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**舞い踊る、白鳥の乙女達(中編)
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一見すると、それはミサイルにしがみついた鳥というフォルムであった。
白鳥の“スヴェン”と隼型の“ファルケン”、百舌鳥型・“ビルガー”。
これが“Valkyrja”進化の最終形として私が考えついた、追加武装だッ!
三羽の鳥はレーザーで“天使達”を威嚇しつつ、各々の主へと寄り添う。
「“SSS”着装!“Valkyrja・Skjald-maer・Phase”へっ!!」
『な、何?晶ちゃんのお手製かな?……い、一度下がってっ』
「う、うんっ!何アレっ?!」
次の瞬間“SSS”は分解されて、姿を現したばかりの“Valkyrja”に
接続。伝承に伝わる“白鳥の乙女”をイメージした姿へと変貌させる。
その手には、棺桶風コンテナミサイルランチャーと剣、そして……槍。
音叉の様な形状の槍、と言えば神姫に詳しい諸兄には察しも付こうな。
先に動いたのは、その槍を振ったクララだった。穂先から、音が響く!
「逃がさないよ……“ミストルティン”、常若の力を殺いで!」
「うぁ……ぁあ!?な、何?ブースターの出力が、落ちる……?」
「って言うか、なんだかフラフラ……こ、このっ!」
「気をしっかり持ってっ!この音に惑わされちゃ、ダメッ!!」
「……足が止まった、今だよ」
ジャミングスレイヤー“ミストルティン”。第四弾・ジルダリアの槍を
参考に私が作った、音波攻撃武装である。音圧で攻撃するだけでなく、
元来の武装と同じく神姫の制御機能をジャミングする事が可能なのだ!
本家本元のジルダリアには若干劣るが、これでも妨害には有効である。
効果を見計らって、ロッテがミサイルランチャーを上下に割り開いた。
「“ギャッラルホルン”、彼女らの決定的な敗北を……えいっ!」
「うぅ……って何このミサイル!?このっ、って黒いッ!?」
「え、煙幕弾!だめ、離れないと視界がとれないよ?!」
「ティニア、そう言ってもさっきのがまだ……うーっ!?」
「突っ込んでも、大丈夫ですの。援護します!」
“ギャッラルホルン”と称されるミサイルコンテナには、ロッテ愛用の
煙幕弾が大量に搭載してあるのだ。黒い帳によりアーコロジーの天蓋は
闇に覆い尽くされ、その中途にいた“天使達”が暗黒に藻掻き始める。
重力設定の都合もある故、拡散には時間が掛かる。絶好のチャンスを、
アルマは見逃すことなく飛び込んでいく。雷を纏った刃を構えてなッ!
「“ノートゥング”の一撃、この状態でかわせますかっ!?」
「きゃ、あああぁぁぁぁあっ!?」
『ティニアッ!!?』
“ノートゥング”とは、とどのつまりスタン機能を備えたクレイモア。
だがシンプル故に色々と扱いやすく、打撃力も非常に高い逸品である。
上昇する出力を全て上乗せして、装甲ごと相手を叩き斬る事も可能だ。
そして事実その様に、“天使”の一人は切り伏せられた。ゆっくりと、
月面へと一人が落着していく。この時点で3対2と有利だ。だが……!
「迂闊に飛び込んじゃったのは、失敗ですよ!」
「あ……」
煙幕が晴れた時、アルマの前にはキャノンランサーの砲身があった。
ティニアとやらの位置を覚えていたミラ……か?が、接近したのだ。
今だ完全に闇が払拭されない現状で、傍目にはイリンとやらの位置は
完全に見えなくなっている。だが、度胸を付けたアルマは怯まない。
そう、ロッテが戦っていた時。アルマも己と戦っていたのだからな!
「……一つ、いいですか?」
「なんですっ?」
そっとアルマは指摘する様に、“左手”の人差し指を立て話し出した。
だが、それと同時に“SSS”から変じた“右肩”の防壁が展開する。
それは……無数のマイクロミサイルだ。それは正確に、後ろへ飛んだ!
暗闇の奥に潜んでいた天使を燻り出すには、十分な威力を持っている!
「えっ!?うわあぁぁぁっ!!」
「貴女達は、コンビネーションが完璧すぎます……!!」
「イリンッ!!な、なんでバレたの!!?」
「さっきロッテちゃんを掴まえた時も、ぴったり点対称でしたから」
「くっ……!」
同型である“天使達”のシンパシーは、三姉妹の非ではないだろう。
但し完璧すぎる同調は、こういう隙を産み出す事にも繋がっていく。
だからこそ私は、その手の調整プログラムをアルマ達には使わない。
訓練と実戦の中で積み上げ構築した、体感的なコンビネーションこそ
真に役立ち、強さを発揮する“絆の力”と言える物なのだからな!!
「これで、貴女達は分断されました!」
「後は一人ずつ、ボクら個人が……」
「お相手を務めさせてもらいますのッ!」
空中にいるミラと、アルマに叩き落とされたイリン・ティニアの位置は
大分離れている。合流を阻止する為に、ロッテとクララは落下している
二人の前に躍り出て、一対一の戦いを望んだのだ。同時に“SSS”は
願いに応える様に、展開して真の姿を見せる。追加武装としての姿だ!
全くフォルムを変えた三人を前にして、一歩も“天使達”は退かない。
それでこそ私の従姉……に仕える神姫達だと言える。見上げた闘志だ!
「妹を傷つけた以上、手加減はしないわよ!」
「それでいいです。あたしも全力でいきますから!」
「く、姉様の従妹の神姫だって手加減しないわよッ!」
「……それはボクらも同じ。さあ、決着を付けよう」
「強そうなのはわかるけど、私達も負けられないッ!!」
「大丈夫、勝つのはわたし達ですの!」
──────どちらが真の“戦乙女”か、決着だよ……!
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