「あ、祐一遅い、遅い!!」
アイゼンとデルタを連れて祐一が現れたのは、美空たちが遊び始めて10分ぐらいしてからだった。
「悪い。デルタの着替えに手間取って」
祐一の肩に座るデルタの水着は、水色のフリル付きワンピース。
アイゼンの為に選んだものである。
村上を掘り起こそうと頑張るデルタを説得し、予備の水着を着せようとしたのだが拒否されたため、アイゼンの水着と交換したのである。
もちろん、その予備の水着はアイゼンが着ている。
「ねえ、祐一?」
そんなアイゼンの姿に目を向けたまま、美空は拳を握った。
「…どうかしたか?」
「何でアイゼンがそんな格好してる訳?」
「………ん」
話題の中心になったアイゼンが、放課後キャンパスのポーズを取る。
「…ああ、冗談で選んだ予備なんだが、まさか着る機会が来るとは意外だった…」
「そう。じゃあ、墓石に刻む遺言はそれでいいわね?」
「え?」
「あ、祐一遅い、遅い!!」
アイゼンとデルタを連れて祐一が現れたのは、美空たちが遊び始めて10分ぐらいしてからだった。
「悪い。デルタの着替えに手間取って」
祐一の肩に座るデルタの水着は、水色のフリル付きワンピース。
アイゼンの為に選んだものである。
村上を掘り起こそうと頑張るデルタを説得し、予備の水着を着せようとしたのだが拒否されたため、アイゼンの水着と交換したのである。
もちろん、その予備の水着はアイゼンが着ている。
「ねえ、祐一?」
そんなアイゼンの姿に目を向けたまま、美空は拳を握った。
「…どうかしたか?」
「何でアイゼンがそんな格好してる訳?」
「………ん」
話題の中心になったアイゼンが、放課後キャンパスのポーズを取る。
「…ああ、冗談で選んだ予備なんだが、まさか着る機会が来るとは意外だった…」
「そう。じゃあ、墓石に刻む遺言はそれでいいわね?」
「え?」
―――ズドガァン!!
美空の必殺技、エグゼブレイカー(↓→P)で、祐一は吹き飛んだ。
………因みに、アイゼンの予備水着はブラジル水着だった。
…どうしてこの話の男共は、無意味に地雷踏むかな?
…どうしてこの話の男共は、無意味に地雷踏むかな?
そんなこんなでようやくお昼。
もちろん、海に着たら食べるものもらしくなくてはならない!!
「と言う訳で、浜茶屋に来たのだが………。本当に定番のメニューしかないな………」
しかも微妙に高い。
「マスター、どれにしますか?」
「焼きソバなんかいいんじゃない?」
「…でも具が少ない………」
「「………」」
アイゼンの突っ込みに沈黙する美空とフェータ。
「カレーと言うのも悪くないわ」
「ふむ。まあ良かろう」
「…妙に粉っぽいけど………」
「「………」」
アイゼンの突っ込みに沈黙するリーナとレライナ。
「では雄一さん。ラーメンなどは如何です?」
「そうだな、それにしようか?」
「…ワカメ以外の具は無いけれど………」
「「………」」
アイゼンの突っ込みに沈黙する祐一とデルタ。
「ふふふ、馬鹿ねぇ。海の家にマトモな食べ物なんか無いわよ?」
「えらい偏見だけど………。あたし達もここで食事するのよ、分かってるの雅?」
「ふっ、甘いわね。浅葱」
チッチッチッ、と指を振る雅。
「おじちゃん、ビール!!」
…ある意味雅が一番賢い。
「…はぁ…。疲れますますわね…」
と言いつつ、ちゃっかり自分もビールを頼んでいる浅葱先生であった。
「浅葱ぃ~」
「…? どうしましたの、マヤア?」
「ネコは、フランクフルトが食べたい」
「はいはい。これで買ってらっしゃい」
500円玉を渡す浅葱。
「わ~い」
ネコは大喜びで駆けていった。
「…マ、マスター。あの………。ボ、ボクもカキ氷とか、食べたいです………」
それを見ていたセタが雅におねだりをする。
「良いわよ、ええと………」
しかし、雅の動作はお財布を開けた直後に止まる。
「………」
「マスター?」
首を傾げるセタに、雅は一枚の硬貨を差し出した。
「10円?」
これではカキ氷は買えない。
「…待ちなさい、セタ。貴女は今カン違いをしているはずよ?」
「そうなの?」
「ええ。その十円は、只の十円じゃないの。実はとてつもない秘密が隠されているのよ」
「ええ、そうなの!?」
驚きに目を見開く犬型神姫。
「そうよ。実はその十円は、裏面に表面が、表面に裏面が刻印された超貴重品なの!!」
「………」
セタは、ほぅ、と感嘆の息を漏らす。
「それを貴女に託すわ。大切に使いなさい」
「あわわ。ボ、ボク。一生大切にします。宝物にします。家宝にしますぅ!!」
「え?」
愛おしそうに十円玉を抱きしめる、お馬鹿なわんこ。
「…う゛っ」
「珍しい…。姉さんが罪悪感に囚われてる」
「ああいう性格だから、雅んの神姫が勤まるのねぇ」
祐一と美空が頷きあって感心していた。
もちろん、海に着たら食べるものもらしくなくてはならない!!
「と言う訳で、浜茶屋に来たのだが………。本当に定番のメニューしかないな………」
しかも微妙に高い。
「マスター、どれにしますか?」
「焼きソバなんかいいんじゃない?」
「…でも具が少ない………」
「「………」」
アイゼンの突っ込みに沈黙する美空とフェータ。
「カレーと言うのも悪くないわ」
「ふむ。まあ良かろう」
「…妙に粉っぽいけど………」
「「………」」
アイゼンの突っ込みに沈黙するリーナとレライナ。
「では雄一さん。ラーメンなどは如何です?」
「そうだな、それにしようか?」
「…ワカメ以外の具は無いけれど………」
「「………」」
アイゼンの突っ込みに沈黙する祐一とデルタ。
「ふふふ、馬鹿ねぇ。海の家にマトモな食べ物なんか無いわよ?」
「えらい偏見だけど………。あたし達もここで食事するのよ、分かってるの雅?」
「ふっ、甘いわね。浅葱」
チッチッチッ、と指を振る雅。
「おじちゃん、ビール!!」
…ある意味雅が一番賢い。
「…はぁ…。疲れますますわね…」
と言いつつ、ちゃっかり自分もビールを頼んでいる浅葱先生であった。
「浅葱ぃ~」
「…? どうしましたの、マヤア?」
「ネコは、フランクフルトが食べたい」
「はいはい。これで買ってらっしゃい」
500円玉を渡す浅葱。
「わ~い」
ネコは大喜びで駆けていった。
「…マ、マスター。あの………。ボ、ボクもカキ氷とか、食べたいです………」
それを見ていたセタが雅におねだりをする。
「良いわよ、ええと………」
しかし、雅の動作はお財布を開けた直後に止まる。
「………」
「マスター?」
首を傾げるセタに、雅は一枚の硬貨を差し出した。
「10円?」
これではカキ氷は買えない。
「…待ちなさい、セタ。貴女は今カン違いをしているはずよ?」
「そうなの?」
「ええ。その十円は、只の十円じゃないの。実はとてつもない秘密が隠されているのよ」
「ええ、そうなの!?」
驚きに目を見開く犬型神姫。
「そうよ。実はその十円は、裏面に表面が、表面に裏面が刻印された超貴重品なの!!」
「………」
セタは、ほぅ、と感嘆の息を漏らす。
「それを貴女に託すわ。大切に使いなさい」
「あわわ。ボ、ボク。一生大切にします。宝物にします。家宝にしますぅ!!」
「え?」
愛おしそうに十円玉を抱きしめる、お馬鹿なわんこ。
「…う゛っ」
「珍しい…。姉さんが罪悪感に囚われてる」
「ああいう性格だから、雅んの神姫が勤まるのねぇ」
祐一と美空が頷きあって感心していた。
色々イベントなどを消化しつつ、続く。
掲示板で田中ロミオさんの話が出たのを契機に、未購入だった『最果てのイマ』を購入してプレイ中。
ふと、ゲームシステムに疑問を覚え、各種サイトを見てたら『11月に追加要素付のフルボイス版が出るとか』……orz
ふと、ゲームシステムに疑問を覚え、各種サイトを見てたら『11月に追加要素付のフルボイス版が出るとか』……orz
さて、本編の話数ですが、旅行編のタイトルはストーリー中の一日が1話と扱うので、初日までは11話で統一したいと思います。(その~は継続)
バトロンの更新がエスコン6発売日前日。
私にどうしろと!?
そして葉子は俺のヨメ。以上。
ALCでした。
私にどうしろと!?
そして葉子は俺のヨメ。以上。
ALCでした。