愛と情熱のタッグバトル 前編
『やったー、今回も來華選手の大勝利だーっ!!』
とあるバトル会場、竜崎賢市率いる『チームフレグランス』は経験値稼ぎと言わんばかりに地域大会に出場、堂々と勝利をつかんだのだった。
「おつかれ來華、今日もいいファイトだったよ」
カプセルから出てくる來華を賢市は迎えてあげた。
「もち、楽勝だったよ。必殺の『六方爪激斬』、見てくれた?」
「ああ、ここ数ヶ月お前も腕を上げたようだ。僕もお前の事を誇りに思ってるよ」
しかし賢市の側で思わしくない顔で見ている人、いや神姫がいた。
「あ、あれ?凛花姉、嬉しくないの?」
來華の質問に凛花は何食わない顔で答えた。
「さっきの試合を見ていたけど、あなたは相手に突っ込み過ぎる癖がありますわね」
あくまでも冷静な視線でバトルを見ていた凛花は、妹に対して冷たい言葉を発した。そのような態度を見た來華は、少し落ち込んだ感じになった。
「い、いや、あれはね、一気に片付けた方がいいからそうしたからであって…」
「今日は勝てたからいいものの、一歩間違えたら來華、あなたは敗れてたかもしれないのよ。それにあの技、見栄えがよくありませんわね。それなら私の『昇龍天雷』のほうが美しく決まりましたのに」
駄目押しといえる突っ込みに、來華はますます落ち込んでいった。
「ううっ、けっこうがんばったのに…」
「まあいいじゃないか」
後ろから賢市が落ち込んでいる來華にフォローを入れてあげた。
「今日だってお前はがんばったんだし、闘い方も悪くはなかったよ。まあ、これからの事を考えるともう少し努力が必要かな」
「主人、フォローになってるのかなってないのか分かんないよ~」
どうやらフォローを入れるどころか、混乱させる原因になってしまったようだ。賢市は気を取り直して來華を肩の上に乗せた。
「まあ、今日は來華のために何かプレゼント買ってあげるよ。とりあえずこれで機嫌直してな」
それを見ていた凛花は呆れた顔で賢市を見た。
「まあ、ご主人ったら來華には甘いんですから。でも今回は大目に見ることにしますわ」
來華を肩に乗せたまま会場を後にする賢市を後ろで追いかけながら、凛花は少しだけ笑みを浮べた。
とあるバトル会場、竜崎賢市率いる『チームフレグランス』は経験値稼ぎと言わんばかりに地域大会に出場、堂々と勝利をつかんだのだった。
「おつかれ來華、今日もいいファイトだったよ」
カプセルから出てくる來華を賢市は迎えてあげた。
「もち、楽勝だったよ。必殺の『六方爪激斬』、見てくれた?」
「ああ、ここ数ヶ月お前も腕を上げたようだ。僕もお前の事を誇りに思ってるよ」
しかし賢市の側で思わしくない顔で見ている人、いや神姫がいた。
「あ、あれ?凛花姉、嬉しくないの?」
來華の質問に凛花は何食わない顔で答えた。
「さっきの試合を見ていたけど、あなたは相手に突っ込み過ぎる癖がありますわね」
あくまでも冷静な視線でバトルを見ていた凛花は、妹に対して冷たい言葉を発した。そのような態度を見た來華は、少し落ち込んだ感じになった。
「い、いや、あれはね、一気に片付けた方がいいからそうしたからであって…」
「今日は勝てたからいいものの、一歩間違えたら來華、あなたは敗れてたかもしれないのよ。それにあの技、見栄えがよくありませんわね。それなら私の『昇龍天雷』のほうが美しく決まりましたのに」
駄目押しといえる突っ込みに、來華はますます落ち込んでいった。
「ううっ、けっこうがんばったのに…」
「まあいいじゃないか」
後ろから賢市が落ち込んでいる來華にフォローを入れてあげた。
「今日だってお前はがんばったんだし、闘い方も悪くはなかったよ。まあ、これからの事を考えるともう少し努力が必要かな」
「主人、フォローになってるのかなってないのか分かんないよ~」
どうやらフォローを入れるどころか、混乱させる原因になってしまったようだ。賢市は気を取り直して來華を肩の上に乗せた。
「まあ、今日は來華のために何かプレゼント買ってあげるよ。とりあえずこれで機嫌直してな」
それを見ていた凛花は呆れた顔で賢市を見た。
「まあ、ご主人ったら來華には甘いんですから。でも今回は大目に見ることにしますわ」
來華を肩に乗せたまま会場を後にする賢市を後ろで追いかけながら、凛花は少しだけ笑みを浮べた。
次の朝、賢市の家に訪問者が訪ねてきた。
「こんな朝早く誰が尋ねてきたんだ?事務所の人にしてはまだ早い時間帯だし…」
モニター越しから訪問者の顔を見てみると、そこにはガッチリとした体型の男が立っていた。
「どなたですか、何か御用でも?」
「すいません、竜崎賢市さんいらっしゃいますか?」
やっぱり自分に用がある客のようだな…。賢市は服を着替え、客を応接間に案内した。
「始めまして、私はこのようなものでございます」
男は名刺を賢市に渡した。そこには『メディアトライブ』の営業部員、「和多清治」と書かれてあった。
「どのような御用ですか?仕事の事できたのでしょうか?それとも僕の芸術品のことについてでしょうか?」
「実はあなたが最近武装神姫を始めたとのうわさを聞いたのですが、どのようなことがきっかけで始めたのでしょうか?」
なるほど、営業部員というよりはジャーナリストというわけか。賢市はすこし頭を下げ、こう答えた。
「別に答える必要はありません。僕はただ有名になりたいだけですから」
賢市はあまりインタビューに答えるということはしない性質である。今までもそれほど目立つようなことをしてはいなかったのだ。記者会見だって数えるほどしかしていないのである。
「では、私の相棒と闘っていただければお答えいただけますか?」
和多は自分のトランクを机に置き、中を開けた。
「これは…?」
これを見た賢市はこの男が尋ねてきた本当の意味を知った。トランクの中には二人の神姫が賢市をじっと見ていたのだ。
「お恥ずかしながら私も神姫のオーナーをやっておりましてね、右にいる朱色の髪の子が「ヤクト」、左にいるピンクの髪の子が「カウベル」です。まだそれほどバトル経験を積んでおりませんが、お相手できればと思いまして伺いました」
そうか、この男は僕の神姫たちを試そうとしているわけだな…!賢市の心はもはや決まったも同然だった。
「なるほど、こういうことでしたか。僕の神姫とあなたの神姫、どちらが強いか決めたいといいたいわけですね」
「いいえ、これはあくまでも模擬試合のようなものです。もちろんあなた方の神姫を破壊するような事はいたしませんし、あなたにとってもプラスになることだと思いますが」
プラスか…。この男は何のために凛花たちを戦わせようとしているんだ…?和多の口実に疑問を持つ賢市は話を進めることにした。
「詳しく説明していただけませんか?回答によっては僕も考えてもいいですが」
「実は私、新しく開発したリングの試験者として選ばれましてね、神姫を一組所有している対戦相手を探してほしいと頼まれまして、あなたの噂を聞いてわざわざご自宅まで訪問してきたのです。もちろんそれ相当のものはご用意しております。宜しければご対戦していただけませんでしょうか?お願いします」
新しいリング…それに凛花と來華がデビューする…。悪くはないな。賢市は和多の条件をのむことにした。
「分かりました。それではいつ試合を?」
「それはお決まりしだい電話かメールでお伝えします」
「そうですか、それではこの名刺に連絡先とアドレスが書かれていますので、ここに連絡してください」
賢市は和多に名刺を渡した。そして彼に凛花たちに合わせてみようと思った。
「宜しければうちの神姫たちに合わせてみますか?彼女達も喜ぶと思いますが」
しかし和多は時計を見ながらそれを断った。
「申し訳ありませんが、もう会社へ出勤する時間が近づいていますので、これにて失礼させていただきます」
「もしかしてあなたはわざわざ勤務外にここに尋ねてきたのですか?こちらこそ申し訳ないことをしてしまいました」
この時賢市は和多の意思が本物だと言う事を実感した。なぜなら普通そんなことをしなくても予約を取って勤務中に訪問するはずである。それなのにこんな事をしてまで訪問するということは、彼の決意は相当のものだということになる。賢市は彼の目を見て改めて決意する事にした。
「では、数日中にご連絡いたしますので。失礼しました」
扉が閉まり、応接間に残された賢市の顔には僅かながら笑みがうかんでいた。
「まさかこんなことになるとはな…。これは凛花や來華にとっても経験を積むチャンスだし、僕にとってもさらに注目を浴びるチャンスになるはずだ。何せ相手の会社は世界で有数の企業、アークトランスだからな」
賢市はあのトランクの内側に書かれていたメーカーの名前を見ていたのだ。まさかトランクを開けた本人がその企業に関わっていたとは、それを見るまでは思いもしなかった。メディアトライブというのは関連会社なのだろう。だがこれではっきりした。これは神姫界に自分の名前を売り込むチャンスだ。
「さっそく二人を起こしてそのことを伝えるか。これから面白くなるぞ」
賢市は応接間を後にし、二人がいる居間室に向かった。
「こんな朝早く誰が尋ねてきたんだ?事務所の人にしてはまだ早い時間帯だし…」
モニター越しから訪問者の顔を見てみると、そこにはガッチリとした体型の男が立っていた。
「どなたですか、何か御用でも?」
「すいません、竜崎賢市さんいらっしゃいますか?」
やっぱり自分に用がある客のようだな…。賢市は服を着替え、客を応接間に案内した。
「始めまして、私はこのようなものでございます」
男は名刺を賢市に渡した。そこには『メディアトライブ』の営業部員、「和多清治」と書かれてあった。
「どのような御用ですか?仕事の事できたのでしょうか?それとも僕の芸術品のことについてでしょうか?」
「実はあなたが最近武装神姫を始めたとのうわさを聞いたのですが、どのようなことがきっかけで始めたのでしょうか?」
なるほど、営業部員というよりはジャーナリストというわけか。賢市はすこし頭を下げ、こう答えた。
「別に答える必要はありません。僕はただ有名になりたいだけですから」
賢市はあまりインタビューに答えるということはしない性質である。今までもそれほど目立つようなことをしてはいなかったのだ。記者会見だって数えるほどしかしていないのである。
「では、私の相棒と闘っていただければお答えいただけますか?」
和多は自分のトランクを机に置き、中を開けた。
「これは…?」
これを見た賢市はこの男が尋ねてきた本当の意味を知った。トランクの中には二人の神姫が賢市をじっと見ていたのだ。
「お恥ずかしながら私も神姫のオーナーをやっておりましてね、右にいる朱色の髪の子が「ヤクト」、左にいるピンクの髪の子が「カウベル」です。まだそれほどバトル経験を積んでおりませんが、お相手できればと思いまして伺いました」
そうか、この男は僕の神姫たちを試そうとしているわけだな…!賢市の心はもはや決まったも同然だった。
「なるほど、こういうことでしたか。僕の神姫とあなたの神姫、どちらが強いか決めたいといいたいわけですね」
「いいえ、これはあくまでも模擬試合のようなものです。もちろんあなた方の神姫を破壊するような事はいたしませんし、あなたにとってもプラスになることだと思いますが」
プラスか…。この男は何のために凛花たちを戦わせようとしているんだ…?和多の口実に疑問を持つ賢市は話を進めることにした。
「詳しく説明していただけませんか?回答によっては僕も考えてもいいですが」
「実は私、新しく開発したリングの試験者として選ばれましてね、神姫を一組所有している対戦相手を探してほしいと頼まれまして、あなたの噂を聞いてわざわざご自宅まで訪問してきたのです。もちろんそれ相当のものはご用意しております。宜しければご対戦していただけませんでしょうか?お願いします」
新しいリング…それに凛花と來華がデビューする…。悪くはないな。賢市は和多の条件をのむことにした。
「分かりました。それではいつ試合を?」
「それはお決まりしだい電話かメールでお伝えします」
「そうですか、それではこの名刺に連絡先とアドレスが書かれていますので、ここに連絡してください」
賢市は和多に名刺を渡した。そして彼に凛花たちに合わせてみようと思った。
「宜しければうちの神姫たちに合わせてみますか?彼女達も喜ぶと思いますが」
しかし和多は時計を見ながらそれを断った。
「申し訳ありませんが、もう会社へ出勤する時間が近づいていますので、これにて失礼させていただきます」
「もしかしてあなたはわざわざ勤務外にここに尋ねてきたのですか?こちらこそ申し訳ないことをしてしまいました」
この時賢市は和多の意思が本物だと言う事を実感した。なぜなら普通そんなことをしなくても予約を取って勤務中に訪問するはずである。それなのにこんな事をしてまで訪問するということは、彼の決意は相当のものだということになる。賢市は彼の目を見て改めて決意する事にした。
「では、数日中にご連絡いたしますので。失礼しました」
扉が閉まり、応接間に残された賢市の顔には僅かながら笑みがうかんでいた。
「まさかこんなことになるとはな…。これは凛花や來華にとっても経験を積むチャンスだし、僕にとってもさらに注目を浴びるチャンスになるはずだ。何せ相手の会社は世界で有数の企業、アークトランスだからな」
賢市はあのトランクの内側に書かれていたメーカーの名前を見ていたのだ。まさかトランクを開けた本人がその企業に関わっていたとは、それを見るまでは思いもしなかった。メディアトライブというのは関連会社なのだろう。だがこれではっきりした。これは神姫界に自分の名前を売り込むチャンスだ。
「さっそく二人を起こしてそのことを伝えるか。これから面白くなるぞ」
賢市は応接間を後にし、二人がいる居間室に向かった。
数日後、和多から電話がかかってきた。
「お待たせしてすいません、試合日と試合場所が決まりました。4日後の午後2時に集合、場所はサテライトスタジアムです」
サテライトスタジアム…?そこは建設中の場所のはず…。賢市は建設中の施設がなぜ試合会場に選ばれたのか分からなかった。
「そこはまだ立ち入りできないはずなのでは…?」
「前にも言いましたが、この試合は新しいリングのテストも兼ねています。そしてサテライトスタジアムはロボットバトル会場のステージでもあるのです。そこであなたをお尋ねしたのです」
なるほど、そういうことか。試合会場と聞いたが、こんな場所を試合場所に指定してくるとはな…。賢市は少し後悔していた。
「それで、そこまでは車で来たほうがいいですか?」
「そうですね、裏に仮の駐車場がありますからそこで待ち合わせしましょう。そこからは私とスタッフがご案内します」
「分かりました。では、試合楽しみにしてますよ」
「こちらこそ。あの子たちも闘えるのを楽しみにしていますから。それではこれで失礼します」
電話がきれ、賢市はすこしやるせない気持ちになった。
「会場は建設中のバトルステージ、それも極秘扱いときたもんだ。たとえ闘っても公式の試合じゃないから注目されるわけじゃないしランクが上がるわけでもない。それにどうして極秘でやらないといけないんだ?」
ソファーに座った賢市はそのことを考えた。
「建設中の会場とそこに隠されたバトルステージ、それにスタッフと言ってたな…。おそらくアークトランスのスタッフだろうな。こりゃ本当に新ステージのトライアル…だな」
そこへ模擬バトルを終えた凛花と來華が賢市の側までやってきた。
「主人、今回の試合点数、最高得点取ったよ。ここまで得点取るのに苦労したんだから」
「あのね來華、最高得点といっても模擬試合の中で、でしょう?そんなこと言いたいなら本番で勝ってからにしたら?」
相変わらず冷静な口調の凛花に、來華はむすっとした顔になった。
「凛花姉はいっつもそうなんだから。良くやったわね、來華、なんて一言も言ってくれないんだもん」
「あら、本当のことを行っただけですわよ。こんなことで怒るのはあなたが単純だからでしょ」
一触即発の状態になりかける二人に、賢市はなだめるように止めた。
「まあまあ、二人ともやめておこうか。それより今度の試合が決まったぞ。4日後にサテライトスタジアムで試合をするそうだ。相手は二人だからタッグマッチと言うことになるだろうな。その間にコンビネーションを完璧にこなしておくんだ」
賢市の一言で、二人の口げんかはぴたりとやんだ。
「そ、そうでしたわね。タッグですもの、二人で力を合わせないと」
「そうそう、早いうちにコンビネーション磨いておこうよ、凛花姉」
こんなところは素直な二人である。いくら口ケンカしていてもすぐに仲直りしてしまうのだ。
「そうだ、今日は新しい武器を購入しようか。今の武器も改良しないと」
「そういえば私、今回の試合用にあの武器を購入したいと思ってますの。宜しければ…」
「それじゃ、こっちも何か買ってもらおうかな~」
それぞれ注文を言ってくる二人に、賢市は喜ぶように答えた。
「そうだな、今日は好きなものかってやるよ。じゃ、出かける準備でもしようか」
「賛成!」
そんなわけで賢市達は市街地にあるショップまで車を走らせる事にしたのだった。
「お待たせしてすいません、試合日と試合場所が決まりました。4日後の午後2時に集合、場所はサテライトスタジアムです」
サテライトスタジアム…?そこは建設中の場所のはず…。賢市は建設中の施設がなぜ試合会場に選ばれたのか分からなかった。
「そこはまだ立ち入りできないはずなのでは…?」
「前にも言いましたが、この試合は新しいリングのテストも兼ねています。そしてサテライトスタジアムはロボットバトル会場のステージでもあるのです。そこであなたをお尋ねしたのです」
なるほど、そういうことか。試合会場と聞いたが、こんな場所を試合場所に指定してくるとはな…。賢市は少し後悔していた。
「それで、そこまでは車で来たほうがいいですか?」
「そうですね、裏に仮の駐車場がありますからそこで待ち合わせしましょう。そこからは私とスタッフがご案内します」
「分かりました。では、試合楽しみにしてますよ」
「こちらこそ。あの子たちも闘えるのを楽しみにしていますから。それではこれで失礼します」
電話がきれ、賢市はすこしやるせない気持ちになった。
「会場は建設中のバトルステージ、それも極秘扱いときたもんだ。たとえ闘っても公式の試合じゃないから注目されるわけじゃないしランクが上がるわけでもない。それにどうして極秘でやらないといけないんだ?」
ソファーに座った賢市はそのことを考えた。
「建設中の会場とそこに隠されたバトルステージ、それにスタッフと言ってたな…。おそらくアークトランスのスタッフだろうな。こりゃ本当に新ステージのトライアル…だな」
そこへ模擬バトルを終えた凛花と來華が賢市の側までやってきた。
「主人、今回の試合点数、最高得点取ったよ。ここまで得点取るのに苦労したんだから」
「あのね來華、最高得点といっても模擬試合の中で、でしょう?そんなこと言いたいなら本番で勝ってからにしたら?」
相変わらず冷静な口調の凛花に、來華はむすっとした顔になった。
「凛花姉はいっつもそうなんだから。良くやったわね、來華、なんて一言も言ってくれないんだもん」
「あら、本当のことを行っただけですわよ。こんなことで怒るのはあなたが単純だからでしょ」
一触即発の状態になりかける二人に、賢市はなだめるように止めた。
「まあまあ、二人ともやめておこうか。それより今度の試合が決まったぞ。4日後にサテライトスタジアムで試合をするそうだ。相手は二人だからタッグマッチと言うことになるだろうな。その間にコンビネーションを完璧にこなしておくんだ」
賢市の一言で、二人の口げんかはぴたりとやんだ。
「そ、そうでしたわね。タッグですもの、二人で力を合わせないと」
「そうそう、早いうちにコンビネーション磨いておこうよ、凛花姉」
こんなところは素直な二人である。いくら口ケンカしていてもすぐに仲直りしてしまうのだ。
「そうだ、今日は新しい武器を購入しようか。今の武器も改良しないと」
「そういえば私、今回の試合用にあの武器を購入したいと思ってますの。宜しければ…」
「それじゃ、こっちも何か買ってもらおうかな~」
それぞれ注文を言ってくる二人に、賢市は喜ぶように答えた。
「そうだな、今日は好きなものかってやるよ。じゃ、出かける準備でもしようか」
「賛成!」
そんなわけで賢市達は市街地にあるショップまで車を走らせる事にしたのだった。