第十一間幕。
差し込むスポットライト。
床一面に、粉々に砕け散ったガラスの破片が散乱する薄暗い廊下。
無音。
床一面に、粉々に砕け散ったガラスの破片が散乱する薄暗い廊下。
無音。
ただ、無音。
その中心、ライトの下。シーツを被った、一体の神姫。マーチではないようだ。
その中心、ライトの下。シーツを被った、一体の神姫。マーチではないようだ。
「2036の風。第十一幕・・・お読み頂き。本当に感謝しております」
声はするが顔を俯かせ。頭から体全体をくるんでいるシーツの為に。
その姿を窺い知る事は出来ない。
その姿を窺い知る事は出来ない。
「・・・芽を出さない種は、生きているのでしょうか?」
静かな、沈んだ声。
その声はどことなくヴィネットに似ているが、明らかにアクセントが違う。
その声はどことなくヴィネットに似ているが、明らかにアクセントが違う。
「私には・・・」
シーツの間から、長い髪の一端が見える。
その髪は鮮やかな翠の色。
その髪は鮮やかな翠の色。
「芽を出さない種が、生きているか・・・は解りません」
沈んだ声のまま。その神姫はぽつり、ぽつりと呟くように続ける。
「・・・」
すっと、手が見える。
素朴な感じのする、白い手。そこには、両手でしっかりと。ヒビが入ったいつしかの種が握られていた。
その神姫は愛しげに、種を撫でて。
ぎゅっと、その胸に抱きしめる。
素朴な感じのする、白い手。そこには、両手でしっかりと。ヒビが入ったいつしかの種が握られていた。
その神姫は愛しげに、種を撫でて。
ぎゅっと、その胸に抱きしめる。
「きっと。芽を出そう、とする種こそが。生きているのですから・・・」
沈黙。延々と続く沈黙。
・・・。ライトが暗くなっていく。
シーツが、少し風に吹かれ、揺れた。
シーツが、少し風に吹かれ、揺れた。
そのまま。
消灯。
消灯。
第十一幕。了。