……なんというか、強烈な人達だったなぁ。
ベッドの上で、私はつい数時間前の出会いを振り返る。修也さんは研究所に泊まるって言ってたし、今、この家にいるのは私と慎一君、ミナツキとネロ、リュミエだけ。
「……う、ん」
暑い。七月も終わりに近づいて、ここ数日は熱帯夜が連続だと、天気予報は言っていた。正直ウンザリする。
……寝付けない理由は、それだけではないのだけれど。
「エアコン、もう一度かけようかな……」
ベッドに入る前に設定したタイマーの時間は、とっくに過ぎ去っていた。
「……やめよ」
こんな汗かいた状態で、急に冷やして風邪でもひいたら割に合わない。
とりあえず、暑いと思わないことだ。心頭滅却すれば……。
「あれ? 心頭滅却すれば……、なんだっけ」
「火もまた涼し、です」
机の上から、聞きなれた声がした。
「……ミナツキ、起きてた?」
「……メンテナンスモードにマスターがしてくれないからです」
あー。
帰ってきてお風呂用意して、いろいろやってたら忘れちゃったのかな。
「マスターも、最近はお疲れなのではないですか?」
ミナツキの性格は、修也さんいわく「猫型にはめずらしい」らしい。確かに、私がセンターで見る他のマオチャオは、もうちょっと、何と言うかこう、「猫」しているというか。
……んー。
ふと思いついて、ミナツキをベッドの上に持ってくる。
「あ、あの、マスター?」
ちょっと……、そう、ちょっとだけ。
「マス……、ひゃあ!?」
つい、と、ミナツキのお尻を撫でる。
「ちょ、あ、あの、やあっ!」
同時に、ふにふにと胸を触る。
「……なに? ミナツキ」
「なにって、や、やめ、ひあっ!!」
「……それじゃわからないよ。どうしてほしいの?」
ぽっこりしたおなかを撫でたり、背中をさすったり、脇腹をくすぐったり。
「マスタぁ……! やめ、やめてくださっ……!」
「うーん……、やだ」
ちょっとだけ、のつもり、だったんだけど。
「可愛いよ……、ミナツキ」
「ふぁ、か、わい、い……?」
「うん、とっても可愛い」
羞恥に身を捩って、嬌声を上げるミナツキは、ホントにとても可愛くて。
「私、可愛い、です、か……?」
そんなふうに覗き込んでくるミナツキは、とてもとても可愛くて。
「うん、とっても。すごく。可愛い」
「ひあ・・・…!」
だから……。
「……もっと、見せて?」
する、と、ミナツキの股間を小指で撫でる。
「ふあ、あ、あああああぁぁっ!!」
ひときわ高い声を上げて、ミナツキはゆっくりとベッドに倒れこんだ。
触覚センサーのオーバーフロー……。一時的に、機能を停止させたのだろう。人間でいえば、「達した」ということらしい。
私はミナツキをクレイドルに戻して、そのまま部屋を出た。
ベッドの上で、私はつい数時間前の出会いを振り返る。修也さんは研究所に泊まるって言ってたし、今、この家にいるのは私と慎一君、ミナツキとネロ、リュミエだけ。
「……う、ん」
暑い。七月も終わりに近づいて、ここ数日は熱帯夜が連続だと、天気予報は言っていた。正直ウンザリする。
……寝付けない理由は、それだけではないのだけれど。
「エアコン、もう一度かけようかな……」
ベッドに入る前に設定したタイマーの時間は、とっくに過ぎ去っていた。
「……やめよ」
こんな汗かいた状態で、急に冷やして風邪でもひいたら割に合わない。
とりあえず、暑いと思わないことだ。心頭滅却すれば……。
「あれ? 心頭滅却すれば……、なんだっけ」
「火もまた涼し、です」
机の上から、聞きなれた声がした。
「……ミナツキ、起きてた?」
「……メンテナンスモードにマスターがしてくれないからです」
あー。
帰ってきてお風呂用意して、いろいろやってたら忘れちゃったのかな。
「マスターも、最近はお疲れなのではないですか?」
ミナツキの性格は、修也さんいわく「猫型にはめずらしい」らしい。確かに、私がセンターで見る他のマオチャオは、もうちょっと、何と言うかこう、「猫」しているというか。
……んー。
ふと思いついて、ミナツキをベッドの上に持ってくる。
「あ、あの、マスター?」
ちょっと……、そう、ちょっとだけ。
「マス……、ひゃあ!?」
つい、と、ミナツキのお尻を撫でる。
「ちょ、あ、あの、やあっ!」
同時に、ふにふにと胸を触る。
「……なに? ミナツキ」
「なにって、や、やめ、ひあっ!!」
「……それじゃわからないよ。どうしてほしいの?」
ぽっこりしたおなかを撫でたり、背中をさすったり、脇腹をくすぐったり。
「マスタぁ……! やめ、やめてくださっ……!」
「うーん……、やだ」
ちょっとだけ、のつもり、だったんだけど。
「可愛いよ……、ミナツキ」
「ふぁ、か、わい、い……?」
「うん、とっても可愛い」
羞恥に身を捩って、嬌声を上げるミナツキは、ホントにとても可愛くて。
「私、可愛い、です、か……?」
そんなふうに覗き込んでくるミナツキは、とてもとても可愛くて。
「うん、とっても。すごく。可愛い」
「ひあ・・・…!」
だから……。
「……もっと、見せて?」
する、と、ミナツキの股間を小指で撫でる。
「ふあ、あ、あああああぁぁっ!!」
ひときわ高い声を上げて、ミナツキはゆっくりとベッドに倒れこんだ。
触覚センサーのオーバーフロー……。一時的に、機能を停止させたのだろう。人間でいえば、「達した」ということらしい。
私はミナツキをクレイドルに戻して、そのまま部屋を出た。
「なにやってんだろ、私……」
パジャマのままベランダに出た私は、軽く自己嫌悪に陥っていた。まさか、ミナツキにあんな感情を抱くとは思ってもみなかったし、その感情のまま、ミナツキを弄んでしまうとも。
「……はあ」
ミナツキに申し訳ないのか、抑制がきかなかったのが情けないのか。何だかもう、暑さで頭がやられでもしたのかな。
「……正直になれればいいのにね」
わかってはいる。わかってはいるけど、後ろめたくて。
慎一君の事情も知らずに、ネロのマスターを探そうなどと言い出して。
もしそれで、ネロのマスターが見つかったら?
ネロは、喜ぶかもしれない。ネロのマスターも、多分、喜ぶと思う。
でも、慎一君は?
また、寂しい思いをすることになるんじゃないか?
そうなった時、私はどうするんだろう?
慎一君を、励ますだろうか。
それとも……。寂しさに付け込んで、揺さぶるだろうか。私を見てほしい、と。
「だったら私、ホントにホントに、最悪だよ……!」
でも正直なところ、そうなった時、自制する自信がまったくなくなっていた。
……すごく自分勝手だ、私。
勝手に慎一君のこと好きになって。勝手にネロに嫉妬して。その感情の行き場がないからって、勝手にミナツキを弄んで。
泣きたくなった。というか、泣いてた。
私は、これからどうすればいいんだろう……?
パジャマのままベランダに出た私は、軽く自己嫌悪に陥っていた。まさか、ミナツキにあんな感情を抱くとは思ってもみなかったし、その感情のまま、ミナツキを弄んでしまうとも。
「……はあ」
ミナツキに申し訳ないのか、抑制がきかなかったのが情けないのか。何だかもう、暑さで頭がやられでもしたのかな。
「……正直になれればいいのにね」
わかってはいる。わかってはいるけど、後ろめたくて。
慎一君の事情も知らずに、ネロのマスターを探そうなどと言い出して。
もしそれで、ネロのマスターが見つかったら?
ネロは、喜ぶかもしれない。ネロのマスターも、多分、喜ぶと思う。
でも、慎一君は?
また、寂しい思いをすることになるんじゃないか?
そうなった時、私はどうするんだろう?
慎一君を、励ますだろうか。
それとも……。寂しさに付け込んで、揺さぶるだろうか。私を見てほしい、と。
「だったら私、ホントにホントに、最悪だよ……!」
でも正直なところ、そうなった時、自制する自信がまったくなくなっていた。
……すごく自分勝手だ、私。
勝手に慎一君のこと好きになって。勝手にネロに嫉妬して。その感情の行き場がないからって、勝手にミナツキを弄んで。
泣きたくなった。というか、泣いてた。
私は、これからどうすればいいんだろう……?
幻の物語へ