紅き星の下、月を臨む者(中編)
海中に潜ったティテュスさんの姿は見えないまま、相変わらずミサイルが
驟雨の如く降り注ぎます。海上基地の床は爆風で徐々に破壊されていき、
あたし達が避ける空間もそれに伴って狭まっていきます……不利でした。
驟雨の如く降り注ぎます。海上基地の床は爆風で徐々に破壊されていき、
あたし達が避ける空間もそれに伴って狭まっていきます……不利でした。
「おお~っほっほっほっほ!そのままスクラップにしてあげますわ!!」
「……そんな事。あたしのちっぽけな誇りでも、許しませんッ!」
『No problem(その意図は叶えられます)』
「モリアン……有り難うございます、行きましょうッ!」
『アルマよ!水中では剣のみが頼りだ、気を抜くなよッ!』
「……そんな事。あたしのちっぽけな誇りでも、許しませんッ!」
『No problem(その意図は叶えられます)』
「モリアン……有り難うございます、行きましょうッ!」
『アルマよ!水中では剣のみが頼りだ、気を抜くなよッ!』
マイスターの助言に肯いて、あたしとモリアンは海上に飛び出します。
そのまま疑似重力に沿って堕ちて、その間に“レーラズ”のスカートが
窄まる様に変形します。同時に腰には“ヨルムンガルド”が装着され、
それと同時に、あたし達……ううん、“あたし”は海中へと没します。
そのまま疑似重力に沿って堕ちて、その間に“レーラズ”のスカートが
窄まる様に変形します。同時に腰には“ヨルムンガルド”が装着され、
それと同時に、あたし達……ううん、“あたし”は海中へと没します。
「おほほ!切羽詰まって飛び込むなんて……水中装備のない神姫が!」
「そう、何もなければ沈んでいって……そのまま領域離脱で負けますね」
「……え?!こ、この声は……海中に堕ちたのに、一体ッ!?」
「そう、何もなければ沈んでいって……そのまま領域離脱で負けますね」
「……え?!こ、この声は……海中に堕ちたのに、一体ッ!?」
あたしの姿を見失ったティテュスさんが、慌てて周囲を警戒してます。
でもその時、既にあたしは“死角”から攻める準備を整えたんですよ。
海中に配するは、十二本の“剣の騎士”。その全てが、上を狙います!
でもその時、既にあたしは“死角”から攻める準備を整えたんですよ。
海中に配するは、十二本の“剣の騎士”。その全てが、上を狙います!
「あたしは紅星の閃姫(ロードナイト・ヴァルキュリア)!その名は……」
「く……声は……下!?まさか……あ、ぁぁっ!?その姿はッ!」
「誇りを伴い、敵を討つ絶対の称号です!……ゴーッ!!」
「く、くぅぁぁあああっ!?こ、このっ!邪魔よッ!!」
「く……声は……下!?まさか……あ、ぁぁっ!?その姿はッ!」
「誇りを伴い、敵を討つ絶対の称号です!……ゴーッ!!」
「く、くぅぁぁあああっ!?こ、このっ!邪魔よッ!!」
彼女が驚いたあたしの下半身は、鋼で出来た人魚の尾を纏っていました。
その尾はあたしの胸や肩まで覆い尽くした、完全な水中戦用装甲ですッ!
“マーメイド・フィギュア”。この為にある、“アルファル”の姿です。
あたしは“マビノギオン”に備え付けられた電磁ブースターを噴かして、
一気に上昇……先程の様に、ティテュスさんのすぐ側へと肉薄しますッ!
その尾はあたしの胸や肩まで覆い尽くした、完全な水中戦用装甲ですッ!
“マーメイド・フィギュア”。この為にある、“アルファル”の姿です。
あたしは“マビノギオン”に備え付けられた電磁ブースターを噴かして、
一気に上昇……先程の様に、ティテュスさんのすぐ側へと肉薄しますッ!
「隙有りですよっ……はぁぁッ!」
「ぎゃうっ!?こ、このっ……串刺しにしてあげますわっ!!」
「くっ!?水中戦特化、なんですねその装備は……!きゃわっ!?」
「ぎゃうっ!?こ、このっ……串刺しにしてあげますわっ!!」
「くっ!?水中戦特化、なんですねその装備は……!きゃわっ!?」
エルテリアの一閃は効果的な斬撃を与える事が出来ましたが、なお彼女は
下半身の前足を変形させ、巨大ニードルガン……或いは槍の射出機……を
展開、あたしを串刺しにしようと執拗に繰り出してきます。その穂先は、
水中でより飛距離が伸びる様に、スクリューの様な加工がされています。
“アルファル”の装甲は一撃の威力が重いと、防御が一切機能しません。
あたしは、至近距離からのラッシュを避けるだけでも精一杯の状況です。
下半身の前足を変形させ、巨大ニードルガン……或いは槍の射出機……を
展開、あたしを串刺しにしようと執拗に繰り出してきます。その穂先は、
水中でより飛距離が伸びる様に、スクリューの様な加工がされています。
“アルファル”の装甲は一撃の威力が重いと、防御が一切機能しません。
あたしは、至近距離からのラッシュを避けるだけでも精一杯の状況です。
「当然、わたくしはティテュス!“オケアノスの伴侶”たる海の女王!」
「くっ!……きゃっ!?し、尻尾の鞭まで……動きが素早いですねっ」
「ほほほ!何時まで串刺しにならずにいられますかしらっ!!」
「……でも、貴女も防御には気を遣った方がいいですよ!」
「なんですって……そ、そう言えばあの剣達は!?」
「くっ!……きゃっ!?し、尻尾の鞭まで……動きが素早いですねっ」
「ほほほ!何時まで串刺しにならずにいられますかしらっ!!」
「……でも、貴女も防御には気を遣った方がいいですよ!」
「なんですって……そ、そう言えばあの剣達は!?」
いくら“人魚の脚”が高機動でも、本職にずっと敵う物じゃないです。
でも、あたしだってやられっぱなしじゃありません。体力を削られつつ
エルテリアの能力で剣を招き寄せ……逆襲の機会を伺っていたんです!
でも、あたしだってやられっぱなしじゃありません。体力を削られつつ
エルテリアの能力で剣を招き寄せ……逆襲の機会を伺っていたんです!
「出でよ神鳥エルディナス、イェナエルとフェルエルッ!!」
「ひゃっ!?く、鳥!?鳥が両肩を……は、離せぇッ!?」
「そのまま抱え上げて!陸に引っ張り上げてくださいッ!!」
「うああああっ!?は、離しなさいバカ鳥ッ!?」
「ひゃっ!?く、鳥!?鳥が両肩を……は、離せぇッ!?」
「そのまま抱え上げて!陸に引っ張り上げてくださいッ!!」
「うああああっ!?は、離しなさいバカ鳥ッ!?」
彼女の背後で十二の刃は、二羽の鳥に合体。彼女の装甲が最も薄い両肩を
フックで掴み上げて、そのまま海上へと引っ張り上げていきます!必死に
ティテュスさんは振り解こうとしますが……あたしの意思力と魔剣の力で
強化された刃の鳥は、簡単に彼女を離しません。あたしはその後を追って
両手の電磁ブースターと背の水中電磁ポンプジェットで、急上昇します!
フックで掴み上げて、そのまま海上へと引っ張り上げていきます!必死に
ティテュスさんは振り解こうとしますが……あたしの意思力と魔剣の力で
強化された刃の鳥は、簡単に彼女を離しません。あたしはその後を追って
両手の電磁ブースターと背の水中電磁ポンプジェットで、急上昇します!
「うわあぁぁっ!?し、しまった水から……は、離しなさいっての!」
「無駄です、ティテュスさん!あたしの意思がある限りはッ!」
「ならば、叩き落としてあげますわっ!!そらそらっ!!」
「く……モリアン、海上に出たら“フライヤー・フィギュア”です!」
『No problem(離水直後に変形します、備えてください)』
「上出来です……そぉ、れっ!!」
「なっ!?人魚の尾が、飛行用バックパックに……!?」
「無駄です、ティテュスさん!あたしの意思がある限りはッ!」
「ならば、叩き落としてあげますわっ!!そらそらっ!!」
「く……モリアン、海上に出たら“フライヤー・フィギュア”です!」
『No problem(離水直後に変形します、備えてください)』
「上出来です……そぉ、れっ!!」
「なっ!?人魚の尾が、飛行用バックパックに……!?」
彼女は蜂の腹部の様な腰を左右に開いて、無数のミサイルを乱射します。
あたしはそれを時に防御し、時に迎撃しつつ海上へと一気に飛び出ます!
その瞬間モリアンは変形、巨大水平翼を持つ飛行モジュールになります。
そのまま海上基地の上で拘束されている彼女の元へ、高速で飛んで……!
あたしはそれを時に防御し、時に迎撃しつつ海上へと一気に飛び出ます!
その瞬間モリアンは変形、巨大水平翼を持つ飛行モジュールになります。
そのまま海上基地の上で拘束されている彼女の元へ、高速で飛んで……!
「モリアン、“シリンダー・フィギュア”!零距離射撃ですッ!!」
『No problem(エネルギーは確保してあります、トリガーどうぞ)』
「これはコンボ技……名付けるなら“ムーンライト・ロンド”です!」
「ぐっ!?や、やめ──────」
「……フォイエルッ!!」
「ぎゃあぁあああぁあぁぁぁっ!?」
『No problem(エネルギーは確保してあります、トリガーどうぞ)』
「これはコンボ技……名付けるなら“ムーンライト・ロンド”です!」
「ぐっ!?や、やめ──────」
「……フォイエルッ!!」
「ぎゃあぁあああぁあぁぁぁっ!?」
飛行ユニットから、大型ギガビームガトリング砲に変形したモリアンを
保持。そのまま零距離状態で撃ちまくります!集束率が若干弱いですが
速射性能は全形態中で随一!見る間にその装甲は吹き飛び、獣の頭等も
砕け散っていきます……!大ダメージを与える事に成功したあたしは、
そのまま自由落下に任せて海上基地への床面に着地、距離を取ってから
鳥に掴まえられていたティテュスさんを解放して、地面に落とします。
保持。そのまま零距離状態で撃ちまくります!集束率が若干弱いですが
速射性能は全形態中で随一!見る間にその装甲は吹き飛び、獣の頭等も
砕け散っていきます……!大ダメージを与える事に成功したあたしは、
そのまま自由落下に任せて海上基地への床面に着地、距離を取ってから
鳥に掴まえられていたティテュスさんを解放して、地面に落とします。
「ぎゃうっ!?……お、己!おのれおのれおのれぇぇっ!!」
「……もうやめませんか?これ以上となると、手加減は出来ません」
「黙りなさい!わたくしのプライドはズタズタですわ!赦しませんッ!」
「なら、あたしも己のプライドにかけて貴女を倒します……モリアン」
『No problem(お供致します)』
「……もうやめませんか?これ以上となると、手加減は出来ません」
「黙りなさい!わたくしのプライドはズタズタですわ!赦しませんッ!」
「なら、あたしも己のプライドにかけて貴女を倒します……モリアン」
『No problem(お供致します)』
──────勝負は一撃、いよいよ最後の時です!