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第1話 「邂逅」

 

俺が求めたのは天使だったのに、やってきたのは悪魔だった。

 

 事の起こりは今から約1年前。
念願のマイホームを購入した祝いにと、家族総出で旅行に行った帰り道。
飲酒運転のダンプがこっちの車の横っ腹に突っ込んで、両親と妹と弟……あっという間に家族全員あの世行き。
俺だけ命は助かったものの、病院で目が覚めた時には左の足が無くなっていた。
 家族全部と足1本……それらと引き換えに俺の手元に残ったのは、4人分の生命保険と多額の慰謝料、それから真新しい一軒家。
20代半ばにして一生遊んで暮らせるだけの財産が手に入ったわけだが……さて、幸運なんだか不運なんだか。


 何をするにも気力が沸かず、結局務めていた仕事も辞めた。 日がな一日マンガにTVにゲームに昼寝……悠々自適にボーっとするだけの時間を過ごしていた俺の目に留まったのは、何気なくつけていたTVから流れる映像だった。


 CGで描かれた白い天使が空を舞い、黒い悪魔が地を疾る。 パステルカラーのビームを鈍い銀色のナイフが斬り裂いて、直後に白と黒が火花を散らしてぶつかり合う。
新しいアニメの番宣かと思ったが、それはオモチャのCMだった。 15センチ足らずの人形に最新技術をめいっぱいに押し込んであって、人間みたいな受け答えが出来るんだとか。
 俺がガキの時分には、せいぜいプラスチックや合金製のロボットを作ったり壊したり砂場に埋めたりして遊んだもんだが、いやはや時代は変わったもんだ……と眺めていたが、ふと一つの考えが思い浮かんだ。


 この先俺が何年生きるか知れないが、義足を引きずるこのザマじゃ家族を作るどころか女との出会いも難しい……というか、ドラマによくある『遺産絡みのアレやコレ』が現実になったおかげで、こちとらしばらく人間不信だ。
かと言ってペットを飼うにも俺は動物アレルギー持ちだし、例によってこの足じゃ満足に世話ができるかどうかは……まぁ考えるまでもない。


 だが、それがロボットだったらどうだ?
メシはせいぜい携帯電話みたいに充電してやりゃ済むんだろうし、散歩だのトイレだのの世話も焼かなくていい。 何よりペットや人間と違って生き物じゃないってのがいい。

飽きたら捨てるのも簡単だから。

 

 人間関係のゴタつきと浪費するだけの生活が続いたせいか色々と思考が麻痺していた俺は、さっそくCMで見た白い天使を注文していた。
 なんだかこのオモチャは値段もそれなりながら爆発的な人気があるらしく、しばらくは入荷待ちという事だった。
 やりたい事はひとつもないが、カネとスペースとヒマだけはアタマとハラワタが腐りそうなくらいある。 じっくり待つとしよう。

 

……そうして時は流れて3ヵ月。
今、俺の目の前には青い髪をした黒い悪魔がちょこんと座っていた。
俺が注文したのは確か金髪で白い天使だったはずなのに……俺はつくづくツイてない。
いや、俺のところに悪魔が来るってのは案外当たり前なのかも知れない。なにしろツイてないんだからな。

 

「……さて、どーすっかね」
 カラッポになった箱を眺めながら俺が呟くと、チビ悪魔はこっちを見上げた。
本来ならメーカーに苦情の電話を入れて送り返すのが当たり前なんだが、ついつい開封しちまったしな……いや、3ヶ月も待たされたおかげで注文していた事実そのものをキレイサッパリ忘れ、俺宛に届いた荷物をよく分からないまま開けたら、いきなり勝手に起動しちまった……というワケで。
「確認もしないで開けた」ってのがちょっとな……

そーいや昔、隣の家宛てに誤配送された菓子を食っちまって妹にガンガン怒られたっけ。 アレ以来、荷物の宛名だけは確認する癖が……あ、ちょっと切ない。 鼻の奥がつーんとしてきた。

「お前、名前とかあんの?」
気分を変えるために尋ねると、チビ悪魔はにっこり笑って答えを返してきた。
「はい、『ストラーフ』です。 正確には『島田重工製武装神姫 Multi Movaile System Official number-02 TYPE-DEVIL -STRARF-』と申します」
ふーん、と適当な相槌を打って聞き流しながらコイツが入ってた箱を眺めると、確かにそんなような事が書いてある。 ……つか「ブソーシンキ」とやらが何なのかってのもよく分からないんだけど。
「……ってーかさ、俺が頼んだのってお前じゃないんだ」
何でもない事のように言ったつもりだったが、小さく息を飲むような感じで身を硬くした……ように見えた気がする。 最近のオモチャって芸が細かいな。
「えっとさ、ホラ白い天使いるだろ。 なんかお前とTVで戦ってたヤツ。 アレ頼んだハズだったんだけども」
「はい、『アーンヴァル』ですね。 私と対になるデザイン・コンセプトで造られた天使型MMSです」
「そーなん? いやゴメンよく分かんないけど」
 自慢じゃないが、オモチャの事なんかロクに調べてなんかいない。 詳しい事説明されたって分からないし、別に知る気もない。
「アーンヴァルはヴィジュアルにユーザーへのリラックス効果を加味しているためか、発売からずいぶん経過した現在でも品薄の状態が続いているんです」
「癒し系とかヒーリングとか、そーゆー感じ?」
端的な俺の言葉に、悪魔はくすっと小さく笑って「そういう言い方もありますね」と答えた。
「で、さ。 えっと……そういうワケなんで」
既に俺の言いたい事を理解していたのだろう、悪魔は「ご心配なく」と言ってまた微笑んだ。
「今回の件は完全にこちらの不手際です。 メーカーにご連絡して頂ければ、すぐに係の者が私を回収に参ります」
「あー、うん。 ……なんか、ゴメンな?」
「いいえ、謝罪をしなければならないのはこちらの方ですから、お気になさらないで下さい」
「正直、そう言ってくれると助かるわ」
「今回は大変ご迷惑をおかけしました。それでは、私は再び箱の中に……」
そう言って済まなさそうな視線をよこすので、慌てて放り出していた箱を目の前に置いてやる。
「ありがとうございます。 良いご主人様で、後に来るアーンヴァルもきっと喜ぶと思います……大事にしてあげて下さい」
 何度目か……まるで自分の事のようにふわりと微笑んだ悪魔は、箱の縁に足をかけて登り始めた。


……? 何だろ、ちょっと違和感が……

あ。


 「お前、足ちょっとヘンか?」
何処となく足を庇うような仕草をするのに気づいて聞いてみると、悪魔はちょっと困ったような顔をした。
「はい、どうやら左股関節周辺の機構が少々緩いようです」
そう言って足の付け根をさする姿に、ちょっと焦る。15センチそこらの小さいロボットとはいえ、女の子がそういう仕草をするというのは……ほれ、何かその。 アレだ。 察しろ。
「初期不良とかそういうヤツか。 工場に帰ったらちゃんと直してもらえよ?」
頬が緩んでるのをゴマかそうと早口で言ってみたが、チビ悪魔の答えは冷静だった。
「いえ、初期不良のある素体は全て処分されますので」
「は?」
「私たちは一応精密機械ですから、こういった初期不良の起こった素体は再利用される事なく処分されるんです」
……俺が何かを勘違いしてるのか?
「え、じゃあお前は?」
「係員に回収された後、運送先の工場で破砕されます」
笑顔で答える悪魔には、悲しみだとか心配だとか、そういう感情は浮かんでいない。

 

コイツはバカなんだろうか?
コイツは何のために造られたんだ?
コイツを望んだ誰かの所に行くためじゃないのか?
手違いで配送されて「お前じゃない」って断られて、挙句に「初期不良でした」の一言でブッ壊されるってのに何で笑ってるんだ?
そんなしみったれたチンケな一生のためにお前は造られて、それで壊されるのか?

 

 一瞬でそこまで考えて、無性に腹が立った。
この何にも考えてなさそうなチビ悪魔に。
オモチャ相手にゴチャゴチャ考えてる自分に。
親妹弟と足一本、親類縁者に仕事に付き合い、なんもかんも全部なくして大金持ちのひとりぼっちになって、初めてマジな気分になったのがこれだってか? くそったれ。

 

「それでは、お手数ですがメーカーへのご連絡をお願いいたします」
 見れば、このバカチビ悪魔はすっかり帰る準備を整えてやがる。
「やめた」
「はい?」
あんまり頭にキたせいで低くなった声は、バカ悪魔に聞こえなかったらしい。 だから改めて言う。
「帰んなくていい。ここにいろ」
「……あの、それは私を所有する、という事でしょうか?」
「文句あるか」
「ですが、先ほど申しましたように私は不良品で」
「見ろ」
 慌てたように言うのを無視してズボンをめくり上げる。
露わになった俺の左足……精巧に出来た義足を見て言葉を失った。
「俺も不良品だ」
「そんなっ! そんな事を仰らないで下さい!」
今までとは違った顔、違った声を上げるチビ悪魔に、俺の怒りはちょっとだけ和らいだ。
「不良品の俺のところに、不良品のお前が来た。 いいんじゃないか? それでさ」
 オロオロしてる頭をぽんぽんと指先で軽く叩いてやり、カーペットに座ってテーブルの上にいる悪魔に視線を合わせる。
「俺がお前に教えてやる。 笑える事も面白い事もくだらない事もバカバカしい事も大事な事も全部。 一緒に楽しもうぜ」
 チビ悪魔の潤んだ眼には、笑った俺の顔が映っていた。

 

……よう俺。 しばらく見なかった顔だな、元気だったか?

 

俺が俺と話してる間に、チビ悪魔は俺の指を抱き締めて「今後ともよろしくお願いします」とか言ってた。

……こちらこそ。

 





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