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「妄想神姫:第三十一章(前半)」(2007/07/27 (金) 01:13:07) の最新版変更点
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**剣の目覚めは、未だ遠く(前半)
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神浦琥珀嬢に“妹達の魔剣”を仕立ててもらってから、暫くが経過した。
それぞれの練度にも、若干の違いが出てきている様でなかなか興味深い。
例えば、今ここで模擬戦を行っているロッテとクララの方を見てみよう。
敢えて今回“Valkyrja”は装備せず、基本武装と魔剣のみで戦っている。
「まだまだ行きますの♪……“放ち刺し穿て、ライナスト”ッ!!」
「くっ……不可視の傘、疾く来たれ!“ソニック・アンブレラ”!」
「う、うわ……あの雷撃が三つも一遍に出ましたよ、マイスター」
「有無。だが、クララの防御も……いや、防御とは呼べんがな」
並みの装甲を射抜く、ロッテの雷撃。クララが“魔術”とコライセルに
備わる防御障壁を駆使しても、超音速のそれを凌ぐのは非常に厳しい。
そこで彼女は、受けきらず……己が避ける為の時間稼ぎを行っている。
“魔術”にて産み出した真空波の傘で電離的な防護壁を作り、その間に
コライセルの斥力場を纏い別の場所へ退避……無論それでは終わらぬ。
「左がガラ空きなんだよ、ロッテお姉ちゃん……ふっ!!」
「きゃっ!?むむ、クララちゃんってばやりますの……えいっ!」
「方法論は銃剣とほぼ同等。防御が課題だもんね、ロッテお姉ちゃん」
「クララちゃんだって、“魔術”の展開がちょっと遅いですの!」
「うん、今はマニュアル展開しか出来ないからね……よっと」
クララが左側からワイヤーを飛ばしつつ、互いの弱点を指摘している。
そう。ロッテは防御が、クララは速度が……今の弱点と言えるだろう。
無論、それらを補う為の装備・戦術は“EL:Doll”に組み込む予定だ。
む、『なんだそれは』だと?魔剣に併せて私が作成する物の一つだな。
「こうして問題点が出てくれば、設計もしやすいですねマイスター」
一つは弟二世代型補助アーマー“シルフィード”、胸のあるドレスだ。
更に魔剣補助の中核となるアーマーシステム……そして設計上は余裕が
産まれる左腕に装備する、サブウェポン。これで弱点補完を行うのだ。
後、基本装備の補強も“EL:Doll”に含まれているプランの一つだな。
「有無……だが、いいのか?お前だけそう言った事が出来ぬままに」
「はい。ただ修行してるだけじゃ、エルテリアは認めてくれません」
「と言っても、未だ封の解けぬ剣を抱えて戦うというのか……午後」
「……それ位してないと、ロックを解いてくれる気がしないんです」
そう。アルマの魔剣……エルテリアは内部のスキャン画像で大凡の構造は
把握出来た。だが、未だ一度も鞘のロックが外れた事はないのだ。破壊を
以て解き放つ事は可能だが、それは琥珀嬢への冒涜になる。そこまでして
魔剣が力を貸すかについても、疑問が残るしな。やるしかないのだろう。
「分かった。“Valkyrja”に“SSS”を搭載した状態で、やってみろ」
「有り難うございます、マイスター!……絶対、認めさせるんですから」
そして昼は過ぎ……あっという間に予定時刻がやってくる。午後からは
ロッテがHVIFの当番日となっている。つまり私と葵の二人連れで、
アキバの神姫センターへと赴く事になる訳だ。この場合クララは、葵の
所持神姫として同行する事になる……“あの時”とは逆の立場なのが、
少々可笑しくもある。葵用の“フィオラ”を着せてやり、お出かけだ!
「しかし、梓の時も似合っていたがロッテ……葵もなかなかに似合う」
「もう。そんなに褒めても。何も出せないですのお姉ちゃんってば♪」
「でも着心地は神姫用の方が、やっぱり馴染むんだよ。ボクらにはね」
「それは仕方があるまい。お前達は何処まで往っても“神姫”なのだ」
「人にはなれないし、なる必要もない……あたし達は自分の立場で!」
武装を着込みつつ肯くアルマに同調する。HVIFを使おうとも、それは
必ずしも人になったという意味にはなり得ない。だが、それでいいのだ。
……等と少し考えつつも、腰のジョイントに魔剣の入った鞘を接続する。
今日はアルマの希望故に“Heiliges Kleid”は用いず、直接“SSS”を
装備してエントリーゲートへと赴く。対戦相手は……“ティール”だと?
「アルマよ、どうやら相手も白兵系の様だ。加減は要らぬ、全力で行け」
「えっ?あ……は、はいっ。頑張って、認めさせます……頑張らなきゃ」
アルマの反応が鈍い。どうも集中しきっていない様だが……まさか、な。
それはそうと“ティール”とはな……北欧神話にて片腕を魔狼に捧げた、
軍神の名前だ。なんとなく想像が付くが、それだけにアルマには手強い。
嫌な予感がするが、彼女を信じるしかあるまい。準備完了の合図を出す。
『アルマvsティール、本日のサードリーグ第25戦闘、開始します!』
「い、行きます……さぁ、出てきてくださいティールさんッ!!」
「……言われずとも、すぐ行く。せぁぁあああああっ!!!」
「え──────」
「いかん、避けろアルマッ!!?」
バトルフィールド……今回は、浮遊島だ……に転送された瞬間だった。
黒光りした巨大な剛腕が、アルマの胸元目掛けて打ち込まれたのだ!!
装甲が重くなっているアルマにとって、それは致死の一撃ともなろう。
“SSS”を盾にして、ダメージを殺すのがやっとだったな……だが。
「う、うぅ……」
「立て、それでもサードリーグを抜け出すつもりか」
「……い、言われなくてもッ!!」
──────熱くならないで、見失わないで……!!
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**剣の目覚めは、未だ遠く(前半)
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神浦琥珀嬢に“妹達の魔剣”を仕立ててもらってから、暫くが経過した。
それぞれの練度にも、若干の違いが出てきている様でなかなか興味深い。
例えば、今ここで模擬戦を行っているロッテとクララの方を見てみよう。
敢えて今回“Valkyrja”は装備せず、基本武装と魔剣のみで戦っている。
「まだまだ行きますの♪……“放ち刺し穿て、ライナスト”ッ!!」
「くっ……不可視の傘、疾く来たれ!“ソニック・アンブレラ”!」
「う、うわ……あの雷撃が三つも一遍に出ましたよ、マイスター」
「有無。だが、クララの防御も……いや、防御とは呼べんがな」
並みの装甲を射抜く、ロッテの雷撃。クララが“魔術”とコライセルに
備わる防御障壁を駆使しても、超音速のそれを凌ぐのは非常に厳しい。
そこで彼女は、受けきらず……己が避ける為の時間稼ぎを行っている。
“魔術”にて産み出した真空波の傘で電離的な防護壁を作り、その間に
コライセルの斥力場を纏い別の場所へ退避……無論それでは終わらぬ。
「左がガラ空きなんだよ、ロッテお姉ちゃん……ふっ!!」
「きゃっ!?むむ、クララちゃんってばやりますの……えいっ!」
「方法論は銃剣とほぼ同等。防御が課題だもんね、ロッテお姉ちゃん」
「クララちゃんだって、“魔術”の展開がちょっと遅いですの!」
「うん、今はマニュアル展開しか出来ないからね……よっと」
クララが左側からワイヤーを飛ばしつつ、互いの弱点を指摘している。
そう。ロッテは防御が、クララは速度が……今の弱点と言えるだろう。
無論、それらを補う為の装備・戦術は“EL:DoLL”に組み込む予定だ。
む、『なんだそれは』だと?魔剣に併せて私が作成する物の一つだな。
「こうして問題点が出てくれば、設計もしやすいですねマイスター」
一つは弟二世代型補助アーマー“シルフィード”、胸のあるドレスだ。
更に魔剣補助の中核となるアーマーシステム……そして設計上は余裕が
産まれる左腕に装備する、サブウェポン。これで弱点補完を行うのだ。
後、基本装備の補強も“EL:DoLL”に含まれているプランの一つだな。
「有無……だが、いいのか?お前だけそう言った事が出来ぬままに」
「はい。ただ修行してるだけじゃ、エルテリアは認めてくれません」
「と言っても、未だ封の解けぬ剣を抱えて戦うというのか……午後」
「……それ位してないと、ロックを解いてくれる気がしないんです」
そう。アルマの魔剣……エルテリアは内部のスキャン画像で大凡の構造は
把握出来た。だが、未だ一度も鞘のロックが外れた事はないのだ。破壊を
以て解き放つ事は可能だが、それは琥珀嬢への冒涜になる。そこまでして
魔剣が力を貸すかについても、疑問が残るしな。やるしかないのだろう。
「分かった。“Valkyrja”に“SSS”を搭載した状態で、やってみろ」
「有り難うございます、マイスター!……絶対、認めさせるんですから」
そして昼は過ぎ……あっという間に予定時刻がやってくる。午後からは
ロッテがHVIFの当番日となっている。つまり私と葵の二人連れで、
アキバの神姫センターへと赴く事になる訳だ。この場合クララは、葵の
所持神姫として同行する事になる……“あの時”とは逆の立場なのが、
少々可笑しくもある。葵用の“フィオラ”を着せてやり、お出かけだ!
「しかし、梓の時も似合っていたがロッテ……葵もなかなかに似合う」
「もう。そんなに褒めても。何も出せないですのお姉ちゃんってば♪」
「でも着心地は神姫用の方が、やっぱり馴染むんだよ。ボクらにはね」
「それは仕方があるまい。お前達は何処まで往っても“神姫”なのだ」
「人にはなれないし、なる必要もない……あたし達は自分の立場で!」
武装を着込みつつ肯くアルマに同調する。HVIFを使おうとも、それは
必ずしも人になったという意味にはなり得ない。だが、それでいいのだ。
……等と少し考えつつも、腰のジョイントに魔剣の入った鞘を接続する。
今日はアルマの希望故に“Heiliges Kleid”は用いず、直接“SSS”を
装備してエントリーゲートへと赴く。対戦相手は……“ティール”だと?
「アルマよ、どうやら相手も白兵系の様だ。加減は要らぬ、全力で行け」
「えっ?あ……は、はいっ。頑張って、認めさせます……頑張らなきゃ」
アルマの反応が鈍い。どうも集中しきっていない様だが……まさか、な。
それはそうと“ティール”とはな……北欧神話にて片腕を魔狼に捧げた、
軍神の名前だ。なんとなく想像が付くが、それだけにアルマには手強い。
嫌な予感がするが、彼女を信じるしかあるまい。準備完了の合図を出す。
『アルマvsティール、本日のサードリーグ第25戦闘、開始します!』
「い、行きます……さぁ、出てきてくださいティールさんッ!!」
「……言われずとも、すぐ行く。せぁぁあああああっ!!!」
「え──────」
「いかん、避けろアルマッ!!?」
バトルフィールド……今回は、浮遊島だ……に転送された瞬間だった。
黒光りした巨大な剛腕が、アルマの胸元目掛けて打ち込まれたのだ!!
装甲が重くなっているアルマにとって、それは致死の一撃ともなろう。
“SSS”を盾にして、ダメージを殺すのがやっとだったな……だが。
「う、うぅ……」
「立て、それでもサードリーグを抜け出すつもりか」
「……い、言われなくてもッ!!」
──────熱くならないで、見失わないで……!!
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