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「燐の5 「腕試し」」(2007/09/25 (火) 02:04:59) の最新版変更点
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「武装神姫のリン」
第5話「腕試し」
もうリンと俺の2回目のバトルから2週間が経っている。
あの日からリンはあの時の敵ヴァッフェバニーの「コニー」にかすかなライバル心を持ったのか、賞品の訓練機で日々練習に励み、俺が仕事で家を空けている時間の半分は訓練機に向かっているらしい。
というのも訓練機はUSBケーブルでPCに接続すると訓練のデータをHDDに保存し、リプレイしたり、ゴーストとの戦闘も行える。つまり自分自身との戦いが行え、そうして自分の弱点も見つけることが出来る。
つくづく俺たちにはもったいないほどのモノを貰ってしまったと思う。
それでも、当の本人はそれがとても楽しいみたいなので俺は何も言わないが・・・・・・
問題が1つだけある。最近のウチの電力料金が上がっているのだ。
もちろん原因は言うまでもなく、今まで仕事時は動いていることが無かったPCと訓練機の分だ。
これはいつも昼食に食べる食堂の定食のランクを下げれば対応可能だ。
おかずの数が少なくなるとは言え、量は十分なので心配することは無いだろう。
コレもリンのためだと思えば苦にはならない。涙を呑んで受け入れようと思う。
そうしてゲーム感覚で訓練を続けたリンはあの初戦で見せたエアリエル技をほぼ完璧に習得していた。
なんでもあのようなジャンプ技はTYPE DEVILの特徴らしく、こういったアクロバット技はストラーフの十八番だ。
ということで俺とリンはエアリエル技をメインに闘うことに決めた。
と、そこでリンが言ってきた。
「マスター。あの技なんですが、できればマスターの命令で技を出すようにしたいんですけど」
「で、技の名前を決めろと??」
「はい。」
純粋な瞳で見つめてくる。これは拒否するわけにはいかない。
でリンが今日の分の最後の訓練(多くても1日に5回と決めているらしい)をしているうちに
ネットを使ってソレっぽい単語を検索する。
しかし一向に決まらない。
なぜならソレっぽい名前は思いつくものすべてが今世紀最初のガンダムの名称風になってしまうのだ。
そしてそういう名前をつける輩はどこにでもいるのでどうにもならない・・・・
「くそ…あの名称のセンスをどうにかして欲しかった…」
俺が頭を抱えているとリンが言ってきた。
「そんなに悩むことなんですか?」
俺はすぐさま状況を説明。
するとリンは意外な打開策を勧めてきた。
「じゃあ漢字で表すのはどうですか?」
俺は横文字しか頭になかったことを悔やむ。漢字ならソレっぽくならない。
まだましだ。
そうしてリンのエアリエル技の名前が決定する。
あの観客を沸かせた技は「裂空」、と言ったかんじで決めておけば命令する時も時間が掛からない。
こういった感じで1週間で基本技(技のためにゲームを売って体操やら、格闘技の教則本を買った俺エラい)を含め、13の技を覚えたリンであった。
そして燐の腕試しに週末の大会に出ることにしたのだが・・・・
会場に到着した俺は驚く。
なんとソコには初戦でリンに負けたハウリン「レオナ」とそのマスターがいたのだ。
しかも今回は新人戦じゃないので相手のレベルはさまざまな中で優勝するつもりらしく、上級ランカー達を挑発している。
俺はいそいそとその場を切り抜けようと思ったがすんでのところで見つかってしまった。
「おい、ソコの黒いジャケット」
声がかけられるが俺は無視して足を進める。
がヤツは全力疾走で追いつき。
「今度こそはお前の神姫をぼろぼろにしてやる~~~」と呪うかのように言ってきた。
さすがにこういう人とは深くかかわらない方がいいのは分かっているのだが、相手が手を離してくれない。
ソコに放送が掛かる「IDナンバー188960、登録名、燐のユーザー様は至急本部へお越しください」
とのことだったので俺はソレを理由に逃げた。今度は全速力だ。さすがに体力では俺の方が勝っていたらしい。
人ごみの中に隠れるとそのまま受付を済ませる、とは言え今回の選手ナンバー票を受け取るだけだが。
そうして受付から出たところであの「ヴァッフェバニー」のオーナーを見つける。
すかさず俺は声をかける。
「こんにちは~~」
「あっ、この間の」
リンもコニーに挨拶をする。
「リン、こんにちは」
返事を聞く限り、以前のギスギスとした雰囲気はなりを潜め今はとても清々しい雰囲気をかもし出している。
そんな彼女を見て、俺は少し安心する。
だがマオチャオがからかうとやっぱり怒る。
その辺は変わっていなかった。
「やっぱり来ましたね。」
「いや、近所でリンっていう登録名の神姫ユーザーは貴方だけだったと思ったので放送聞いてこの辺で会えるかな?と探していたところでしたよ。ウチのコニーがリン燐ちゃん会いたいってしきりに言ってたので。」
見るとリンはコニーと話している。耳をすませてみると・・・・
「この場合は、敵に突進するよりも横に回避して敵に次の攻撃に備えるほうが良い」
「そうなんだ、ありがとう。コニー」
「いや、じゃあ私のも聞いてくれる? 犬orネコがプチマスィーンを使ってきて・・・・」
女の子のする会話じゃありません。本当に(ry
とりあえず彼とはブロックが違うので昼飯時にでもまた会うことにした。
そうして指定されたブロック(体育館をテープでブロックごとに仕切って40型程度のモニターと端末。そして係員がいるだけだが)に移動する。別のブロックの前を通りかかった。まだ朝の9時代だというのになにやら人が集まっていると思ったら・・・・視線の中心にはオーナーと思われる女の子とおそろいのセーラー服を纏った神姫がいた。
とても、とても目立っていた。今日は舞装神姫のイベントは一切無い。月に1度行われる地区大会だ。
なにやらこの大会はユーザーの中でも特に入れ込んでる人が集まりやすいらしい。
今日のリンの衣装は白いブラウスにブレザー、タイトなスリット入りスカートと結構目立つ、いまは向こうの方が目立っているのでかまわないが、あんなふうに注目を集めるのはごめんなので今度からは気をつけることとしよう。
そうして指定されたブロック、Fブロックに付いた。ライバル達はすでに戦闘体勢だ。ナカにはモバイルPCとポータブルタイプの訓練機を使って今もトレーニングをしている神姫もいた。
俺もリンを急いで着替えさせ、係員にナンバー票を見せる。
試合は3試合目だそうだ。
ほかの試合中は俺が敵の特徴を分析し、リンはかばんの中で精神統一する。
これはどこかのアニメの影響らしいが良くわからない。
リン曰く敵の動きが感じ取りやすくなるそうだ。
そうして俺たちの番が回ってきた。
今回は大型の端末では無いのでマスターにも専用ゴーグルが渡される、それで神姫との視点を共有するわけだ。
初戦は訓練の成果が遺憾なく発揮され、40秒でKO。
第2戦は少し被弾したがハンドガンの弾なので気にせずフルストゥ・グフロートゥで武装を全て叩き落としてやった。
しかし第3戦。強敵が姿を現した。
相手のオーナーのランクはC、燐はまだ実戦経験が浅いため俺はDランクの下っ端だ。
いままでは同じDランクまでの相手だったがクラスが違うとなると敵のレベルが予想できない。
コレまでに無い苦戦は必至だ。
俺は燐に告げる。
「今回は裂空もガンガン使っていくぞ、それからアレも使ってやれ、もし敵が燐のデータを持っていたとしてもコレばかりは予想が付かないだろうから。」
「わかりました、ではいつもどおり運動量で相手を圧倒します。」
「よし、やるぞ!!」
戦闘が始まる。 敵はアーンヴァルだが自慢の翼はドコにも見当たらない。変わりに燐と同じストラーフのパーツが取り付けられ、セカンドアームの右腕はアングルブレードやフルストゥシリーズを組み合わせた、スプラッター映画に出てきそうな禍々しさだ。
逆に左腕はクローが取り外され、ソコにビーム砲が取り付けられている。
バックパックには巨大なエネルギータンクが備えられていた。
そして本体は両腕にマシンガンを構え、肩のホルスターにはオート、リボルバー両方の拳銃、腰にはライトセイバーがちゃっかり装備荒れている。近遠両方こなせるようにバランス調整されていた。
一方燐はエアリエルを重視して、射撃武器はリボルバー(元から持っているものと例のイベントで手に入れたものだ)のみ。
他にもイロイロと装備は追加しているのだが、ここでは割愛しよう。
敵はまずマシンガンで牽制してくる。 燐は最初とは比べ物にならない、華麗とも見えるステップで回避。しかもそのまま身体を回転させ、空中で逆さまになりながら2丁のリボルバーを引き抜いて乱射。
1発が敵の胸に向かうもソレはセカンドアームで防がれた、がそれはコチラも同じだ。
ただ弾の数が違うためこちらの方がアームに負うダメージは多い。
が幸運にも最後の1発が敵のマシンガンの1丁を弾いた。
すかさず燐はフルストゥ・クレインを投擲するが敵も同じくフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを連結して投げてきた。質量の差でフルストゥ・クレインは弾かれて連結刃が燐に向かう。
燐はセカンドアームのクロー。唯一連結刃の強度に対抗できる爪の部分。それを頼りに手刀の形を作り。刺すようにして突き出した。
独特の金属の衝突音が響き。連結刃は壁に突き刺さる。
しかし燐のクローの爪も2本ばかりが折れてしまった。
そうしているうちに敵は左アームのビーム砲を放つ。 弾速がマシンガンよりも遅いので燐は身体をひねるだけでそれをやり過ごすが、ソコに又しても連結刃が飛んできた。
そのまま受身を取るように前転して回避するが今度の連結刃は違う。ターンしてまたしても燐に向かっていった。再び飛来する刃が決定打になることは無いが、燐は敵の距離をじりじりと開けられている。 間合いが遠くなるほど燐にとっては不利になる。
俺は燐に決断を促す。
「燐、隼を使え。これ以上距離を開けられると負ける
「分かりました、マスター!」
燐は連結刃に背を向方かと思うとバック転、と共に脚を広げて体を捻る。カポエラの技からヒントを得た隼という技だ。
予測できない角度からの遠心力を思い切りこめた後ろ回し蹴りを放つ。
神姫の運動能力だからこそ実現可能な技だった。
その蹴りが向かうは連結刃。しかし燐は足先の小さなナイフで正確に連結刃の中央、刃が無く、最も弱い部分を切断する。
そして着地と同時にレッグパーツの脚力を100%使ってのジャンプ。一気に相手との距離をつめる。
着地点に敵が砲撃してくるが、アームを格子状に構えて正面の防御を固め突進する。そしてサイドステップを多用して敵をかく乱しつつ距離をじりじりと詰めていく。
敵はエネルギータンクの重量が祟ったか速度が遅い。
燐はステップを踏むごとに、アームユニット背部にマウントされたフルストゥ・クレインのロックを解除していく。
そして距離がほぼアーンヴァルのレーザライフル1本分に相当する瞬間、燐は全力でジャンプすると同時にアームユニットをイジェクト。
さらにロックが外れたフルストゥ・グフロートゥを空中に放り出すとそのまま1回転し、オーバーヘッドキックのように蹴りだす。
フルストゥ・グフロートゥが敵の脚を貫いて敵を止める。
後は残りのフルストゥ・クレインでフィニッシュだ。
だが敵も黙っちゃいない。クローで反撃してくる。
クローはリンのレッグユニットを破壊したがリンの本体には傷ひとつ付けていない。
そうしてリンが敵の胸にフルストゥ・クレインでとどめを刺す。はずだった。
ザン、という音がモニターから出る。
ソレと同時に俺のゴーグルに表示されたのは負けを表す文字列だった。
燐は少しところで勝てなかったのでしょんぼりしながら敗因を分析する。
敗因は敵の本体のライトセイバーだった。
腰裏に装備されていたため、バトルが始まってからは俺もリンも存在を忘れていた。
ソレをギリギリで引き抜かれて蒼い刃が燐の腹を貫いたのだ。
「マスターすみません。負けちゃいました……」
「いや、リンが気にすることは無いぞ、ちゃんと相手の装備を把握仕切れなかった俺にこそ落ち度がある。
でも格上相手にによくやったと思うぞ、このペースならCランクに昇格もそんなに遠くない。」
「じゃあ、明日シミュレーションバトルに付き合って下さいね。」
「お、おう、約束だ。」
今回は3回戦で負けたので賞品は参加賞の図書券だったが、コレでリンに大好きなポ○モンの文庫を買ってやれたのは幸い
だったかもしれない。
~[[第6話 「決闘、対ルクレツィア」]]~
「武装神姫のリン」
第5話「腕試し」
もうリンと俺の2回目のバトルから2週間が経っている。
あの日からリンはあの時の敵ヴァッフェバニーの「コニー」にかすかなライバル心を持ったのか、賞品の訓練機で日々練習に励み、俺が仕事で家を空けている時間の半分は訓練機に向かっているらしい。
というのも訓練機はUSBケーブルでPCに接続すると訓練のデータをHDDに保存し、リプレイしたり、ゴーストとの戦闘も行える。つまり自分自身との戦いが行え、そうして自分の弱点も見つけることが出来る。
つくづく俺たちにはもったいないほどのモノを貰ってしまったと思う。
それでも、当の本人はそれがとても楽しいみたいなので俺は何も言わないが・・・・・・
問題が1つだけある。最近のウチの電力料金が上がっているのだ。
もちろん原因は言うまでもなく、今まで仕事時は動いていることが無かったPCと訓練機の分だ。
これはいつも昼食に食べる食堂の定食のランクを下げれば対応可能だ。
おかずの数が少なくなるとは言え、量は十分なので心配することは無いだろう。
コレもリンのためだと思えば苦にはならない。涙を呑んで受け入れようと思う。
そうしてゲーム感覚で訓練を続けたリンはあの初戦で見せたエアリエル技をほぼ完璧に習得していた。
なんでもあのようなジャンプ技はTYPE DEVILの特徴らしく、こういったアクロバット技はストラーフの十八番だ。
ということで俺とリンはエアリエル技をメインに闘うことに決めた。
と、そこでリンが言ってきた。
「マスター。あの技なんですが、できればマスターの命令で技を出すようにしたいんですけど」
「で、技の名前を決めろと??」
「はい。」
純粋な瞳で見つめてくる。これは拒否するわけにはいかない。
でリンが今日の分の最後の訓練(多くても1日に5回と決めているらしい)をしているうちに
ネットを使ってソレっぽい単語を検索する。
しかし一向に決まらない。
なぜならソレっぽい名前は思いつくものすべてが今世紀最初のガンダムの名称風になってしまうのだ。
そしてそういう名前をつける輩はどこにでもいるのでどうにもならない・・・・
「くそ…あの名称のセンスをどうにかして欲しかった…」
俺が頭を抱えているとリンが言ってきた。
「そんなに悩むことなんですか?」
俺はすぐさま状況を説明。
するとリンは意外な打開策を勧めてきた。
「じゃあ漢字で表すのはどうですか?」
俺は横文字しか頭になかったことを悔やむ。漢字ならソレっぽくならない。
まだましだ。
そうしてリンのエアリエル技の名前が決定する。
あの観客を沸かせた技は「裂空」、と言ったかんじで決めておけば命令する時も時間が掛からない。
こういった感じで1週間で基本技(技のためにゲームを売って体操やら、格闘技の教則本を買った俺エラい)を含め、13の技を覚えたリンであった。
そして燐の腕試しに週末の大会に出ることにしたのだが・・・・
会場に到着した俺は驚く。
なんとソコには初戦でリンに負けたハウリン「レオナ」とそのマスターがいたのだ。
しかも今回は新人戦じゃないので相手のレベルはさまざまな中で優勝するつもりらしく、上級ランカー達を挑発している。
俺はいそいそとその場を切り抜けようと思ったがすんでのところで見つかってしまった。
「おい、ソコの黒いジャケット」
声がかけられるが俺は無視して足を進める。
がヤツは全力疾走で追いつき。
「今度こそはお前の神姫をぼろぼろにしてやる~~~」と呪うかのように言ってきた。
さすがにこういう人とは深くかかわらない方がいいのは分かっているのだが、相手が手を離してくれない。
ソコに放送が掛かる「IDナンバー188960、登録名、燐のユーザー様は至急本部へお越しください」
とのことだったので俺はソレを理由に逃げた。今度は全速力だ。さすがに体力では俺の方が勝っていたらしい。
人ごみの中に隠れるとそのまま受付を済ませる、とは言え今回の選手ナンバー票を受け取るだけだが。
そうして受付から出たところであの「ヴァッフェバニー」のオーナーを見つける。
すかさず俺は声をかける。
「こんにちは~~」
「あっ、この間の」
リンもコニーに挨拶をする。
「リン、こんにちは」
返事を聞く限り、以前のギスギスとした雰囲気はなりを潜め今はとても清々しい雰囲気をかもし出している。
そんな彼女を見て、俺は少し安心する。
だがマオチャオがからかうとやっぱり怒る。
その辺は変わっていなかった。
「やっぱり来ましたね。」
「いや、近所でリンっていう登録名の神姫ユーザーは貴方だけだったと思ったので放送聞いてこの辺で会えるかな?と探していたところでしたよ。ウチのコニーがリン燐ちゃん会いたいってしきりに言ってたので。」
見るとリンはコニーと話している。耳をすませてみると・・・・
「この場合は、敵に突進するよりも横に回避して敵に次の攻撃に備えるほうが良い」
「そうなんだ、ありがとう。コニー」
「いや、じゃあ私のも聞いてくれる? 犬orネコがプチマスィーンを使ってきて・・・・」
女の子のする会話じゃありません。本当に(ry
とりあえず彼とはブロックが違うので昼飯時にでもまた会うことにした。
そうして指定されたブロック(体育館をテープでブロックごとに仕切って40型程度のモニターと端末。そして係員がいるだけだが)に移動する。別のブロックの前を通りかかった。まだ朝の9時代だというのになにやら人が集まっていると思ったら・・・・視線の中心にはオーナーと思われる女の子とおそろいのセーラー服を纏った神姫がいた。
とても、とても目立っていた。今日は舞装神姫のイベントは一切無い。月に1度行われる地区大会だ。
なにやらこの大会はユーザーの中でも特に入れ込んでる人が集まりやすいらしい。
今日のリンの衣装は白いブラウスにブレザー、タイトなスリット入りスカートと結構目立つ、いまは向こうの方が目立っているのでかまわないが、あんなふうに注目を集めるのはごめんなので今度からは気をつけることとしよう。
そうして指定されたブロック、Fブロックに付いた。ライバル達はすでに戦闘体勢だ。ナカにはモバイルPCとポータブルタイプの訓練機を使って今もトレーニングをしている神姫もいた。
俺もリンを急いで着替えさせ、係員にナンバー票を見せる。
試合は3試合目だそうだ。
ほかの試合中は俺が敵の特徴を分析し、リンはかばんの中で精神統一する。
これはどこかのアニメの影響らしいが良くわからない。
リン曰く敵の動きが感じ取りやすくなるそうだ。
そうして俺たちの番が回ってきた。
今回は大型の端末では無いのでマスターにも専用ゴーグルが渡される、それで神姫との視点を共有するわけだ。
初戦は訓練の成果が遺憾なく発揮され、40秒でKO。
第2戦は少し被弾したがハンドガンの弾なので気にせずフルストゥ・グフロートゥで武装を全て叩き落としてやった。
しかし第3戦。強敵が姿を現した。
相手のオーナーのランクはC、燐はまだ実戦経験が浅いため俺はDランクの下っ端だ。
いままでは同じDランクまでの相手だったがクラスが違うとなると敵のレベルが予想できない。
コレまでに無い苦戦は必至だ。
俺は燐に告げる。
「今回は裂空もガンガン使っていくぞ、それからアレも使ってやれ、もし敵が燐のデータを持っていたとしてもコレばかりは予想が付かないだろうから。」
「わかりました、ではいつもどおり運動量で相手を圧倒します。」
「よし、やるぞ!!」
戦闘が始まる。 敵はアーンヴァルだが自慢の翼はドコにも見当たらない。変わりに燐と同じストラーフのパーツが取り付けられ、セカンドアームの右腕はアングルブレードやフルストゥシリーズを組み合わせた、スプラッター映画に出てきそうな禍々しさだ。
逆に左腕はクローが取り外され、ソコにビーム砲が取り付けられている。
バックパックには巨大なエネルギータンクが備えられていた。
そして本体は両腕にマシンガンを構え、肩のホルスターにはオート、リボルバー両方の拳銃、腰にはライトセイバーがちゃっかり装備荒れている。近遠両方こなせるようにバランス調整されていた。
一方燐はエアリエルを重視して、射撃武器はリボルバー(元から持っているものと例のイベントで手に入れたものだ)のみ。
他にもイロイロと装備は追加しているのだが、ここでは割愛しよう。
敵はまずマシンガンで牽制してくる。 燐は最初とは比べ物にならない、華麗とも見えるステップで回避。しかもそのまま身体を回転させ、空中で逆さまになりながら2丁のリボルバーを引き抜いて乱射。
1発が敵の胸に向かうもソレはセカンドアームで防がれた、がそれはコチラも同じだ。
ただ弾の数が違うためこちらの方がアームに負うダメージは多い。
が幸運にも最後の1発が敵のマシンガンの1丁を弾いた。
すかさず燐はフルストゥ・クレインを投擲するが敵も同じくフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを連結して投げてきた。質量の差でフルストゥ・クレインは弾かれて連結刃が燐に向かう。
燐はセカンドアームのクロー。唯一連結刃の強度に対抗できる爪の部分。それを頼りに手刀の形を作り。刺すようにして突き出した。
独特の金属の衝突音が響き。連結刃は壁に突き刺さる。
しかし燐のクローの爪も2本ばかりが折れてしまった。
そうしているうちに敵は左アームのビーム砲を放つ。 弾速がマシンガンよりも遅いので燐は身体をひねるだけでそれをやり過ごすが、ソコに又しても連結刃が飛んできた。
そのまま受身を取るように前転して回避するが今度の連結刃は違う。ターンしてまたしても燐に向かっていった。再び飛来する刃が決定打になることは無いが、燐は敵の距離をじりじりと開けられている。 間合いが遠くなるほど燐にとっては不利になる。
俺は燐に決断を促す。
「燐、隼を使え。これ以上距離を開けられると負ける
「分かりました、マスター!」
燐は連結刃に背を向方かと思うとバック転、と共に脚を広げて体を捻る。カポエラの技からヒントを得た隼という技だ。
予測できない角度からの遠心力を思い切りこめた後ろ回し蹴りを放つ。
神姫の運動能力だからこそ実現可能な技だった。
その蹴りが向かうは連結刃。しかし燐は足先の小さなナイフで正確に連結刃の中央、刃が無く、最も弱い部分を切断する。
そして着地と同時にレッグパーツの脚力を100%使ってのジャンプ。一気に相手との距離をつめる。
着地点に敵が砲撃してくるが、アームを格子状に構えて正面の防御を固め突進する。そしてサイドステップを多用して敵をかく乱しつつ距離をじりじりと詰めていく。
敵はエネルギータンクの重量が祟ったか速度が遅い。
燐はステップを踏むごとに、アームユニット背部にマウントされたフルストゥ・クレインのロックを解除していく。
そして距離がほぼアーンヴァルのレーザライフル1本分に相当する瞬間、燐は全力でジャンプすると同時にアームユニットをイジェクト。
さらにロックが外れたフルストゥ・グフロートゥを空中に放り出すとそのまま1回転し、オーバーヘッドキックのように蹴りだす。
フルストゥ・グフロートゥが敵の脚を貫いて敵を止める。
後は残りのフルストゥ・クレインでフィニッシュだ。
だが敵も黙っちゃいない。クローで反撃してくる。
クローはリンのレッグユニットを破壊したがリンの本体には傷ひとつ付けていない。
そうしてリンが敵の胸にフルストゥ・クレインでとどめを刺す。はずだった。
ザン、という音がモニターから出る。
ソレと同時に俺のゴーグルに表示されたのは負けを表す文字列だった。
燐は少しところで勝てなかったのでしょんぼりしながら敗因を分析する。
敗因は敵の本体のライトセイバーだった。
腰裏に装備されていたため、バトルが始まってからは俺もリンも存在を忘れていた。
ソレをギリギリで引き抜かれて蒼い刃が燐の腹を貫いたのだ。
「マスターすみません。負けちゃいました……」
「いや、リンが気にすることは無いぞ、ちゃんと相手の装備を把握仕切れなかった俺にこそ落ち度がある。
でも格上相手にによくやったと思うぞ、このペースならCランクに昇格もそんなに遠くない。」
「じゃあ、明日シミュレーションバトルに付き合って下さいね。」
「お、おう、約束だ。」
今回は3回戦で負けたので賞品は参加賞の図書券だったが、コレでリンに大好きなポ○モンの文庫を買ってやれたのは幸い
だったかもしれない。
~[[燐の6 「決闘、対ルクレツィア」 ]]~
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