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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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武装神姫のリン
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 考えている、アタシこと豊嶋神無は考えている。誰の事を? それはまあ、彼女・・・じゃなくて彼の事を。


「だってさあ、男の子なんだよ?」
 数学の吉田先生の方程式をガードするようにノートを立て置き、そんなふうに呟く。はっきりとしない感情。窓際席ゆえの暖房と、意外に暖かい冬の日差しの二重奏にぼんやりするのとはまた別の、良いような悪いような心地。
  微音、叩。
「神姫って普通、女の子じゃないの・・?」
 ロウの姿を思い浮かべる。顔の造形は女性的。あまり詳しくはないけれど、普通の神姫と変わりはないように見える。けれど、胸はない。父さん曰く「強化改造の影響」ということらしいけれど、そうじゃない気がする。まあ、男か女かなんて、“下の方”を調べてみればわかるはずなんだけど・・
「できる訳、ないじゃない・・・」
ただ“その辺り”を見つめるだけだって何か恥ずかしいから、わざわざロウ用のショートパンツ作った位なのに、そんな事したら恥ずかしくて死んじゃうよ。
  微音、叩、叩。
「大体、触るのだって怖いのに・・・」
 ロウは普通の神姫より頑丈らしいし、その手足、後【背中の手】は大きいけど、首とか二の腕とかなんてちょっと触ったら折れちゃいそうなほど細い。すぐ痛がらせちゃいそうで触れない。でも、あの髪くらいなら触っても大丈夫かな? でも、何かヘンな事言われそうで、それが、また、怖い。
「・・・でも、今日手に触っちゃったんだよね・・・。あんな事くらいで喜んじゃって。そう言えば、ショートパンツあげた時もバカみたいに喜んでて・・・」
  微音、叩、叩。軽音、叩、叩。快音、叩叩叩叩叩。
「・・・ってうるさいなあ、さっきか・・・ら?」
 その音がした方を振り向く。それは窓の方、よく考えればアタシが窓際、しかもここ3階、つまり人がいる訳ない方向。振り向いたら確かに人は居なかった。でも、“居た”。
  快音、叩、叩叩。
「・・カンナっ!」
「・・・え、ロウっ!?」
 直ぐさま窓の鍵を外して、そっと開く。と・・・
「カンナぁっ!!」

「うわっ!?」
  急、飛込。回避。
「おりょ!?」
  通過落下転倒、横転横転、巻込横転薙倒横転転倒横転、横転横転横転。
「きゃあっ!?」
「なんだぁ!?」
「うわ、机が!?」
  横転激突、停止。
「ううううぅう・・・」

「・・・ロウ、あんたって・・・」
 窓からアタシ目掛けて飛びかかってきたロウを避けたら、ロウはそのまま教室の中に突っ込んで机を吹っ飛ばし、クラスメイトの足を引っかけ、ホコリを巻き上げながらすごい勢いで転がって、教室の反対側の壁で止まった。ノートも教科書も机も椅子も薙ぎ倒されて、教室はメチャクチャ。クラスメイトのあびきょーかんの声。どういう勢いで飛んできたの、あんた。
「豊嶋さん! これは一体なんです!?」
「あ、吉田先生! ええと、まあ、うちの犬です」
「犬ぅ?」
「あー、いたかった。カンナよけるなよ~」
「犬って、神姫じゃん、これ」
 クラスメイトが指摘する。いやまあそうなんだけどそうじゃないと言うか・・・。
「・・・ところでさ、ロウ、何しに来たの?」
「カンナのべんとーとどけに!」
 確かに大きな手の中にアタシのお弁当箱が握られてる。とりあえず近づいてそれは渡して貰う。
「・・・で、用が済んだなら早く帰る!」
「は~い!」
  疾走、跳躍、飛込、消。
 また同じ窓から、ロウは北風みたいに飛び出していく。あんまりに唐突な出来事に、誰も声が出せないみたい。
「・・・ええと、まあ、ごめんなさい」
 残りの授業時間は、お説教と教室の片づけだけで終わった。


「まったく、あいつったら・・。夕飯ヌキにしてやる」
「まあ、そのお陰で神無はお昼抜きにならなくて済んだんじゃない」
「このぐっちゃぐちゃの寄り弁見てもそんな事言うの?」
 机を向かい合わせにしていた秋子にそう言い返す。ご飯とミニハンバーグとポテトサラダとオレンジが混ざっててすごい味がするんだよ、これ。
「でも、神無が神姫持ってるなんて知らなかった。あ、でも犬飼ってるって言っていたね。それがあの神姫?」
「うんまあ・・・。でもあの武装神姫っていうの? あれはしてないよ」
 でも、神姫の事であんまり騒がれるのが嫌だったので、秋子も含めて学校では誰にもロウの事は言ってなかった。神姫って高いらしいから、知られると特に男子が騒ぐんだよね。大体あいつみたいなやっかい者の事を人に知られたら恥だし・・・って遅いかもう。
「確かに、神無がそういう事するようには見えない。まあ、私もそうなんだけど」
「え? 秋子にもいるの、神姫?」
「ええ。兄のお下がりみたいなものが、1人」
「どんな性格なの?」
「可愛いよ、人なつっこくて。でもちょっと頑固な所がある」
「ふうん、うちのロウよりはまともみたい」
「そうでもないのだけど・・。でもそんなに変なの、あの神姫?」
「うん、すごく変。だって“男の子”なんだよ? それに騒がしいしものは壊すしごはん犬食いだし・・・」
「男の子? そんな事もあるの?」
「あるみたい」
「ふうん。でもそう、“男の子”ね・・」
「?」

「なあなあ!! あの神姫って豊嶋のものなんだろ? カッコイイな!」

「へ!? あ、うん?」
 突然、甲高い声が耳元を直撃。見上げると居たのはクラスメイトの男子。ええと確か相原武也君(男子の名前なんて全員は覚えてないや)。いきなり馴れ馴れしく話しかけられて、ちょっとびっくりする。
「俺も神姫持ってるんだけどさ、あのハウリン、見た事もない武装だよな? 何処で手に入れたんだ? バトルやらないか?」
「いや、あれ父さんが会社から連れてきた試作品?だから売ってないし、そのバトルってのもちょっと出来ないんだよね。アタシはマスターとか言うのじゃないし」
「え!! 豊嶋の親父って神姫メーカーに勤めてんの? 嘘!? 何か非売品パーツとかも貰えるの!? いいな、俺にも少し分けてくれないか?」
あ、やばい言っちゃった。だから神姫の事言わないでいたって言うのに。
「いや、そういうのはちょっと・・・」
「じゃあ、バトルだけでもしない? レギュレーションがマズイならフリーバトルでいいしさ。あ、もちリアルバトルは無しな、今修理中のパーツがあるしセッティングも・・」
「いやだからムリなんだってば・・・」
なんかよくわかんない単語の連続と、そもそもよくわかんない男子に話しかけられるウザさでちょっと嫌になる。けど相原君のこの勢いをどうやって止めれば・・・
「・・・私の神姫で良ければ、会わせてあげてもいいわ。直接、バトルは無理だけれど、装備やバトルデータ共有で参考にはなると思う」
「何? 法善寺も神姫持ってるの!? だったら・・今度お前んちに行ってもいい?」
「え、あの、いやそれは・・・」
「お~い武也、体育館行こうぜ!」
「ああ、今行く! じゃあ、法善寺また後でな!」
 そう言って、友達に呼ばれた相原君は教室から走り去って行った。


「う~ん、言うだけ言って帰るし。でも、良かったの秋子? あんな事言っちゃってさ」
「・・・私の神姫、ちょっとバトル嫌いなだけだから」
「いやそうじゃなくって相原君を家に呼ぶって話。秋子って、男の子と遊ばないでしょ普段。神姫の事も隠してたんだから、そっちに興味ある訳でもなさそうだし。アタシを庇ったって言うなら後でアタシが断るよ?」
「そうじゃないの。ただ、ちょっと相原君に興味があるだけ」
「・・・あ、なるほど。秋子って相原君好きなんだ」
「・・ちょっと、興味があるだけだって」
 クールな秋子が珍しくしおらしい顔を見せる。そういうのまだ興味ないんだって思ってた。でもそんな事も無いよね。
「うん、わかった。出来る事があったら応援するよ」
「それはいいけれど、神無は、自分の事も考えた方が言いよ」
「へ? どういう、意味?」



「え!神姫での犯行だったんですかあの窃盗!!」
 豊嶋甲の裏返った声が、BLADEダイナミクス第4研究部に木霊する。周りの部下に変な目で一瞬見られるが、部長が変なのはいつもの事と、すぐに視線は消える。
『ああ、私がずっと犯人を追っていたんだ。そちらの方は処理出来たんだが、それよりちょっと気になる事があってな』
 甲がパソコンに写した複雑な面持ちを知ってか知らずか、ボイスチャットの相手は少し重い声色に変わる。
「気になるって、もしかして犯行に使われた武装神姫の事ですか、“ファナティック”さん?」
 甲は画面の向こうの低い電子音の主、ネットハッカー“ファナティック”に問いかける。“彼”はハッカーとは言え通常のそれとは毛色が違い、メーカー等関係者への有用な情報提供、ネットに漂う違法神姫サイトのクラッキングなど、MMS、特に神姫を守護する存在として有名だった。甲自身も研究の支援を受けた経緯があり、“彼”には無二の信頼を寄せていたのだ。
『いや、それを破壊した者の事だ。お前の神姫、確かロウ、と言ったな』
「ええまあ。ってロウがどうかしたんですか?」
『そのロウが、犯人の神姫を破壊した』
「へ!? ロウが!? そういえば庭に何か居たとか・・・でも何も無かったしなぁ・・・」
『それは私が回収した。犯人を追跡する途中で、その現場を目撃したんだ。どうもお前の家に盗みに入る所を、ロウが阻止したらしい』
「うちに盗みに? 本当に入ってたのかよ・・・」
『問題は其処じゃない。その神姫が、“自分の同類である神姫を何の躊躇いもなく破壊した”と言う事だ』
「・・・どういう、事ですか? 大体ロウはそんな凶暴な訳ないし・・・」
『その神姫は、“神姫を認識していない”。認識していなければただの人形と同じように“壊せる”。それどころか下手をすれば人間にも危害を加える可能性がある』
「う、嘘でしょ!?」
 思わず甲は画面にかぶりつく。
『その神姫は、論理プロテクトが外れている可能性がある。いや・・適応されなくなった、とでも言った方が正しいか。確かその神姫は、自分の事を“男”と思っていると言っていたのだったな?』
「変な話だと思うけど、別にいっかと思ってたんですが」
『・・・普通はもっと怪しむがな。ともかく、そいつにお前は「留守中の家を守れ」と言ったのだったな』
「ええまあ、犬だし、昼間うちは蒼とロウしかいないから、家を守るのはお前の役目だって言ったけども確か」
『つまりはその“家を守る”為なら誰を傷つけても何とも思わないという事だ』
「そんな! そんな事、出来る訳・・・」
『“人間”ならば家族を守る為になりふり構わず、なんて事は普通だろう? いや、もっと残酷な手段であろうと日常茶飯事ではないか?  “G・L”に感染しているとすれば、そんな事も有り得るんだろうな』
「へ? “G・L”って何のことで?」
『後で話す。まずは確認してからだ。今からその神姫に会う』
「ロウに会うって・・・」
『お前の家が近いと判ったからな、もう家の近くに来ている。もうすぐ・・・』


「もうすぐ・・・ 来たわね」
 塀の上を歩いて来る影を見つけ、アニーはボイスチャットを一旦保留する。【玉座】を操作して、緩い速度で、その影へと近づく。

「ガッコってとこ、おもしろそーだな、カンナもいるし。もっといたかったけど、でもカンナがかえれっていうし・・・」
「はあい、あなたがロウ君ね」
「? あんただれだ? ロウとおんなじか? おんなじみたいなにおいがする」
「・・ふうん、自覚もあるんだ。それにジャミング無しでも“2次感染”もしない、本物ね、“G・L”だわ」
「だから、あんただれ?」
「ああ、ごめんなさい。あたしはアニーちゃんって言うのよ。あなたに大事な事を教えに来たのよ」
「え!! それってセンセってやつか! ガッコでいろんなことおしえてくれるひと!」
「先生? まあ、そうとも言えるかもね」
「やったー! これでおれもガッコにかよえる~!!」
「え!? いや、そういう事じゃないんだけど・・・」
「そうすれば、ずっとカンナといっしょだ!」



 彼女、いや彼の名はロウ。それは「狼」ではなく、「浪」でもなく、「桜」でもなく、「Law」でもなければ、「Low」でもない。「ろー」、それはただ家族の為にある名。
 ・・・“男”としての誇りに満ちた名。

 “女性”を失い、同族を握り潰し、そして己が身すら省みる術を知らない。だが、家族があり、誇りがあり、・・・そして“愛するもの”が居る。
 その“心”の何処が、劣ると言えるか? その心の何処が、狂っていると言えるだろうか? 答えを出せる“人間”は居ない。


―第1章 狂犬 終―








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