神姫ちゃんは何歳ですか?第二十七話
スーパー神姫TIME
書いた人 優柔不断な人(仮)
「っと…そろそろ時間だな」
俺はTVのリモコンを取り、スイッチを押した
「あれ?センパイ、この時間何か見てましたっけ?」
「今までは見てなかったが、今期の番組改編で新番組が始まるじゃないか」
「あ、今日でしたっけ?『スーパー神姫TIME』」
そう、とうとう神姫もゴールデンタイムに番組が放送されるまでになったのだ
『スーパー神姫TIME』は54分の番組で、キャッキャウフフからハードなバトルまで様々な神姫ライフ情報を提供するというコンセプトで作られるという
番組内にはマスターと神姫を迎えてインタビューを行う『神姫マスターズ』というコーナーがあり、その第一回のゲストとして、観奈ちゃんが呼ばれたのだった
『すぅ~ぷぁ~~~すぃんきとぅぁ~~~~いんむ!』
「あっ、お兄ちゃん、始まったよ」
…なにこの30年前のタイトルコールは…
俺はTVのリモコンを取り、スイッチを押した
「あれ?センパイ、この時間何か見てましたっけ?」
「今までは見てなかったが、今期の番組改編で新番組が始まるじゃないか」
「あ、今日でしたっけ?『スーパー神姫TIME』」
そう、とうとう神姫もゴールデンタイムに番組が放送されるまでになったのだ
『スーパー神姫TIME』は54分の番組で、キャッキャウフフからハードなバトルまで様々な神姫ライフ情報を提供するというコンセプトで作られるという
番組内にはマスターと神姫を迎えてインタビューを行う『神姫マスターズ』というコーナーがあり、その第一回のゲストとして、観奈ちゃんが呼ばれたのだった
『すぅ~ぷぁ~~~すぃんきとぅぁ~~~~いんむ!』
「あっ、お兄ちゃん、始まったよ」
…なにこの30年前のタイトルコールは…
TVには男性と女性の姿が映し出された
「皆さんこんばんわ。今日から始まりました『スーパー神姫TIME』。司会は私、富華 三根雄です」
「皆さんこんばんわ~。アシスタントの浅木マキで~す。よろしくおねがいしま~す」
「それでは早速、最初の…」
と司会の富華が言いかけたところに
「ちょっとまったー!二人共、大事な事を何忘れてない?」
と、なにやら小さな女の子の声が割り込んだ
「おおっと、これは失礼。もう一人のアシスタントを忘れてました」
「全く!この超絶ぷりちーな私を忘れるなんて有り得ないんじゃなくて?」
「ほらほら志緒理ちゃん、怒ってないで皆さんに自己紹介して」
カメラがずいっと下へと向けられる
テーブルの上には一体の神姫と、さらに小さなヌイグルミのような物体がいた
「あっ…えっと、この番組のアシスタント神姫、シュメッターリングの志緒理です、宜しくお願いします」
ぺこり
「志緒理、今更カワイ子ぶってもおそいんじゃねーの?」
志緒理の隣のヌイグルミ?が喋る
「んもうー!なによー!私は可愛いから許されるのよ!それより、アンタも自己紹介しなくていいの?」
「っと、そうだな。オイラはしおりのお目付役のガンノスケってんだ、ヨロシクな!」
手を振り、挨拶をするガンノスケ
「んもう~、誰がお目付役よ。私が居ないと何も出来ないのはガンノスケの方でしょ!」
「オイラは志緒理が暴走しないように…」
「まぁまぁ二人とも、そのくらいにして。番組が進まないじゃない」
「志緒理ちゃん達には後のコーナーで存分に喋って貰うとして、まずは最初のコーナー、『バトルアリーナ』からどうぞ!」
「このコーナーは武装神姫バトルの中でも、特に名勝負と呼ばれている物を解説を交えてお送りしていきます」
「皆さんこんばんわ。今日から始まりました『スーパー神姫TIME』。司会は私、富華 三根雄です」
「皆さんこんばんわ~。アシスタントの浅木マキで~す。よろしくおねがいしま~す」
「それでは早速、最初の…」
と司会の富華が言いかけたところに
「ちょっとまったー!二人共、大事な事を何忘れてない?」
と、なにやら小さな女の子の声が割り込んだ
「おおっと、これは失礼。もう一人のアシスタントを忘れてました」
「全く!この超絶ぷりちーな私を忘れるなんて有り得ないんじゃなくて?」
「ほらほら志緒理ちゃん、怒ってないで皆さんに自己紹介して」
カメラがずいっと下へと向けられる
テーブルの上には一体の神姫と、さらに小さなヌイグルミのような物体がいた
「あっ…えっと、この番組のアシスタント神姫、シュメッターリングの志緒理です、宜しくお願いします」
ぺこり
「志緒理、今更カワイ子ぶってもおそいんじゃねーの?」
志緒理の隣のヌイグルミ?が喋る
「んもうー!なによー!私は可愛いから許されるのよ!それより、アンタも自己紹介しなくていいの?」
「っと、そうだな。オイラはしおりのお目付役のガンノスケってんだ、ヨロシクな!」
手を振り、挨拶をするガンノスケ
「んもう~、誰がお目付役よ。私が居ないと何も出来ないのはガンノスケの方でしょ!」
「オイラは志緒理が暴走しないように…」
「まぁまぁ二人とも、そのくらいにして。番組が進まないじゃない」
「志緒理ちゃん達には後のコーナーで存分に喋って貰うとして、まずは最初のコーナー、『バトルアリーナ』からどうぞ!」
「このコーナーは武装神姫バトルの中でも、特に名勝負と呼ばれている物を解説を交えてお送りしていきます」
「ふえー、スゴかったねぇ」
感嘆の声を上げる志緒理
「アーンヴァルとストラーフは初期のモデルですが、それだけに数々の名勝負を繰り広げてきました。この第一回大会の二人も、決勝戦に恥じない試合を見せてくれました」
遠い目をしながら説明する富華に、浅木も頷きながら
「最後のデモニッシュクローが出たときにはゲルダの勝ちかと思いましたが、ギリギリで静名がレーザーライフルで防ぎましたね。ライフルがベッコリとへこんじゃいましたけど」
志緒理もそれを聞きながら
「その後、その反動を利用してその場で一回転して壊れたライフルで殴るなんて、よく出来たよねー」
とウンウンと頷きながら言った
「あの後のインダビューでは本人も『咄嗟のことで、何をしたか分からなかった』と言ってましたよ」
「こーいうのは日頃の訓練が大事なんだよ。志緒理もサボってないで、普段からトレーニングしとけよ」
「うーっ、わかったわよぅ」
ガンノスケの言葉に頬を膨らませながらも応える志緒理
「それでは、CMの後は『神姫マスターズ』、第一回ゲストはファーストランカーの國崎観奈ちゃんとミチルちゃんでーす」
感嘆の声を上げる志緒理
「アーンヴァルとストラーフは初期のモデルですが、それだけに数々の名勝負を繰り広げてきました。この第一回大会の二人も、決勝戦に恥じない試合を見せてくれました」
遠い目をしながら説明する富華に、浅木も頷きながら
「最後のデモニッシュクローが出たときにはゲルダの勝ちかと思いましたが、ギリギリで静名がレーザーライフルで防ぎましたね。ライフルがベッコリとへこんじゃいましたけど」
志緒理もそれを聞きながら
「その後、その反動を利用してその場で一回転して壊れたライフルで殴るなんて、よく出来たよねー」
とウンウンと頷きながら言った
「あの後のインダビューでは本人も『咄嗟のことで、何をしたか分からなかった』と言ってましたよ」
「こーいうのは日頃の訓練が大事なんだよ。志緒理もサボってないで、普段からトレーニングしとけよ」
「うーっ、わかったわよぅ」
ガンノスケの言葉に頬を膨らませながらも応える志緒理
「それでは、CMの後は『神姫マスターズ』、第一回ゲストはファーストランカーの國崎観奈ちゃんとミチルちゃんでーす」
CM後、セットが対談用へと変わっていた
テーブルが一つ、テーブルから向かって左側には長椅子があり、富華と浅井が座っている。右側にはゲスト用の椅子があり、観奈が座っていた
テーブルの上には神姫用の椅子が置いてあり、志緒理とミチルがそれぞれ座っている
アシスタントの浅木の声でコーナーは始まった
「それでは、『神姫マスターズ』のコ-ナー、ゲストは國崎観奈ちゃんとその神姫、ミチルちゃんでーす」
「うむ、よろしくなのじゃ」
「よろしくなのだ」
ペコリ、とお辞儀をする観奈とミチル
「早速なのですが、お二人は神姫バトル歴が長いと聞きましたが」
「うむ、そうじゃな。テスト期間から始めていたから…かれこれ5年になるかな?」
「5年って…7歳の頃からやっていたのですか?」
「まぁそういうことじゃな」
「どうでしょう、最初の頃と今とでは、バトルも様変わりしましたが?」
「最初の頃はヴァーチャルシステムも無かったし、社外武装も使用禁止じゃったから、皆限られた範囲での試行錯誤の繰り返しじゃった。それも2弾が出たときのバランス変更でパァにされたりと、なかなか面白かったぞ」
「ああ、通称『犬猫パッチ』ですか」
「そうじゃ。その後の社外武装解禁、ヴァーチャル戦の導入等、神姫バトルも様変わりしていったのじゃ」
観奈の話を聞きながら、富華がぽんと手を叩き
「そうそう、その頃のミチルちゃんの映像が残っていたのですよ」
と言い出した
「なに?まことか?」
「…なにかイヤな予感がするのだ…」
富華の言葉に喜ぶ観奈と、不安そうなミチル
「それでは、映像どうぞ!」
富華の言葉を受け、セットにあるモニターにスイッチが入る
そこに写ったミチルと思しき影に、浅木が疑問の声を上げる
「あー、ミチルちゃん…ですか?なんか今と違いますね?」
「この頃はまだ、今のような白い翼は付けていないからじゃな」
観奈の言葉通り、画面の中のミチルには象徴ともいえる6枚の白い翼は無かった
ヴァッフェバニーの装備にアンクルブレードを持ち、棘輪を腰に下げていた
「この頃は、ヴァッフェバニーの装備を主体にしておったからな」
「でも、リアブースターに6枚のスラスターを付けてるのね」
「なかなか目敏いな、志緒理殿。最低限の防具に機動ブースターが付いたヴァッフェバニーの装備はミチルに最適じゃったのじゃ。しかし、それでもヤツには追いつけなかったので、スラスターを追加して挑んだのじゃ」
「ヤツって…この人?」
志緒理が指した先には、一体のハウリン型が映っていた
「この人、足の狗駆しかつけてませんよ?」
「当時を知らない志緒理殿が訝しがるのも無理はないな。彼女の名は『ストレイト』クウガ。当時誰も追いつけなかった、最速の神姫じゃ。いや、今でも追いつける者はおらんじゃろうな」
「ふえー、そんなスゴイ人なのですか?会ってみたいなぁ」
「残念じゃが、それは無理じゃ。彼女はもう…」
観奈の言葉にスタジオ内が、暗い雰囲気になる
「いくら安全に配慮されているとはいえ、事故と言うものは起きるのだ。でもあたしたち武装神姫は、そのくらいの覚悟を持ってバトルに参加してるのだ」
「そういうことじゃ、しかと見ておくのじゃ。クウガ殿の勇姿を」
「う、うん」
観奈とミチルの言葉に頷き、画面をしっかりと見据える志緒理
「あっ、ジャガーだ!…この頃はまだ普通のぷちますぃーんボディを使ってるのね」
試合開始
開始と同時にジャガーが牽制の射撃を行った
『…遅い』
画面の中のクウガが呟くと同時にその姿が消える
ガキィッ!
否、瞬時にミチルの傍へと移動したのだ
「うそっ?なんて速さなの?」
「大抵の相手はこれで終わるのだ。この時あたしが防げたのも、運が良かったといってもよいくらいなのだ」
『ほう…剣でギリギリ防いだか…』
『くうっ…とりゃっ!』
アンクルブレードを盾に、クウガを押し返し距離を取るミチル。そしてすぐさま棘輪を投郭する
ダンッ!ギュン!
しかしそれをアッサリと避けるクウガ
そしてすぐさまミチルへと2撃目のキックを放つ
バシュッ
間一髪スラスターを吹かし、これを避けるミチル
『なかなかやるな…しかし』
ギュン!
有り得ない程鋭角に、ミチルへと向かい跳ぶクウガ
『まだまだ速さが足りない!』
ミチルへと三度キックを放つ
しかし
ザシュッ!
『やっと、捉えたのだ』
これまでのクウガの行動を分析し、攻撃パターンを掴んでいたミチルは、次に攻撃が来るであろうポイントにブレードを振っていたのだった
クウガの足が切断され、ブースターを吹かしながらクルクルと飛んでいく
『ぐっ!』
苦痛に顔を歪めながらも、なんとかその場に留まるクウガ
ゲシッ!
そんなクウガに容赦ない追撃をかけるミチル
蹴り飛ばされ、地に伏せるクウガ
ミチルはクウガを踏みつけ、アンクルブレードを構える
『これで、あたしの勝ち…』
スコーーン!
ミチルの言葉は、飛んできた何かによって中断させられた
「…ねぇ、今の何?」
モニターを真剣に見ていた志緒理が怪訝そうな声を上げる
「…狗駆…というか、クウガの脚?」
同じく、呆気にとられていた浅木が答えた
ブースターを吹かしながら飛んでいた脚が、何の因果か戻ってきて、ミチルの後頭部へと直撃したのだった
『きゅぅ…』
完全にフリーズして、倒れるミチル
『ミチルのノックアウトを確認。勝者、クウガ!』
クウガの勝利が告げられる中、ミチルはその先にいたクウガへと倒れ込んだ
ガツン!
『!!』
クウガの上に覆い被さるように倒れたミチル
ミチルの顔が、クウガの顔にぶち当たる
というか…
「うわっ!ミチルちゃんとクウガさんが、ちゅーしてる!」
浅木の言葉に、スタジオ大爆笑
「あ、あれはノーカウントなのだ!意識してないし、というか意識無いし!」
顔を真っ赤にしながらパタパタと手を振り全力で否定するミチル
「あはは…ファースト上位のミチルちゃんも、こんな事があったんですね」
「うーっ、この油断が無ければ…」
「そうじゃな、あの後もずっとクウガ殿には勝てなかったのじゃからな」
「えっ?もう攻撃は見切ったんじゃ?」
観奈の言葉に疑問の声を上げる志緒理
「次の対戦で同じ事をやったのじゃが、ミチルが剣を構えるよりも先に蹴り飛ばされてKOされたのじゃ」
「うっそ…」
「自分が成長してるのと同じように、対戦相手もまた成長してるのだ」
「観奈ちゃんもミチルちゃんもそうやって成長してきたんですよね」
「そう言われると、照れるのじゃ」
「ところで観奈ちゃん、今現在、気になる神姫というを教えて欲しいのですが」
「そうじゃな…ファーストの神姫はほぼ気に掛けておるが、ここは注目のセカンド神姫を挙げておくのじゃ」
「観奈ちゃんが気になるセカンドの神姫ですか」
「まずはセロ殿じゃな。地元では『クイントス』と呼ばれており、ファンも多いそうじゃ」
「鳳凰杯の決勝トーナメントの第一回戦で戦った神姫ですね」
モニターが切り替わり、ミチルとセロとのバトルが映し出される
「剣の腕前はもとより、優れた洞察力もある素晴らしい神姫じゃ。スグにでもファーストでも通じるだろうに、何故セカンド中位にいるのじゃろうか」
モニターではムラサメが破壊されたシーンが映し出されていた
「次に挙げるのは…『雷光の舞い手(ライトニング・シルフィー)』ねここ。高機動と重装備を両立させている、数少ない神姫じゃ」
画面が切り替わり、アーンヴァルの武装を中心に組み上げた武装『シューティングスター』を振り回し、フィールド中を駆け回るねここの姿が映し出される
「ほぼ公式装備で組みながら、要所にはオリジナルパーツを組み込まれておる。マスターのセンスも光る神姫じゃ。」
必殺の『ねここフィンガー』を決め、相手のストラーフ型を沈黙させるねここ
「ちなみに、地元での人気は絶大で、最近ファーストに来た『マジカル☆ハウリン』ココと人気を二分しており、ファンクラブまであるそうじゃ」
モニターにはフリフリの衣装を着たココが口上を述べている所が映し出された
「あと、セカンドでは無いが、鳳凰杯の時に不慮の事故で記憶を失ってしまったミカエルも注目じゃな」
「オーナーの鶴畑大紀さんもファーストの称号を返上してしまいましたね」
画面には圧倒的火力でフィールドこと相手を焼き払うミカエルの姿が映し出される
「サードからの再スタートということで勝手が違うじゃろうが、あの二人ならまた勝ち上がってくるじゃろう」
「その三人が、観奈ちゃん一押しの神姫ですか…っと、そろそろ時間になってしまいましたね」
ADの合図を見た富華が申し訳なさそうに言った
「それでは観奈ちゃん、最後に視聴者の皆さんに、何かメッセージをお願いします」
「武装神姫で大切なのは、神姫を信じる心じゃ。信頼無くしての戦いはありえんのじゃ。たとえ負けても、ちゃんと得る物はあるのじゃ」
「有り難う御座いました。本日のゲスト、國崎観奈ちゃんとミチルちゃんでしたー!」
パチパチと拍手に見送られ、退席する二人
テーブルが一つ、テーブルから向かって左側には長椅子があり、富華と浅井が座っている。右側にはゲスト用の椅子があり、観奈が座っていた
テーブルの上には神姫用の椅子が置いてあり、志緒理とミチルがそれぞれ座っている
アシスタントの浅木の声でコーナーは始まった
「それでは、『神姫マスターズ』のコ-ナー、ゲストは國崎観奈ちゃんとその神姫、ミチルちゃんでーす」
「うむ、よろしくなのじゃ」
「よろしくなのだ」
ペコリ、とお辞儀をする観奈とミチル
「早速なのですが、お二人は神姫バトル歴が長いと聞きましたが」
「うむ、そうじゃな。テスト期間から始めていたから…かれこれ5年になるかな?」
「5年って…7歳の頃からやっていたのですか?」
「まぁそういうことじゃな」
「どうでしょう、最初の頃と今とでは、バトルも様変わりしましたが?」
「最初の頃はヴァーチャルシステムも無かったし、社外武装も使用禁止じゃったから、皆限られた範囲での試行錯誤の繰り返しじゃった。それも2弾が出たときのバランス変更でパァにされたりと、なかなか面白かったぞ」
「ああ、通称『犬猫パッチ』ですか」
「そうじゃ。その後の社外武装解禁、ヴァーチャル戦の導入等、神姫バトルも様変わりしていったのじゃ」
観奈の話を聞きながら、富華がぽんと手を叩き
「そうそう、その頃のミチルちゃんの映像が残っていたのですよ」
と言い出した
「なに?まことか?」
「…なにかイヤな予感がするのだ…」
富華の言葉に喜ぶ観奈と、不安そうなミチル
「それでは、映像どうぞ!」
富華の言葉を受け、セットにあるモニターにスイッチが入る
そこに写ったミチルと思しき影に、浅木が疑問の声を上げる
「あー、ミチルちゃん…ですか?なんか今と違いますね?」
「この頃はまだ、今のような白い翼は付けていないからじゃな」
観奈の言葉通り、画面の中のミチルには象徴ともいえる6枚の白い翼は無かった
ヴァッフェバニーの装備にアンクルブレードを持ち、棘輪を腰に下げていた
「この頃は、ヴァッフェバニーの装備を主体にしておったからな」
「でも、リアブースターに6枚のスラスターを付けてるのね」
「なかなか目敏いな、志緒理殿。最低限の防具に機動ブースターが付いたヴァッフェバニーの装備はミチルに最適じゃったのじゃ。しかし、それでもヤツには追いつけなかったので、スラスターを追加して挑んだのじゃ」
「ヤツって…この人?」
志緒理が指した先には、一体のハウリン型が映っていた
「この人、足の狗駆しかつけてませんよ?」
「当時を知らない志緒理殿が訝しがるのも無理はないな。彼女の名は『ストレイト』クウガ。当時誰も追いつけなかった、最速の神姫じゃ。いや、今でも追いつける者はおらんじゃろうな」
「ふえー、そんなスゴイ人なのですか?会ってみたいなぁ」
「残念じゃが、それは無理じゃ。彼女はもう…」
観奈の言葉にスタジオ内が、暗い雰囲気になる
「いくら安全に配慮されているとはいえ、事故と言うものは起きるのだ。でもあたしたち武装神姫は、そのくらいの覚悟を持ってバトルに参加してるのだ」
「そういうことじゃ、しかと見ておくのじゃ。クウガ殿の勇姿を」
「う、うん」
観奈とミチルの言葉に頷き、画面をしっかりと見据える志緒理
「あっ、ジャガーだ!…この頃はまだ普通のぷちますぃーんボディを使ってるのね」
試合開始
開始と同時にジャガーが牽制の射撃を行った
『…遅い』
画面の中のクウガが呟くと同時にその姿が消える
ガキィッ!
否、瞬時にミチルの傍へと移動したのだ
「うそっ?なんて速さなの?」
「大抵の相手はこれで終わるのだ。この時あたしが防げたのも、運が良かったといってもよいくらいなのだ」
『ほう…剣でギリギリ防いだか…』
『くうっ…とりゃっ!』
アンクルブレードを盾に、クウガを押し返し距離を取るミチル。そしてすぐさま棘輪を投郭する
ダンッ!ギュン!
しかしそれをアッサリと避けるクウガ
そしてすぐさまミチルへと2撃目のキックを放つ
バシュッ
間一髪スラスターを吹かし、これを避けるミチル
『なかなかやるな…しかし』
ギュン!
有り得ない程鋭角に、ミチルへと向かい跳ぶクウガ
『まだまだ速さが足りない!』
ミチルへと三度キックを放つ
しかし
ザシュッ!
『やっと、捉えたのだ』
これまでのクウガの行動を分析し、攻撃パターンを掴んでいたミチルは、次に攻撃が来るであろうポイントにブレードを振っていたのだった
クウガの足が切断され、ブースターを吹かしながらクルクルと飛んでいく
『ぐっ!』
苦痛に顔を歪めながらも、なんとかその場に留まるクウガ
ゲシッ!
そんなクウガに容赦ない追撃をかけるミチル
蹴り飛ばされ、地に伏せるクウガ
ミチルはクウガを踏みつけ、アンクルブレードを構える
『これで、あたしの勝ち…』
スコーーン!
ミチルの言葉は、飛んできた何かによって中断させられた
「…ねぇ、今の何?」
モニターを真剣に見ていた志緒理が怪訝そうな声を上げる
「…狗駆…というか、クウガの脚?」
同じく、呆気にとられていた浅木が答えた
ブースターを吹かしながら飛んでいた脚が、何の因果か戻ってきて、ミチルの後頭部へと直撃したのだった
『きゅぅ…』
完全にフリーズして、倒れるミチル
『ミチルのノックアウトを確認。勝者、クウガ!』
クウガの勝利が告げられる中、ミチルはその先にいたクウガへと倒れ込んだ
ガツン!
『!!』
クウガの上に覆い被さるように倒れたミチル
ミチルの顔が、クウガの顔にぶち当たる
というか…
「うわっ!ミチルちゃんとクウガさんが、ちゅーしてる!」
浅木の言葉に、スタジオ大爆笑
「あ、あれはノーカウントなのだ!意識してないし、というか意識無いし!」
顔を真っ赤にしながらパタパタと手を振り全力で否定するミチル
「あはは…ファースト上位のミチルちゃんも、こんな事があったんですね」
「うーっ、この油断が無ければ…」
「そうじゃな、あの後もずっとクウガ殿には勝てなかったのじゃからな」
「えっ?もう攻撃は見切ったんじゃ?」
観奈の言葉に疑問の声を上げる志緒理
「次の対戦で同じ事をやったのじゃが、ミチルが剣を構えるよりも先に蹴り飛ばされてKOされたのじゃ」
「うっそ…」
「自分が成長してるのと同じように、対戦相手もまた成長してるのだ」
「観奈ちゃんもミチルちゃんもそうやって成長してきたんですよね」
「そう言われると、照れるのじゃ」
「ところで観奈ちゃん、今現在、気になる神姫というを教えて欲しいのですが」
「そうじゃな…ファーストの神姫はほぼ気に掛けておるが、ここは注目のセカンド神姫を挙げておくのじゃ」
「観奈ちゃんが気になるセカンドの神姫ですか」
「まずはセロ殿じゃな。地元では『クイントス』と呼ばれており、ファンも多いそうじゃ」
「鳳凰杯の決勝トーナメントの第一回戦で戦った神姫ですね」
モニターが切り替わり、ミチルとセロとのバトルが映し出される
「剣の腕前はもとより、優れた洞察力もある素晴らしい神姫じゃ。スグにでもファーストでも通じるだろうに、何故セカンド中位にいるのじゃろうか」
モニターではムラサメが破壊されたシーンが映し出されていた
「次に挙げるのは…『雷光の舞い手(ライトニング・シルフィー)』ねここ。高機動と重装備を両立させている、数少ない神姫じゃ」
画面が切り替わり、アーンヴァルの武装を中心に組み上げた武装『シューティングスター』を振り回し、フィールド中を駆け回るねここの姿が映し出される
「ほぼ公式装備で組みながら、要所にはオリジナルパーツを組み込まれておる。マスターのセンスも光る神姫じゃ。」
必殺の『ねここフィンガー』を決め、相手のストラーフ型を沈黙させるねここ
「ちなみに、地元での人気は絶大で、最近ファーストに来た『マジカル☆ハウリン』ココと人気を二分しており、ファンクラブまであるそうじゃ」
モニターにはフリフリの衣装を着たココが口上を述べている所が映し出された
「あと、セカンドでは無いが、鳳凰杯の時に不慮の事故で記憶を失ってしまったミカエルも注目じゃな」
「オーナーの鶴畑大紀さんもファーストの称号を返上してしまいましたね」
画面には圧倒的火力でフィールドこと相手を焼き払うミカエルの姿が映し出される
「サードからの再スタートということで勝手が違うじゃろうが、あの二人ならまた勝ち上がってくるじゃろう」
「その三人が、観奈ちゃん一押しの神姫ですか…っと、そろそろ時間になってしまいましたね」
ADの合図を見た富華が申し訳なさそうに言った
「それでは観奈ちゃん、最後に視聴者の皆さんに、何かメッセージをお願いします」
「武装神姫で大切なのは、神姫を信じる心じゃ。信頼無くしての戦いはありえんのじゃ。たとえ負けても、ちゃんと得る物はあるのじゃ」
「有り難う御座いました。本日のゲスト、國崎観奈ちゃんとミチルちゃんでしたー!」
パチパチと拍手に見送られ、退席する二人
「神姫を信じる心、か…」
俺は次のコーナーの新作情報で映し出されている新型機の『アーク』と『イーダ』を見ながらボーっと考えていた
「…センパイ。以前のことを考えているのですか?」
「皐月にはお見通しか…」
皐月の指摘通り、昔の事を考えていた
神姫を道具としてしか見ず、ユキに過酷な試験ばかりをさせていた日々を
「でも、今は信じてるんでしょ?」
「ああ…」
「なら、それでいいじゃないですか」
「…そうだな」
俺はエンディングを歌う志緒理ちゃんを眺めながら、今のみんなの幸せを壊すまいと誓うのだった
俺は次のコーナーの新作情報で映し出されている新型機の『アーク』と『イーダ』を見ながらボーっと考えていた
「…センパイ。以前のことを考えているのですか?」
「皐月にはお見通しか…」
皐月の指摘通り、昔の事を考えていた
神姫を道具としてしか見ず、ユキに過酷な試験ばかりをさせていた日々を
「でも、今は信じてるんでしょ?」
「ああ…」
「なら、それでいいじゃないですか」
「…そうだな」
俺はエンディングを歌う志緒理ちゃんを眺めながら、今のみんなの幸せを壊すまいと誓うのだった
『きょうのまおちゃお~』
『マオチャオは今日も日向ぼっこ。大好きなマスターの帰りを待ちながら、窓際でうつらうつら』
「うにゃぁ…ごしじんさま、だいすき…むにゃむにゃ…」
『あらあら、どんな夢を見ているのでしょうね』
ピクッ
『おや?マオチャオの耳が動きましたよ?』
ガチャガチャ…カチャッ
「ただいまー」
「おかえりなさい、ごしじんさま!」
『満面の笑顔でマスターを出迎えるマオチャオ。よかったね』
-END-
「うにゃぁ…ごしじんさま、だいすき…むにゃむにゃ…」
『あらあら、どんな夢を見ているのでしょうね』
ピクッ
『おや?マオチャオの耳が動きましたよ?』
ガチャガチャ…カチャッ
「ただいまー」
「おかえりなさい、ごしじんさま!」
『満面の笑顔でマスターを出迎えるマオチャオ。よかったね』
-END-
あとがき
なんとか生きてます、優柔不断な人(仮)です
今回はss掲示板の方で上がっていた「百質」をみてたら思いついたので、それで一本書いてみました
未だに妄想の人さんに言ったコラボssも書けてないのにスイマセン
なんとか生きてます、優柔不断な人(仮)です
今回はss掲示板の方で上がっていた「百質」をみてたら思いついたので、それで一本書いてみました
未だに妄想の人さんに言ったコラボssも書けてないのにスイマセン
ちょっち補足
観奈とミチルがクイントスの事を本名のセロと呼んでおります
これは鳳凰カップではクイントスは通り名で、あくまでもセロとして参加し、アナウンスもそうであったと考えられるので、観奈達が紹介する時にもそっちを使ったと考えるからです
ミカエルに関しては、大紀が改心し、技術の蓄積も有ることからこれから強敵になるであろうと予測した為です
ちなみに最後の『きょうのマオチャオ』は独立した五分番組です。提供は勿論、BLADEダイナミクス(もしくはKemotech)です
観奈とミチルがクイントスの事を本名のセロと呼んでおります
これは鳳凰カップではクイントスは通り名で、あくまでもセロとして参加し、アナウンスもそうであったと考えられるので、観奈達が紹介する時にもそっちを使ったと考えるからです
ミカエルに関しては、大紀が改心し、技術の蓄積も有ることからこれから強敵になるであろうと予測した為です
ちなみに最後の『きょうのマオチャオ』は独立した五分番組です。提供は勿論、BLADEダイナミクス(もしくはKemotech)です
さらに、今回の番組出演者の設定
富華 三根雄(ふか みねお)
フリーのアナウンサー。45歳
神姫バトルの中継では実況も務める。その実績を買われ今回のメイン司会者に抜擢された
浅木 マキ(あさき まき)
TV局のアナウンサー。24歳
若手女子アナウンサー。自身も神姫を所有しているが、上前はサード中位。どちらかというと、神姫と遊んでいる方が好き
志緒理(しおり シュメッターリング型)
デモを兼ねてスポンサーから番組へと贈られた神姫
歌って戦う神姫を目指してる
彼女が歌う番組エンディングテーマも番組開始と同時に発売
「みんな買ってね(はぁと」
ちなみに所有者は番組のプロデュサーという事になっているが、ADの一人を気に入っていて、マスターそっちのけでつきまとってるらしい
ガンノスケ
志緒理付属のヌイグルミ型支援マシーン『ラビボン』
主にツッコミ担当
志緒理とガンノスケは『スーパーしおりん』へと合体出来る
…らしい
フリーのアナウンサー。45歳
神姫バトルの中継では実況も務める。その実績を買われ今回のメイン司会者に抜擢された
浅木 マキ(あさき まき)
TV局のアナウンサー。24歳
若手女子アナウンサー。自身も神姫を所有しているが、上前はサード中位。どちらかというと、神姫と遊んでいる方が好き
志緒理(しおり シュメッターリング型)
デモを兼ねてスポンサーから番組へと贈られた神姫
歌って戦う神姫を目指してる
彼女が歌う番組エンディングテーマも番組開始と同時に発売
「みんな買ってね(はぁと」
ちなみに所有者は番組のプロデュサーという事になっているが、ADの一人を気に入っていて、マスターそっちのけでつきまとってるらしい
ガンノスケ
志緒理付属のヌイグルミ型支援マシーン『ラビボン』
主にツッコミ担当
志緒理とガンノスケは『スーパーしおりん』へと合体出来る
…らしい