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水中バトルで大ピンチ! 後編



 そして当日、会場のステージに来たいずる達はホーリーの最終チェックを行っていた。今回のホーリーの装備は水中戦に対応した装備を装着している。そのためにいつもより余計にチェックしないといけないのだ。
 「それにしてもすごい装備になったな、今回は」
 「どうにかならなかったんですか」
 ホーリーの装備を見て恒一とシュートレイは驚いていた。それを聞いたホーリーはすこし涙目になった。
 「ううっ、そんなこと言われたって…」
 「まあ、今回は細かいところまで気を使う時間まで無かったからちぐはぐな感じになったのはしょうがないけど」
 ホーリーのチェックを終えたいずるは彼女をカプセルの中に入れた。
 「でも、よくそんな装備をつける気になりましたね、ホーリーさんは」
 「まあね、でも少し不満そうだったけど」
 いずるの脳裏にはついさっきまで嫌がっていたホーリーの姿が浮かんでいた。
 「そういえば相手の神姫、水陸両用なんだってな」
 恒一は相手の神姫のことをいずるに聞いてきた。
 「ああ、そういえばそうみたいだな」
 「タイプくらいなら調べる事はできるはずだろ?少し調べてみようぜ」
 いずるはパソコンで相手側の神姫のデータを調べてみた。
 「ええと、名前は…これかな?」
 「それだ、メルクリウスと書いてあるな。これはヴァッフェドルフィンタイプか。ここのステージ向きだな」
 ヴァッフェドルフィン、このタイプは水中だけではなく地上でも性能を発揮できる、いわゆる水陸両用タイプである。
 「後のデータは…あまりないみたいだな。でもこれだけ分かれば何とかなるか」
 しかし恒一は少し真面目な顔をして、いずるに忠告した。
 「このタイプは手ごわいから気を付けろ。相棒も一度こいつと同じのと闘った経験があるからな」
 そして恒一はいずるの肩をポンと叩き、自分はシュートレイを肩に乗せ観客席に向かった。
 「俺もシュートレイも後の試合に出るからお前もあんな奴になんかに負けるんじゃないぞ」
 「私たちもいずるさんとホーリーさんのこと応援しますから」
 「ああ、恒一達もがんばって」
 スタンバイを告げる合図が鳴った。いずるはヘッドセットを被り、モニターに移るホーリーに声をかけた。
 「ホーリー、まだ慣れてないステージだけど、シミュレーションのときは大丈夫だったからいけるね」
 『う、うん。出来る限りがんばってみる』
 試合開始の合図を告げるアナウンスが会場に鳴り響き、バトルがスタートした。

 ホーリーが現れたのは、眩しい青空が広がる砂浜だった。
 「あれ、ここって無人島?それにしてはパラソルとかあるね」
 『まあ、ここはあくまでもステージだからな。こんなのがあっても不思議じゃないさ』
 ホーリーは周りを見回したが、誰もいなかった。本当なら相手側の神姫・メルクリウスが現れるはずなのだ。
 「どうしよういずる、なかなか現れないんだけど」
 『そうだな、もう少し様子を見てみる…って、おい!』
 なんとホーリーは砂浜においてあるビーチボールを持って遊び始めたのだ。
 「よーし、いっくよ~!!」
 『って、お前!何やってるんだ?』
 ボールで遊ぶホーリーを見て、いずるは慌てて遊ぶのを止めるように言い聞かせた。
 『今はバトルの最中だろ?そんなことしてる場合じゃないだろ?』
 「え~、だってじっとして待ってるんじゃつまんないじゃん。だったらこうして遊んだ方が…」
 『そんなときに攻撃されたりしたらどうするんだ!』
 そのとき、いずるは相手を示すセンサーがモニターに表示されている事を知った。
 『…さっきのは撤回、合図があるまでそのまま遊んでろ』
 「え?だってさっき…」
 『いいから!』
 いずるの指令でホーリーはボールで遊び始めた。その間にいずるは相手の位置を探り始めた。
 (なるほど、あの神姫は水中からここに潜入してくるのか…。だったら、その裏をかいてみるか)
 どうやらいずるはホーリーを遊ばせて相手に隙を与える方法をとるようだ。いずるはセンサーに注意しながらホーリーに声をかけた。
 『よし、そのまま後ろに下がるんだ。相手に気付かれずにな』
 「相手?なるほどね、じゃ、そうするよ」
 じりじりと後ろに下がりながらボール遊びをするホーリー。そして相手のセンサーがホーリーの場所まで迫った!
 『いまだホーリー、そのまま後ろへジャンプするんだ!!』
 「OK、いずる!」
 ホーリーはいずるの言われるままに後方へジャンプした。その直後、海の中から黒い鉄仮面、じゃなくてメルクリウスが現れた。
 「あっ、こんな所に!」
 『思ったとおりだ、相手は隙をついて攻撃するつもりだったんだ。ホーリー、ニードルガンで攻撃するんだ』
 「わかった、いけっ、釘ミサイル!」
 跳んだままメルクリウスに攻撃を仕掛けるホーリー。しかし彼女は素早い動きでニードルをかわした。
 『かなり高速に移動できるみたいだな。ホーリー、接近戦は避けてそのまま逃げ回るんだ』
 ホーリーはメルクリウスに背を向けて逃げ回った。だが彼女はそれを見逃しはしなかった。
 「…私も舐められたものだ」
 逃げるホーリーに追い討ちをかけるメルクリウス。彼女の走りはまるで砂浜を感じさせない走り方だった。
 「逃げていないで私と戦え!!」
 あっという間に追いつかれるホーリーは、焦っていずるに助けを呼んだ。
 「ごめ~ん、逃げられないよ~」
 だが、いずるは冷静な表情でホーリーに話しかけた。
 『何とかしてあそこまで逃げるんだ。そこは岩場だから気をつければ足場を取られる心配はない。後は水中に逃げられないようにすればいい』
 「うん、何とかそこまで逃げてみるよ」
 岩場まで逃げようとするホーリー。しかし、後一歩のところでメルクリウスに追いつかれてしまった。
 「いい加減にしてくれないか?逃げ回るなんて戦士として恥ずかしいと思わないのか?」
 「あ、あたしは戦士なんかじゃないよ…」
 後ずさりしながら岩場の方向へ向かおうとするホーリー。その態度が気に食わないのか、メルクリウスはホーリーに近づき、彼女の首元にトンファー状の剣を突きつけた。
 「いや、ここにいる以上は戦士として戦わなければならない、あんたも分かってるはずだ」
 メルクリウスの言葉でおろおろするホーリーは、いずるに助けを求めてしまった。
 「ううっ、どうしよういずる~、これじゃあどうする事もできないよ~」
 『落ち着け、まだ手はある。相手を海に誘い込むんだ』
 とんでもないことを言われたホーリーは、それを拒否した。
 「でも水中じゃこっちが不利になっちゃうよ。それでもなんか方法でもあるの?」
 『まあね、とにかくまずは水中にもぐらないと』
 ホーリーはそのまま海に向かって走り、海の中へ潜っていった。
 「なるほど、覚悟を決めたようだね。それなら私も答えなければいけないようだな」
 メルクリウスもホーリーを追って海に潜った。

 海の中にもぐったホーリーはバックパックのハイドロモーターと両肩の加速用モーターを起動させ、ある場所へ移動していた。
 「いずる、どこまでおびき寄せればいいの?」
 『できるだけ海山や海溝があるところまでだ。そこなら隠れる場所があるから相手の攻撃も防げるはずだ』
 ホーリーはいずるに従い、海山がある地形へ向かった。
 「逃がしはしないよ、私のテリトリーに入ったのが運の尽きだからね」
 後から追ってくるメルクリウスはスピードを上げてホーリーに向かってきた。
 「どうしよう、このままじゃ追いつかれちゃうよ」
 ホーリーのバックパックはハイドロジェットを推進に使っているため、他の水中タイプよりも速度は速いはずである。しかしホーリーのバックパックはホーリーにあわせて作られたものではない。そのため水中潜行能力は相手より劣るのである。
 『この先に海山が多い地形がある。そこまでおびき寄せてから私の言うとおりに動くんだ』
 ホーリーは無言で頷くと、指定の場所に向かっていった。
 「どこへ向かうつもりかい、どこへ行こうとも私を追い抜くことはできない」
 さらに加速するメルクリウス。その動きはまるでイルカのようだ。その動きを見たいずるはあることに気付いた。
 『そうか、メルクリウスがどうして早く泳げるのかが分かったぞ』
 「え?どういうこと?」
 『あれは海洋哺乳類のような動きをしてるから速く泳げるんだ。でもそれだけじゃないのは確かだろうな』
 いずるは動き以外にも早く泳げる仕掛けがあるのではないかと考えていた。
 (メルクリウスはどんな推進システムを使っているんだろうか?身体に特別なシステムが内蔵されているんだろうか…)
 モニターでメルクリウスの体をチェックしてみると、背中にヒレのようなものがあることに気付いた。
 (これは何だ…。データ不足だから詳しい事は分からないけど、もしかしたら…)
 そう考えているうちに、ホーリーが目的地点に近づいてきたようだ。
 「海山が見えてきたよ、どこに隠れるの?」
 『いや、できるだけ狭い場所まで移動するんだ。海溝の近く辺りのほうがいいだろう』
 ホーリーは海山のふもとに向かい、海山に沿って動き始めた。
 「なるほど、地形を利用して戦うつもりか。しかし水中戦ではこっちのほうが有利ということを忘れたか」
 メルクリウスは水中魚雷をホーリー目がけて発射した。
 「え、ミサイル?」
 『魚雷だ、避けろ、ホーリー!』
 魚雷は近くの岩肌に当たり、跡形もなく消し去った。
 「ひえ~、なくなっちゃったよ…」
 『ホーリー、気を付けろ。相手は水中用の武器を装備している』
 「それを早く行ってよ~、油断しちゃったじゃないの」
 その隙をメルクリウスは見逃さなかった。彼女は素早く移動すると、ホーリーの真後ろに来て手をつかんだ。
 『しまった、捕まえられた!』
 そしてメルクリウスはホーリーの両腕をクロスしてそのまま回転し始めた。
 「こ、これってやばいよ!何とかしないと」
 ホーリーは何とか脱出しようとするが、どうしても腕のロックが外れない。
 「あがいても無駄さ、この技に逃れる術は万に一つもない!!」
 回転が高速になり、次第に上昇する二人。そしてそれは竜巻になって水上に飛び上がった!
 「大回転渦潮落とし!!」
 そのまま頭から水面に叩きつけられる形となった二人。大きな水柱が上がったかと思うと、その中から水圧に耐えられなかったホーリーが大の字になって浮かんできた。
 少し離れた場所から浮上したメルクリウスは勝利を確信していた。
 「これであんたもかなりのダメージを負った筈。どうやら私の勝ちのようだ」

 『しっかりしろホーリー!ダメージはそんなにないはずだ』
 気絶してうつ伏せになって浮かんでいるホーリーをいずるは大声でたたき起こした。
 「…あれ、どうしたんだろ?たしか捕まって回転されて…」
 『相手の必殺技にやられて気絶してたんだ、ホーリー、まだいけるか?』
 ホーリーは何とか動き出し、泳ぎだした。
 「だ、大丈夫。ちょっと頭がふらふらするけど何とか闘えるよ」
 ホーリーは再び水中に潜り、相手の様子をうかがう事にした。
 『油断するな、相手はまだ水中にいるかもしれないからな』
 案の定、近くにメルクリウスが警戒しながら泳いでいた。
 「どうやらこっちの動きに気付いてるみたい」
 『できるだけ近づかないようにするんだ。使ったらまたあの技にやられるぞ』
 ホーリーは何とかしてメルクリウスに近寄らないようにした。中距離で攻撃を仕掛けるつもりなのだ。
 「ねえいずる、あの武器いつ使うの?もう少し引き付けてから?」
 『ああ、まだあっちはこっちの全貌をつかめていないはずだ。まだ使わない方がいい』
 「OK」
 ホーリーはメルクリウスから離れながらミサイルで攻撃した。ミサイルは標的からそれて爆発してしまったが、メルクリウスを撒くのには十分だった。
 「これで大丈夫かな?」
 『とりあえず時間稼ぎくらいにはなるだろう。ホーリー、できるだけ深いところまでおびき寄せろ。勝負はそれからだ』
 ホーリーはいずるの指示に従い、海山がある所に潜っていった。
 「くっ、どこにいきやがった?あの生意気な神姫は?」
 ようやく濁りがなくなって見えるようになったメルクリウスだが、さっきの冷静さがなくなっている。どうやらキレてしまったようだ。
 「うわ、すごい勢いで追いかけてくるよ」
 『どうやら相手は熱くなっているようだな。もしかしたらこっちに勝ち目があるかも知れない』
 さらに深いところまで潜るホーリー。それを追いかけるメルクリウス。そしてある程度の深さまでもぐったホーリーは振り向いてメルクリウスを迎え撃つ体勢をとった。
 「そこか、こんな所でちょろちょろするな!!」
 一直線に向かってくるメルクリウス。しかしホーリーは微動だにしない。
 『あと少しおびき寄せろ。こっちの射程距離に入ったらあれを仕掛ける』
 「うん」
 そして、ついに射程距離に入った。ホーリーは向きを変えてメルクリウスの真正面に立ちはだかった。
 「ハイドリュート・トルネード!!」
 両肩に装備された加速用ハイドロユニットからものすごい水圧が噴出し、竜巻となってメルクリウスを直撃した。
 「な、なんだ、これはぁぁぁぁっ!!」
 高い水圧に押しつぶされながら水上に押し戻されるメルクリウスは装備を吹き飛ばされ、もはや何もできない状態だった。
 そして空高く飛ばされたメルクリウスは無人島の岩がある付近まで吹き飛ばされていった。
 「しまった、このままでは岩肌に叩きつぶされる…!!」
 彼女はバラバラになることを覚悟した…。ところが…。
 「グランダー・フック!」
 どこからともなくワイヤーつきのフックが跳んできて、落下するメルクリウスの脚をつかんだ。彼女はそのまま浅瀬に引き寄せられて着水した。
 「一体どういうこと…だ。私は敵のはずだ」
 助けたのはホーリーだった。彼女は岩に叩きつけられるのを防ぐためにフックで助けたのだ。
 「…ホーリーは相手が壊れる姿なんて見たくない。それにそんなの見たらあなたのマスターだって悲しむよ」
 「よ、余計なお世話だ。これは戦いなんだ。相手に情けなんかかける奴があるか」
 しかしホーリーは悲しげに首を横に振りながらこう答えた。
 「違う、ホーリーたちの試合は相手を壊す事なんかじゃない。みんなと一緒に闘って、みんなで楽しく競い合うのがホーリーたちの試合なんだよ…」
 ホーリーの悲しく姿をみたメルクリウスは、降参するために右腕を上げた。
 「分かった…、あんたの涙に負けた。あんたのやってることは私にはまだ理解できないけど」
 メルクリウスが降参の合図をだしたその瞬間、ホーリーの勝利が決まった。

 戦いが終わった直後、いずるとホーリーは廊下でメルクリウスとそのマスターと対面した。その顔立ちは以外にも素直な表情だった。
 「君がその子のマスターだね。始めまして、私の名は藍田遼、メルクリウスのマスターだ」
 手を差し伸べる遼。いずるはそれに答え、握手をした。
 「都村いずるです。それにしても驚きました。メルクリウスのマスターがこんな人だったなんて…」
 「ははは、他の人からもそういわれるよ。私自身あまり過激な戦いを好まないんだが、メルクリウスは一度キレると手が付けられなくなるんで…」
 照れながら笑い飛ばす遼。どうやらメルクリウスの性格はオーナーと同じとはいかないようだ。当たり前の事だが。
 「ところでメルクリウスはどうしたんですか?それほどダメージはないような感じだったんですが…」
 「さっきのことで恥ずかしがってるんじゃないかな、一応メンテナンスルーム行きになったけど。心配することはないよ」
 彼女のことに気を使う遼。しかしその瞬間、今までとはうって変わった表情になっていずるにこんなことを話してきた。
 「そういえば君の友達の神姫、次が試合だったね。その相手の神姫には気をつけたほうがいいって話してくれないか」
 「え?どういうことですか?対戦相手に何かあるんですか」
 遼からでた思いがけない言葉に、いずるは不安のようなものを感じていた。
 「相手はブラッククリスマスだ。またの名を『闇の伝道師』と呼ばれていて、相手を徹底的に叩きつぶすことを目的としている」
 闇の伝道師…。いずるはその名前を聞いて余計に恒一とシュートレイのことが気掛かりになった。
 「気を付けろ、そいつと戦った相手は最悪の場合再起不能になるといわれている恐ろしい神姫だ。今からでもいいから棄権するなり戦いを避けるなりしないと大変なことになるぞ」
 真剣な顔でいずるに忠告した遼はその場から去っていった。残された二人はこのことを恒一達に伝えるために控え室に急いだ。
 「早く控え室に行って知らせないと、シュートレイが大変な事になるよ」
 「あ、ああ。もう試合10分前だ、早く伝えないと」
 いずる達は息絶え絶えながら控え室に入った。しかし…。
 「い、いない。もう試合会場に行ったのか」
 「もう時間がないよ、急いで会場に行かないと!」
 会場に急ぐ二人。そして会場のリング近くに来たその瞬間、彼らはとんでもないものを見ることになる…。
 それは、シュートレイが戦闘不能になった姿だった。そしてその脇には幾つもの刃を展開した謎の黒い神姫が立っていた。
 「…一体どうなってるんだ、これは…」
 次の瞬間、ドクターストップが言い渡され、試合は終了した。
 「あれがブラッククリスマス…なんて戦いかただ」
 がくんと膝を落とすいずる。涙目を流しながらメンテナンスルームに運ばれるシュートレイに付き添う恒一の姿に、今度はホーリーがこんな姿になるのではないかと想像してしまった。
 「…いずる、どうしたの、いずる!!」
 ホーリーの声で我に返ったいずるは、いまだリングに立っているBクリスマスを見た。
 彼女は不敵な笑みを浮かべ、いずるとホーリーを軽蔑するかのように見つめた。そしてリングから去っていった。
 それを見たいずるは、心の中からBクリスマスに対する怒りが吹き上げてきた。
 「ホーリー、あんな奴になんか負けるんじゃないぞ!もしあいつが闇の伝道師だとしても、私たちは勝たないといけないんだ!!」
 いずるは拳に力を入れ、心の中で打倒Bクリスマスを誓うのだった…。


つづく









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